『好きじゃないのに』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『好きじゃないのに』
君が燻らしてた煙草
臭いが妙な安らぎがあった
見よう見まねでコンビニで
君と同じ255番
マルボロアイスブラスト8mg
吸い込んだ瞬間めまいがした
ゴホゴホむせかえる僕を
君はケラケラと
歯を見せて笑ってくれた
君を失くしてから
メビウスの5mgに変えてみた
前のよりもマイルドで
むせることも無くなった
正直未だに
舌の痺れる感覚は慣れない
好きでもないのに今日も火を点ける
マッチ売りの少女の気分だ
のぼる煙が懐かしく
真っ黒になってるであろう肺も
今は何だか愛おしい
「好きじゃないのに」
君の事なんて全然好きじゃないのに、何故か気になる。
君が他の子と楽しそうに話をしてる。
君が課題の事で悩んでる。
君の些細な一挙手一投足が、気になる。
別に君が好きな訳ではないと思うんだ。
こう言っちゃ何だけど、僕の好みじゃないし。
何で君が気になるのかわからない。
でも、君から目が離せない。
気がついたら君を探してるし、見つめてる。
君に笑顔で居て欲しいって思うし、君に幸せになって欲しいって思ってる。
君の事なんて、全然好きじゃない筈なのに。
まだこの気持ちに名前はないけど、いつかはわかるのかな?
きっと、恋ではないと思うんだけど、どうなんだろう?
好きじゃないのに。
好きじゃないのに
逢いたいなぁ。
ツンデレなのに。
にこにこしながら、
めっちゃ安かったんだよー!!
いいでしょ いいでしょ あげる!!
…私 その色。好きじゃないのにな。「安かった」と言わなくていいのにな。
好きじゃないのに
なんで立ち向かうんだろう
好きじゃないのに
なんで笑顔でいるんだろう
好きじゃあないのに
なんで一生懸命なんだろう
好きじゃあないのに
なんで気になるんだろう
彼は好きじゃないのに、ホラー映画をよく観る。
彼にどうしてかを聞いたら「訓練!」だって。
どうやら私が平気な顔をしてホラー映画を観ているのに付き合おうとしているらしい。
いや、私は別にホラー映画が好きなわけじゃないんだけど…。
《好きじゃないのに》
人は勝手なイメージで相手を決めつける
好きじゃないのに…好きなイメージ
嫌いじゃないのに…嫌いなイメージ
でもさ
人からの勝手なイメージばかりを気にしていたら
疲れてしまうよ
人がつけたイメージなんて気になるとは思うけど
気にしないで
自分らしく生きていこう
『好きじゃないのに』 #10
なんだかあなたといると、
ちよっとした緊張感がある。でも、安心する。
これが、恋っていう感情なの、、?
『好きじゃないのに』、、、
え?好きなの?
もー!!私ってばバカ!!
好きなのに
好きじゃないふり
好きじゃないのに
好きなふり
あなたはどっち?
私はどっち?
………好きじゃないのに
好きじゃないのに
あいつのことなんて好きじゃないのに。
なのに、あいつが近くを通るたび、目で追ってしまう。
あいつが近くを通ると、ふわりといい香りがする。
春の香り。まるで花畑にいるような気分になる。
気づけば、あいつのことで頭がいっぱい。少し恥ずかしくなって机に顔を伏せた。
好きじゃないし。そう自分に言い聞かせるたび、その言葉が嘘みたいに響いていく。
『好きじゃないのに』
季節は秋。夏に比べてかなり寒くなって来た。
私、春夏冬小夜はテキトー学園の生徒副会長をしている。
今は生徒会室でプリントの整理をしている所だ。
そして今、生徒会室には我が校の生徒会長にして幼馴染の白夢煌驥が居る。
短髪の黒髪。185ほどある身長、そしてなんと言っても目つきが悪い。睨まれるとかなり怖い。勉強、運動ともにこの学校トップクラスであり、家柄もかなり良いとか。後半は羨ましい。
だが私は煌驥の事が苦手だ。
「こっちをずっと見つめてどうした。不快だからやめてくれ」
そう、これだ。確かに少し見つめていたかもしれないが流石に冷た過ぎると思う。
「見てたのは謝るけど流石にそこまで言う事は無くない?」
「ふん。」
なんだこいつ。本当になんだこいつ。
だけど、私は煌驥の事が嫌いと言う訳ではない。
さっき苦手と言ったのは嘘では無い。でも私は彼の良い所を沢山知っている。
だけど! だ、け、ど! 私は好きと言うわけでも無い。いつも言葉冷たいし。態度ムカつくし。
たまに家にお邪魔して遊んだり、こうやって2人で生徒会の仕事をしたりする。
他の生徒会役員の子達に「一緒に仕事しないの?」と聞いてみたら「いや、あの甘々な空間に入るのは無理です絶対に」と言われてしまった。
甘々? 何が? あの言葉−273度の男との空間が? 片腹どころか両腹痛い。
「おい」
声がした方向を向く。
「何?なんか用?」
「お前の仕事は終わったのか?」
「まだ。あと1時間くらいかな」
「そうか、なら30分で終わるだろう」
はい? この積み重なった紙を見て言ってます?
そう思っていたのだが、煌驥は私の近くに来ると、積み重なった紙の3分の2ほどを持っていく。
「ちょ、ちょっと待って。別に手伝わなくて良いよ。先に帰ってて。」
「何を言っている? 暗くなった外をお前1人で歩かせろと? 無理な話だ。最近は物騒だしな」
そう、こう言う所だ。普段は冷たいのに急に優しくなる。助けて欲しいと思っていると必ず助けてくれる。思わず顔が熱くなってしまう。
「あ、ありがとう」
「礼はいい。手を動かせ。すぐ終わらせて帰るぞ」
「う、うん」
そう会話をし、黙々と作業をしていく。
30分ほど経ったくらいで2人とも仕事が終わった。
「終わったー! ごめんね、手伝わせて。ありがとう。」
「気にするな。早く帰るぞ。」
「う、うん」
鞄を持ち、昇降口で靴を履き替え、帰路につく。
帰路の途中にあるコンビニの近くまで行くと、煌驥の足が止まった。
「どうしたの? 忘れ物?」
「いや、違う。小夜、コンビニに寄らないか? 肉まんでも食べよう。奢るぞ」
「なになに、急に。怖いよ」
「俺がお前と一緒に食べたいだけだ。嫌か?」
「いや、うん。わかった、寄ろう」
なんて心臓に悪い。今顔が赤くなっている自信がある。
そしてコンビニで肉まんを買い、食べながらまた家への道を歩く。
他愛もない話をしていたら家に着いていた。
「じゃあね、煌驥。おやすみ」
「ああ。体調を崩さないようにな。また明日」
そう会話をし、家に入り、自分の部屋に行く。
ほら、良い所もあるでしょ? 冷たいし、たまに怖いけど、優しいし、他人をよく見て、気遣ってくれる。
言っておくけど本当に好きじゃ無いから。本当に。
「彼女とかいるのかなぁ」
いたらどうしよう。なんか泣きたくなってくる。
「いやいや! 何を考えてるの! 別にどうでも良いじゃん!」
好きじゃない、好きじゃない。
そう思っていても、脳に刷り込もうとしていても、煌驥を目で追ってしまう。考えてしまう。
好きじゃないのに、好きじゃないはずなのに。
ただ少し早く大人になりたくて 君と付き合う 好きじゃないのに
題目「好きじゃないのに」
※虫の話です。注意!
好きじゃないのに見てしまうといったら、私の場合は芋虫。
昔からウネウネしたいきものは不得手だったけど、大人になってまた一段と苦手になった。なのに頻繁に出くわすから頭を抱えている。
それは南の庭に突然現れた。
毎年物干し竿の下あたりに、育てているわけではないけれど月見草(植物学的にはコマツヨイグサというらしい)が生えてくる。特に世話をしなくてもぐんぐん伸びて一面にレモンイエローの花を咲かせるので、まあ抜くこともないかとしばらく好きにさせていた。
その日も洗濯物を干していた。ふと足もとに目をやると、月見草の茎になにやら黒い影。なんだろう。視力が悪い私は顔を近づけた。
影じゃなかった。それは私の中指以上はあろうかという太さの芋虫だった。
真っ黒いからだに不気味に並んだオレンジの点々。長く伸びた凶悪な尾角。
いままで見たなかでも規格外の大きさ。
人間本当に恐れおののいたときって声出ない。まばたきもできず、心臓さえ止まったみたいだった。
ゆうに三十秒は見つめあった。やがてよろよろと後ずさりして「おかーさーん!」……脳に計り知れないダメージを負った私は母に助けを求めた。
そいつとは無事おさらばしたが、試練はむしろそこからだった。目を凝らせば月見草の茂みのなかにそいつの仲間が小さいとはいえ無数にいたのだ。
あとのことはショックで記憶が定かでない。
その後なんとか落ち着きを取り戻した頃、ふと気になりだしたのがそいつの名前だった。あんな大きさの芋虫が本当に存在するのか? たまたま(運悪く)大食漢の個体と出くわしただけなのでは?
恐る恐るスマホで検索。
……!!
トップ画面にでかでかと写真載せないでほしい。
ともあれ正体はわかった。サトイモ科やアカバナ科(マツヨイグサはこれ)の植物を食べる、セスジスズメの幼虫らしい。あれが標準的なサイズだということもわかった。
受難はさらに続いた。東の庭木の枝、うす緑のどでかいやつが居座り、ゆうゆうと葉っぱを貪り食っていた。
またしても母に泣きついた。
今回はじゅうぶん心構えをして検索。オオスカシバかエビガラスズメのどっちかだろうと思うけど断定はできない、だって薄目で指の隙間から見てるんだから見分けがつかないのだ。
もうこりごりだ。庭に極力出ないようにすれば遭遇することもなくなる。ついでに公園とか街路樹とかにもしばらく近づかないでおこう。
そう考えた私を嘲笑うようにそいつは現れた。
車の運転中、前方に茶色いタワシみたいなものが落ちている。スピードを緩めたら、それは車道を横切る巨大な毛虫だった。
よせばいいのに、また調べた。
ヒトリガの仲間、スジモンヒトリかシロヒトリの幼虫らしい。踏まなくてよかった。
好きじゃないのに、見たくないのに、知識が増えていく。というかなんでどれもこれもばかみたいに大きくなってから出てくるんだ。
――そもそも、どうして怖いと思うのだろう。
おぞましい鳴き声を発するわけでなし、いきなり飛ぶわけでなし、食べ物じゃないから毒を持ってようが関係ない。毛虫じゃなければ刺しもしない。強いて言えば丹精込めて育てた草花を食べられるという害はあるけど、私自身が襲われたりはしない。
人間が恐怖を感じる対象は、“自分に危害を及ぼすもの”と、“自分の理解を超えるもの”に分けられると聞いたことがある。
ならば芋虫は後者だろうか。
存在自体が脅威としか言いようがない。
でも不思議なもので、虫ってあまりに大きすぎると逆に惹きつけられる気がする。
『風の谷のナウシカ』に出てくる王蟲なんてその最たるものだ。山が動いたような重量感。大地の怒りを体現した暴走。原作漫画でナウシカと言葉を交わす知能の高さ。ウシアブ、ヘビケラなんかの蟲たちにしても、気持ち悪さより畏敬の念のほうが強い。
ということは芋虫も、見上げるほどの大きさになればこわくない?
……想像しようとしてやめた。たぶん、いや確実にショック死する。
(好きじゃないのに)
※アケビコノハ
検索したら後悔しますよ、なんて。
幼馴染みが同じクラスの女子と付き合っていると噂になった。
あいつとは家が近所で、幼稚園の頃からずっと一緒だ。
物心ついた時から、俺の記憶にはいつもあいつがいるように思う。
これまで隠し事などされたことがなかったし、俺もあいつに隠し事はしたことが無い。
それが当たり前だと思っていた。
けど俺は何も聞いていなかった。
あいつに好きな子が出来たことも、その子と付き合う事になったことも。
「お前さ、彼女できたんだって?」
いつもと同じ帰り道、俺はあいつに問いかける。
「は?何それ」
「とぼけんなよ。もうかなり噂になってる。好きなんだろ?」
「彼女のこと?別に好きじゃないよ」
「付き合ってるんじゃないの?」
「まあ、仕方なくね。俺は別に好きじゃないのに、彼女が付き合ってって言うからさ」
そう言うあいつの顔が赤く染って綻んでいた。
ここまで来て頑なにシラを切ろうとする幼馴染みに腹が立つ。
お前がそういう態度を取るなら、俺だって強気で出てやる。
「じゃあ、俺がもらっていい?」
幼馴染みの目が見開いた。
何が好きじゃないだよ、嘘つきやがって。
好きじゃないのに、付き合うかよ。
苛立つ気持ちを押さえて、いつもと変わらない声音を意識して話す。
「俺、実は彼女の事好きなんだよね。お前が彼女の事好きじゃなくて仕方なく付き合ってるなら、彼女の幸せのためにも俺がもらうわ」
あいつの顔が、ゆっくり歪んでいく。
なぜだか分からないけど、清々した。
そこで俺ははっとする。
俺は一体何にこんなに苛立っているのだろう。
何でも話せる仲だと思っていた幼馴染みに隠し事をされていたことだろうか。
俺の好きな彼女が、知らない間にあいつと付き合っていたからだろうか。
違う。全部違う。
本当はわかっていた。
認めてしまいたくなかっただけだ。
出来れば、気付きたくなかった。
気付かないふりをして、これまで通り過ごしたかった。
だって俺は、あいつの彼女のことなんてこれっぽっちも好きじゃない。
好きじゃないのに。
2024.3.26
「好きじゃないのに」
「まーたやってんの天邪鬼め」
「向こうが勝手に勘違いしてるんですー」
ふわり翻るスカートに、似合いのピアス揺らして。
綺麗に整えられた髪も、白魚の様な指先まで美しく。
「契約期間いつまでだったの」
「早死にしないようにーだし。死ぬ迄じゃない?」
重たい睫も濡れたような瞳も、薄く色付く唇すら見とれるような、そのヒトは。
「ほんと、並の女の子より可愛いとか詐欺だろ詐欺」
「やりたくてやってる訳じゃないのにー」
「じゃ、着たい服は?」
「えー……花嫁さん?」
「お前ほんと上目遣いやめて死者が出る」
「答えの方に突っ込んでよー」
「あ?どう考えてもばりばり似合うだろうが」
「そっち?」
ころころ笑いながらシェイクに口をつける一瞬、眩い日差しがスポットライトみたいにその背に落ちて。
ーーー柔らかな白のベールの夢想。
「花嫁姿二人分とか、華やかすぎるよなぁ」
「んっふふ、それも良いけどねー」
伸ばされた指先、輝くスパンコール。
緩く柔く突かれた胸元は。
「君のタキシードだって、ばりばり似合うんじゃない?」
潰し尽くした胸の内を、小さく撫でるよう引っ掻いた。
<好きじゃないのに>
教室に来てから最初にするのは、和也の席を見ること。
別にアイツのことが、好きだからという訳じゃない。
なぜならアイツの隣が私の席だから。
そして自分の席ではなくあいつを探すのは、髪が少し派手なので目印にちょうどいいから。
だから何も変なこともない自然な事。
アイツの事を見つけて少し体が熱くなるのは、自分の席を見つけられた安心感からなのだ。
彼の頭を目印にして、自分の席に向かう途中、不意にアイツと目が合う。
驚いて心臓が跳ね上がった私の事なんて気付かず、『おはよう』と挨拶してくる。
私は極めて冷静に『おはよう』と返す。
すこし、声が変だったかもしれないけれど、仕方がない。
だって私は朝が弱い。
アイツも知ってる事で、変に思われることはない
そして始まる朝の会話。
毎朝の恒例行事。
和也とは、趣味が合うので話が楽しいのだ。
一日で最も楽しい時間。
でも間違いが起こることはない
私達はただの友人同士で、これからもずっと変わることはない。
アイツと話すようになったのは最近のこと
先月の席替えの時、席が隣同士になったのだ。
今まで接点が無く、名前すら怪しいクラスメイトだったけど、話してみると以外に話は弾んだ。
共通の趣味から、1㎜も理解していない物理の話まで。
不思議と話しやすく、何を話しても盛り上がった。
それ以来、機会があればよく話している。
あまりに気持ちよく話せるので、ふとした時にアイツを探すようになった。
でもアイツは異性として好きじゃないし、自分のタイプからもかけ離れている。
友人としては好ましく思っている。
仲のいい友人、それだけ。
それにアイツには彼女がいる。
仮に私がアイツの事が好きでも迷惑なだけ。
だから、私のこの感情は『好き』じゃないのだ。
教室に来てから最初にするのは、和也の席を見ること。
アイツの事なんか好きじゃないのに、気づけばアイツのことを探してる。
でも勘違いしちゃだめだ。
だってこれは叶わない恋なんだから。
好きじゃないのに、
あいつのことなんか
でも、なんで私の頭から離れてくれないの、
あいつが私を呼ぶ声で目が覚めた、
あいつはもちろんいなかったけど、
夢の中にまで出てこないでよ、、、
好きになっちゃうじゃん、
水に囚われた心
寄せてくる影が波の鼓動を早め
白波が藍に、黒に染まっていく
沈んでいく。
アクアリウムは踊らない。
淡く光り、唯存在する
ここに来る度波が経つ
遠音が暗く打ち寄せる
けど
海底に沈んではいられない
記憶を沈めてはいられない
それだと浮かばれないから
好きじゃないのに、泡沫に消えない。
(橙々様制作のフリーホラーゲーム「アクアリウムは踊らない」を参考にさせていただきました)
なんなの、アイツ。
好きじゃないのに目に入る。だって私の前でやたら転んだりプリントぶちまけたり物落としたりしてんだもん。そんなに注目されたいわけ?
「あ……ごめん、ありがとう」
別に無視しても良かったけど、あまりにも派手なコケ方するから見て見ぬふりできなかっただけ。どんくさいったらありゃしない。
よくあれでいつも試験の順位上位取れてるよね。頭の良さと反射神経は比例しないってことか。
「助かったよ、ありがとね」
まき散らしたプリントを抱えてアイツはどこかへ歩いてゆく。あんな量1人で抱えてるから落とすんだ。もうひとりの学級委員に頼めばいいのに。……ていうか、あたしが持ってあげても良かったけど。頼まれたらそうしてたけど、いっか。もう行っちゃったし。せいぜいもう転ばないでくださいよって感じ。
はーあ。アイツのせいで昼休みの時間減っちゃったよ。アイツはご飯、食べたのかな。なんかまたパシられてそのまま食いそびれてそう。これから学食行くけど、パンでも買ってってあげようかな。もちろん金とるけど。
……気が向いたら、買ってあげよ。
好きじゃないのに
好きじゃないからお別れをした。
一緒にいるのが苦しくなった。毎日のように別れたいと願った。別れるほかにお互いが幸せでいられる道が分からなかった。
別れを切り出したとき彼は自嘲した。その瞬間彼にとって私は敵になったのだろう。彼には私が見えていないのだろう。別に構わなかった。たった今私たちは赤の他人になったのだから。どんなに嫌われようが、今後一切関わらなければ済む話だ。
それなのに、帰るときになって躊躇ってしまった。どうして。これまでは帰る瞬間が一番幸せだったのに。
なるべく心を殺して歩いた。彼に背を向けて遠ざかる。心の声を聞いたら踵を返してしまいそうで、無心になって歩を進めた。
十字路を曲がって彼の視線から開放されたとき、途端に涙が溢れてきた。どうして。好きじゃないのに。好きじゃないはずなのに。
化粧が涙に流される中、私は歩みを止めなかった。歩みを止めたら動けなくなる。涙に頬を濡らして、人混みの中を一人歩いていく。
本当にこれでよかったのだろうか。そんな疑問が頭の中から消えてくれなかった。もう、好きじゃないのに。
ようやく落ち着いてスマホを確認した頃には、連絡先はすでに彼にブロックされていて、これで私たちは晴れて他人になった。なのに私の心は晴れないまま、何も見えなくなった未来を見据えて一つ大きなため息がこぼれる。
本当に好きじゃなかったのだろうか。でも、きっとこれでよかったのだ。そう思えなければいけない。全く動かない心と涙を抱えて、私はもう一度深くため息をついた。