『宝物』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は今人気絶頂のアニメ主人公のぬいだ。
そんな僕は、持ち主である5歳児のおままごと相手をしている。
まったく、最近の人気アニメのぬいは他のぬいぐるみと違って持ち主と色んな場所に行って写真を撮ったり、祭壇に飾られて神様みたいにしてもらえる。
なのにこの幼い持ち主は、僕に女の子のフリフリドレスを着せたり、抱えながら寝るもんだからよだれまみれ。
挙げ句、僕には主人公らしい超格好いい名前があるのに幼い持ち主は僕をメメちゃんとまったく別の名前で呼ぶ。
ホント呆れてたまったもんじゃないよ。
「ミミ、メメちゃんのことだーい好き。」
幼い女の子がそう言いながらぬいを抱きしめる。
腕の中のぬいの表情はどこか嬉しそうに笑っていた。
《宝物》
僕は今人気絶頂のアニメ主人公のぬいだ。
そんな僕は、持ち主である5歳児のおままごと相手をしている。
まったく、最近の人気アニメのぬいは他のぬいぐるみと違って持ち主と色んな場所に行って写真を撮ったり、祭壇に飾られて神様みたいにしてもらえる。
なのにこの幼い持ち主は、僕に女の子のフリフリドレスを着せたり、抱えながら寝るもんだからよだれまみれ。
挙げ句、僕には主人公らしい超格好いい名前があるのに幼い持ち主は僕をメメちゃんとまったく別の名前で呼ぶ。
ホント呆れてたまったもんじゃないよ。
「ミミ、メメちゃんのことだーい好き。」
幼い女の子がそう言いながらぬいを抱きしめる。
腕の中のぬいの表情はどこか嬉しそうに笑っていた。
《宝物》
僕は今人気絶頂のアニメ主人公のぬいだ。
そんな僕は、持ち主である5歳児のおままごと相手をしている。
まったく、最近の人気アニメのぬいは他のぬいぐるみと違って持ち主と色んな場所に行って写真を撮ったり、祭壇に飾られて神様みたいにしてもらえる。
なのにこの幼い持ち主は、僕に女の子のフリフリドレスを着せたり、抱えながら寝るもんだからよだれまみれ。
挙げ句、僕には主人公らしい超格好いい名前があるのに幼い持ち主は僕をメメちゃんとまったく別の名前で呼ぶ。
ホント呆れてたまったもんじゃないよ。
「ミミ、メメちゃんのことだーい好き。」
幼い女の子がそう言いながらぬいを抱きしめる。
腕の中のぬいの表情はどこか嬉しそうに笑っていた。
《宝物》
僕は今人気絶頂のアニメ主人公のぬいだ。
そんな僕は、持ち主である5歳児のおままごと相手をしている。
まったく、最近の人気アニメのぬいは他のぬいぐるみと違って持ち主と色んな場所に行って写真を撮ったり、祭壇に飾られて神様みたいにしてもらえる。
なのにこの幼い持ち主は、僕に女の子のフリフリドレスを着せたり、抱えながら寝るもんだからよだれまみれ。
挙げ句、僕には主人公らしい超格好いい名前があるのに幼い持ち主は僕をメメちゃんとまったく別の名前で呼ぶ。
ホント呆れてたまったもんじゃないよ。
「ミミ、メメちゃんのことだーい好き。」
幼い女の子がそう言いながらぬいを抱きしめる。
腕の中のぬいの表情はどこか嬉しそうに笑っていた。
《宝物》
宝物#13
私の座右の銘は「一期一会」
私はあなたと出会えたことを宝物のように思います。
あなたはどうかわかりませんけれどあなたもわたしと出会えたことを良かったと思っていただけていたら嬉しいです。
人と人は偶然でもどこかでキッカケを掴んでいると思います。あなたと私の縁が長く続きますように。
宝物
私、今まで何を求めていたんだろう?
月の石?北極の氷?それとも意味の無い数字?
実際、答えはないんだ。
心にある、宝物。誰も見えないから、大切にしなきゃ、すぐに壊れてしまうんだ。
結局、私には宝物がないのかもしれない。だけれど、それを本気で守ろうとした時、私の心は些細な光で包まれる。その光の中の‐永遠とした、光が、きっと、宝物になるだろう。
私も‐。全ての人が、感じる喜び。
幸せと隣にあるのは、私の“宝物”。そう、こうやってみんなと一緒にいるのも、宝物、だ。
#5
きらきら輝くものでも、
誰もが欲しがるようなものでも、
売ったら価値のあるものでもない。
でもそれはきっと大切にされるにふさわしい小さな思い出と、幸せな証拠。
子供の頃、究極の宝物だったものがガラクタになる。
これ宝物だった筈なのにね。
どうして宝物だったか理由も思い出せない。
なにもそんな時間を待たずとも
今日愛でているものが明日価値を失うことも
おかしなことじゃないか。
飽きたとか、代わりが現れたとか。
うーん、宝物、たからもの、タカラモノ。
じゃあ、あれだ。
宝物を探している今、この時こそが宝物
なんてクサイこと言っとこう。
緑色のビー玉みたいな瞳を持つ
活発でおしゃべり
甘えんぼの黒猫の男の子
控えめなのに大胆
病気のせいで体重3キロあるかないかの
華奢でおめめぱっちり
しっかりお返事できるサビ猫の女の子
どちらもわたしのいちばん
ママのとこにきてくれてありがとう
◇たからもの◇
君と話している瞬間。
君の笑顔を見る瞬間。
君と手を繋いでいる瞬間。
その全てが愛おしくて、大切な宝物。
〜宝物〜
「宝物」
外で遊んだ記憶
石に葉っぱを押し付けて
その上から石で、ゴリゴリゴリ
水に溶かしたら
飲めないお茶の、できあがり
雑草茶、またつくりたい
宝物
誰にも壊せない、盗られない宝物
想い出。
私だけが切り取った記憶の結晶。
今も育っている
私がいなくなったらどうなるのだろう。
ネット空間に放置されたブログのように
宇宙を漂うのだろうか。
「今日、デパコス見に行かない?」
化粧直し中の同僚――歩美から声をかけられた。歩美とは同期入社で、会った時から気が合って、プライベートでも時々遊ぶ仲である。
私はポーチから高級ブランドのロゴのついた口紅を取り出し、塗りながら返事をした。
「いいね。そろそろクリスマスコフレ出揃ってるよね。今日の会議、早く終われそう?」
「舞は本当、クリスマスコフレ好きだよね~。会議は余裕!ちゃんと偉い方々に根回ししてあるので、大丈夫でーす」
「さすが。じゃ、午後もがんばろ!」
ティッシュを咥えて余分な口紅を落とし、鏡に映る自分を見る。
よし、完璧。
女子トイレを出て、歩美が手を振り離れていく。
歩美はフワフワした雰囲気によらず、賢くて強かな女である。
きっと私にも見せない本心があって、打算で付き合ってくれているのだろうと思う時もある。
けれど、不器用な私と違う、そんな彼女が好きだったし、憧れもあった。
終業後、会社の更衣室前で待ち合わせをし、百貨店に向かう。
目的の百貨店は自宅から反対方向、会社から地下鉄で2駅のところにある。
「舞、今日は晩ごはんどうする?」
「うん、雅も会社の人と食べてくるって言ってたから、一緒に食べよう」
私には婚約中の彼氏がいる。
もうすぐ同棲して1年経つが、いつ結婚するのかは決めていない。仕事が忙しいようで、休日も出勤することが多いため、式場探しもできていない。
百貨店に到着し、お気に入りのブランドの、顔馴染みの美容部員からクリスマスコフレを購入する。
この時期になると各ブランドからクリスマスコフレが販売される。童話をモチーフにしたり、宝石をイメージしたりした、特別なパッケージが用意されており、全てのブランドを買い揃えたいくらい可愛らしいと思う。買う時も、『使う用』と『飾る用』と2つ買いたいと思ったことがある。
歩美に言わせると、私はクリスマスコフレコレクターなんだとか。
一応、毎年3個までと決めて購入しているので、実際にコレクションはしていないつもりだ。もちろん、使い切れる量ではないので、年々増えてはいる。使うたび、見るたびに癒される、私の大切なものだ。
「あっちも気になるんだけど、見ていっていい?」
「うん、いいよー」
パッケージが気になっているクリスマスコフレがあったが、アイシャドウの色が私似合わない。以前、雅に指摘されたことがある。
「残念だけど、やめておこうかな…」
「じゃあ私、これ買います!」
歩美が横から返事をする。
これ、歩美の趣味だっけ?と少し疑問に思ったが、本人が買いたいならいいか、と気に留めないことにした。
買い物が終わり、百貨店近くのイタリアンレストランへ向かう。
道中、他愛もない話をしていたが、突然、歩美が立ち止まり、表情が険しくなる。
いつもニコニコしているので、突然のことに戸惑った。
「どうしたの?」
「……舞、雅さんって今日どこにいるの?」
「え、何で…?今日は、会社の人と食事って…」
歩美の視線の先には、雅によく似た男性と、少し若い女の子が食事をしている姿があった。
「舞、あれ不倫だよ」
歩美が確信を持って宣言する。
あれは、本当に雅?どうしよう?どうしたらいい?何をするべき?
頭と耳が遠くなる感覚に陥る。何か言われているのに、全然頭に入ってこない。
何度か歩美に同じ説明をしてもらったと思う。
どうやら歩美は過去にもこの現場を見ているとのこと。跡をつけてホテルに入っていく姿も見たのだとか。
こういう場合って、しばらく泳がせて証拠を集めるのがいいんだっけ。結婚してなくても、慰謝料とかもらえるんだっけ?私ってもう29歳なんだけど、別れて次を見つけられるのかな?
「…今日帰ったら、聞いてみるよ」
「だめ。今から行こう。私が付いてくから」
「でも、何言っていいか分からないし、シラを切られるかも…証拠だってないし……」
歩美が少しため息を吐いた後、いつになく柔らかい笑顔を浮かべ、言った。
「証拠なら、私のスマホにあるよ。写真撮ってあるから」
さすが。
「でも、突然知ったことだから、別れる決心がつかなくてて…」
「……分かったよ。舞の気持ちが落ち着くまで待とう」
食欲もなくなったため、イタリアンレストランはやめて、近くのカフェに入る。
温かいコーヒーを飲んで、気持ちが少し落ち着いてきた。
歩美は今年の四月に初めて目撃したようで、ずっと私に言えずに悩んでいたようだ。休日にも見かけたことがあり、怪しいと思って跡をつけたら、黒だったとのこと。その後も何度か目撃しているとか。
今日も、もしかしたらと思って、私を誘ったらしい。今まで隠していたこと、楽しい気分を壊すような教え方になって、申し訳ないと、謝罪された。
――雅とはそろそろ、潮時だったのかもしれない。婚約して長いのに、結婚の話も進まない。私の両親には挨拶は済ませているため、いつになるか聞かれるが、雅に伝えるとはぐらかされる。
やっぱり、別れよう。
「歩美、お願い。今日、ちゃんと雅と話そうと思う。写真、もらってもいい?……本当は不安だから、付いてきてもらいたいくらいなんだけどさ…」
「うん、任せて。今日一緒に舞の家で待とうか?明日は土曜日だし、遅くなっても大丈夫だよ」
「ありがとう」
そうして、舞の自宅に帰り、雅の帰りを待つ。日付が変わる頃に雅は帰ってきた。
「ただいま。あれ、誰か来てるの?」
「お帰り。歩美が来てるの。私、雅に聞きたいことがあるんだけど」
雅の表情が強張るのが分かった。
「明日も仕事なんだけど、明日帰ってきてからにしてよ。歩美ちゃんも、そろそろ帰った方がいいよ」
微笑みを浮かべた歩美が、雅に尋ねる。
「明日の仕事は、不倫相手とですか?私、写真もありますよ?」
歩美がスマホの写真を見せつける。
じろりと雅に睨まれた。
私も負けじと雅を睨み返す。
「私、不倫する人とは結婚できない。別れよう」
雅は、諦めたようなため息を吐いた。
「俺も、もうお前に愛想尽きてるんだよな。大体、化粧濃いし、金遣い荒いし、似たような化粧品ばっかり買って、もう付き合いきれねーよ」
そういって毒を吐き、歩美を一瞥して、友達も友達だよな、と呟く。
その時、歩美の手が、雅の頬を叩いた。
「舞を馬鹿にしないで。後日、弁護士通して連絡するので、早く出ていって下さい」
雅は、分かってるよ、と怒鳴り、財布とスマホを持って出ていった。
激しくドアが閉まる音の後、静寂が流れる。
「……歩美、ありがとう。まさか、叩くなんて思わなかったよ」
私がくすりと笑いながら言う。
「ふふ。もー我慢できなくて。叩いて清々した」
歩美も笑いながら答える。
「舞は、私の憧れなの。いつも堂々としてて格好いいってゆうか…。好きなものを貫き通す所とか…。だから許せなくて……。」
そう伝えた後、これ、と言って歩美が買ったクリスマスコフレを差し出してくる。
「少し早いけど、クリスマスプレゼント。今日のお詫びに…。舞、こういうの好きじゃなかったっけ?」
目頭が熱くなった。
雅と暮らし始めて、好きなものを素直に好きだと言えない自分になっていた。結婚って、そういうことなのかな、と諦めていた。
だけど、私が本当に大切にしなきゃいけないのは自分自身で、それを好いてくれる家族や友人なんだと、気付いた。
「……ありがとう。大切にするね」
# 宝物
誰かにとっては
他愛のないものでも、
誰かにとっては
かけがえのないもの。
それは古ぼけたおもちゃだったり、
目に見えないものだったり、
誰かの想いだったりする。
気がついた時にはもう既に持っていて、
振り返る時にしか分からない。
その輝きが、温もりが、優しさがあれば
大丈夫、きっと明日も乗り越えられる。
宝物って、
そういうもの。
別に、ない。
まず、宝物って何よ。
そんなの、人の価値観によって変わるでしょ?
自分の価値観でものを言ったら、堅物者がありえないって笑ってくるじゃない。だから私、そういうの嫌い。
そういう、人によって答えが変わって、曖昧で、その人にしか分からない思いのこもってる答えを、よく知りもしない人が薄っぺらい御託並べて貶すような。そんなの、言わない方がマシよ。
私の宝物は、私だけの宝物なの。
#宝物
目を覚ますと、灰黒色の壁が見える。床は、油と泥で汚れており、彼はそこに横たわっている。
床に手をつき、体を起こす。体がひどく重たい。いくら力のない幼い腕だとしても、たかだか120センチの体を起こすのにこんなにも力を入れなければならないものなのか。
やっとのことで、体を起こし、目に入る壁とは反対の壁に背中を預ける。汚れたお尻を浮かすのとは出来ず、その場にうなだれる。
目前にはシャツの上からでもわかる酷くやせ細った自分の体。
彼は少し息を整えてから、シャツの下から中をまさぐり、透明な袋を取り出した。袋の中には、所々に黒い斑点のついたパンのかけらが入っている。
まだ食べれそうなことに少し安堵し、中身を取り出す。掴んだ袋を手から離し、洋袴(ズボン)の衣嚢(いのう)をまさぐる。
中からその小さな手に収まるほどの石のようなものを取り出した。石の底は平で、楕円の表面には細かな彫り細工が施されている。泥と油でその光沢を失っているが、磨けば今にも輝きそうだ。
彼は石の表面を少し擦って、横の突起物をを親指で押す。カチと音を出しながら楕円の表面が内扉のように開いた。中からは男女とその男女に抱えられた幼い子供が顔を出した。三人は、屈託のない笑顔でこちらを見ている。
彼はパンをかじりながら、三人を眺めて悲しそうに笑う。
ビルの隙間から金属と地面の擦れる音が木霊した。
『宝物』
今日、私は決意した。
今まで集めてきたこの同人誌と単行本に別れを告げる事を。
「あかつき先生の…いや、でも、捨てるしかないんだ!」
高校生の頃からファンのあかつき先生の同人誌を涙しながら平積みし、ビニール紐でしばる。
中学生の頃に友達にBL漫画を読ませてもらってハマってしまった沼。
以降、イベントで同人誌を購入したり、本屋で好みの商業誌を物色したり、少しずつ集めてきた。
どの本も大切な一冊であり、宝物だ。
部屋の3分の2を支配するBL漫画達…至福…。
でもこのままじゃダメなのだ。
一般的にこの趣味は受け入れられ難い事は知っている。
だから社会人になってから一般女性の姿形を模倣し、腐女子を隠しつつ会社の中でも過ごしてきた。
このままこっそりひっそり、BL漫画と共に歳を重ねていけばいいと考えていた。
でも出会ってしまったのだ…。
「あ、こんにちは!佐々さん。」
まずは第一弾としばった本を両手に持ち近所のゴミ収集場所へ向かっていると声をかけられた。
「ひ、平岩さん!」
私がBL漫画達とお別れすることを決意した理由の男性。
「佐々さん、この辺りに住まわれているんですね。」
1年前、転職してウチの会社にやってきた平岩さん。
いつも人当たりがよく、物事にもよく気づく彼は仕事も出来て、あっという間に会社に馴染んだ。
会社で一人になりがちな私にも声をかけてくれる。
そんな彼に好意を持つのに時間はかからなかった。
そしてなぜか全く疑問で仕方がないのだけれど、平岩さんに「付き合ってもらえませんか?」と数ヶ月前に言われたばかり。
嬉しくて発狂ものだったが、付き合い始めて1か月後、「今度お家にお邪魔してもいいですか?」の言葉に心臓が凍りつきそうになった。
ウチには私にとっては宝物だが、一般的には受けが悪いであろう漫画たちがいる。
家へお招きする為に、そしてやましい気持ちなく彼とお付き合いする為に私は決意した訳だ。
「佐々さん、その本って…。」
ヤバい!バレる!!
平岩さんに手元の本を指さされて、私は慌てて自分の背後に本を隠す。
「こ、これはですね、処分しようと思って。」
「捨てちゃうんですか、僕の描いた本…。」
「……。」
一瞬何を言われているのか理解が出来なかった。
「それ、僕の描いた漫画です。正確には姉が原作で、絵を描かされていて…。」
「えっ!?ひ、ひら、平岩さん、あか、あかつき先生…えっ?えっと…エエッ!?」
平岩さんと手に持っているしばられた本たちを交互に見ながら私は叫ぶ。
「イベントブースには姉が出ていて、僕は時々客側として、こっそり売れ行き見に行ってたりしてたんですけど…転職した会社で新刊出す度に購入してくれていた人がいて驚きました。」
「し、知ってらっしゃった!?」
黒歴史を抹消しようと試みていたのに、すでに知られていたとは…。
「一度、姉に『あかつき先生の漫画は私の宝物です!』って言ってる佐々さんを見たことがあって、すごく嬉しくて…。」
照れた様に笑う平岩さんを呆然と見つめる。
「でも本…捨てちゃうって事はもう宝物じゃなくなりました?」
眉を下げ、少し悲しそうな表情で平岩さんが聞いてくる。
「ち、違うんです!これは一般市民の平岩さんに知られてはいけないと思ってっ!捨てません!ずっとずっと私の宝物です!!」
「一般市民って…。」
クツクツと笑いながら平岩さんが私の言葉に反応する。
「大丈夫です。姉のおかげで一般市民より知識と理解はあると思います。佐々さんのその趣味含めて僕が好きになった佐々さんです。」
平岩さんがニコリと微笑んで言った。
その後、私の部屋には刷り上がったばかりのあかつき先生の同人誌が並べられるようになった。
#39『宝物』
うんと地下には恐竜だとか
ロマンが眠っていて
海に飛び込めば色とりどりの
魚たちが泳いでる
山から見下ろす景色は
これまた絶景で
どこに行っても
何をしても
隣には君がいてくれるから
あまりの愛おしさに
この星ごと抱きしめたい
ようやく辿り着いた。トレジャーハンターの彼等三人組がずっと探し求めていた地へ。長い旅路を経て、今、夢のような光景が目の前に広がっている。
「すげぇ……」
思わず息を呑んだ。
洞窟の最深部、まさしく宝の山がそこにあった。
長い年月を感じさせる錆び付いた大量の金貨やくすんだ宝石、装飾品が、天井から漏れる日の光に照らされきらきらと輝いている。
一人の男が駆け出して宝の山にダイブした。
とうとう見つけた。手に入れたんだ。夢にまで見たお宝を。
それを、仲間の女は驚いた様子で、もう一人の仲間の男は「こいつは全く仕方ないな」と言った表情で見ていた。
「でもさ」
宝の山に埋もれたまま、男が呟く。
「本当の宝物は、ここまで一緒に冒険に付き合ってくれたお前らだって、俺は思ってるよ」
その言葉を聞いた仲間も、言った本人も、照れくさそうに笑った。
宝の感触をしばらく堪能してから起き上がり、よくよく辺りを見渡してみると、宝の山の向こう側に台座のような物があった。その上には、宝箱が置かれている。
まるで引き寄せられるのように台座のへと向かい、正面に立つと宝箱をよく見た。細かい装飾が施された美しい宝箱だ。
ふと視線を落とした。
その瞬間だった。
背中から胸を貫き、衝撃が走る。真っ赤な血が吹き出ている。
振り返ると、仲間達が彼を見ていた。真っ赤に染まった仲間愛用のダガーを手にして。
何故かと問う間もなく、彼は倒れた。
「俺達が宝だって言うならさ、ここの宝は俺らに譲ってくれよ」
「鬱陶しかったのよ。トレジャーハンターのくせに、あなたのその博愛精神や正義感が」
何かを言おうとしても、口からごぼごぼと血が溢れ、言葉にならない。
仲間の男が宝箱に手を伸ばした。
……やめろ……――危ない、それは罠だ!
次の瞬間、大きな音を立て、地面が割れた。驚いて足下を見る。視線の先には、人を今にも飲み込もうと待ち構える、巨大なワニがうじゃうじゃといた。
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「キャ――――――――ッッ!」
三人仲良く床下へ落ちていく。
男は体から血を流しながらも最期の力を振り絞り、二人を抱き抱えると急いで鉤縄を宙に向かって投げた。
「…………後……は、頼っ……」
そう言い残し、仲間が縄を掴んだことを確認すると、安心した表情で落ちていった。
そしてようやく、仲間達は本当の宝物がどんなものなのか気付いたのだった。
『宝物』
「ここら辺じゃない?」「たしかそうだよ。」「ここに埋めたよね。」僕は今、小学校からの友人男女二人と夜の山奥に来ている。
理由は.....。
「じゃあタイムカプセル探そっかー」そうタイムカプセルだ。小学校の頃の宝物を入れてある。未来の僕らが見つけることを願って。
昨日、その話になってわざわざ今日の朝から、ど田舎の母校のある裏山に何時間もかけてやってきたのだ。
「あったー!」友人の一人が埋めた場所を掘り起こすと、そこにはタイムカプセルが。
僕たちは大はしゃぎで中を開ける。
「何が入ってるんだろうね」「楽しみだね。」ワクワクしながら開ける。
中には手紙や写真、そして.....。
「これってもしかして.......」それは一冊の本だった。
誰かが書いた小説らしい。
「すごいね、これ。」「ねえ、読もうよ」友人たちは本を手に取った瞬間から読み始めてしまったのだ。
「え.......なんで......」
本を読んだ僕らは驚きを隠せなかった。
それは誰も当時、タイムカプセルにいれていないはずのものだったのだ。
物語の中で描かれているのは、僕らの内の誰かが元々いた友達を殺した犯人であるというストーリーだった。
僕らは元々四人だったのだ。
彼らは真っ青になっていた。
「これって...君が書いたの?」友人の一人が疑い深く尋ねた。
僕は当然のように首を横に振る。
「いや、まさか自分が書いた覚えないし。でも、内容が...不気味だよね。」
友人たちは一瞬沈黙し、不穏な雰囲気がただよった。
「でも、これってただのでたらめでしょ?」もう一人が笑いながら言ったが、笑顔には微妙な緊張感が漂っていた。
「でも、もしこれが現実だったら...」僕は震える声で言った。
「怖いね。」そして僕らは皆、顔を見合わせて固まってしまった。
「ねえ、もしかして.......」「まさか......」友人二人はタイムカプセルを埋めた場所に誰かが来てこれを埋めたこと、そしてそれをする可能性が高いのはタイムカプセルの話を昨日始めた人に限られることに気がついたのだ。
そしてその言葉が友人二人の最期の言葉となった。
「翔太。やっと終わったよ。」僕は今は亡き親友の名を呟いた。
そして月を見上げて涙を流した。