『太陽のような』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【太陽のような】
「かっちゃんは、オレの太陽だよ!」
あなたは、そう言って笑う。
「カズくんの笑顔は、太陽みたいだと思うけど?」
太陽のようなあなたをずっと見つめている自分自身が、太陽を追い駆けている向日葵と重なる。
「かっちゃんにそう言われると、嬉しいけど…。何か、違うなぁ。」
難しい顔をして唸ってしまうあなたが、ぽんっと手を打った。
「オレがヒマワリの方だと思うなぁ。だって、抜けそうに真っ青な空を横切っていく、キラキラして恰好良い太陽みたいなかっちゃん!画になるじゃん!」
断言して、鼻息を荒くしているあなたに苦笑いする。
「ありがとう。…照れる。」
少しだけ、小出しにして欲しいと思った。
キュッ
キュッと
体育館にシューズの音が鳴り響いてる
インターハイまであと少し
そのためレギュラーとなった俺は毎日のように朝6時か
ら練習に参加している
“おい 〇〇‼︎ 時間だ‼︎ 終わるぞ‼︎”
そう声をかけられてボールを片付けた
非常口の扉を全開にし仲間と腰をかけた
涼しい、、、
風がよく通るそこはチームでよく取り合いになる
風に身を預けると遠くから蝉の声が聞こえた
あぁ地元を離れてもう2年は経つ
あの子は元気にしているだろうか??
休みの時はいつも一緒に遊んでいたあの子
秘密基地を作ったり、親父が使っていないトランシー
バーを勝手に持ち出してよく遊んでいた
あのトランシーバーはどこに片付けただろうか
部屋に戻ったら探してみよう
インターハイが終われば地元に帰ってみるか
あの太陽みたいな笑顔をもつあの子に会いにいこう
『太陽みたいな』より
太陽がなかったらだれも生きていくことができない。
でも 人も動物もだれも
太陽のありがたみに気づくことがない日がある。
来る日も来る日も あんなにがんばっていても
文句のひとつも言わず、ちゃんと昇りつづけ、
月を照らす。
温かさと美しさを伴って。
そういう心を持ちたい。
【私】
太陽のような「熱」を持って生まれた「私」は、
他(た)を焦がし
自らをも焦がしながら
持て余すその熱量が燃え尽きるまで
生き続けるのだ。
お題「太陽のような」
太っ腹
陽気でいたいと
宣った
酔いと若さが
うらやましくて
懐かしいあの頃は『太陽のような』
「太陽のような」
第Ⅰ 始まりⅡ
見つかる。そう思った。
固く目を瞑る。
このデスゲームが"また"1から始まる。
何度挑んでも振り出しに戻される。
脱出できたと思っても気づいたらまた振り出しに戻っている。
振り出しに戻されると何もかも元どうりになっていて、そしてまた追いかけられる。
だから逃げながら、ちょっとずつ脱出方法を探る。
次の"私"に繋げるため。今の自分を無駄にしないため。方法をさぐっては見つかり、リセットされ、また逃げる。その繰り返し。
そして今回も逃げきれなかった。
「逃げようが隠れようが関係ねぇ、どんな手を使おうと、お前に勝ち目はない。俺の勝ちだ。」
彼は勢いよくロッカーの扉を開け、私を見つけると笑みを深める。
あぁ、この顔を見るのも、もう何度目だろう。
アイツのニヤニヤとした顔。貼り付けたような笑。細身の体型にすらっとした手足、ロングの黒髪を後ろに結わえ、白いワンピースを着ているその姿は一見すると女性の様だが低く気迫があり、刺さるような鋭い声や細いつり目、シュッとした顔立ちから男なのだろう。
見た目に似合わない刀を両手に携え、ふたつある刀のうち右手に持っている刀を私の前に突き出す。
「ああ?お前つまんねえ顔してんなあ。死ぬ事を恐れてねえのか」
何を言っているのだろう。ここでどうなろうと、また生き返るのだから怖くはない。
確かに最初は生き返ると知らなかったし、抵抗もあったが、もう何度も繰り返しているうちに何とも思わなくなった。
「当たり前でしょ?」
生き返るんだから。口にはしなかったが心の中でそう続けた。
「は…」
私の問いに驚いたのか、彼は突き出していた刀を下ろし、しゃがむと私の顔を覗き込んだ。
「生きたいとは思わねえのかよ」
「へ…」
それは意外な質問だった。
まさか目の前の男の口からそんな言葉が飛び出してくるとは思いもよらず、不意の言葉に間抜けな声が出た。
「生きたい…と思う」
「締まらねぇ言葉だな。だがよ、だったらどうして死ぬ事が怖くねえんだよ」
「貴方は即死する方法を使うから怖くない」
他のヤツはじっくりといたぶったり、じわじわしたり、特殊な性癖を持っているヤツばかりだけど
目の前のヤツは執着やこだわりがないから即死する方法を使う。抵抗しなければ痛みも感じない。
だから怖くない。
「そういう趣味は無いが少しずつヤッてもいいんだぜ?」
また全身が震えだす。さっきまでのは所詮、虚勢だ。
即死でしかも生き返るとはいえ死ぬのは怖い。
でもどうせまた振り出しに戻るのなら少しでも情報を掴む、その一心で心からの虚勢を張っていたがそれも、もう限界なのか恐怖心が心を呑み込んでいく。
「ッ…」
「あー、あー、やめだ。」
「へ?」
やめ?やめと言うのはどういうことだろうか。
「今お前をヤッても意味ねぇってことだ。
だから地上に出るまで俺に協力しろ」
「え?」
意味がわからない。何度も、何度も、切っといて協力?言ってる意味がわからない。
それに信頼できる自信もない。
だけど今まで1度も「協力しろ」なんて言われたことがなかった。
これはもしかしたらチャンスなのではないだろうか。どうせ失敗してもまた振り出しに戻るだけだ。
しかしその前に1つ言うことがある。
「分かった。でもひとつ約束して」
「…言ってみろ」
少しの沈黙の後、意外にもあっさり先を促される。
「外に出ても絶対に私に手を出さないって。」
「…分かった。俺は手を出さない。でも他の連中はお前を消そうとするだろうよ」
正直驚いた。否定されるとばかり思っていたのに案外すんなり了承された。
しかし、目の前の男1人が襲わないと言ったところで私を狙う敵は大勢いる。
「いい。貴方さえ約束してくれれば。」
それでも目の前の男から狙われないだけで幾分か楽になるのも事実だった。
「そうかよ。分かった、約束してやるよ。」
男は呆れたように言うと、おもむろに立ち上がりこちらを振り返る。
「こんなとこ、さっさと脱出しようぜ」
そしてこちらに手を差し伸べると太陽のような笑顔ではにかんだ。
____________________________________________
*既にもう先行きが不安になっています…笑
思った以上に文章が上手くかけず1人落ち込んでいます。
自分で書いておきながら自分の下手さを痛感しています。難しい…。
まだ何が何やら分からない事だらけだと思いますが後々説明を挟みますので悪しからず。
君の太陽のような笑顔
君の太陽のような振る舞い
君の太陽のような言葉
君が放つその輝きが覆い隠している
禍々しい黒い点を知らずして
愚かにも傲慢な私は
君の総てを知っているつもりになっていたんだ
「−太陽のような−」
太陽のような。
太陽のような笑顔なんてよく言うけど、そんなに底抜けに明るいと、人間生きて行けないと思う。さざ波の立つような心とか、凍えそうな胸の奥とか、美しさを見て微笑む余裕とか。そういういくつもの心がないと、そんな笑顔は出ないのではないか。
でも、きっと、そんな心なんか無い方が、太陽のような屈託のない、悪意や敵意なんてない意味での笑顔が浮かぶのではないだろうか。
では、悪意はないのか。
難しい問いかけだ。
太陽みたいに眩しい君の笑顔と
深い海のように真っ黒な僕の瞳
君はいつもそんな僕を照らしてくれた
僕が酷く落ち込んでいる時も
僕がめずらしく君にサプライズした時も
いつでも君はその笑顔で僕を信じ続けてくれた
でももう君はいなくなっちゃったね
全部僕のせいだよ
きっと君も辛かったんだろうな
僕が太陽みたいになれたら...
貴方は太陽のような人だった。いつも暖かな光で私を照らしてくれる、そんな存在。いつまでも私のそばにいて、その光で私を照らしていて欲しい。そう願っていた。
永遠を願うことは罪なのだろうか。私が貴方を心から愛することも罪だと言うのだろうか。
ある日突然、彼が別れを切り出してきた。何故と問いただしても、彼はただ呆けたように
「嗚呼、私が全て悪いのです。」
そう言って彼は、痩せこけた頬を歪ませるだけであった。しかしよくよく見ると、それは笑みであった。彼の頬があんまりにも痩けているので最初の内は気の付かないでいたが、次第に笑っているのだとわかった。
私はかっと頬が熱くなるのを感じた。それは羞恥のためではなく、怒りからであった。顔全体が熱くなって、頭から湯気がたつと思われるほど怒りがわいてきた。しまいにはぶるぶると身体中が震えてきて、思わずうつ向いた。身の内に煮え立つほどの怒りはあれど、茹で蛸のような顔を彼に見られるのは、何とはなしに恥ずかしかった。
すると彼の方では私がなにも言わずにうつ向いたのを、深い悲しみのためとでも思ったのか
「君も辛いだろうけど、これは仕方のないことなんだよ」
その言葉に私は呆然として、思わず顔を上げた。そこには今まで太陽のように私を照らしてくれていた彼はいなかった。変わりに、うらぶれた男がいるだけだった。
嗚呼、彼はこんなにも痩せっぽっちだったのか。
嗚呼、彼はこんなにも軽薄そうな笑みを浮かべる男だったのか。そう思うと途端に今までの思い出が全て色褪せて見えた。そして、彼の全てが憎らしくなった。彼の姿、仕草、声音。果ては彼の顔形さえ見るのも、吐き気のするほど嫌になった。知らずうつ向いていた視線は、彼の薄汚れた外套に止まった。そして、その傍らには薄っぺらい鞄が一つ。そこで私ははっとして彼を見た。すると彼の方でも私を見ていた。互いに身動ぎ一つせず、見つめあっていた。
知らず握りしめた手が震えている。今度は怒りのためなどではなかった。ましてや、もう彼を憎む気持ちもなかった。今はただ、彼の顔を姿をこの目に焼き付けていたかった。
どれくらいそうしていただろう。
気が付けば、私の目からは涙が溢れていた。止めどなく溢れる涙が畳に染みを作る。その内私は、たまらなくなって蹲った。そうして、おいおいと泣いた。
「これが別れと言うのなら、あんまりじゃないか」
嗚咽混じりに言って、私はまた泣いた。
彼はしばらく黙っていたが、おもむろに立ち上がって部屋を出ていった。
「愛してる、これからもずっと」
部屋を出る直前、彼のそう言う声が聞こえた気がした。
外では雨がざあざあ降っていた。彼の出ていった部屋にざあざあと音が虚しく響いている。
太陽のような人。
彼らはその輝きで誰かの目や肌を焼いていることに気づかない。明るく照らされることだけが救いではない。また太陽は己の身すらも焼き尽くしている。
時には木陰で一人、休むことも必要だ。
逃げているわけでも、目を背けている訳でもない。あの光に耐えうる心を得るために、ただじっと己の影と対話する。
何故こんなにも光が痛く苦しいのか。
眩しくて目も開けられないのか。
己に光の元を歩く資格がないというのか。
そんなことを考えていれば、どんどんと光は遠ざかっていくのだろうか。
いいえ。
私たちの冷えきった心に、太陽は熱すぎるだけのこと。
心が温まれば、また光の元を歩けるだろう。
凍りついた心は中々溶けないだろうけれど、それは鎧。
心を守るための鎧。
無理に溶かしてはならないもの。
いつか、氷は溶ける。
どんなに不安でも、木陰から出たくなくても。
そして、遠ざかってしまったと思った太陽は、いつも、いつでも、そこにある。
ともだちがいるから、いっしょにげんきにあそべてたいようのようにあかるくてらしてくれて、おちこんでいてもなやみをきいてくれる。
その世界の中心には、大きくて真っ赤な炎が立ち上っていた。その炎はいつからあるのか、どうしてあるのか誰も知らない。人々は古くからその炎を囲うようにして街を作り、生活を営んできた。炎のあたたかさで地上は寒さを知らずに過ごせ、光に恵まれた大地から豊かな実りがもたらされる。
まさにその炎は人々にとっての生きるための糧だったのである──。
******
「もう止めましょう」
旅人は切実な声で訴えた。
「それはできないよ。これが僕の役目なんだ」
旅人から少し距離を置いた場所に座る男は穏やかな態度で答える。そんな男の様子に旅人はいてもたってもいられなかった。
旅人の前にはあの大きな炎が轟々と燃えていた。そしてそのすぐ手前には男が小さな椅子に腰を掛けている。けれどとても奇妙なことに、座る男の傍らにはこんもりと大量に積まれた薪の山があった。男はその山から薪を一本取り出すと炎へと投げ入れる。
ぱちりと火の爆ぜる音が辺りに響いた。
「どうして貴方ばかりが、こんな辛いことをしなければいけないのですか?」
男の皮膚には長い間熱い炎にあてられたためにできた、いくつもの火傷の跡があった。
世界を巡りに巡った旅人は、この場所に辿り着くまで知らなかった。この世界の仕組みを。
まさかたったひとりの力が、皆の平穏を形作っていることを。
「辛いこと? そんなこと思ったこともないよ。これは僕の役目で仕事なんだ。ずっと昔に神様からもらった僕の使命さ。この使命のおかげで僕は誰かの役に立てるんだ。こんな素敵なことってないだろ? だから、君がそんなふうに気にすることはないんだよ」
男は笑って、また薪を一本投げ入れた。
この世界を支える炎が消えないように番をすること。それが男が昔、神様とやらからもらったたったひとつの生きる意味らしい。
「さぁ、もう行きなさい。慣れない者がここに長くいると、炎の熱さで倒れてしまうから」
男はそう言って旅人を送り出した。旅人は離れ難かったけれど、確かに肌に受ける熱はとてつもなく熱くて、呼吸もしづらいことを自覚していた。
「──どうかお元気で」
男がそう言ったのを最後に聞いて、旅人はその場から去った。あれから一度も男には会っていない。何故か再びあの炎の近くへ行こうとすると、いつも辿り着けずに元の場所へと戻ってしまうのだ。
旅人はあたたかくて眩しかった、男の笑顔を思い出す。
強くて、優しくて、ひたすらに痛い。
ああ、何て表せばいいのだろう。
そう、彼は、まるで──。
【太陽のような】
太陽という存在がない、どこかの世界でのお話。
【太陽のような】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/23 PM 2:10
(わ~、ぽかぽかだ~)
干していた洗濯物や掛け布団が
あったかくて気持ちいい。
それを部屋の中に取り込みながら、
やっぱりお日様の力ってすごいと
再認識する。
現実の世界でも、虚構の世界でも、
太陽に喩えられる人の存在は大きい。
その明るさで、誰かを元気にしたり、
笑顔にしたり。
日だまりのような優しさで包み込んで、
安心感を与えてくれたり。
絶対的な強さと影響力を発揮して、
仲間たちを導いてくれたり。
太陽のような人には、実は様々なタイプが
あるけれど、共通するのは、
《なくてはならない存在》ということ
だと思う。だとしたら。
(わたしにとっては、 太陽=宵ちゃんと
真夜(よる)くんってことになるよねぇ)
2人のことを思い浮かべるだけで、
心が暖かくなって、笑顔になれる。
こんなにもたやすく満たされた
気持ちになれるなんて、本当にすごい。
――そんな風に浸っていたら、
不意にLINE通話の音が鳴った。
「もしもし~。宵ちゃん、どうしたの?」
「暁、今、家にいる?」
「いるよー。洗濯物取り込んでたの。
あと、宵ちゃんたちのこと考えて
ニマニマしてた」
「何それ……」
「宵ちゃんたちは、いつだってわたしを
幸せにしてくれる存在ってこと」
「はいはい。じゃあもっと幸せになれるかも
しれないから、暇ならうちに来なさい。
これから真夜がスコーン作るって
言ってるわよ」
「わぉ。それはすぐ行くね!」
「作って焼けるまで、ある程度時間が
かかるんだから、洗濯物畳んでから
来なさいよ」
「分かった~」
洗濯物を片付けて、スコーンに合う
紅茶の缶を鞄に入れて。
わたしにとって、太陽のような2人に
会いに行く。
今日も素敵な休日になる気がした。
太陽のような
太陽のような人
出会ったことないかな。
ひなげしのような人
大輪のバラのような人
百合のような人
海のような人
焚き火のような人
闇夜のような人
1人、1人浮かべる知人、友人。
太陽は、いないかな。
いつか、太陽のような人に
出会ってみたいけど
眩し過ぎて近づけないかな。
夕暮れのような人なら
大丈夫かな。
太陽のようなものだ。人というのは。
茫漠たる宇宙に散逸する欠片々々、破片々々。
寄せ集まり、衝突し、あるいは再び散逸し。
そうして生まれる。
生まれた太陽は、膨大な熱と光を出す。
限度を知らない。
厚顔無恥で、この宇宙で一番偉いかのように君臨する。
己が輝きのせいで、周りを見ることもロクにしない。
時折、他の太陽に惹かれるかもしれないが、
衝突すれば、一方が取り込まれるか、両者爆散するか...。
孤独に、ひたすら孤独に銀河の中を、
旅をしていると知りもせず、
ぐるぐる、ぐるぐる。
数十億年ぽっちの命を使いきったその残骸は、
また次の太陽のための欠片々々、破片々々になり、
あるいは光をも飲み込む「死」の暗黒天体になり、
茫漠たる宇宙に漂うのだ。
人のようなものだ。太陽というのは。
太陽のような貴方が好きだ
太陽のように明るくて、元気でー
そんな貴方が好きだ……った
私は貴方とは釣り合わない
だから私は諦めた
甘く、苦しい
最初で最後……だと思っていたこの恋を
ーそれでその後どうなったの?
ー聞きたい聞きたい!
そう娘に諭され、私は言った。
それは勿論……ハッピーエンド、だよ!
太陽のような君の笑顔と
綿菓子のような君の優しさが大好き
「明日の試合、負けないからな」
そう宣戦布告をした彼は、笑みを浮かべながらこちらを見つめた。
野心に満ち溢れ、ギラリと炎が揺らめく瞳は
煌々と輝く太陽のようだった。
#太陽のように
太陽のような緋色の実が、風に揺られては鈴のように音を鳴らしていた。
そんなはずはない、と、耳を澄ましても、たしかに、音は揺れる南天の実から聞こえている。しゃん、しゃら、しゃりん、りん。神楽鈴のような音だ。一歩、木に近づけば、音はその分だけ大きくなった。
しゃん。鈴が鳴る。
しゃん。赤い実はいつしか眼前からなくなり。
しゃん。幾重にも連なる鳥居になっていた。
しゃん。一歩踏み出した足は何かに呑まれ、
――――南天はただ、風に身を任せるばかりだ。