小絲さなこ

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「ぶりっこの色」




「小学生の頃『ピンクはぶりっこの色』っていう風潮があって、嫌だったなぁ」

「あー、あった、うちの小学校もあったよ、それ」

「そうそう……で、水色選ぶんだよね」

「私は水色好きじゃなくて、黒選んでた」

「紫選んだら『いやらしい色だ。変態の色だよ』とか意味わからないこと言われた」

「あー、あったね。紫はヘンタイとか」

「なんだったんだろうね、あれ」


それぞれ別々の小学校どころか地域も違うのに、同じ年頃に同じようなことがあったということは『女の子らしくなりたくない』という気持ちが湧き起こる、そういうお年頃、というものだったのだろう。


「『ピンクってぶりっこの色だよ』ってしつこく言ってくる子がいて、ムカついたから『人の好きなものをヘンなふうに言う意地悪な子は嫌い』って言ったら、その子泣いちゃってさ……」

「うわぁ」

「その子、前から私の好きなものにケチつける子だったから、子供ながら鬱憤たまってたんだろうね……つい、口から出てた」


今、その子はどこで何をしているのか知らない。
でも、私に言われたことが泣くほどのことだったのなら、誰かの好きなものを貶したりケチつけたり……そういうことをもうしていないと思いたい。


────好きな色

6/21/2024, 3:08:59 PM