『好きな本』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
擦れた角 褪せた表紙絵 曲がった背
私と共に 歳取ったものね
お題:好きな本
【好きな本】
好きな本を買いに本屋に行ったはずなのに、
その本よりも好きな本を見つけてしまい、
どっちの本を買うのか大いに迷った挙句、
結局その日はどっちも買わずに本屋を出て、
コンビニでスイーツ買ってる自分がいる。
何でだろう?
「雨」
雨の音に目覚める日曜の朝
気落ちしながらあくびをして窓から外を眺める
うつむき加減で傘をさす人達はどこか悲しそうに歩いてた
一杯のコーヒーを飲み干して傘を持ち扉を開けて
忘れていた幼心を思い出して街を歩く
小さな草花に落ちる雨音と濡れたアスファルトの匂い
誰も居ない公園はどこか寂しい空気を漂わせて
時間が止まったように見えた
泥に塗れた水たまりと濡れた遊具
子供たちの面影も悲しみも洗い流すように振り続ける雨
世界の片隅に立っているように傘を閉じて雨空を見上げた
今なら泣いても分からないかな
涙も声も消してしまう雨に救われた心
大人になっても変わらない気持ちを抱きしめて
いつの間にか忘れていた無邪気さを思い出す
ずっと遠い日の記憶を時間が奪っても
また見つけに行くから大丈夫
明日を怖れずに歩いて行こう
ずっと、こんな日を探してた
取り戻せない過去があったとしても
変わらないこの気持ちが知っている
何も考えずに笑えてた日のことを
忙しない日々に奪われた幼心も
小さな出来事が救ってくれる
それぞれの小さな出来事が、、きっと
好きな本
本ってなんか文字ばっかりみたいな
そんなイメージ
でも、絵本とか
それもれっきとした本だと思うな
短い文と
鮮やかな絵で
彼らの表現したい世界が一目でわかる。
だから私は絵本が好き
―好きな本―
小学生の頃。
今思い返すに、あれは私の
初恋だったのかもしれない。
私が気になった相手は、幼なじみの男の子。
運動神経が良くて、せっかちだけど、頭は切れて…
かっこよくて面白くて、いつも全力で情熱的で。
ちょっとツンデレなところもあるけれど、
根は優しいのが所々に滲み出ている。
とにかく、なんでも出来るような男の子だった。
その子と、席替えで同じ班になった。
顔には出さなかったものの、喜びのあまり
軽く飛び跳ねてしまいそうになって困った。
席替えして間もなく、“好きな本を紹介する”授業
があった。国語の授業だった。
私は本が大好きだった。いつも肌身離さず本を
持っているとか、一日に何冊もの本を読むとか、
そういうわけではないけれど、その本にしかない
ような不思議なことを、文字伝いに体験する。
その感覚が堪らなく好きだった。
勿論、紹介できる本は1冊だけ。
私はどの本を紹介しようか悩んだ。
散々迷った挙句、最近読んだ中で1番温かかった、
«十年屋»という児童書を紹介することにした。
忘れたくても忘れられない大切なものを思い出と
一緒に魔法で預かるという商売をする魔法使いの
話だ。ほっこり温かくなるような、
少し感動するような、そんな本が趣味の私には、
ぴったりな本だった。それに、魔法使いや、
異世界といったファンタジーの世界は、私の好みだ。
加えて、«十年屋»は少し人気のある本なので、興味を
唆られる人も多いだろうという計算もあった。
いよいよスピーチの時間になった。
私は、語彙を一生懸命繋いで、
«十年屋»の魅力が伝わるように、語った。
なんとか、大きな失敗もなくスピーチを終え、
質問タイムが終わると、早速、彼のスピーチが
始まった。彼が“好きな本”と称して紹介したのは
«人狼サバイバル»という児童書だった。
彼曰く、伯爵と名乗る正体不明の男の仕掛ける
命懸けの人狼ゲームに、お互いを疑い、
騙し合いながら挑んでいく中学生の男女の話。
一言で言えば、デスゲームだそうだ。
“デスゲーム”そのジャンルを知ったのは、その
彼のスピーチ。そもそも存在を知らなかったので、
勿論読んだこともなかった。
デスゲームという響きや、サバイバル、命懸けと
いうワードから、感動系の話とは全く違う本だと
いうことはわかった。ただ、«人狼サバイバル»の
良さを溢れんばかりの熱意だけで伝えようとする
彼の姿に惹かれた。彼を知りたい。その思いで、
«人狼サバイバル»を電子書籍で読んだ。
ピンと人差し指を立てた手がスイスイと動いていく。
タブレットの画面を撫でる指が止まらなかった。
気づけばもう本を読み終わっていて。どんなに
すごい本を読んでも、こんなに集中することは
なかった。ドキドキ感に囚われていた時間は、
とても充実していたと感じ、私は一瞬にして、
デスゲームの虜になっていた。
でも、驚いたことがひとつあった。
その«人狼サバイバル»の主人公、赤村ハヤトの
“ハヤト”は、彼の名前と同じなのだ。そして、
赤村ハヤトの相棒として出てくるのは、
黒宮ウサギという女の子は、
ハヤトの幼馴染だった。
彼には、«人狼サバイバル»を読んだこと、また、
その感想を伝えた。すると彼は少し驚いたような
顔をした。読んでくれるとは思っていなかったと。
嬉しそうに喋ってくれた。本を通して得た感情を
また言葉にして分かち合う。その面白さを改めて
感じた。話が落ち着いてきたとき、彼の口から
驚きの言葉が出てきた。
「俺も読んでみたよ、その«十年屋»って本
他のはあまり刺さらなかったんだけど、
«十年屋»だけ、異様に惹かれちゃってさ。
面白かった!なんか雰囲気とかも好きだし、
何より執事猫のカラシが可愛い」
自分の奨めた本を、こんな風に言ってくれるのは
すごく気分が良かった。まるで自分自身が
褒められたような気分だった。その後は、彼と
本の話で盛り上がった。
私がデスゲームに夢中になったように、彼との
時間に夢中になった。彼はこう言った。
「夏休みの読書感想文、
«十年屋»で書くって決めた」
私は思わず笑ってしまった。«十年屋»は
連作短編だから、読感には不向きなはずなのに。
でもそれも、今となってはいい思い出だった。
こうして夏が過ぎた。彼は本気だったらしく、
本当に«十年屋»の読書感想文を書き上げ、
提出したらしい。
そのまま、秋も終わり、冬も終盤になった。
そんなある日、私は知った。
はやとが県外に引っ越すらしい、と。
彼から直接聞いたわけではなかった。友達の
噂話を通じて聞いた。私はそのまま、
何も言えぬまま、何かを渡すことも出来ぬまま、
中学生になった。彼は兵庫県にいた。
私たちに連絡手段はなかった。新しい住所も
知らない。電話番号も知らない。だから、
今も連絡を取れないままだ。
毎日毎日本当に忙しい。
本を手に取る暇すら無くなった。それなのに、
私は彼のことを忘れられなかった。しかも
まだ諦めきれずにいて、目の前の恋に1歩を
踏み出せずにいる。それならいっそ、いきなり
現れた正体不明の男が開く命懸けのゲームにでも
参加してみたい。そこで彼との再会を果たせたら。
そんなことが出来なくても、彼との思い出を
全部、魔法で預かって貰いたい。潔く、思い出全て
忘れてしまえたら。
本を手に取る暇すら無くなった。というのは、
嘘だったかもしれない。だって私は、今も
«人狼サバイバル»の愛読者。新刊が出ると、
発売日に、書店まで本を買いに走っている。
この話は、魔法使いのいる世界線でも、
命懸けのゲームのある世界線でもない、
私のノンフィクションだ。
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~紹介させて頂いた本~
«十年屋»シリーズ(静山社) 廣嶋玲子 作
佐竹美保 絵
«人狼サバイバル»シリーズ(講談社 青い鳥文庫)
甘雪こおり 作
himesuzu 絵
[閑話休題]好きな本
・三島由紀夫『春の雪』(豊饒の海 第一巻)
同上 『金閣寺』
同上 『午後の曳航』
同上 「鹿鳴館」(『鹿鳴館』より)
同上 「斑女」(『近代能楽集』より)
・太宰治『人間失格』
・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
・シェイクスピア『十二夜』
同上 『オセロー』
同上 『リア王』
同上 『リチャード三世』
・ワイルド『幸福の王子』
『サロメ』
・ソポクレス『オイディプス王』
・森鴎外『高瀬舟』
好きな本は何回読んでも飽きない!
えっ?飽きないよね?(圧)
まぁ、いいけどね!
僕の好きな本はね〜((誰も聞いとらん
君膵かなぁ!
これ、めんどくて省略したけど分かる人いる?
わかったら、すごいよ!((誰でもわかるわ!
僕ね〜、最後の咲良が色々と喋ってんのが好きなんよ!
分かる人います!?分かって下さい...
理由?
綺麗だから((は?
うんうん、きれいだよねぇ!((なにこいつ...
誰かこの本好きな人いない〜?
一人はいるよね?
いなかったら、泣くよ?((勝手に泣いとけw
うん、バイバイ!((急だな
# 34
あの子は本が大好きだ
本屋で何時間もキラキラした目を棚に向けて実った果実を収穫するように手を伸ばす
ワクワクした顔をしたり難しそうな顔をしてたり見てるだけで笑えてくる
何時間もしゃがんで、立って、歩いて、背伸びして、帰る頃には足を引き攣らせて疲れた顔をして歩いている
なんか心配で「おんぶしようか?」「荷物持とうか?」とか言っても無理して頑張るの可愛くて、でも心配で
そんな君を見ていられたらどれほど幸せだったか
好きな本は暗い文章で書かれてる。
その本を教えてくれたのは先生だった。
先生は夏目漱石が好きで教えてくれた。
子供の自分に教えるから明るい本だと思った。
先生は明るい人間だ。
だからその本を教えてくれたのは意外だった。
恋愛 推理 歴史 SF ホラー ファンタジー
たくさんたくさん分類されるよね?
でも、どれも好きとは言えないな
”好き”ってジャンル分けされないから
ジャンルの垣根を簡単に越えちゃうから
#好きな本
「意外と、何書くか、迷っちまうお題よな」
某所在住物書きは己の部屋の本棚を見つめて、一冊取ってはチラ見し、戻しを繰り返していた。
「『誰の』好きな本か。好きな『何の』本か。好きな本『をどうするか』。なんなら好きな本『を書いたひと』のハナシも書けるし、好きな『電子書籍の』本『がサ終で読めなくなった』ってのもあり得る」
毎度毎度恒例、アイディアは出てくるけど書けねぇのよな。俺の場合。物書きは本を棚に戻し、今日も今日とてほぼお約束的に、ため息をつく。
――――――
職場の先輩の部屋は、ともかく家具が少ない。
テレビと冷蔵庫は小さめ。炊飯器無し。ソファー無しにクッション無し。
去年の4月1日の午前中に先輩自身が言った、「昔ひとりで夜逃げしたことがあり、前の住所からデカいトランクひとつで区を越えてきた」って話が、
まるで事実のように、今もやろうと思えば部屋の引き払いがすぐ実行可能なくらいに、
先輩の部屋は、生活感が少ない。
「毒味してみるか?」
「どくみ?何?」
「オートミールクッキー。チョコとあずきホイップ」
その中で唯一先輩の部屋を「先輩の部屋」にしてるのが、特に好きなものだけ並べて残りの多数はロッカールームに預けてるっていう、大きな本棚と、そこに並んでるたくさんの本だ。
漫画も小説も、エッセーも無い。美術系も観光系も無い。ただ難しそうな、すごく難しそうな本が、ジャンルごとに左上から右下に向けて並んでて、
その、先輩の好きな本だらけの難しい部屋の中に、
最近、2冊3冊程度だけど、低糖質スイーツの料理本が入ってきた。
今まで無かった小さいオーブンレンジと一緒に。
「深い意味は無い」
今日の東京は最高30℃。雪国の田舎出身だっていう先輩は、早々にテレワーク申請出して、自分のアパートで、丁度良い冷房具合に少し温かめのお茶を淹れて、テキパキ仕事してる。
「本を見つけて、分かりやすかったから気に入って、買ったから実際に作ってみた。それだけだ」
その先輩のテレワークに便乗して、先輩の涼しい部屋とおいしいランチと仕事中のお茶を分けてもらって、一緒に仕事をするのが、コロナ禍の私のトレンドだ。
「本が好きなだけ。お前も知っているだろう」
「パッと見、オートミールってカンジしないね」
「徹底的に粉にしたからな」
「徹底的?」
「すり鉢製粉。ストレス解消。『自分の仕事くらい自分でやれゴマスリ上司』。誰とは明示しない」
「把握」
「なかなかスッキリするぞ。無心にもなれる」
少し形のいびつな、それでも丁寧に焼いてくれたんだろうクッキーを、ひとつつまんで、口に放る。
「……ちょこっと、焼き餅……風味?」
サクサクっていうより、ホロホロの食感で、低糖質推しの先輩が作ったらしく、甘さが控えめだ。
「災難だったな。今日私の部屋に来たせいで、美味くもないクッキーモドキの毒味をさせられて」
「好きだよ」
「なに、」
「好き。焼いてくれたのも、嬉しいし」
媚びても世辞を言っても、何も出せないぞ。
目が泳いで、照れてそうな少し嬉しそうな、でもそれを必死に隠してる平静顔の先輩。
それこそ照れ隠しに、あずきホイップのクッキーつまもうとして、ドジッ子的にホイップクリームに中指突っ込んじゃってるのを、
私はニヨニヨしながら、ジト見してた。
あるところに小さな町がありました。その町はまだ人口が少なく、町で利用できる施設も少ない状況でした。もっとみんなが楽しく過ごせるようにするにはどうすればいいだろうかと、若き町長は悩みます。
ある日、町長は考えました。自分は読書をすることが好きだ。町民の中にも確か読書をするのが好きだった者がいたはずだから、みんなで好きな本を持ち寄ってみたらどうだろう。
そうして町中の本好きが集まり、自分の好きな本を互いに紹介しあいます。
するとどうでしょう。今まで読書は一人で楽しむものと思っていた町民達は、自分の知らない面白そうな本がまだまだたくさんあることを知り、互いの好きな本を互いに貸し借りしあうようになったのです。
この日以来、町には読書を趣味にする人が増えました。この町のシンボルともいえる大きくて立派な図書館は、その日の出来事をきっかけにして造られたのだと、後に年老いた元町長は誇らしげに語りました。
【好きな本】
兄の部屋には本棚があった。
香織の部屋にはない、オークでできたイギリスアンティーク調の本棚だ。背丈は100cm程で、均等に三段に分かれている。
棚の一番上には草花のような模様が彫られていた。
濃い茶色のその本棚は、兄の部屋には似つかわしくない、重厚でそれでいて繊細な存在感を示している。
「なぜ」
と思わなかったわけではない。なぜ自分の部屋にはなく、兄の部屋にだけそれがあるのか。
ただ口にはしたことはない。
なぜならたとえ自分の部屋にあったとしても、そこに入れられるのは“本ではない何か”なのは明らかであったからだ。
兄は本が好きだった。
ジャンルは問わずに様々な本がその本棚に所狭しと収まっていた。
「香織が読みたいものがあれば、いつでも好きなものを持って行っていいからね」
兄はよくそう言っていた。
そんなとき決まって香織は、三段ある一番上の一番右側にある本を手に取るのだった。
その本は作者が書いた短篇を集めた本だった。
初めて手にした時、“無造作に積まれた本の上に黄色い檸檬がポンと置かれた”その表紙に惹かれたのだ。
「ほんと好きだね、それ」
そして思いを馳せるのだ。
いつか、えたいの知れない不吉な塊が私の心を終始圧えつけているようなそんな焦燥感なんかがある時に、兄の部屋の本棚の本を無造作に積み上げて、黄色い檸檬をぽんと置いてみよう、と。そしてそれが兄の部屋にしかない、あの綺麗な本棚を巻き込んで爆発するのをこっそり見ていよう、と。
香織はそう妄想して笑みを浮かべるのだった。
子供の頃に好きだった本を見つけた
お姫様が王子様と幸せに暮らす話だった
自分には王子様はいない…
フィクションだと気づいた時には遅かった…
あ〜あ 私は脇役で主人公の引き立て役にすぎない
私の王子はホントに居ないのかな…
やっぱりね…
物語の舞台の上で踊らされる
マリオネットなんだなー
今日のテーマ
《好きな本》
「何読んでんの?」
「漫画」
「それは見りゃ分かるって」
教室の一番後ろの席で1人黙々と漫画を読んでるやつなんか放っとけばいいのに。
そう思いながら声をかけてきたクラスメイトに愛想なく返す。
だけど彼はそれで興味を削がれることもなく、それどころか更に興味を引かれたとでもいうように身を乗り出してわたしの手元を覗き込んできた。
「ああ、『ハチクロ』か」
「え?」
お母さんの本棚から借りてきたそれはまさに彼が言い当てたタイトル、その略称だ。
一目で言い当てられたことに面食らう。
アニメ化もドラマ化も映画化もされてるとはいえ、それにしたって結構前の作品だし、そもそも絵柄からしてガチガチの少女漫画で同年代の男子が知ってるとは思えなかったから。
驚いて顔を上げると、彼はページに目を落として「その辺りの話か」なんて言いながらうんうん頷いてる。
「読んだことあるの?」
「うん、姉ちゃんが好きで全巻家にあるし、何度か読み返してる」
「そうなんだ」
「それ、おまえの?」
「ううん、お母さんの」
「ふうん。他にはどんなの読んだ? 何が好き?」
いつのまにか前の席を陣取って話しかけてくる彼に、ちょっと気圧されながらも聞かれたことに答えていく。
そうしたら、思いのほか、好きな本の傾向が似ていることが分かった。
正確には、わたしのお母さんと彼のお姉さんの読書傾向が近いのだと思う。
話しているうちに、話題は漫画から小説や音楽なんかにまで広がっていって、それを機にわたしと彼はすっかり仲良くなったのだった。
「おまえ読んでるのいつも俺の好きなのばっかだったからちゃんと話してみたかったんだよな。でも少女漫画の話なんかしたらキモいって引かれるかなって思って」
「別に引いたりしないけど。じゃあ、どうしてあの日は話しかけてきたの?」
「実は『ハチクロ』大好きなんだ」
「それは前に聞いた」
「……おまえが読んでたの、ちょうど俺の一番好きな話の辺りで、その……好きな子が俺の好きなもの読んで笑ってるの見たら、なんか、いろいろ飛んだ」
途中で少し口籠もりながら、でも後半は聞き間違えようがないくらいはっきり告げられる。
その言葉をゆっくり咀嚼して、わたしは嬉しさのあまり口元が弛んでしまうのを止められない。
「好きな本を介して好きな子とお近づきになれるかもって思ったら、そりゃ奮起するだろ。テンパって不自然にならないように俺がどんだけ緊張しながら話しかけたか分かるか?」
「わたしも、気になってる男子から好きな本を貶されたりしたらやだなって思って、だから予防線張ってたんだって言ったら笑う?」
「え、じゃあ、最初やたら素っ気なかったのって……」
お互い顔を赤くして照れ隠しのように笑い合う。
少しだけの回り道を経たけど、こうしてわたし達の関係は『趣味の合う友達』から『趣味の合う恋人』に名前を変えた。
そして、縁結びの役割を果たしてくれたあの漫画は、わたしの中で『好きな本』から『大切な思い出の大好きな本』に昇格したのだった。
私は、好きな本を決めてない。
好きな本を決めてしまうと、
その本に心が縛られる。
新しい本への好奇心が薄くなり、
内容も素直に入ってこない。
この本が好きと思っても、
お気に入りくらいだと、自分に言い聞かせる。
…んっ?
私、本の話しをしてたはず。
色んな人に言い寄られるけど、
特定の人は決めてません、みたいになっちゃった。
それは幼い私にとって友人とも言えた。
どこに出かけるにも持って行った。遊ぶ時も、夜寝る前にも眺めた。
やがて背表紙が剥がれていって、表紙の角がふわふわとほどけていってもまだ、私の友達だった。
ページがとれてセロハンテープで貼り直した。
表紙が外れる頃には、もう私はあの絵本の友達ではなくなっていた。
今は同じ顔をした別の友人が、本棚でひっそりと立ち、小さな手が伸びてくるのを今か今かと待っている。残念ながら、その子は娘の「一番の友人」では無いようだけれど。
私は吉本ばななさんの本が大好きです。
キッチンを読んだ時の衝撃が忘れられません。
なんで、こんなに人の想いや心中をさらっと優しく書けるんだろうと本当に感動しました。
友達と良かったよね〜と思う文章(箇所)が同じだったことも印象に残っています。
一番大好きな本は「違うことをしないこと」という本です。
私はこの本で自分の違和感をそのままにしないことの大切さを学びました。
今も時々読み返しては、学びをうけてます。
図書館に行くのが好きだ。
静かで、堂々と立ち読み、座り読みができてタダで本が読める。そんな夢みたいな場所で私は好きな本を思いっきり吟味する。
最近はネットで好きな作品を探して見つけて電子で買う、って人だらけなんだろうけど、それだけでは見つけられない本だってあるはずだ。
なにより私は、この空間の何とも言えない空気が好き。
だから私は今日も図書館に足を運ぶ。
#好きな本
好きな本は何だったかな。
夢のある空想の中の本。
自分を高めてくれる情報をくれる本。
思わず笑ってしまうおかしな本。
生活に彩りをくれる感動的な本。
手に汗握るスリリングな本。
一つに絞るのはなかなか大変そうですね。