りらるらり 小六

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親友から、こんなメールが届いた。

「死のうと思う。どういう死に方がいいか決めてくんない?俺、家にいるから。」

死ぬ?ふざけているのだろうか。死に方を決めてほしい?これ以上に阿呆らしいお願いはこの世に存在するのだろうか。きっとふざけているんだろう。心配した俺の顔を見たいだけだろう。
……もし、本気だったら?
そんな考えが頭をよぎって、気がつくと自分の家を飛び出していた。俺は、無我夢中で走った。もし、お前の悪ふざけで、俺が恥をかいてもいい。それより、お前がいなくなるのが怖い。怖くて怖くてたまらない。そんな思いのせいで、走る速さは徐々に速くなっていった。
そして親友の家に着いた。無意識にインターホンのボタンを連打していた。
ガチャリ。
「あぁ、本当に来てくれたんだ。」
出てきたのは暗い雰囲気の親友だった。
「お、お前、本当に死ぬつもりなのか?」
無言の時間が続いた。この無言の時間の長さから、本気だということがひしひしと伝わってきた。
「……うん。そうだよ。」
「……理由は?」
「そんなに深い理由は無いよ。ただ、ガキの頃に戻りたくなったんだ。」
意味がわからなかった。
「やる事も無視して遊んで、馬鹿みたいに笑ってた時が俺の人生の最高潮だった。今ではもう、子供みたいに笑うことさえも出来ない。」
そうだ、こいつ馬鹿だったんだ。
「そんなこと言って、馬鹿じゃないの!?もう一度、やり直せばいい事でしょうが!」
「……やり直すことなんて出来るわけないだろう。」
こいつは、どこまでも世話が焼けるやつだなぁ。
「昔みたいに嫌なことは見ないようにして、楽しいことだけすればいいんじゃないの?協力してやるよ。」
「そんなこと、できるの?」
「できるさ。だって俺ら、最強の相棒だろう?」
子供の頃のごっこ遊びでよく使っていた言葉を言ってみた。
「お前、まだそんなセリフ覚えてたのかよww」
笑いが止まらなくなって、何分か二人で笑っていた。こんな時間が続いたら幸せだなぁ。
「俺、さっきのお前が話してた事、やってみたい!」
笑いがおさまってきて、親友がそう言った。
お前はまだ気づいていないのか。

「もうできてるじゃん。」

「ほんとだ!」

そう言った彼は子供のように笑っていた。

               『子供のように』

10/13/2023, 3:20:31 PM