「ん…雨か…」
黙々と時計の音が響く部屋で本を読んでいたら
外から雨の音がした。
「雨なんて久々だなぁ」
隣の家は洗濯物を出しっぱなしだ。
きっと雨なんて覚えてなかったのだろう。
「段ボール箱の中に洗濯物入ってる…飛んでったのかな」
「いや…小猫?」
こんな閑静な住宅街で猫を飼っている人がいたのか
この段ボール箱はいつからあったのか
「いや 今はそんなことは良い。」
傘を開いて久々に外に出た。
ニャーン
「可哀想に。だれに捨てられたんだい?」
ニャーン
「…」
この小猫に話しかけたからには
見捨てるということは極力したくない。
「私の家に来るかい?」
ニャーン
「それしか言わないんだな。君は。」
私は段ボール箱を抱えて家へ帰る。
明日からは騒がしくなるのだろう。
【子猫】
11/15/2023, 2:28:16 PM