『好きな色』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
好きな色は何か、と訊かれることは人生において少ないようで意外と多い。例えば英語の授業での簡易な応答の中でWhat color do you like?と訊ねられたりすると、何かしらの色を答えなければならない。そのような場面で今まで私はなんと答えて来たのだろうか、と二十年に満たない自分の人生を回想してみる。思いつくままに挙げてみると、青、黒、灰色、とかそんな色だった気がする。大体が寒色か、無彩色。こうして見ると私は随分と目立たない色を好みがちな印象を受ける。それはきっと、目立つような赤や黄といった暖色を好まないという消極的な理由が強いように思う。昔からずっと目立ちたくなくて、誰の意識の上にものぼりたいと思わなくて、地味な服装ばかりしていた。その結果として、青や黒といった静謐な色を好むようになっていったのだろう。ただ、好きな色を黒というのは、なんというか印象が悪い。こいつ暗い奴なんだな、と思われること請け負いである。別にそう思われることは構わないのだけど、面倒臭いことに「そう思われたがっている」と思われるのは気に障るのだ。だから、大抵は青と答えている。
わたしは静かに彼の頭を撫でていて、
彼も静かに、わたしの膝上におさまっている。
ふたりで夢でも見てるみたいな、静かすぎる時間がつづくとき、
わたしは彼を、人形みたい、だなんて思う。
「……ねぇえ?」
彼は動かないんだもの。
いまのように話しかけたって、さっきも言ったけど、彼にはときどき、こういう日が訪れる。
動かなくて、話さなくて、ほんとのお人形みたいになる日。
「どうしてなのかしら……
気絶してるのとおんなじよ、これじゃ」
彼を膝から下ろした。
彼は相変わらず動かなくて、床にひっそり座っている。
いいわ、試してみましょう。
彼をくすぐって、反応がなかったら完全な、なにかの病気。
反応があったら、度の越えた呆けさん、か、あるいは、彼本人に聞けばいい。
彼の洋服の、青いパーカーを肩からずり落とし、
その中のシャツ一枚にする。
シャツ一枚にすると、脇がよく見えて、
わたしはそっとそこへ手を寄せ……
「えいっ」
くすぐった。
だれかをくすぐるのは久しぶり。
久しぶりなんてどころじゃない、ほとんどはじめて、やり方忘れちゃった。
うまくできてるかしら……
「……はあ」
こうして、わたしはわたしのくすぐり方を下手に思ってしまうくらい、彼は反応を示さない。
もしかして、くすぐりが効かないのかしら。
ああ、知っておけばよかった。
知ってたら、こんな恥ずかしくて薄気味悪い思いをしなくてよかったじゃない。
……試しに、だけど試しに。
わたしは彼のピンクのスリッパと、くたびれた靴下を視界にいれる。
つぎの瞬間には、もうわたし、
ピンクを、彼の飴細工みたいな足から脱がしてて、つぎには、靴下から、スルースルなんて、彼のこまかな足首を覗かせた。
「かわいいあしね」
わたしのあしはおおきすぎるから、ちょっとうらやましいな。
……いいえいいえ、そんなことより、わたしは彼の、あしへ、自分の指先を近づけ、ぴとっとくっつけた。
すごく、つめたい。驚いた。だって彼、暖炉のすぐ側で座ってるのに。それに、靴下はなんの意味があったのよ。ただ、ひっかかっていただけですか?
……外の冷気よりずっと、ヒヤッとしている。
あたためてやるみたいに、上下へ足をくすぐった。
「……ねえ?やっぱり、ダメ?」
彼のまぶたはたしかに上がっているのだけど、
めはどこも見ていなくて、文字通りがらんどう。
わたしが、あしへスリスリ擦り付けるので、彼は静かに、バランスをゆっくり崩していって、……
やがて倒れた。
プラスチックの水槽を、シンクへ落としたみたいな音。
だけどやっぱり、彼は痛がるどころか起き上がろうともせずに、投げ出されたてはそのまんま。
「あなた、いったいなんで、こうなっちゃったの?」
彼は、ふだんとても饒舌で、だまってるときが珍しいくらいなのよ。
いまの彼を見せながらこう言ったって、いまの彼しか知らないひとは、信じられないでしょね、と思う。
彼の舌根は乾きをしらなくて、その撫で心地がいい頭では、ずっとギャグとか、くだらないイタズラのことばかりを考えて、……そればかりだと思っていたのに。
やっぱりそれだけじゃ、余地があるわよね。
ギャグやイタズラ、エンターテイメントだけじゃ、ごまかしきれない、彼の辛いなにか、
わたし知らない。
おもえば、わたし、彼の何をしってるだろう。
好物は?ハッキリわからない。
すきなことは?これも、ハッキリとは。
家族は?……居たってしってる。
彼自慢の弟。ゆめを追いかけてるんだ、とか、まっすぐでかわいいやつだとか、絵本をよんでやらなきゃ寝れないんだ、とか。
よく話してたのに、なんだか最近は、あまり話題にしないわね、それと、彼の辛さ、もしかすると、
関係あるかしら。
「ねえ、なにがすきで、なにがきらい?
わたし、あなたになんでも作るわ、
お料理、得意だから………」
あ、わたし、彼について、ひとつだけしってる。
「ね、あなたって、青色がすきよね?」
そう、そう。
彼に、いつも青いパーカーばっかり着てる彼に、なにか、どうしようもないくらいダサいセーターをあんで、困らせてやろうと企んでたとき。
彼に、そう聞いて、そしたら彼は、
え、と、なぜか心外だ、なんて言うふうに、顔を驚かせて。
「いや、赤だけど」
らしくなく、ずいぶんつっけんどんに言って、
たぶん、赤だなんて打ち明けるつもりがなかったんだと思う。今思えばわかるけど、当時のわたしは、なんでかず〜っとパレードの先頭にたってるみたいな高揚感があって、赤だと言ってるんだから赤だ!
らしくないなんて微塵も思わず、赤い毛糸を買っちゃった。
それで、編み終わって、
彼にそれをあげたの。まるでちいさな子が着るみたいな「super Hero!」とか「cool!!」なんて、
そういう煽り文句をドーンといれた、ダサいセーター。
彼はどういうわけか、それをみるなり、まじまじこまかなところまで見はじめて、わたし、粗いとこが見つかったら恥ずかしいな、なんて思って、その、彼に掲げたまんまのセーターへ顔を隠してたら、
その、セーターの向こう側からしめっぽい空気が流れてきて、セーターのあなぼこからよく覗くと、彼はたしかに、泣いていた。
ねえ、どうしてあのとき泣いたのあなた。
わたしは、彼をフローリングから起き上がらせてやって、さっきまでわたしの座っていたチェアへ座らせてあげる。
「んで、おれの弟がさ、赤いフラッグ買ったんだ。おれは、それでなにするんだってきいたんだけど、あいつ、なにしたとおもう?」
わたしが閉じこもって、掃き掃除していたとき、名前も知らないだれかさんが扉の向こうからジョークを連発しだして、あんまりおもしろかったから、わたしも思わずツッこんじゃって、
それが彼とわたしの、声だけのコミュニケーションのはじまりだった。
電話とは違う。それよりもっとロマンチックで、
相手の存在をさらによく感じられる。
そう、彼がなにをはなしても、顔も知らないくせに、すぐ感情移入して、続きが気になる。
「あいつ、赤い旗を細長く引きちぎってさ、で、それを首に巻いたんだ。
スーパーヒーロー!だってさ。
ほんと、おれにはもったいないくらいイケてる弟だろ?」
彼は大体の話を弟で占めさせていた。
だけど、くだらなくなんかなかった。
弟が好きで、おもしろいことが好きで、きっと子どもの頃はやんちゃだったんだろうな。
ああ、ふしぎ。
彼の外面をなにもしらないのに、
わたしは、いま、
彼の内面をなにもかも、知ってるみたい
好きな色
陽の光が反射した眩しい新緑の緑
満開の桜のピンク
春を感じる色
植木鉢からしっかりのびた朝顔の紫
透き通った海の深いところの青
夏を感じる色
川岸に咲く彼岸花の赤
カラカラになって落ちてしまった落ち葉の茶色
秋を感じる色
しんしんと降る雪の白
冷たい空気に澄んだ夜空の濃紺
冬を感じる色
どれも私の好きな色
「ぶりっこの色」
「小学生の頃『ピンクはぶりっこの色』っていう風潮があって、嫌だったなぁ」
「あー、あった、うちの小学校もあったよ、それ」
「そうそう……で、水色選ぶんだよね」
「私は水色好きじゃなくて、黒選んでた」
「紫選んだら『いやらしい色だ。変態の色だよ』とか意味わからないこと言われた」
「あー、あったね。紫はヘンタイとか」
「なんだったんだろうね、あれ」
それぞれ別々の小学校どころか地域も違うのに、同じ年頃に同じようなことがあったということは『女の子らしくなりたくない』という気持ちが湧き起こる、そういうお年頃、というものだったのだろう。
「『ピンクってぶりっこの色だよ』ってしつこく言ってくる子がいて、ムカついたから『人の好きなものをヘンなふうに言う意地悪な子は嫌い』って言ったら、その子泣いちゃってさ……」
「うわぁ」
「その子、前から私の好きなものにケチつける子だったから、子供ながら鬱憤たまってたんだろうね……つい、口から出てた」
今、その子はどこで何をしているのか知らない。
でも、私に言われたことが泣くほどのことだったのなら、誰かの好きなものを貶したりケチつけたり……そういうことをもうしていないと思いたい。
────好きな色
私にとっての色は、初恋の時の人が良く着ている服の色だったり、クラスの色だった。
それは時を経てもなお。
が、ある時からそれに自分が見ていて楽な色も加わり、最終的には、スカイブルーで落ちついている。
先日、買い物をしたお店で笑顔の店員さんに質問された。青、お好きなんですね。と。
気づかなかったけど、青のリュックに青の小銭入れ、長財布も青。スニーカーも水色。戸惑う私に、店員さんいわく、私もね。好きなんですよ。青🟦
自分から話しかけるのは臆病で、でも買い物は楽しくて店員さんの一言に一気に気さくな関係になりそうな出来事だったな。後でふと、我が身を確認!笑えるぐらい青いっぱい!!年齢や性別で、決まった固定観念のなか、明るくとか、女性らしく!とか、男らしく!とかあるけど、自分が好きな色はつまり自分に取ってのビタミンカラーなのである。笑
みんなが赤を選べば、赤が好きになるんですか?
みんなが青を選べば、青が好きなんですか?
私個々の色味じゃなくて、同じ色の中にひとつ違う色がある方が嫌なのですか?
私個々の色味を表すより、周りの視線が気になるのですか?
『誰もあなたの色なんて見てないよ』なんて言ってくれますか?
それ、なんの助けにもならないんです。悲しくなるんです。
私の好きな色はコレと、胸を張って言えたのなら、それが私の個性が綺麗に光った瞬間では無いのかと。
どうかその日がいつか、私にも、あなたにも、来る様に。
祈る。願う。祈る。
好きな色
落ち着いたスカイブルー
純粋な綿帽子の白
春の陽射しに眩しい萌黄色
帰宅時の夕陽のオレンジ色
真夜中に広がる漆黒
秋に広がる田圃の黄金色
初冬に風に転がる枯れ葉色
食卓に並ぶ匙の銀色
春を知らせる桜色
…
鮮やかな世界に囲まれているんだと改めて思う…
優しい色
落ち着く色
勇気が出る色
毎日色々な色に色々貰い…
(好きな色。)🦜
あのね。
僕達、鳥はね🦜
赤、青、紫、
系統が
観えるんだ
けど、
・紫外線も
観えるんだね🦜
(特別好きな
色は、無いけど。)
「大好物は
青い稲穂
だから、
・青色を
観ると
よだれが・・
出るんだよ。」🦜
「あなたが好きな色は何色ですか?」
まさか三次試験でもある最終面談で
そんなことを聞かれるとは思っていなかった。
文房具メーカーならではの質問なのかもしれない。
自己紹介をしてください、とか
経歴や実績を教えてください、とか
何か質問はありませんか?とか。
そんな解答例しか用意してなかったから
「……藤色、です」としか
言えなかった。
アピールできる人間はすぐさま
「なぜなら」と文章を繋いだり
答えをいう前に先に好きな理由を言えるものだ。
なぜですか?と改めて聞き返された。
「父が、好きだったんです」
冬になると必ず着ていた
分厚い手縫いのセーター。
藤色のセーターは今思うと不思議な色だった。
どちらかというと女性的なイメージの
色合いなはずなのに父によく似合っていた。
わたしがまだ幼い頃
たまに2人だけで洗車に行った。
お手伝いのご褒美は
パティスリーカルルのショートケーキ。
母にも姉たちにも内緒で
父とデートできることがたまらなく嬉しかった。
久々のデートの帰り道。
助手席でわずかな暇を
持て余していたわたしは
何気なく聞いた。
「パパは何色が好き?」
「藤色が好きだよ」
「ふじいろ?ってどんな色?」
「薄い紫の、優しい色だよ
ほら、このセーターの色だよ」
「めい、パパの好きなの、好き!」
家に届いた通知に
藤色のペンで
「素敵な思い出を語ってくれてありがとう。
入社式で会いましょう」
と、綺麗な字が書かれていた。
俺は人が色に見える
当たり前だと思っていたが'少し人とは違うらしい
人の頭上、色の丸がある
「今日さぁ、家出る時にー」
お喋りなこいつは黄色に少しグラデーションがかかったような色
「…くあぁ」
さっきから欠伸ばっかしてるのは紺色
「…欠伸ばっかしてないで話聞いてやれよ」
おかんで少し不憫なこいつは………
淡く海を紙に透かしたような色
廊下を走っていく
初めて見た色だった
「お前もなんか言ってや……顔、あかっ!?
この一瞬でなにがっ!?」
下敷きで仰がれる
海が駆けていく光景が眼球にくっついたように離れなくて
湯気はまだ消えそうにない
"好きな色''
『あか→むらさき』 テーマ:好きな色
近く、私は県外に転勤することになった。
これも良い機会だったので、中途半端に残していた実家の私物を整理することにした。
押入れの中を片していた最中、埃を被ったアルバムが出てきた。
色褪せた表紙には、几帳面な字で年月が記入されている。どうも、私が幼稚園に入る前の写真らしい。
何気なくページを捲ると、幼い私の写真が所狭しと並べられていた。表紙と同じ字でひと言コメントが添えられていて、何だか懐かしさと気恥ずかしさが呼び起こされる。
写真の中の私は、よく赤いものを持っていた。よく写っているのは、ちびた赤いクレヨン。赤い粘土をこねていたり、赤いワンピースの人形で遊んでいたり、刻まれた赤パプリカを食べていたり。どの写真を見ても、小さな私は赤に囲まれている。
満面の笑顔で赤クレヨンを握りしめる私の写真の横に、『やっぱり、赤が大好きみたい』とコメントが書かれていた。
まるで、他人のアルバムを見ているような気分だ。今は別に、赤が特別好きなわけでなし。この頃の私が、どうしてこんなに赤を好んでいたのか、今となっては知る由もない。
部屋の鏡に映る私を見る。今日の私は、くすんだパープルのサマーニットを着ている。
パンプス、財布、コスメポーチ。思い起こせば、気に入った持ち物はほとんど紫色だ。
紫が好きになったきっかけは、些細なことだったと思う。友達に似合うと言われた服が紫系だったとか、インスタのアカウント名に使っていたとか、そんなちょっとしたこと。
アルバムの私を見る。幼い子どもは確かに私の面影を宿しているはずなのに、私でないような気がしてくる。
一抹の寂寥感。これがノスタルジーというものなんだろうか。お手洗いに行きたくなり、私はアルバムを閉じた。
手洗い場の鏡越しに私を見た。さっきは気づかなかったけど、リップの色が落ちかけていた。部屋に戻り、パープルグレーのコスメポーチを開け、中からリップを取り出す。
パッケージが脂で少し汚れていた。店で一目惚れして買って以来、しょっちゅう使っていたからだろう。蓋を開け、中身をくり出した。
私はつい、笑ってしまった。
リップは真紅だった。
声を上げて笑い、それから微笑む唇をリップでなぞった。
鏡越しに、また私を見た。唇が赤く染まっている。
やはり、私は地続きなのだ。パープルのサマーニットに真紅が良く映えていた。
2024.6.21
私の好きな色は深緑です
見ているだけで落ちつきます
まるで、森の中を散歩しているような気分になります
しかし、絵を描くときは苦手な色、難しい色に変わります
緑は良くも悪くも目立ちます
目立ちまくりです
さらに、緑の印象は時と場合によって変わります
安心感を感じたりリラックスできる反面
不気味で怖く感じる場合もあります
まぁ、何が言いたいかと言いますと、扱いが難しいのです
私の絵柄的な問題と実力不足もあるのですがね…
時間が解決してくれることを信じて…
そこも含めて色って面白いなぁとつくづく思います
もし目立ちたい日があればぜひ緑を…
・12『好きな色』
スキュラは散り散りになったあじさいの花びらを見ていた。どこまでも流されていく。
どれも好きな色だった。
なぜ私はこの広い海でひとり取り残されなければならないのだろう
その時魔女キルケーが現れた
【続く】
ここだけの話、実は玲は猫舌…もとい熱いものを食べるのが苦手だ。中から熱い肉汁が溢れてくる小籠包はもちろん、ラーメンに鍋におでん、挙句の果てにはまれに、毎日食べる味噌汁ですら舌を火傷する。決してがっついている訳でもないのにこうも頻繁となると、不思議で仕方がない。けれど、普段からのほほんとしている玲らしいと言えば玲らしいか。
目の前で身体が少し揺れ、どうやらまた火傷をしたようだ。
「まーたやったのか?」
「う……、舌ビリビリする…大丈夫だと思ったのに…」
「ほんと熱いもの食べるのダメだよな」
本人は不本意そうだが、笑ってしまうのは許してほしい。だってこんなの、可愛すぎる。
それにしても…舌、やっぱり痛いんだ。そういえば火傷をした日のあとの行為では、こちらがせがんでもあまり唇を重ねたがらなかったっけ。確かその度大袈裟なくらい感じていたような…。
「碧月…?いい加減笑うのやめて、怒るよ」
「ごめんごめん、美味いうちに食べよ?」
また、恋人の愛らしい一面に気づいてしまった。諸々の事が一段落着いたら、さっそく仕掛けてみるか。
また一口、生姜焼きを頬張った。
お題:『物仕掛けと色仕掛け』
数年前までは緑と青。
そこに紫が加わった。
要は「推しが増えたから」なんだけど。
推し色を持ち歩くだけでただの日常がほんの少し楽しくなるから、現金というかチョロいというか。
まぁそれが一日一日を生きる力になるのだから、いいか。
今の私にとっては、推し色こそが元気になれるビタミンカラーだ。
END
「好きな色」
好きな色
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「中1の頃のまこと、すごかったもんね」
さきがまことに向かって言った。
「あー、まあね」
まことは苦笑まじりに答えた。
さきとは小1からの仲だ。
普通褒められたら謙遜しがちだが、
さきとの間ではそんな気を使う必要は全くない。
だから認めた。
まことは苦笑まじりに答えたものの、
嫌な話だから苦笑したわけではない。
中1の頃の自分自身が羨ましくて、
思わず感情が顔に出たのだ。
それを察しているさきは、話を続けた。
「5分でも空き時間があったらワーク開いてたよね。
ビビるくらい質問もたくさんしてたし」
「まあね。」
中1の頃の情熱が羨ましい。
なぜあんなに頑張れていたんだろうか。
小学生の頃は、勉強の仕方がめっきり分からなくて、
勉強したいのにできない!って気持ちだった。
それが、中学になって塾に入ると状況が一変する。
効率の良い勉強の仕方が分かり、
それまでしたくても上手くいかなかった勉強が
上手くいくようになった。
ずっとエサの前で「待て」されていた犬が、
「よし」されたような感覚だった。
そうして、まことは勉強にのめり込んでいったのだ。
だけど、何事もそのうち、必ず飽きは来るものだ。
自主的にかかさずしていた予習復習も徐々にしなくなり、
塾の宿題さえも遅れがちになっていった。
そして、受験生である今、
まさに勉強の情熱がほしいのに、
カラカラの状態だ。
情熱は、中1の頃に使い果たしてしまったようだった。
まるで最初に飛ばしすぎてガス欠になってしまった車のようだ。
さきが唐突に話し始めた。
「私が中学受験したときさ、
絶対同じ中学に合格しようって言い合ってた友達がいたんだよね。
りこちゃんって名前なんだけど。
その子もまことみたいに暇さえあれば勉強頑張ってたんだよ。
小6でそれができるってすごいよね」
急に中学受験の話をして、
一体何を伝えたいんだろうと不思議に思う。
さきは私立の中学受験をしたが、
今はまことと同じ、市立の中学に通っている。
「最初は私の方が断然点取れてたの。
私、点取れてるからいいやって全然勉強しなかったんだ。
それで、夏になってからのりこちゃんの伸びがすごくて。」
今さきは中3だ。
さきがしているのは小6のときの話だから、
約3年前の出来事だ。
そこまでいうほど昔の話ではない。
もしまことがさきの立場なら思い出すだけで苦しい話だ。
しかし、さきはそうは微塵も思わせない話し方だった。
淡々と話す。
「まことが勉強してる姿が、
りこちゃんに重なって見えたの。
あぁ、この子はきっと伸びるんだろうなと思ったよ」
さきはまことの目をまっすぐ見て言った。
「へえ。そうなんだ。ありがとね。」
確かに、中1の1年間の成績の伸びは我ながら凄まじかった。
最初の定期テストの順位は中の下くらいだったのに、
その次のテストでは見事1位に躍り出たのだ。
努力すればするほど上へ上がれる。
上へ上がれば上がるほど皆に頭が良いと褒められる。
それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
勉強が大好きだった。
そうして、1年のうち最初の一回をのぞいて、
それ以外の全ての定期テストで学年1位をとり続けた。
当然だが、一番上に行くと、それより上がない。
目指すものがない。
ずっと学年1位をとり続けていたまことは、
だんだん勉強の情熱が冷めていった。
そのかわりに、どんどん下が追い上げてきて、
自分との差が縮まるばかりだった。
その追い上げに焦り、
1位で居続けることのプレッシャーに押しつぶされそうになっていった。
そして、情熱ではなく不安に突き動かされ勉強するようになった。
2位が一番楽だと何度思ったことか。
その頃からだろうか。
勉強が嫌いになってしまったのは。。。
「どんなに好きなものでも、
必ず好きから外れる瞬間が来るんだよね。。。」
「その通りだね。
あー、でも私、犬は小さい時から好きだよ。」
「いいな、そういうものがあるの」
「えー、まこともなんかあるでしょ。
例えば、、、、あ!青色とか!
結構前から好きじゃない?」
まことは気まずそうに口を開ける。
「それが、、、最近好きじゃなくなってきちゃって。
飽きちゃったのかな。
小物とか選ぶ時、前までは絶対青だったけど、
最近は逆にピンクとか選んでてさ」
「えー!
あの前世は海で来世は空ですかってほどに、
狂おしく青好きなまことさんがピンクゥゥ!?」
盛大に貶している気がするが、気づかないふりをした。
「そ。」
「ちょっとちょっとここは突っ込んでよぉー!」
2人は大きく笑い合った。
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「ねえ、あそこじゃない?ペットコーナー。」
「ああ、ほんとだ」
まことと母は百均にいた。
飼い犬のリードが壊れたので買いにきたのだ。
2人はペットコーナーに向かう。
「青と茶色があるね。
まことはどっちがいい?」
「、、、どっちでも。
お母さんが好きな方でいいよ。」
「え?そう?
まことなら絶対青選ぶと思ったんだけど。」
母は少し不思議そうな顔をまことへ向けたが、
すぐにリードの方へ顔を戻してしまった。
母がリードを選んでいる間、まことはその辺をうろちょろしていた。
と、1つのマグカップが目にとまる。
目を見張った。
「、、、綺麗、、、。」
久しぶりに物を綺麗だと思った気がした。
マグカップを手に取ってみる。
猫のシルエットを指でなぞってみる。
ざらざらとしていた。
色は、
青色だった。
深みがあって本当に綺麗な青色。
人生で見てきた色の中で、一番美しいと感じた。
そして、青色に感動している自分に驚く。
青は好きじゃなくなったんじゃ、、、?
まことは呟く。
「いや、違うか。」
まことは今までの色に対する認識が間違っていることに気づいた。
おそらく、色に好き嫌いなんてないんだ。
青が好きと言っても、
好きな青色とそうでない青色とあるし、
見た場所、時間、誰と一緒に見たかによっても綺麗と感じるかどうか変わる。
だから、簡単にこの色が好きとか嫌いとか言えないんだ。
その時見たその色が、綺麗だと思うか否か。
ただそれだけ。
シンプルな仕組みだ。
しばらく見とれていたが、まことははっとする。
このマグカップ、お母さんに頼んで買ってもらおう。
まことはマグカップを持って急いで母のもとへ向かう。
一応お店の中なので走らないけど、
ほぼ小走りになっている。
早く行かねば。
母が会計を済ませてしまう前に間に合うと良いけど。
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その日の夜。
お風呂上がりのまことは、
ほくほく顔で例のマグカップに牛乳を注いでいた。
まことは改めてうっとりとマグカップを見つめる。
「やっぱこの青、いつ見ても良い色。」
まことは嬉しそうに牛乳を飲んだ。
【好きな色】
そう、偶然だと思うけど、最近色んな人に好きな色は何色?と聞かれることが多くて…
そんな時毎回即答できずにいる
ん〜視覚の感覚から選ぶなら…淡いピンク、鮮やかな水色、明るめのオレンジかな
ファッション感覚から選ぶなら…多いのは、柔らかいクリーム色、後、ネイビーが意外にも多かった
後、カーキも多くてびっくり!白・黒もね
で、聞いてきた人たちに何色が好きそうに見える?って聞くと、ピンクイメージが多かったかな
性格を色で表現するならオレンジだとも
で、もーあんま深く考えず1番魅力的に感じるのはって考えたら…
ピンクと紫の2色が混ざった色♪
可愛いけど、甘すぎない、これかな笑
ちなみに今のお財布の色がまさにこれ!
で、その前が…黄色
そのまた前が…白
そのまたまた前が…黒だったかなぁ
統一性なーい笑
自由奔放な性格が色にも出るというね…
今日はお休み♪
でもあいにくの雨
こんな日こそ、透明感のある白や鮮やかなレッドの編みバッグをもってお出かけすると気分上がるかも〜
まずはコーヒーを淹れましょ
私の好きな色はまだないけれど。世界が赤く染まった時に青色になれたらいいなと思う。
自然とは何だろう。
海か山それとも人間なのか僕にはわからない
でも、空は青色と知っている。
前髪を ざくと切りすぎて ああこまった 初夏 きみのひとみが正面にある