『子猫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
子猫のように不自然に泰然と
大切なプレゼントがどうせ腐るなら
心の隅の見えないところに
怯えて膝を抱えたままの自分も入れたら
角が二つ埋まってる現状
窓を覗くと秋空にこころ押されて
抜けた空気で少し浮き出す
「また、あの龍が見たいな」
首の歯形が明滅する
思い出した さっき
絵本の夕方を、拾ったじゃないか
走り出したら大丈夫
運命に轢かれないように
首の鈴を鳴らして翔ぼう
正直者が僕を見る。
哲学者が僕を見る。
ミステリアスが僕を見る。
美的感性が僕を見る。
精霊が僕を見る。
慰めが僕を見る。
最高傑作が僕を見る。
「子猫」より
小さな前足で 私の顔を踏みつける
フニフニ フニフニ
あぁ なんて気持ちがいいのだ
おやすみなさい
私は気持ちよさから
また眠りにつく
どこへ行ったのだろう
黄色く光る大きな目玉をぱちくりさせてこっちを見ていたのに
まだら模様の小さな身体はガラスの向こう側から姿を消していた
あまりにも大きな音だったから驚かせてしまったのかもしれない
まだ子猫だったからこちら側の出来事を理解出来ていなかったとは思うけど
「出てきてネコちゃん。あなたには何もしないわ」
もし咽せ返る血の臭いに辟易しているのなら
シャワーを浴びてから探さないとね
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小さくて、あったかい。そして、小さくて細い声で「ニャーッ」となく。
子猫は人間の赤ちゃんと似ているお腹空くと泣いてそばにいてほしいときも泣く。本当に可愛くて…尊い。
子猫は私にとって癒しだ。
私の可愛い猫
公園にダンボールに
入れられて 捨てられてた子
まだ やっと 目が開いたばかり
の 小さな子 にゃーにゃーと
必死で 助けを求めて泣いて
可哀想で仕方がなく 家に
連れて帰った 家には 中型犬が
一匹 いた 子猫は この犬のベットに 入り 我がもの顔で 寝てしまった 困ったのは 犬 自分のベットに
得体の知れないものが 勝手に寝てるのだから しかし 相手が赤ちゃんだとは 認識しているのだろう
犬の方が 我がベットなのに 端の
方に 遠慮して 寝てる 次の日も
また 次の日も そうして 彼らは
一緒に 寝るのが習慣となった
子猫は 犬を 自分の 親と 思って
いるのだろう 何処に行くのも一緒
居ないと 探し まわる 可愛い 子猫
付き合い始めの頃
わたしはあなたよりお姉さんだから
あなたを甘やかすことが多かったね
まあ、あなたも猫かぶってたっぽいし
わたしも気の利くお姉さんのフリしてたし?
今ではあんな甘い時間 あんまりないよね
てれちゃうよね
膝枕して あなたの髪を ゆびで梳かしてる
なーんてねぇ
◇子猫◇
タイムリーなんだけども
昨夜ガレージから
仔猫の鳴き声と
其れに共鳴するかの如く
うちの猫さん達の
大合唱が
兎に角気になるわ
眠れないわで
今日の仕事は散々だった
今日はもう居なかったが
親猫と無事に合流出来たか
居着いたら
うちの猫仲間に
加わってもらおうと思ってたのに
残念
僕には兄弟がいた、みんなで雨の日も風の日も小さい段ボールの中でぎゅうぎゅう詰めだ
ある日兄妹の一匹が小さい女の子に抱かれてうちで飼っていい?と聞いて何処かに行ってしまった、一匹分隙間が空いたけどまだ僕たちはぎゅうぎゅう詰めだ
ある日兄妹の一匹がネズミを捕まえたら、それを見た魚屋さんがその兄妹を連れて何処かに行ってしまった、段ボールの中は僕たち四匹でぴったりの広さになった
ある日兄妹の二匹が腰の曲がったお爺ちゃんとお婆ちゃんのそれぞれに抱かれて何処かに行ってしまった、二人は孫が見たら喜ぶねと言っていた、段ボールの中は急に伽藍として、兄妹二匹でくっついて寝始めた
ある日最後の兄弟が、お兄さんとお姉さんの二人に抱かれて何処かに行ってしまった、ペットを飼えるアパートに引っ越して良かったねと言っていた、段ボールの中は僕だけになった、段ボールの中ってこんなに広かったんだ
次の日も、その次の日も、僕は段ボールの中で丸くなっていた、くっつく兄妹がいないとこんなに広くて、こんなに寒くて、こんなに寂しいんだと思った
ある日雪が降ってきて、僕はいつも以上に寒くて震えて動けなかった、身体に雪が積もってきて、案外これも温かいかもしれないと思った、そしたら雪が唐突に止んだ、うっすら目を開けると傘を差した女の人がしゃがんでいた
「私ね、雪っていう名前なの、あなたも真っ白い毛で私みたいね」
そういうと雪は僕を抱いて歩き出し独り言を呟く
「雪が二人じゃややこしいよね、あなたはスノー、これからよろしくね」
僕は雪に抱かれ、その暖かさに兄妹のことを思い出した、みんなこんな気持ちだったのかな、みんな幸せにしてるかな、そんな事を思ってると雪は僕のことをぎゅっと抱きしめた、あぁ、ぎゅってするのは幸せだな、僕は雪に頭を押し付けてもっとぎゅってして貰おうと丸くなった
【子猫】
声すら出せないまま、毛布の中でふるえている時。
なぜだろう、かれこれ1週間、子猫があとをつけてくる。ぶち柄の子猫だ。他の野良猫とは違って、眼光はまろやかで、優しささえ感じる。
最初は特段気にもとめていなかったが、否が応でも目に入るものだから興味が湧いてくる。
少し近づいてみるとあいつは少し離れ、走って行くと走って追いかける。黒くない影がまた1つ出来たようだった。
いつの間にか現れて、学校の校門で別れる、そんなあいつをいつしか「ぶち」なんて呼ぶようになった。
ぶち猫だからぶち。我ながらネーミングセンスのかけらもないと思うし、ぶちも面倒くさそうに顔を上げるばかり。ふてぶてしく風と戯れていた。
そんなあるとき、ぶちと出会って初めて、雨降りの日がやって来た。心配しながら学校へ向かう。その日は風も強く、普段の静寂が嘘のように通学路は慌てふためく草花で賑やかだった。
いつもより多く後ろを振り返る。おかしい。普段なら後ろについてきているはずの場所をいくつ過ぎてもぶちが現れない。大変そうに下っていたあの坂を過ぎても、おばあちゃんに声をかけられたたばこ屋の前を過ぎても、川を見ようと時々立ち止まっていたあの橋を過ぎても現れない。
ついに足が止まってしまった。待つより他はないと意識してしまった。すると、橋のそばのコンビニに、ぶちを見つけた。毛は濡れて固まり、ひどく震えている。風は強く吹いていた。
私は、呼びかける。
「ぶち!おいで!僕の傘に入っておいで!」
すると、ぶちはニィニィと弱々しく鳴きながら私の傘に入ってきた。足に必死に体を擦り付けていく。
制服が濡れるじゃないか、と思いつつも可愛いと思ってしまった。
じゃあ、ぶち、学校行こうか!
あぁ、彼は子猫だ
凶暴で、従わず、欲深い。誰にだって愛されているのに、誰も愛していないし、何も知らない
寂しがり屋でいたいけで、嫉妬深くて落ち着かない
彼は子猫だ
私たちは地図だ
子猫
もしも私が子猫だったら
あんな事やこんな事を経験してみたい
存在だけで飼い主にものすごく可愛がられる
あざとく可愛いところを見せて喜ばせてみる
液体のようになって色んなところに潜り込む
猫じゃらしで一心不乱に遊ぶ
遊び疲れて寝たい時はその場で寝る
私だけの美味しいご飯を取り揃えてもらう
ツンデレな態度をとってみる
自分の機嫌最優先で行動する
かる~くキャットタワーに登ってみる
猫パンチを繰り出す
時々逃亡して、飼い主に心配されてみる
見つけたときにぎゅっと抱きしめてもらう
飼い主の膝の上でナデナデしてもらい、喉をゴロゴロ鳴らす
飼い主に全幅の信頼を寄せてみる
どんだけなん…わたし
猫も子猫も猫好きも子猫好きも苦手
そんな私はやたらと猫に好かれる
こういう所が、苦手
(嫌いとは言っていない)
(子猫)
昔、母親に内緒で飼っていた子猫がいた。
学校の帰り、ダンボールに入れられてミャアミャア鳴いてた子猫。私が通りかかると、いっそう大きな声で鳴き出して、通り過ぎようとしたら小さな手でダンボールをカリカリ引っ掻き、さらにミャアミャア。
どうしても無視できなくて、私はなけなしのおこづかいをはたいてミルクを買った。
子猫は喜んでミルクを飲んでいた。けれど、家じゃ飼えない。私にさえご飯をくれないお母さんが許してくれるはずがないから。だから、ダンボールのまま公園に連れて行って飼うことにした。
そこは、私が毎日時間を潰している場所。お母さんが家に男の人を呼ぶとき、私はいつもこの公園でブランコに座っていた。
待ってる間はいつもひとりだったけど、これからはこの子がいると思うと寂しくなかった。
次の日も、次の日も、子猫は私を待ってくれていた。膝に乗ってミャアミャア鳴いて、私の手をペロペロ舐めて、またミャアミャア鳴いて。
私が来るのをそれはもう、心から喜んでくれているみたいだった。
だけど、一緒に過ごし始めてから一週間が過ぎた頃。お母さんに見つかった。
おこづかいが底をつき、家のミルクをお皿に入れているところを見つかってしまったのだ。
子猫はあっさりと捨てられ、私はまたひとりぼっちになった。
公園に行っても、ミルクをねだる子猫はもういない。
膝の上で気持ちよさそうに眠るあの子には、もう会えない。
寂しかった。けど、あの子はどこかで幸せになってるんだって自分に言い聞かせた。私がいなくても、私の膝の上じゃなくても、あの子はどこかで幸せに暮らしているはずだって。
だけど、いまでも子猫を見ると確かめに行ってしまう。
あの公園はもうなくなっているし、あの子はもうこの世に存在しないかもしれないのに。
それでも、探してしまう。
あの小さな体をもう一度なでたかったから。
あのミャアミャア鳴く声を、もう一度聞きたかったから。
「ん…雨か…」
黙々と時計の音が響く部屋で本を読んでいたら
外から雨の音がした。
「雨なんて久々だなぁ」
隣の家は洗濯物を出しっぱなしだ。
きっと雨なんて覚えてなかったのだろう。
「段ボール箱の中に洗濯物入ってる…飛んでったのかな」
「いや…小猫?」
こんな閑静な住宅街で猫を飼っている人がいたのか
この段ボール箱はいつからあったのか
「いや 今はそんなことは良い。」
傘を開いて久々に外に出た。
ニャーン
「可哀想に。だれに捨てられたんだい?」
ニャーン
「…」
この小猫に話しかけたからには
見捨てるということは極力したくない。
「私の家に来るかい?」
ニャーン
「それしか言わないんだな。君は。」
私は段ボール箱を抱えて家へ帰る。
明日からは騒がしくなるのだろう。
【子猫】
今日から、初めての同棲が始まる。
一目惚れした彼女とだ。
大学から一人暮らしをしている僕は、そのまま実家へ帰らず、都会に就職した。
社会人になりたての頃は、大学の友人と遊んだり、同期と飲んだり、上司との付き合いに呼ばれたり、割りと忙しく過ごしていた。
でも、苦手意識からか、誘いを断ることも増え、また、友人も結婚していき、今では職場と家の往復だけである。
周りが結婚していく中で、もちろん焦りはあった。
合コンに誘われれば参加をしたし、いわゆる婚活パーティーにも参加をしたことはある。
その中で付き合う人もいたが、長続きはしなかったし、付き合うことや結婚を前提とした会に参加するのはどこか違うと思ってしまい、結局やめてしまった。
これといった趣味もないので、今では家でSNSや動画を見るなど、一人で過ごすことが多かった。
実家は遠いので年末年始に帰省するだけだが、親から結婚の催促があるし、姉は夫と子どもを連れてきて、忙しそうだが幸せそうで、何となく居心地が悪い。
孤独だ。
僕がそれを特に実感したのは、たまたま見ていたSNSで彼女の存在を知ったから。
無邪気な彼女に、一目惚れをした。
彼女がそばにいたら、どれだけ癒されるだろう。
彼女がそばにいたら、毎日がどれほど充実するだろう。
そんな妄想をするようになり、今の生活に孤独を感じていることに気付いた。
彼女に心を奪われた僕は、そのSNSの投稿者に連絡を取った。何度かやり取りをして、彼女と会わせてもらうことができた。
幸いなことに、彼女も僕に興味を示してくれた。
…それから色々あって、今日に至る。
彼女と暮らすために、引っ越しもした。家賃も高くなったし、職場からも少し遠くなった。
彼女のために、たくさん買い揃える物もあった。
それでも、頑張れた。家に帰れば彼女がいる。そんな生活を思い描いて。
今から、彼女が家に来る。
そしてここが、彼女の家になる。
僕は決意をして、彼女に挨拶する。
「ようこそ、これからよろしくね」
彼女が丸い目で僕を見つめながら、小さい体で目一杯、返事をしてくれた。
「にゃあ!」
# 子猫
子猫みたいに小さくてふわふわで弱くて守りたくて。
どこにも行かないように柵で囲んで可愛がった。
幸福な日々だった。
でもいつしか大人になったきみはここを出て行こうとする。
扉を開けてさぁどうぞ、とは言えないぼくを見透かして、頭を撫でながらきみは笑う。
いつのまにこんなに大きくなったんだろう。
いつのまにきみしか見えなくなっていたんだろう。
ずっとずっと子猫でいてくれれば良かったのに。
愛してるよの言葉をきみの背中に届かないよう呟いた。
▷子猫
子猫
駐車場にある原付の足元に子猫が眠っていた。
小さくて動かないから置物かと思った。
じーっとしばらく見つめてると、呼吸をしていた。身体が動いている。
普段逃げる癖に、寝顔はしっかり見せてくれるんだからずるいよなぁ。
子猫模様のポーチに
メイク道具を詰め込んで
電車に飛び乗った
もうすぐ会える
大好きな人に
#子猫
#31