『奇跡をもう一度』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君を失って初めて
奇跡ってのが何なのか
分かった気がするよ
〖奇跡をもう一度〗
「どうか、奇跡をもう一度…。」
じっと祈る時間があるのなら。
奇跡に向かって自分から歩みだそう。
奇跡は起きるものじゃなくて
起こすもの。
今踏み出したこの一歩が
何よりの近道だと信じて。
奇跡をもう一度
電車に揺られ帰宅する
君の会社のある駅を通る度に
君の姿を探してしまう
会ったところで会釈もされないと思うけど
君に会いたいんだ
君がいいんだよ
今日あった事を話すのも
美味しいものを食べたいと思うのも
君とがいいんだ
僕だけが望んでも仕方ない事だけどね
あゝ、奇跡がもう一度起きないかな
君と出会える奇跡がほしい
奇跡をもう一度
私の望むものをください
自衛官になりたい、
太宰さんみたいな作家になりたい、
守る力が欲しい等の願いがございますが、私は認められたいだけなのです。
だから、神様、この願いを叶えてください。
その奇跡で叶えてくださるだけで、私は満足なのです
人の役に立ちたい、認められたいだけなのです
僕は奇跡を見たことがある。
目の前に彼女が現れて、こちらに微笑みかけてくれたこと。忘れもしない、昨年の7月。
友人に誘われてライブを見に行って、興味が無いなりに楽しんでいた僕を一瞬で惹きつけた、彼女の光。
あれ以降色んなライブを見に行ったが、僕はまだあの奇跡に出会えていない。あれは色々な条件が重なって生まれた、本当に奇跡としか呼べない光景だったのだ。
でもあの奇跡をもう一度見たくて、今日も足繁く現場に通うのだ。
奇跡をもう一度
神様、この子は何度苦しめばいいの?
『…残念ながら、意識が戻る可能性は限りなく低いかと…』
医師の言葉に頭が真っ白になる。
次の再会は、白く清潔な消毒液の匂いが鼻をかすめる部屋のベットの上だった。
どうしてこんなことになったのだろう。
あの日、いってらっしゃいと見送った。
いつも通り、いってきますと笑顔で出かけていった。
帰ってくる、と疑うことはなかった。
だって、いつも帰ってきてたから。
だから、知らない番号からの着信で、事故の知らせを受けたとき
心臓が止まりそうになった。
まだ上手く理解しきれていない頭で、とにかく早く行かなくちゃと、仕事も放り出して病院まで車を飛ばした。
今思えば、よくあの状態で事故なく病院にたどり着けたなと、思い返して苦笑してしまう。
ふと意識を戻すと、ピッ…ピッ…と規則的に鳴る音が耳に届い
た。
体に管が繋がれて、ベット脇にある機械モニターには波線や数字が表示されている。
波打つ棒線とゼロでない数字が、まだこの子が生きていることを証明してくれているけれど、あの日から変わらず、固く目を閉じたまま眠り続けていた。
もう何度も何度もここへきていた。
最初の方こそ、息もできないくらい、悲しくて泣いていたのに、
この状況に慣れてしまったとでもいうのか、今は涙も出やしない。
『一命は取り止めましたが、意識が戻る可能性は低いです』
医師の言葉が脳裏をよぎる。
生きてさえいればいい、と思っていた。たとえ目が覚めなくても。
でも、この子は果たして生きているというの?
『生きて産まれてこれるか、無事産まれても、そのあと生きられるかどうか』
あの時も、こんな風に言われてたっけ。
それでも、この子は生きた。生きて、私たちの元に産まれてきてくれた。奇跡だった。
そっと、頬を撫でる。
少し冷たいが、ほのかに暖かさを感じた。
生きている。
『意識が戻る可能性は…』
淡い期待を覚えるたびに、あの言葉が自制する。
僅かな可能性にすがり続けていくのは、あまりにもつらくて、苦しくて、悲しいから。
ああ、でも、それでも。
『もう一度、声が聞きたい。笑った顔が見たい。まだまだたくさん、この子と生きたいの…』
震えた声で名前を呼ぶ。
大切な子。たったひとりのかけがえのない、大切な、大切な。
奇跡は二度も起こらない。
それでも、信じたい。
あの日、この子が産まれてきてくれたのは奇跡だったの。
ああ神様、どうかお願いします。
どうか、どうか、奇跡をもう一度。
お題「奇跡をもう一度」
リハーサル、僅かな人影を前に流れを把握して
いざ本番の日を迎えた。
幕が上がるその瞬間まで
「頑張ろう」という掛け声に緊張は高まっていた。
足が震え、手も小刻みに震えている。
幕が上がって見えた世界では、たくさんの人の姿と
包み込まれるようにピアノの伴奏と、仲間の声がした
1曲歌い終わる頃には、人前に立つ緊張よりも、
いかにうまく歌いながら、苦手な高さの場所で
体幹を保って立っていられるかを考えていた。
とにかく懸命に歌い、幕が降りる。
ガヤガヤ舞台を降りていくと、たくさんの友達や
過去に担任だった先生がいて「すごかった」と
迎えてくれて、泣いてくれた先生を見て、
「あぁ、やってよかった」と心から感じていた。
公園で棒アイスを食べていると
聞こえてきたこどもたちの大声。
どうやら食べていたお菓子が当たったらしい。
興奮気味に話す中には奇跡の言葉を口にするこどももいた。
懐かしさを感じながら当たりの書かれた棒アイスの棒を捨て、歩き出した。
あの頃の感動をもう一度、純粋に奇跡とはしゃげた時間をもう一度。
あたし
奇跡をもう一度なんて言わない
ただ
これでよかったんだって
誰かに言ってほしかった
かのじょはそういって
タオルケットにくるまって
ねむってしまった
かのじょが うしなったぶぶんは
タオルケットにかくれて
みえなかった
あまりにしずかなので
いきをしているか
おもわず たしかめた
そのせなかに
これでよかったんだよ
といってあげたけど
わたしのそのひとことは
よるのなかに
とけていった
奇跡、
そもそもこの世に生を
うけた事が奇跡のようなもの。
奇跡をもう一度と願うなら
あの日あの時の命を
返して下さい。
お題奇跡をもう一度
私にも、もう一度奇跡を起こせるだろうか
ずっと、いつ終わってもいいと思っていたこの人生に
好きなものが出来た
忘れていた、好きで好きでしかたない気持ち
体の細胞が目を覚ましだしたような感覚
もう一度奇跡を
母の命は持って一週間だと医者に告げられた。
母はそれをわかっているかのように、穏やかにベッドに横たわっている。
来年の桜を見ようよ。
とぼくは言うが、それは奇跡を願うようなものだという想いがめぐってくる。それでも母はいつもと変わらない笑顔になって、「おー、見よう、見よう」と答える。
ぼくは母に否定されたことがない。あったとしても、受け止めてくれてから、「お母さんはこう思う」と言ってくれた。
そんな日々の奇跡が何十年も続き、ぼくは生きてきたのだと思う。あと何を望めばいいのか。
日毎に細くなる母の手を握る。
桜、見たいねぇ。
今はまだ、奇跡の中にいる。
君はいいね。
そうやって
楽しくて、明るくて、今日が煌めいていて。
奇跡よもう一度?だなんて。
そんなものないよ
そんなもの起きない
誰がわたしの願いを叶えてくれた?
誰がわたしの苦しみを分かち合ってくれた?
そんなもの
どこにもなかった。
這い上がる気力なんてどこにもない。
わたしに生き延びようと思わせてくれる
何かなんてどこにもない。
なにもない。ありはしない。
誰が助けてくれるの?
誰がしあわせをくれるの?
いるはずなんてない。
あるはずなんてない。
奇跡なんてありはしない。
わたしだけ
わたしだけ
わたしだけ
奇跡なんて奪われたまま
この呼吸を恨んで、嘆いて
生き長らえてゆく、だけ、
だけ、
─
059【奇跡をもう一度】2022.10.03
とうとつに、田中先生が、吹いた。職員室中がびっくりして、全先生の視線が田中先生に集中した。田中先生は、いやぁ、すんません、というふうにペコペコしたものの、なおも笑いがこらえきれないようだった。
「いったい、なにがそんなにおかしかったんです?」
となりの席の山本先生がたずねる。田中先生は1組、山本先生は2組、お互い同じ学年の隣のクラスの担任である。
「いや、この都筑さんの日記がね……」
と差し出される日記帳。
そこには、「初めて100点をとったら、お母さんが『奇跡の100点!』といって大よろこびした」というようなことを、子どもらしいおおぶりの文字でかいてあった。
「ええっ、都築しのさんが100点!」
勝手に日記帳をのぞきこみにきた、うしろの席の高橋先生がすっとんきょうな声をあげて、これまた、ごめんなさい、とペコペコする。
「高橋先生は、この子が1年生のときに担任されてたんですよね」
「そうです、そうです。私、この子のお姉さんももったことあるんですけど、これがきょうだいか、っていうくらい差があって……しのさん、どうしてもお姉さんの優秀さと比べられてしまうから、しんどかったと思います」
田中先生から手渡された日記帳をくいいるように見つめて、高橋先生は、感無量、といった感である。
「しかし、きゅうに伸びたような気がするんですけど」
と山本先生。
「国語の《ごんぎつね》が、この子にとってはアタリだったようですね」
と田中先生がこたえる。
「挙手の意気込みがすごかったですし、漢字のミニテストまで意欲的だったんですよ」
それについては、山本先生も高橋先生も、わかり味しかない、といった様子で、
「ありますよね!そういう瞬間」
「あります!やりがいしかないですよね、そういう時って」
「教師冥利につきる、っていうか」
もう三先生とも、お互い、うんうんとうなずくしかない、という感じである。
「いま、お母さんとしては、奇跡をもう一度、というところでしょうかね……」
としみじみした様子で山本先生がいうと、
「でしょうね。ていうか、私がそんな気持ちです」
と高橋先生も、じーんときたような様子でいった。
「うん。わかります、その気持ち。でも、教師たるもの、奇跡をアテにしちゃダメです」
田中先生がそうきっぱりというと、二人の先生はびっくりしたように凝視した。
「あっ……ていうか、ほら。やっぱり子どもたちにちゃんとした実力をつけてあげなくちゃ……」
あたふたする田中先生に、
「でも、それ重要ですよ」
と山本先生は腕組みしながら、意味深げにうなずく。
「運動会とか音楽会で、とつぜん化ける学年ってあるじゃないですか。あれって、ぱっと見、奇跡だ!、とかって自分もおもっちゃうんですけど、実際は、担任とか学年団が、日常の学校生活のなかで、要領を得た働きかけをどれだけ積み重ねられたかどうか、なんですよね」
すると、高橋先生もうなずきながら、
「なるほどね……教材がクラスや学年の雰囲気にうまくマッチしたとか、偶然のめぐりあわせ、っていうのはたしかにあるんですけど。でも、だからといって、奇跡ではない。日ごろの積み重ねの結果が出ただけ、なんですよね……」
そして、いまおもいついた、というふうに、ことばをついだ。
「じゃあ、田中先生の新しい目標は、『しのさんの次の100点は、お母さんに奇跡といわせない』ですかね」
「あー……それそれ!オレのいいたかったこと、それです」
ぱっと、田中先生の顔があかるくなった。
「うまく言語化してくれて、ありがとうございます!」
そして、なにかいいことをおもいついたのだろう、くるりと机の方にむきなおると、あらためて日記帳をじっと見て、なにか書き込みはじめた。
赤ペンを走らせる音が、こころなしか、いつもよりはずんできこえるようだった。
奇跡をもう一度
私が体験するちょっとした奇跡は…
人との出会い
その出会いは潜在意識の中で、会いたいな〜と心の底から願っている時に現実になる
🧡 幼い頃、いつも小銭を握りしめて通っていた駄菓子屋、いつも編み物をしながら店番をしていたおばさんは色白な美人、そしてそのおじさんと息子がモデル並にかっこいい、未だかつてあんな美しい家族は見たことがない
今はお店も家もそこには無い、あーあの駄菓子屋よかったなー おじさん、おばさんどうしているかなーと
ノスタルジックに浸っていた数日後
スーパーで買い物をしていると目の前に2人が現れた
びっくりして挨拶すると、あの頃と同じ笑顔で子どもにお菓子を渡してくれた。
私が想い描いていたシーンが現れたのだ。
これは現実なのか、幻なのか一瞬世界がボワーッとした。奇跡だ!
💚 その年、私はオリンピックを目指しているあるアスリートに夢中だった。
まわりの人間にも、今年一番会いたい人は〇〇くん!
と宣言したり、頑張ってーと心の底から応援をしていたのだ。
年明け3日、箱根駅伝の応援も終え、いつもの様に
ゴール地点で余韻を楽しんでいると、目の前に憧れの
アスリートがいる!
持っていたトートバッグにサインとツーショットの写真を撮って頂いた。
私の後からは、次々とファンが溢れかえりそこはサイン会場となっていった。
早々にサインをもらった私はその様子を見て、ボーっとしながら、会えた!奇跡だ!と呟いた。
💙 毎年、年末に東京ドームにアイドルのコンサートに子連れで行っていた私、その年はもっと近くで観たいと姉家族と共に地方都市の小さい会場に初めて遠征することにした。席は花道の下、アイドルの汗が降りかかりそうな場所でした。
ライブの余韻に浸り、帰ろうとすると大雨の為、新幹線か止まってしまった。何時間か後、やっと新幹線に乗り込めることになった。
ホームにはいつ乗るかもわからないアイドルを待っているファンの山、私たちはお先に帰りまーす♪と乗車東京に着き、子連れの私たちは降りるのに手間取り、最後の最後に下車をすると… 目の前にアイドルがー
嘘でしょ!すぐ横に一緒に歩いているよー!
奇跡だ❣️
我慢強く、入り待ちしていたファンのみなさん、ごめんなさい🙇♀️
今の貴方にこの場所に帰ってきてほしいとは思わない
あの頃の貴方にもう一度会いたい
もしも奇跡が、起きるなら
行き場のない言葉たちがただ心に浮かんでは消えていく
貴方がこんなにも突然去って行ってしまうとは思わなかったから
一つの大きな不幸が引き合わせた二人の関係
そこにはいつも
奇妙だと思えるほどの確かな温もりが存在した
あの頃の日常は奇跡だった
所詮、流れ星のような一瞬の幸に過ぎなかったのだ
どうか、奇跡をもう一度
会って貴方に話がしたい
悲劇の人生から私を拾い上げてくれた
惑うことなく真っ直ぐ愛してくれた
信じることの喜びと安心を教えてくれた
貴方に伝えたい
もしも奇跡が、起きるのならば。
貴方に伝えたいことが、たくさんあったのに__
あの笑顔が私を幸せにしてくれた
あの笑顔でわたしはあなたを想うようになった
あれから色々な事があなたにあって
あのときの笑顔はもう見られないのかもしれない
あなたは今もたくさん笑ってくれる
今の笑顔がたくさんの事を乗り越えたあなた自身
だって分かってる
そんなあなたを誇りに想ってる
でも
またあの屈託なくキラキラ輝くあなたの笑顔が
見たいんだ
奇跡をもう一度
あの日見た綺麗な景色
海の上に浮かぶ夕日に
時間が経てば月が浮かぶ
その時砂浜に
君が楽しそうに笑ってる
「ねーねー、今の見た?」って
しょうもないことで笑っていた
あの特別な時間、空間を
もう一度
僕にとって君に出会えたことは
奇跡だから…
奇跡って何だっけ
ゆきはそう言った
僕はその時、夕飯の好物のコロッケがうまいだとか、テレビの議論がつまらないだとか、そんなことを考えていて、その時はさあ、としか返事をしなかった
夜、眠れない夜に、またあの言葉を思い出した
奇跡に疑問を持つのは、その奇跡を常に打ち砕かれてきた人だ
だけれど反対に、奇跡そのものを昔は信じて体感していた人だ
世の中に絶望が蔓延してるように、皆奇跡を知っている
朝起きて、歯を磨いた。いつも通りの朝だ。仏壇に手を合わせて、幸せそうに笑うゆきの顔を見て僕は言った
あの時の答え、分かったよ
少女はキラキラと目を輝かせる
男はだらだらと冷や汗をかく
「どうやってやったんですか!」
「(どうしてこうなったんだろうなァ!)」
男は趣味で奇術を学ぶ男だった。
少女は本気で魔法に憧れる少女だった。
男は遠い昔の学び舎の活動で、奇術に夢を見たが
残念な事に物覚えが悪くドジだった。
諦めきれず、かと言って弟子入りもできず。
月が真上にいる今とぼとぼ家路に向かっていた。
ところが通りがかりの公園に少女がいた。
当然今は真夜中。どうしたものか
親の影すら見えず、ない勇気を絞って声を出す
「きみ、どうしたの?」と
遊具に腰掛け、俯いていた少女に寄れば、
驚いたかの様に顔を上げて見せたが
土砂降り雨にあったかの様に泣き腫らして
「家にかえれないの…」とつぶやく。
…本来ならば、この時点で手に負えない。
連れて行くべき所があったのだろうに
男は元来悲しい表情というのが苦手だ。
故に誰かを笑顔に出来る「奇術」に夢を見た。
男は少女を笑顔にしてあげなければ。
妙な使命感に駆られてしまったのは
生来のさが、とでもいうべきか。
或いは非日常体験に少しテンパってしまったのか。
「えっと、ねえ君こっちを見て」
今から不思議な事が起きるよ、と怪しさ満点
口上も下手な男だが、少女の気は引けたらしい
そっと自身の手を握って、パッと開かせてみれば
「はい!宙に浮いた炎だよって熱ッ」
…残念な事に開いた衝撃で自身の服に燃え移ってしまう。どうやったか?男もよくわからない。
ボォっと勢いよく燃えはしないが、男はパニック状態
……さて、少女の話をしよう。
少女の祖先には魔女がいたらしく、魔法に憧れたが
残念な事に才能に溢れすぎてドジだった。
しかも加減も下手で、同じ魔女の母に叱られてばかり
今日も家を水浸しにして、居た堪れずに公園へ
ところがそんな少女に声をかける変わり者。
知らぬ大人にどうしよう、と戸惑うも
男は自分の顔見て「どうか泣かないで」と
逆に慌てふためく。
幾らかの時間ののち、男が手を突き出して
「不思議な事が起きるよ」と握った手を見せる
そうして開いて見せれば、「魔法」を使ったのだ!
しかも少女と違って制御もしてる。
少女はパッと笑顔を浮かべたが、どうやら
魔法の火が男の服に移ったそうで。
それは大変だと少女も魔法を使う。
その結果ー
「…火を消そうと、したんですけど…」
「うっかり水が出過ぎちゃった、って事だねうんハックション!」
服に移った火に慌てていたはずが、
頭上から滝の様な水が落ちてきた事に混乱し
目の前の少女が悲痛な声で「ごめんなさい!」
というから事情を訊いたのだが…
辛うじて男のバックは濡れておらず、
中に入れていたタオルで自分と少女の体を拭いた所で
もう一度少女は口を開いて
「おにいさんも魔法使えるんですね…どうやって
そんなふうに使えるんですか?」
なんてとんでもない爆弾発言を言って……うん?
「わたし全然使えなくって、きょうもお母さんに怒られちゃったんです…でも、おにいさんついさっき火の魔法つかったじゃないですか」
魔法じゃないね奇術だよ?
「まだ水を出すことくらいしか出来ないから、どうやって炎出せるか教えて欲しいんです!」
そもそも何もない所から水すら出せないが?
「きじゅつ、って火の魔法の名前なのかな…わたしまだ詳しくないので、くわしくしりたいです!どうやってやったんですか!」
どうしてこうなったんだろうなァ!
少女は目をキラキラと輝かせる。
男はだらだらと冷や汗をかく。
とりあえず、これ以上外にいると風邪を引いてしまうから。
少女を家にまで送る事を決意した。
奇跡をもう一度。なんて、俺には荷が重いんだが!