なめろう

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1/20/2024, 11:58:51 AM

「ねぇ!早くこっちに来て!」
「二人っきりで来たのにさぁ!」
「こんな事滅多に無いんだよ!一緒に遊ぼうよぉ〜」
『はいはい』
「早く早く!太陽は待ってくれないよ!」

そう言って駆けてゆく彼女の姿は
どこか無邪気で
どこか悲しそうだった

『…なんで君は俺のために…』
『俺なんかは君の命に相応しくないのに…!』

「なんか言った~!?聞こえなかったからもっかい言って!」

『何も言ってないよ!』
「わかった!」

海の底へ投げた俺のラブレター
君はそれを受け取ってくれた
君は見ず知らずの俺の為に全てを投げ出した
私は人魚姫に憧れていたんだ!ってね
俺は君の鱗も命も好きなんだ
決して君の歌声だけが好きだったんじゃない

彼女は次日の光を浴びると死んでしまう
ならばいっそ日の届かない海の底へ
君と一緒に…


『海の底』

11/15/2023, 2:28:16 PM

「ん…雨か…」
黙々と時計の音が響く部屋で本を読んでいたら
外から雨の音がした。
「雨なんて久々だなぁ」
隣の家は洗濯物を出しっぱなしだ。
きっと雨なんて覚えてなかったのだろう。
「段ボール箱の中に洗濯物入ってる…飛んでったのかな」 
「いや…小猫?」
こんな閑静な住宅街で猫を飼っている人がいたのか
この段ボール箱はいつからあったのか
「いや 今はそんなことは良い。」
傘を開いて久々に外に出た。
ニャーン
「可哀想に。だれに捨てられたんだい?」
ニャーン
「…」
この小猫に話しかけたからには
見捨てるということは極力したくない。
「私の家に来るかい?」
ニャーン
「それしか言わないんだな。君は。」
私は段ボール箱を抱えて家へ帰る。
明日からは騒がしくなるのだろう。

【子猫】

11/5/2023, 11:31:44 AM

「痛ったあ!」
「誰だよこんな所に穴掘ったやつ!」
友達に頼まれて自販機にジュースを買いに来たは良いが
落とし穴に落ちてしまった。
「彼奴等めっちゃ頑張ったんだろうな」
しかもクソ深い
「なんだよ…」
ザーザー
「雨まで降って来た!」
「足場が崩れて登れねぇ」
少し時間が経った。
多分彼奴等のことだから助けに来ないだろう。
これでは風邪をひいてしまう。しかもオカンに怒られる。
「う〜む」
『大丈夫ですか!?』
「なんとか大丈夫…って誰だよ!」
『雨これからもっと強くなりますよ!』
『早く外に出た方がいいです!』
『私の手を掴んで!』
久々に他人に優しい言葉をかけてもらった。嬉しい。
そんな事を思っていると雨がやんできた。
『貴方運が良いですね!さっさと外に出ましょう!』
そう言いながら手を差し伸べる彼女。
眩しいと感じたのは
天候のせいか、はたまた…
【一筋の光】

11/4/2023, 4:23:30 AM

鏡を見る。

私は自分の寝ぼけた顔で目を覚ましている。
なんと滑稽な顔だろう。
鏡の中の自分も眠そうだ。
まじまじと見つめていると
鏡の中の自分が睨んできて吃驚してしまった。
そんな朝だった。

〔鏡の中の自分〕