子供のように』の作文集

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子供のように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/13/2023, 6:05:10 PM

【子どものように】

 先に明示しておくが、ここに記す所在地名は仮名であることをご留意願いたい。

 私は先日の三連休で、人里離れた山奥の永寿(えいじゅ)峠と呼ばれる峠を訪れていた。
 永寿というとなんとも縁起が良さそうなものだが、この峠には少し妙な噂があった。
 夜になると、赤ん坊の声がそこかしこから湧き出すのだそうだ。
 私はその類の話が大の好物だったため、それなら、とすぐさまその現場へと赴く支度を始めたのだが、泊まった民宿のおかみからひどく心配された。「ほんまに行かはるんけ」と執拗に言われたが、結局懐中電灯片手に一人その峠へ向かったのだった。
 時刻は夜中の二時に差し掛かろうとしていた。さすがに十月の夜は冷え冷えとしており、もう少し厚着をしてくるんだった、と後悔した。
 秋風に吹かれて木々がざわめく音が聞こえる。所々で虫達がりぃりぃと鳴いていた。峠の中腹辺りまで登ってくると、目下にぽつぽつと民家を認め、ずっと奥には町の影が見えた。
 そんな中、どこからか先程まで聞こえていた秋の季節の音とは違う音が聞こえ始めた。私はそれを聞き逃さまいとするように耳を澄ます。

……おんぎゃあ、おんぎゃあ
……おんぎゃあ、おんぎゃあ

 赤ん坊の声だった。声、というよりは泣き声と呼ぶのが適切だろうか。その泣き声が、四方八方、至るところから湧き出している。地中深くから這い寄るように聞こえ出したその泣き声は、地面から徐々に登ってきて私の下肢に絡み付く。あまりにも気味が悪く、怖気が全身を走った。
 私は急いで峠を降ろうと足を動かす。最中にも泣き声は止むことなく聞こえるが、その中にさらに別の声が混じりだす。

……くふふ、くふふふ
……あはは、あははは

 これは、幼児か、それくらいの少年少女の笑い声だろうか。幼い笑い声が、木々の陰やそこらの草むら、先程まで私がいた峠の辺りから降り注いできた。
 私は全身全霊で峠を降った。もうその場にはいたくなかった。あの声を聞いているとどうにも苦しいのだ。気味の悪さももちろんだが、なぜだか悲しくなるのだ。
 峠の入口まで降りてくると、もう声は聞こえなくなっていた。ふと入口に、行きの時には気にもしなかった地蔵があることに気がついた。
 懐中電灯を当ててその地蔵を観察する。よくあるお地蔵様だ。灯りを顔のあたりに当てると、地蔵が子どものように、にたぁ、と笑みを浮かべたような気がした。

 後に聞いた話だが、昔、永寿峠は別の名前で呼ばれていたらしい。
 嬰児(えいじ)峠。嬰児とは、生まれたばかりの赤ん坊を指す言葉だ。
 その昔、この峠では口減らしとして小さい子ども、とりわけ赤ん坊が捨てられていたらしい。もちろん、親としても苦渋の選択であったのだろう。捨てられた子どもたちのせめてもの供養のため、峠の入口に地蔵を立てたとのことだ。

10/13/2023, 5:54:22 PM

箸が転んでもおかしい年頃でもないのだか、壊れたかのようにケラケラと笑う。
最後には渋滞を起こして咽せる始末。
翌日には笑いすぎて腹筋が筋肉痛になっている。
同じ番組を一緒に見ていて、どこがツボだったんだろうと不思議に思う。

子供のように笑う楽しげな笑顔をふと思い出す。
今更ながら、つられてクスリと笑う。



子供のように

10/13/2023, 5:47:52 PM

「今だけは泣いても僕しかいない、だから思いっきり泣きな」
僕がそう言うと、彼は泣き始めた。すべてを吐き出すように、子供のように。
泣き止む迄そばにいた。

# 151

10/13/2023, 5:28:35 PM

大人なので、朝早く起きて朝食の支度をし、
 大人なので、満員電車に文句も言わず、
 大人なので、職場に早めに着いて始業前に業務の準備をし、
 大人なので、部下からの突然のヘルプに慌てず対応し、
 大人なので、丁寧な口調を崩さず上司に説明をし、
 大人なので、残業覚悟で今日やる仕事を全て終わらせ、
 大人なので、帰宅間際にコンビニに寄って買い物をし、


 大人なので、布団の上で寝そべりつつ漫画とゲーム機を枕元に置いて大型モニターでアニメを視聴しつつコンビニスイーツを堪能します。
 大人なので、ね。

10/13/2023, 4:57:54 PM

子供のように

私は母に愛されなかった。
愛されなかった子。
そのことは、常に私の根幹を傷つけてきた。
母にさえ 愛されなかった私が 人を
愛せるのか
愛されるのか
私を苛(さいな)む、呪文。

全ての人間関係の基本である親子関係
それに失敗したという思いが私にはある

私は、認めたくなかった。
おかあさんだって つかれているのよ
きげんがわるいだけよ
おかあさんには 
おかあさんのじじょうがあるのよ
私は、そう思い込もうとした。

母に 抱きしめられなくて
母の 温もりが得られなくて
母に
拒絶されて。

わたしは さみしいのだと
わたしは かなしいのだと
わたしは あいされたいのだと
その気持ちを押し殺した。

わたしは
わたしは
わたしは
ずーっと

時間を巻き戻し私はわたしを抱きしめにゆく

10/13/2023, 4:50:03 PM

子供じゃないのに、
子供のように笑うあなたに

スッと心が浄化されて

自分も年甲斐もなく、
子供のように笑う

大人になってからこんなことあったっけな…
純粋に笑うって事。

なんだか目の前で笑ってるあなたを見たら
不思議な気持ちになって
「ありがとう」の気持ちがうまれた。

#子供のように                 -34-

10/13/2023, 4:48:35 PM

「子供のように」


もう、別れよう


そうつぶやくと

「えっ…」って言ったっきり

私のほしいのは

「NO」の意思表示

なのにあなたは

私の意志を尊重しようとする。



あなたの、心って

ほんとうにピュアで眩しい。

まるで子供のように純で無垢。

私が「大っきらい」と言えば

嫌いなんだね、と思うでしょう。

そうしてあなたはきっと

「ありがとう。さようなら」

と口にする。



でも私の欲しいのは…!

10/13/2023, 4:39:39 PM

放課後あいつのお墓を尋ねる

 ある夕方親友のあいつは交通事故で死んだ。あいつが死んだとき俺は今と同じように少し冷えた空気の漂う土手の上の通学路から無味無臭の夕日を眺め下校していた。あいつは死ぬとき何を考えていたんだろう。
「ゆう先輩、お久しぶりです」
後ろから肩の小さい黒髪に焼けた肌の似合う後輩の智美に呼ばれ、表情を考えながら気さくに振り返って返事をした。
「先輩、これ以上先輩が辛くなるようなことはやめてください。私は先輩の味方です。」
「トモありがとう、でも大丈夫もう立ち直ったから」
バレないように完璧に返事をできたと思ったが、感の鋭いトモには見透かされてしまっていた。だが実際俺はあれからすでに少しは立ち直ってきてはいた、あと少しなんだ。それから俺は気を遣わせないように、昔のように二人でくだらない話をしながら家の近くまでトモを送った。別れ際トモは俺に体当たりを食らわしたあと、「心配してるのに、先輩のわからず屋ー」と吐き捨てながら手を振って家に向かっていった。それを呆然と見送ったあと俺は少し笑い、あいつの墓に向かった。
(本当にいい友達を持った。思い返せば死んだあいつもいい友達だったな...本当に...。)
そう心のなかで考えながら俺は雨風で歪んでしまった白いボーダーの上を歩いていた。瞬間、耳元でもう遅いと知らせるようなけたたましい轟音が響き俺の視界は宙を舞った。

 「おーい裕貴起きろ。ゆっきー駅過ぎるぞー」
「うわああああああぁぁ......は?」
田舎を通る通勤時間なのに人がそれほど多くないのどかな電車の中で、俺は隣の車両の人間まで振り返るような奇声を上げた。隣で座る性格に似合わない柔らかく長い髪に透き通るような肌で制服姿のあいつは引きつった顔を浮かべたあと笑いをこらえながらそそくさと電車を降りていった。俺は何が起こったか分からず、あいつの後を追って電車を降りた。ホームの外に出ると大爆笑のあいつとよくわかっていなさげなトモが待っていた。
「あっせんぱぁ...ええええ先輩大丈夫ですか?」
トモに驚いたように顔を指差され俺はそこでようやく目から涙が次々溢れていることに気づいた。だが俺はなぜこんなに涙が出るのかわからなかった。ただ分かるのはその涙がとても暖かいことだった。
「ギャハハ号泣だこいつー」
「美幸先輩心配してあげてください」
「なんだコレ止まらない...」

 「ゆっきー結局頭大丈夫だった?さっきネジ落ちてたけどあれゆっきーのじゃない?」
「あーそれ友達の非常事態に笑うクソ野郎のこめかみだわ」
「裕貴先輩も美幸先輩も仲良くしてくださいね」
何故か久しぶりに楽しいと感じる三人でのいつも通りの下校中、もう夕日が差しているというのにあいつはまた朝の話題を振ってきた。結局あいつはその日1日中何度もその話題で笑っていた。そんなあいつに辟易しているとトモがなにやらもじもじ言いにくそうに話しだした。
「先輩、もしかして誰かに振られたとかですか」
「えぇ全然違うよ。まじでわかんないんだよ。」
そこでトモは何故か安心したような顔をした。そして一つ間をおいて「前からお二人に聞きたかったことがあるんですけど」そう前置きを言いながら話した。
「二人ってお互いのことどう思ってるんですか」
俺とあいつは少し考えてから答えた。
「私はいい友達かな」
「俺は普通の友達」
「そうですか、すいません変なこと聞いちゃって」
俺達は何か気まずい雰囲気を取り繕い、そこからはまたくだらない話をして途中あいつが別れて帰った。

なぜだか冷や汗が止まらなかった。気味の悪い紫が含まれた夕日が横でボヤボヤと沈んでいく中、俺とトモは土手の上を一緒に歩いていると、トモは突然
「先輩今日うち来ませんか。今日実は親がいなくて…」
「え」
俺は冷えた風が流れる中、垂れる汗を拭いながらなんとか返事をした。
「先輩、私…」
「ちょっとまってくれ」
何かを忘れている気がする。俺はふと太陽の方を見た。その無味無臭の夕日を見たとき、俺はあの時の後悔が蘇り恐怖した。
「智美ちゃん、悪いこれ持っててくれ」
そう言って俺はすべてをかなぐり捨てて走り出そうとした。瞬間、俺はトモにおもいっきり腕を掴まれた。見るとトモは紫の夕日に照らされ不安げな顔で俺を見つめていた。俺はそれでも「ごめん。」そう言い、力づくで腕を振り払って走った。別れ際トモは
「本当にごめんなさい...頑張って。」
掠れるようにそういった。顔はよく見えなかった。

 俺はもう後ほんの数分で沈んでしまう夕日を横目に冷たく硬いアスファルトを走った。足に伝わる衝撃が、無力さを嘆いた自分やこの世の無価値さを悟った自分を思い出させた。あいつが死んだのは夕方だった。もう遅いかもしれない。しかし、通る道すべてからあいつとの思い出が泡のように溢れ出て止まることはできなかった。一緒に水鉄砲で武装し、木陰でカードゲームをした、二人乗りの自転車で最寄りのスーパーまでゲームを買いに行った、それらすべてが夕日の影に触れては弾けて消されていった。もう後数秒で日が沈む。やめてくれ。美幸のいない世界は嫌だ。

 そして事故現場の数メートル手前までついたとき、

「ドン」

と虚しい大きな音がした。
俺が駆け寄ると車は逃げ去りこめかみから血を流した美幸を見つけた。俺はすぐに119に電話をし救急車を頼んだ。
「美幸、美幸、美幸起きてくれ!頼む!」
「ゆっきー?どうしたの。頭痛い」
「喋っちゃだめだ、体力を温存しないと。」
頭がパニックでうまく働かなかった。
「あーあたし事故ちゃったんだ。」
「大丈夫助かる」
「これ私の血?どうしよう。」
「大丈夫だよ」
早く来いよ救急車
「ねえゆっきー」
やめてくれ
「裕貴」
やめてくれ
「ねえ」
美幸の血は冷たいアスファルトにどくどくと流れ出し、あたりを赤く染め上げていた、夕日はもうすでに沈み、終わりを告げるような紫が空を支配し始めていた。遠くからか弱いサイレンが近づく音が聞こえ、あれが到着すればすべてが終わる、俺はそんな気がした。俺には言わなくてはならないことがある。
言わなくて本当にごめん
「…」
「美幸、好きだった。」
「あたしも」
「ありがとう、本当にありがとう」
「...」
美幸は笑いながら俺の手を握った

 定期的な電子音にアルコールのにおう少し硬いベッドの上で俺は目覚めた。トモがベッドに突っ伏しながら眠ってしまっていた。俺の顔からはまた、涙が溢れてしまっていたが、もうそれをいじる声は聞こえなかった。そしてもう一度「ありがとう」そっとそう言った。

10/13/2023, 4:34:32 PM

子供のように

子供のようにと
懐かしみ羨むなら現在を生きましょう

大人も子供ようなもの
子供には子供の制限がある
大人には大人の都合がある

大人だからこそ
子供のようになんだろうけど
子供にはなりたくないでしょう

子供になれたら大人のようにになるのか

現在に対する不満なら
未来に向けてやれるようにやりなよ
子供には戻れなくても
大人だからこそ出来ることは多い

これからがあるんだから
なれないものを目指しても仕方ない

いまからできる事をするしかないと思う

10/13/2023, 4:29:55 PM

子供のように


 まいったなあ。
 皆は帰ってしまって夜のフロアに二人きり、私のちょっとした冗談に、あまり表情を変えないあなたがまるで子供のように笑い出す。

 そんな笑顔を見るたびに息が詰まって、胸がいっぱいになって、触れたくて伸ばしそうになる手をぎゅっと握りしめている。
 今朝だって隣り合わせたエレベーターで、あなたは目を細めて笑いかけてくれたよね。
 その笑顔は私だからって思ってもいい?
 自惚れちゃってもいいの?



#56

10/13/2023, 4:08:45 PM

『幼年期』
冷めていくクローゼットの中 記憶は忘却線で遊んでる 紙飛行機はしわくちゃで 私の夢も欠航便
叱られたからそこにいたわけじゃない おやつに黒飴もう飽きた もっと純粋に楽しいことを見つけたい

10/13/2023, 4:04:51 PM

子供のように

好奇心とやらで、私を覆い尽くして。君だけは分かってくれるかな。どこからとなく出てくるんだ。今の気持ちはどこかへの期待。

10/13/2023, 4:00:23 PM

子供のように

あの時のように、無邪気に、
自分に素直に、
そんな風に出来たら楽なのにな。

あの時も別に出来てなかったか。

10/13/2023, 3:55:45 PM

子供のようにはしゃげなくなり、日々の仕事に忙殺されていた。そんな私が出会ったのが"推し“だ。出会いはあまりに突然だった。荒んでいた心にストンっとハマった。インドアだった私が彼に会うため各地へ飛び、イベントやライブに参加した。すごく幸せな時間だった。しかし、そんな時間はすぐに終わりを迎えた。仕事が多忙を極め、推し活に割く時間が失われたのだ。起きて仕事して帰って寝る。休みも寝ているだけで気付いたら終わる。何のために生きているのだろう。推し活が、推しがどんなに私に力をくれていたのか。あの楽しかった日々は戻る日が来るのだろうか。もう一度、子供のようにはしゃぎ、推しと生きていたあの日に私は戻りたい。

10/13/2023, 3:41:06 PM

子供のように 。

子供のように 、 幸せを願った 。

子供のように 、 ひたすらに 。

夢中になって 。



「 今日は何をお話に来たんだい ? 」

柔らかい笑顔をその顔に称え 、
今日も仲間の …… " 家族 " の話を聞く 。
家族の心を支えるのが私の幸せだから 。

子供のように 、 笑う 。
しかしその笑顔は子供のようではない 。

何処か 、 寂しそうな 。
純粋な笑顔ではない 。

それでも 、 ひたすらに 、 子供よりも
子供のように 、 1つの事を願い続ける 。

皆の幸せを 。

望まれていないかもしれないなんて 、
考えたこともない 。 だから 、 ただの自己満足
だなんてことも考えない 。

皆の幸せが私の幸せだから 。


" 子供 " を経験しなかった彼女が大人になった今
その姿は 、 性格は 。
家族の誰よりも " 子供 " なのかもしれない 。

それでも彼女は今日も聞く 。

「 いらっしゃい 。 今日はどうしたの ? 」



- 子供のように
- 水縹天

10/13/2023, 3:40:37 PM

お題:子供のように

 祖母が認知症になった。
初めは物忘れぐらいで少しおかしいと思うだけだった、だけど祖母の物忘れはあまり酷くこれはただ事じゃないと思った。 

 嫌がる祖母を父と母が病院に連れて行った。
診断結果はアルツハイマー型の認知症だった。

 それからだ、祖母がまるで子供のようになったのは。
ご飯を食べたことも忘れ、財布が無い盗られた、同じことを何度も繰り返し聞いてきた、そして外に出ても家に帰れなくなった祖母。

 私が幼い頃、祖母しっかり者で優しかった。
今ではその面影はない。

 子供のようになった祖母の面倒家族でみる。今日は私が祖母面倒をみている。

大好きだった祖母、なのに今は煩わしくてたまらない。
祖母だって認知症になりたくてなったわけじゃないのに、頭では分かっているけどそれでも心が限界だった。


「ごめんね、ごめんなさい、こんな酷いことを思う孫でごめんなさいおばあちゃん」
私は泣きながら、祖母に謝った。

子供のようになった祖母、このままでは私は、祖母のこと嫌いになってしまう。

誰か助けて。

10/13/2023, 3:38:41 PM

#子供のように

あの子に構って欲しくって
毎度毎度逢いに逝く
まるで
本当の子供みたい

10/13/2023, 3:35:03 PM

子供のように笑って、
子供のようにはしゃぎ回る
あの時間が好きだった。

10/13/2023, 3:25:40 PM

子供のように。

子供のように、なんて言うけど、一体いつから子供じゃなくなったんだろう。
じゃあ、大人かって聞かれると、返答にも困るけど。子供って言い張れるほど、素直でも一直線でもなく、わがままで偏屈でもないと思う。
君はまだ、若いね。えっ、まだ19歳だったの?どちらが嬉しいとか、悔しいとかは無くて、ただただそれが関係あるのねって飽和した気持ちになる。どうでもいい。あなたからの、その、感嘆。
だけど私は、私の中で、必ず子供のような心を忘れちゃダメだと決めている。何かを間違った時に思い直せる素直さも、挫けたことにすら気づかない鈍感さも、抵抗なく踏み出せる一歩も、無駄にすら感じない日々の時間の流れも、ふと寂しくなる事なんか無い無知な自分を途切れさせないように。縋るって言葉が一番正しいのかもしれない。
ボクは今日も一日を過ごす。それは明日よりは手前で、昨日よりは半歩進んだどこかの時間。
子供のように。ただ、ありのままに、歳をとる。

10/13/2023, 3:21:46 PM

子供のように


「ねえ、お母さん。今日、実家帰ってもいい?」
 一人暮らしのアパートで、スマホを耳に当ててベッドにダイブする。どすん、とベッドが鳴る音が聞こえたらしく、お母さんはくすくす笑った。
「帰ってくるのは構わないけど、あなた、かなり疲れてるのね。こっちまで一人で来れる?」
「電車には乗れると思うけど…。駅から歩くのやだなぁ」
 大学生にもなってみっともない。そんなことを言われそうな態度だが、お母さんは全く気にせずに続ける。
「なぁに、そんなに疲れるようなことしたの?」
「…昨日、遅くまでバイトして、今日は講義受けてからずっとレポート書いてた」
 大きめのため息をつくと、またスマホからお母さんのくすくす笑う声が聞こえた。
「あーらまぁ。しょうがないわね。駅まで車で迎えに行ってあげましょう」
「ありがとう、お母さぁん」
「はいはい。電車乗ったら、連絡ちょうだいね」
 また、くすくすという笑い声を残して電話は切られた。
 重い体に鞭打ってベッドからのそりと起き上がる。スマホと家の鍵だけパーカーのポケットにしまって、家を出た。
 まるで小学生が近所に遊びに行くような感覚で、大人が実家に帰る。まったく、いつまでも子供のままだ。
 でも、それでいい。大学生だろうが、成人済みだろうが、子供のように振る舞えるところがあってもいいじゃないか。

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