茶々

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 ここだけの話、実は玲は猫舌…もとい熱いものを食べるのが苦手だ。中から熱い肉汁が溢れてくる小籠包はもちろん、ラーメンに鍋におでん、挙句の果てにはまれに、毎日食べる味噌汁ですら舌を火傷する。決してがっついている訳でもないのにこうも頻繁となると、不思議で仕方がない。けれど、普段からのほほんとしている玲らしいと言えば玲らしいか。
 目の前で身体が少し揺れ、どうやらまた火傷をしたようだ。
 「まーたやったのか?」
 「う……、舌ビリビリする…大丈夫だと思ったのに…」
 「ほんと熱いもの食べるのダメだよな」
 本人は不本意そうだが、笑ってしまうのは許してほしい。だってこんなの、可愛すぎる。
 それにしても…舌、やっぱり痛いんだ。そういえば火傷をした日のあとの行為では、こちらがせがんでもあまり唇を重ねたがらなかったっけ。確かその度大袈裟なくらい感じていたような…。
 「碧月…?いい加減笑うのやめて、怒るよ」
 「ごめんごめん、美味いうちに食べよ?」
 また、恋人の愛らしい一面に気づいてしまった。諸々の事が一段落着いたら、さっそく仕掛けてみるか。
 また一口、生姜焼きを頬張った。
 
お題:『物仕掛けと色仕掛け』

6/21/2024, 2:55:23 PM