NoName

Open App

「ここら辺じゃない?」「たしかそうだよ。」「ここに埋めたよね。」僕は今、小学校からの友人男女二人と夜の山奥に来ている。
理由は.....。

「じゃあタイムカプセル探そっかー」そうタイムカプセルだ。小学校の頃の宝物を入れてある。未来の僕らが見つけることを願って。
昨日、その話になってわざわざ今日の朝から、ど田舎の母校のある裏山に何時間もかけてやってきたのだ。

「あったー!」友人の一人が埋めた場所を掘り起こすと、そこにはタイムカプセルが。
僕たちは大はしゃぎで中を開ける。

「何が入ってるんだろうね」「楽しみだね。」ワクワクしながら開ける。
中には手紙や写真、そして.....。

「これってもしかして.......」それは一冊の本だった。
誰かが書いた小説らしい。

「すごいね、これ。」「ねえ、読もうよ」友人たちは本を手に取った瞬間から読み始めてしまったのだ。

「え.......なんで......」
本を読んだ僕らは驚きを隠せなかった。
それは誰も当時、タイムカプセルにいれていないはずのものだったのだ。
物語の中で描かれているのは、僕らの内の誰かが元々いた友達を殺した犯人であるというストーリーだった。
僕らは元々四人だったのだ。
彼らは真っ青になっていた。

「これって...君が書いたの?」友人の一人が疑い深く尋ねた。
僕は当然のように首を横に振る。

「いや、まさか自分が書いた覚えないし。でも、内容が...不気味だよね。」

友人たちは一瞬沈黙し、不穏な雰囲気がただよった。

「でも、これってただのでたらめでしょ?」もう一人が笑いながら言ったが、笑顔には微妙な緊張感が漂っていた。

「でも、もしこれが現実だったら...」僕は震える声で言った。

「怖いね。」そして僕らは皆、顔を見合わせて固まってしまった。

「ねえ、もしかして.......」「まさか......」友人二人はタイムカプセルを埋めた場所に誰かが来てこれを埋めたこと、そしてそれをする可能性が高いのはタイムカプセルの話を昨日始めた人に限られることに気がついたのだ。
そしてその言葉が友人二人の最期の言葉となった。

「翔太。やっと終わったよ。」僕は今は亡き親友の名を呟いた。
そして月を見上げて涙を流した。

11/21/2023, 5:35:10 AM