『夢と現実』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
彼女はふと、どこかへ行ってしまうことがあった。
実際目の前に座って話をしているのだけれども、それはただの影のようなもので彼女自身はどこか遠くの世界を旅しているみたいに見えた。
実体のない影が、実体のない言葉を発してゆらゆらと揺れている。だれも乗っていないブランコが静かに揺れているみたいに。
「なんだか君じゃない誰かと話をしているみたいな気がするときがあるんだ。今もそう。君からしたら僕は居てもいなくてもいいような透明人間になったような気がするよ」足元のきつく縛った白いスニーカーの紐が、やけに白く見える。君の脚は律儀に折りたたまれて赤いパンプスの上にのっている。
(あなたにはそんなふうに見えるのかもしれない。でもそれは私が望んだことじゃないの。いつの間にか私自身はどこかへ行ってしまって、自分の意思では帰って来られない。)
(何かに突然引っ張られてしまうのよ。そしてその間は鏡の中から世界を見ているような気がするの。)
「それは感覚がともなわないってこと?」
(全くない訳ではないのだけれど、身体の反応として認知しているに過ぎない。そこにはリアルさがないの)
彼女は目の前のコーヒーカップを不思議そうに眺めている。そしてゆっくりと自分の手を僕の目の前に伸ばした。
(私自身が手を動かすと、鏡の向こう側の私の手も同じように動くの。とても変な感じがするのだけれど)
僕は彼女の差し出された手を握った。「僕の体温が伝わるといいんだけど」
(あなたは笑っているように見えるわ。でも現実はどうなのかしら。悲しそうな顔をしているのかしら?私にはわからないのよ。すべてが逆に見えてしまうの)彼女はにっこり笑って言った。
彼女は今悲しんでいるのだろうか。でも僕には彼女の涙を拭ってあげることもできない。
僕は彼女のいる場所まで下りていきたかった。でも今はその方法がわからなかった。
(海へ行きたいわ。私自身のいる場所に一番近い気がするから)
「いいよ。君のいるところに僕も行きたいから」
僕らは黙って手をつないだ。
夢と現実が交差する狭間の世界を揺れる影たちと一緒に、ゆらゆらと歩いていった。
境はどこにあるだろう
目を瞑るとそこは夢な気がする
何も無いくらい闇
目を開けるとそこは現実な気がする
ものの表情が見えるのだ
ふわふわ
夢の中を漂っている日々が続いている
誰かがこの境を見つけて
夢の沼に沈んでいる私の腕を引いて
お願い。
夢と現実の境に終止符を。
誰か。
私はいま、布団の上に横になっている。その周りには3人の息子と2人の娘が、私を取り囲んでいた。
もう顔を見ることができない。
いなくなったあとも、子供たちが心配で悲しくなる。たとえ立派な大人になっても、やはり子供は子供だ。
今後、どうして行くのかが心配でならない。
「私が亡くなっても、皆仲良くやっていって欲しい」
息子や娘から、すすり泣きの声がする。
「お父さん、そんな事言わないで」
「お願いだから−−−」
息子や娘の声がだんだん遠くなっていく。
ありがとう。
今までの人生に悔いはない。妻に恵まれ、こんなに親孝行な子供たちに恵まれ、孫の顔もひ孫の顔を見ることが出来た。
周りに集まってくれている子供たちの顔を見渡してから、
「少し疲れたな、もう寝るよ」
俺はそっと目を閉じた。
−−−−−
しつこいアラームの音で、俺はがばりと身を起こした。
時計を見ると朝の6時。
寝たのは確か、夜更かしして2時回ってたはず。だからたったの4時間しか寝ていない。
それなのに、なんだかやたら長い時間が過ぎたように思えた。俺が大学を卒業して、起業して、大金持ちになって、子供たちに恵まれて、天寿を全うする、一つの人生を歩んだような気がしたのだが。
たったの4時間だったのか。などと考え事をしていたら、またアラームが鳴った。
6時半だ。
今朝は俺が食事担当なので明らかに遅刻である。
慌てて着替え、ダイニングに向かう。
そこではすでに起床した兄が、自分の朝ごはんを食べていた。ちなみに朝食は焼鮭に味噌汁と白米、漬物と定番である。我が家は和食派なのだ。
朝食の席で、さっそく夢の話をした。
「なんか俺の半生の夢を見たんだよ。はぁ。現実でも金持ちだったらよかったのにな〜」
現実の俺はバイトをしているのに金が無い。自分でも何に使っているか分からない。
そうか。
兄はもぐもぐと口を動かしながら頷いたあと、いったん箸を置いてお茶を飲む。
「こうして俺と会話していることのほうが、実は夢だったりしてな」
兄は焼き鮭をきれいにくずしながら口に入れる。
「そんな事ないだろ〜だってこんなに味噌汁アツアツだし。さっきの話なんてもうぼんやりしてる」
味噌汁に手を付けながら、俺は何だか不穏な兄の言葉を打ち消すように思わずそう言っていた。
「そうだな」
兄は時計をちらりと見て、食器を片付けるために席を立った。
「今日は会議に遅れそうだ。今朝当番遅刻したから今晩の夕食こそは頼むぞ」
そう言い残して兄は自室に向かった。今日はリモート会議らしい。
俺は食器を片付けると、講義まで時間があるからとゆっくりした。
そして、また夢を見るのだった。
−−−−
夢と現実といえば、
胡蝶の夢という発想しか浮かばかったのです。
夢と現実
なんか私が生きてる世界で起こったことの6~7割くらい見たことある気が…ってなるんですけど、正夢かな…
あ!地震とか、そういう大したのじゃなくて、この景色見覚えあるな…みたいな感じなんです!!
えーまだ土曜日じゃないですけど、投稿出来そうならしとこうと思ってしました!!
で、またお知らせがあるんですけど、お名前変えます!!
LINEVOOMでの活動名?です!個人アカなので、活動名つて言うのかな…
土曜日に変えるので、「誰だ?これ」ってならないで下さい!!笑
創作については、はい、ぼちぼち投稿していきたいです
働けなくなってしまった。
ずーっと
なりたかった
職業だったのに。
毎日
毎日
失敗して
色々な人に
指導されて
でも
やっぱり
また失敗して。
きっと
今日も
また
陰口言われてる。
そう思ったら
ごはんが
食べられなくなって
仕事に行こうとすると
吐き気がして
3日で
3キロも
痩せてしまった。
―――わたしには
この仕事は
むいてなかったのかな。
#夢と現実
わたしの夢は世界が平和になること。
心の底からそう思っている。
人が笑顔で暮らせる、無差別に残酷なことがない世界。
そんな平和な世界が夢。
でも、現実は夢とはかけ離れていて。
わたしがどう足掻こうとも夢は叶わない。
みんなさ、武器を捨てて手を繋ごうよ。
やってみようよ。
今ある残酷な現実を、
平和な世界にするための夢を叶えようよ。
ーーーーーー
夢と現実
夢と現実の差に苦しめられることなんてない。
夢の見方なんてとっくに忘れてしまったから。
─夢と現実─ #131
間接照明の夕焼けみたいなライトで過ごす午後3時47分。
HomePodから寺尾 聰の『ルビーの指環』が流れている。
最近はめっきり寒くなり、もうどこへ行くにも──リビングや仕事部屋、寝室など──毛布を手ばなせない季節がきたんだなあとしみじみ思う。
マイブームのそば茶のティーパックを水筒へ落とし、ぽこぽこと沸騰したお湯を注ぎいれる。
水筒では、わたしのお気に入りのグラス1.7杯分のしか飲めないので、そば茶のティーパックは朝から何番も何番も煎じられて、この時間にはすっかり出がらしになっている。
そば茶とは到底よべない、ほぼ透明のお湯。
ルビーのリングを買おうかしら。
この世界のどこかで、指にはめたルビーを探している人がいるかもしれないのだから。
【夢と現実】
[夢と現実]#07
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たくさん将来の夢がある
アイドルになりたい、社長になりたい…
先生になりたい、医者になりたい…
ある時、学校の先生に言われた
『現実はそんな簡単に夢を叶えられないのよ』
そんなの知っている
でも、だからこそ夢を見るんだ
"夢と現実"をちゃんと知ってるからこそ
たくさん夢があるんだぁ
╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌
(新品のランドセルを背負ってた時の私より)
誰も傷付かない世界が、もしあればと思いながら、結局のところ、あって欲しくなどなかった 夢と現実
⭐️夢と現実
唯一借りられるこの身体
実際にその場所まで
行こうと思えば行ける
会いたい人にも会える
話したい人とも話せる
それでも何かがセーブさせる
目を閉じて浮かぶ情景に
思いを馳せて
拓けた世界は妙に色彩が豊かで眩しかった。並木道の桜は空のように青いし、高く建ち並ぶビルの色はパステルカラーに染まっている。電灯は明るい緑で地面は菫色だ。周りには多くの人々の行き交う気配だけが漂っていて、人の声はするのに目を凝らすとしゃぼん玉みたく弾けて居なくなる。あるいは、白くぼやけた塊が見えた側から霧散していく。おかげでこの状況を誰にも確認できない。どうしたものかと頭を抱えて唸っていると、
「会いにきてくれてありがとう。私の大切なあなた」
正面からふと、焼きたてのシュガーバタークレープのような甘い香りがした。一瞬違和感を覚えたが、ひどく心を落ち着かせる柔らかい声に、自然と導かれるまま顔を向けるとこちらを見て笑みを浮かべる少女が居た。
「どういうこと?」
最初の一言以降何も言わない彼女は、説明もなく俺の手を引きこの喫茶店へ足を踏み入れた。カウンターの奥でグラスを磨くスーツ姿の男性の頭はマーガレットの花の形をしている。入ってきてすぐ、見間違いかと目を擦ってもう一度見たが静かに会釈を返す仕草は優雅な紳士そのものだった。
彼女は言った。私の大切なあなた、と。聞きたいことは山程あったが口をついて出た質問は理由を聞くそれだった。ここに来て数十分の話だが言葉の通じる相手と出会えたのは彼女が初めてだ。見た目からして十五、六……多く見積もって十七歳位の少女はもう五十近い自分にとっては若い女の子だ。こんな若い知り合いはいないはず、それなのに少女は俺のことを〝大切〟だと言う。
「私はあなたの知る人よ、それは間違いないから。そしてあなたは私の大切な人、だから味方。安心して」
それだけ言うと、彼女はメニュー表を一瞥してからどこからともなく現れた蒲公英頭のウェイターへ飲み物を注文する。一分も経たない内に出てきたのはマロウブルーの紅茶。鮮やかな紫紺が湯気を立てる光景にはまた違和感を覚えたが、ズキリとこめかみに痛みが走ったので考えるのをやめた。まずは情報収集が先だ。
「ここは何処なんだ? 君以外に人は居ないし、俺の知っている場所と似てるようで全然違う」
「造られた世界だからね」
「造られた世界?」
「そう、面白いところなの。紅茶も無料で飲み放題」
「君は好物かもしれないが……っ、!?」
突如、頭に激痛が走る。先程の痛みとは比べ物にならないくらいの痛みに強く目を瞑る。視界の端で慌てた様子の彼女が席を立ってこちらへ駆け寄るのがわかった。何故、俺は少女の好物を知っているんだ? 喉から熱い何かが伝い体内へ染み渡っていく。霞んだ世界が再び鮮明に色づいていく。徐々に痛みが引いていき薄く閉じていた瞼を上げると俺は彼女に紅茶を飲まされていた。続けていれば当然、咽せるわけで。
「……っげほ! っけほ、…ゔ、もう飲めな、」
「ごめんなさい! 大丈夫だった!?」
「だいじょう、ぶ……なんとか」
「よかった……」
「ありがとう、助かったよ。薬みたいな味でよく効いた」
「ハーブティー、苦手なの?」
「飲めないほどでは」
「それ苦手って言わない?」
「そんなことない」
否定を返す俺に対し彼女は安心した顔で笑っていた。本当にそんなことはない。一人好んで飲むことはないけれど傍で眺めているのは好きだった。特に、マロウブルーは。
「その紅茶って何か入ってる?」
「何かってなに?」
「頭痛薬とか」
「入ってるわけないでしょう」
「こんなすぐ治るなんておかしくないか?」
「マロウブルーは特別なの。それより楽しいことしようよ」
「特別ってどういう……」
「特別は特別。折角だからこの世界で出来る事したいな」
これ以上は聞く耳持たずと改めて深緑のソファに浅く腰掛け、特別な紅茶を十分味わった彼女は行儀良く手を合わせごちそうさまを告げる。
それからは喫茶店を出て一通り街の中を見て回ることになった。ピンクに染まった本物の像がいる公園、分厚い雲の上まで届く前衛的なオブジェ、開けたら閉めるまで宝石が出続ける箱を売る雑貨屋。所々で起きる頭痛の謎は気掛かりだったが、喫茶店で起きた痛みに比べれば全然平気だし、何よりわくわくと瞳を輝かせる少女の顔を曇らせたくはなかった。不思議と焦燥感は生まれず、寧ろこの場に居れば居るほど気にならなくなってくる。
「この服似合う? ちょっと子供っぽいかな」
「子供っぽいって子供だろう」
「大人です。似合う?」
「大人じゃ……、あー似合う似合う」
「生返事! もういい、好きなの買うから」
「最初からそうした方がいいぞ」
「あなたの好みが知りたかったの」
「好みねえ……」
服を見たいと言う少女の願いに応え、次にやってきたのは一日じゃまわりきれないほどに広大なアウトレットモールだ。こんなに広い場所でも相変わらず人の気配や声はするのに姿形は朧げで、彼女以外にしっかり認識できる者はいない。今選んでいる花柄のワンピースは、落ち着いた色合いかつ地味にならない華のあるデザインで、少女から大人の間の女性によく似合う──つまり彼女にとても似合うワンピースだった。けれども、服のセンスには自信が無く、着るなら自分の好みに合った物が一番だという考えなのでいい加減な返事をしてしまった。あと、なんか照れくさい。
「決めたわ。これにする」
「決まってよかったな」
「あなたが好みを教えてくれればもっと早かった」
「はいはい」
早速着て出掛けたい、と試着室へ行く彼女を見送り、待つ間にぼうっと今の状況を整理してみる。似ているのに違う世界、人間として認識できるのは言葉の通じる少女のみ、違和感を覚えると頭痛がする、他には……。考え込むうちに手持ち無沙汰になっていた空っぽの手のひらに視線がいく。そういえばよく手を繋いでいるのに温度を感じたことがない……?
「お待たせ!」
はっとして顔を上げるとそこには、小ぶりの白い花が散りばめられたアイスグリーンのワンピースを纏う麗しい女性が立っていた。思わず目を見開く、服が変わるだけでこうも印象が変わるのか。照れ隠しに横髪を撫でながら微笑む彼女は自分のよく知る女性に酷似していた。
いや、今確信した。目の前の女性は〝私の妻〟だ。
──妻は花屋に勤めていた。花になど興味も無かった私にひとつひとつ花の名前を教えてくれたのは彼女だった。大好物は焼きたてのシュガーバタークレープとマロウブルーの紅茶。結婚後も家でよく作るためそれらはすっかり彼女の香りとして認識していた。
そんな彼女の笑う顔に翳りが見え始めたのは戦争の通達が国全体に行き渡った頃のこと。齢五十といえどまだまだ現役の私は当然駆り出される男の一人で彼女はずっと首を横に振り続け、私達は共に国の厳命に逆らい続けた。許されることではない、いずれ罰が下ると分かっていても一緒に過ごす日々を失う恐怖の方が何倍にも勝る。妻もその気持ちは同じで、蝋燭の灯火のような弱々しい光が消えゆく最後の時まで厚かましくも生きる事を決意した。
気がつくと辺りは真っ暗だった。焦げた匂いのする黒い部屋は、焼け落ちた家の跡だとすぐに分かった。頭が痛いのは崩れて落ちてきた柱に当たって出血が酷いからだ。なんとか少しだけ顔を動かすと、隣には手を繋いで穏やかに眠る妻の姿。同じように目を瞑ると眠る前の光景が思い浮かぶ。
本格的な戦争が始まり、平和だったこの街も敵の攻撃で燃え盛る炎の海となった。けたたましい阿鼻叫喚の中避難を仰ぐ声も頻りに聞こえてきたが、いつ死んでもおかしくないと思っていた私達は闇雲に逃げ隠れることはせず、籠城を決め込み、いつもどおりの一日を過ごそうと約束していた。次第にこの家も燃え移ってきた火で焼け落ちる、そんなときでも妻はあの紅茶を淹れてくれたのだった。
「どんな形でもいいから夢の世界ではずっと一緒にいられますように」
彼女が告げる最期の言葉を胸に刻みながら二人で大量の睡眠薬と一緒にマロウブルーの紅茶を飲んだ。深く、深く眠れるように、想いの込められた紅茶は私に幼い時の彼女を見せてくれた。私が思い出して意識を取り戻さぬように下手な誤魔化しで話を逸らす少女の顔が愛おしく感じる。もう一度君とともに、今度は目覚めぬ夢の中で、ずっと同じ時を過ごそう。
#夢と現実
夢と現実
「おかーさん…僕…ね…
今年の…クリスマス会…できる…?」
呼吸器を付けた息子の小さな夢
「できるよ…」
笑顔で答える
彼は私の答えに力無く微笑んだ
彼の小さな夢、それを叶えられるかは神のみぞ知る
No.193『夢と現実』
夢は所詮夢で、現実じゃない。
でも夢を見るだけなら許されるでしょう?
夢と現実について、私は沢山想うことが有る。
本当に私は今、「現実」と言われる空間にいるのか。
はたまた知らぬ間に「夢」と言われる空間にいるのか。
自分の意識があり、感覚がある
この瞬間に抱いている夢とは違う。
物質的なものなのか精神的なものなのかという視点から色々想う。
今、「自分」と認識している「私」が
眠っている間に見る夢がある。
であれば、死後に見る夢もあるのでは無いか?
まあもし仮にそれが存在するとしたら
それは一体どういうものなのだろうとも考える。
若しくは実は「今」が眠っていて、
現実と勘違いしているだけなのか。
だとすれば眠っている本望の私は何処にいるんだろう。
そんなこと考えていると、
全部が私で全部が私じゃないみたいな気もしてくる。
物質的なものなのか精神的なものなのかも分からなくなってくる。
もう分からなくなってる時点で、考えすぎなだけだが。
でも夢の世界が現実で見られたら、体験出来たら、
どんなに幸せだろうと思いながら起きる日があれば
今日の夢は現実じゃなくてよかった……
と冷や冷やしながら起きる日もあることだけは確か。
そんなこと考えていたらなんだか眠くなってきた。
今日はいい夢、見られるかな。
「夢にお前が出てきたから、叩いてみたら泣き出してさ。可愛かったなぁ」
「ずるいわ、夢のあたしばっかり」
「本当、夢じゃ可愛かったのになぁ」
お題:夢と現実
夢と現実
現実は苦しいものばかりで息をするのがやっとなのだけれど、物語の世界は少なくとも現実にあるような苦しさはないから息をするのがとても楽
もう日が沈む あわいピンクに染まる雲
あそこなら きっと魔法が使える、なんて
黄昏時のゆめうつつ
▶34.「夢と現実」それぞれが望むもの
33.「さよならは言わないで」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
---
時系列不明
花街にて
「見てー、私の爪キレイでしょ」
いつものように寝床に腰掛けていると、
子猫が両手の甲をパッと✕✕✕の前に向けて翳した。
「私に美醜の判断はできないが、どの指の爪も均等に整えられ、色もムラなく塗られているのは分かる。また、濃い色に染めるのは技術が必要だろう」
そう人形が応えると手を引っ込め、口角を上げた。
「そうよ、よく分かってるじゃない。合格をあげるわ。ふふ、これでお客さんをいーっぱい夢中にさせるんだから」
「子猫は外に出たいと言っていた」
「うん。いっぱい稼いで、自分で自分を買って、外に出たい。私、花街から出たことないから」
うーん、と子猫は窓に向かって伸びをした。その横顔は年相応の少女に見える。
「ま、それまで元気でいられるか分からないけどね。ね、✕✕✕は?夢ってあるの?」
「私は…人形だ。夢という曖昧な希望を持つことはしない」
【夢と現実】
夢、そういえば小さい頃なりたいと思ったものは特にはなかった。どちらかと言うと現実主義で『どうせできない』なんて大人じみた回答をしていた。
夢は直面する現実から逃れたいと強く願う人が見る幻想だと感じている。
今が楽しければいいとみんな思っているだろう。その中の数パーセントが夢のために今を犠牲にするのだろう。
今を見ている人間と未来を見ている人間、果たしてどちらが夢に近いのか