「ねぇ!早くこっちに来て!」
「二人っきりで来たのにさぁ!」
「こんな事滅多に無いんだよ!一緒に遊ぼうよぉ〜」
『はいはい』
「早く早く!太陽は待ってくれないよ!」
そう言って駆けてゆく彼女の姿は
どこか無邪気で
どこか悲しそうだった
『…なんで君は俺のために…』
『俺なんかは君の命に相応しくないのに…!』
「なんか言った~!?聞こえなかったからもっかい言って!」
『何も言ってないよ!』
「わかった!」
海の底へ投げた俺のラブレター
君はそれを受け取ってくれた
君は見ず知らずの俺の為に全てを投げ出した
私は人魚姫に憧れていたんだ!ってね
俺は君の鱗も命も好きなんだ
決して君の歌声だけが好きだったんじゃない
彼女は次日の光を浴びると死んでしまう
ならばいっそ日の届かない海の底へ
君と一緒に…
『海の底』
1/20/2024, 11:58:51 AM