『夢が醒める前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題:夢が醒める前に
夢を見たんだ、とてもしあわせな夢
家族が笑って過ごしている。そんな日常
とても泣きたくなった、とても懐かしく思った
このしあわせな夢から醒めたくないと思った
でもどうしても夢は醒めるものだ…
なら夢が醒める前にこの想いを諦めて
夢はよく見るが、ことごとく覚えていない。
私は寝不足が耐えられない性質で、比較的若い頃から徹夜が苦手だった。
仕方なく徹夜して、そのまま仕事を続けてしまうと、必ず失敗したりして周囲に迷惑をかけるので、極力徹夜はせず、少しでも間に寝たりする。
また、寝ようと思えばどこでも寝られた。バスの座席、駅のベンチ、空港の待合スペースの椅子・・・まあ、放浪もしていたくらいだから。
夢はレム睡眠の時に見ると言われるが、そのような浅い眠りの時に見ているようだから、毎日見ているはずだが、何も覚えていない。
凄い夢を見たという感覚だけは覚えている。
これは考えてみると勿体ない話なのかも知れない。
つげ義春は自分の夢を記録してマンガのネタにしているらしいし、
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹も夢で新しい理論を発見しノートに書き留めたというし、
南方熊楠は夢の中で新種の粘菌を発見し、実際に夢の場所と同じところで発見しているのだから、夢と言ってもバカには出来ない。
落語の「夢の酒」では他人が見た夢の続きを見る方法が出て来て、
淡島様の上の句を唱えて寝ると良いらしい。
「われ頼む 人の悩みの なごめずば 世に淡島の 神といはれじ」
というのがその文句である。
夢はどうしても醒めるので、次に寝る時にその続きが見られるなら問題がないはずだ。
見た夢の内容を出来るだけ細かく記録して、ドリームジャーナルつけたり、
ルシッドドリーミングを試みると良いそうだ。
ルシッドドリーミングとは、夢の中で、自分が夢だと気が付く事である。確かにそういう夢を見ることも、たまにはあるような気がする。
文章のネタにもなりそうだし、
今日から、枕元にメモ帳とボールペンを、置いて寝てみょうかしら?
✨夢が醒める前に✨
今 起きているすべてが
誰かの夢の中の出来事なら
夢から醒めたら
僕たちは存在するのだろうか
今の世に存在するすべての
事の始まりが解明されていないこの世界は
誰かの夢の中で
無から有を生み出しているのかもしれない
知らない誰かが
夢から醒める前に
夢の中の僕たちに出来る事は何だろう…
『夢が醒める前に』
幸せな一日になることを期待して、夢を見れることを期待して彼に会えることを期待して、夢と魔法に満ち溢れたあの王国へと足を運んだ。
一日が終わって夢から醒めてしまう前に、フリーグリーティングに出てきてゲストの皆とご挨拶をしている彼の元気なお姿を眺められれば、私はそれだけで幸せだから。欲を言えば、光とファンタジーの世界に私達を引き連れてくれるパレードでファンサをしてくれれば、それだけでもう生きていけると思えるから。
【夢が覚める前に】
(※性的表現有🔞)
最近 職場で『兄』が出来た。
同じ所属場所の先輩で
オレを可愛がってくれている。
「お兄ちゃん!」
最初はふざけ半分に呼び合っていたが
いつの間に定着していた。
仕事終わりには
毎日 お兄ちゃんと一緒に帰る。
何をするのもいつも一緒だった。
「お兄ちゃん!大好きだよ!」
オレは実の兄のように仲良くしていた
一人っ子だったオレにとって嬉しかった。
ある日、お兄ちゃんが家に招待してくれた。
お兄ちゃんの家はワンルーム。
いかにも『一人暮らしの男性の部屋』という
感じの部屋だった。
しばらく仕事の話、生活の話をして過ごしていた。
そして何を思ったのか お兄ちゃんはオレにキスをした。
「え…?」
「ダメだった?」
「…。」
オレは驚きを隠せなかった。
戸惑っているオレにもう一度お兄ちゃんはキスをした。
今度は深くて熱いキスだった。
「お兄ちゃ…」
お兄ちゃんの目つきは『弟』を見る目ではなく
獲物を狩る『獣』のような目つきになっていた。
「愛斗 こっちに来て」
お兄ちゃんがオレを呼んで上に乗らせる。
それからもずっとキスをし合っていた。
「お兄ちゃん ダメだよ…」
お兄ちゃんは逃がさないようにオレを抱きしめて
キスでなかなかオレを帰らせてくれなかった。
「愛斗…オレ…やばい…」
お兄ちゃんはいつの間にかパツパツに
発情しはじめていた。
「ダメか?」
「今日はダメ…帰らなきゃ
今度家に来た時にして」
「…わかった」
その日は帰してくれたが
もちろん旦那には言えなかった。
「今度 家に行ったら
絶対 抱かれてしまう…//」
脳内では思い出し悩みつつ
恥ずかしかった。
月曜日にお兄ちゃんにの家に行く約束をしていた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
オレはドキドキしながら
再びお兄ちゃんの部屋に入った。
「こっちにおいで 愛斗」
ドキッとした。
オレは少し気まずくお兄ちゃんの横に座った。
「ちがう こっち」
お兄ちゃんの手に引かれ
またオレはこの前のようにオレを上に乗せた。
「おかえり」
グッとオレの体を抱き寄せて
また熱いキスをした。
罪悪感があっても
ずっとキスをしていると脳が痺れて
いつの間にかオレも求め始めていた。
「お兄ちゃん オレ、旦那がいるんだけど…」
「そうだったのか…ちょっとショックだな」
「それに オレは…」
「ああ、確かに『男』だな。
でも今は関係ない。
可愛らしいお前が悪いんだよ。」
お兄ちゃんはおかまいなしに
オレにキスをし続けた。
首筋にも、耳にも…
オレはキスをされたまま押し倒された。
これから抱かれることにドキドキしながら
キスを楽しんだ。
「もう限界だ。いれるぞ」
「ちょ…まっ…」
お兄ちゃんは興奮のあまりせっかちだった。
しょっぱなから激しく動かれて
オレは声を我慢しながら身もだえた。
「ひっ…!」
旦那より大きいソレは
中で激しく暴れてオレを壊していった。
「ん…んんっ…んぐっ」
痛みと快楽が全身に駆け巡って
何も考えられなくなった。
「もう夢中になってるね?」
何も考えたくなかった。
オレはただ『兄』として思っていたのに
その『兄』にめちゃくちゃに犯されるなんて…。
「こ…こわれる…」
もう遅かった…。
終わった頃、オレはガクガクになり
なかなか立てなかった。
「おい大丈夫か?
これからおたがいに仕事だろ。
シャキッとしろ。淫🔞。」
ふらふらになりながらも出勤し
いつもどうりに仕事を始めた。
「内緒…ですよね…?」
「あたりまえだ。」
二人だけの秘密ができてしまった。
ああ、まちがえた。
あんなこと言わなければよかった。
あの時あんなことしなければよかった。
夜の帳が静静と下りた午前1時。布団の中で思い出すのは今日一日のこと。
大したことではないことかもしれない。
けど、ちょっとしたミスとか、言動とか、なんとなく「まちがえてしまった」ことを私はずるずる引きずってしまう。
資料のミス。会議での発言。同僚とのコミュニケーション。
その全ての記憶が私をぎりぎりと締め付ける。
後悔なんてしたって意味ないってことは理解している。でも後悔しないと私は生きていけない。
後悔は私にとっての薬であり毒である。
苦しいと分かっていても決して拭えない。
苦しくなって目をぎゅっと瞑るが、それでも身体中の傷跡は癒えない。
ただ瞼に映るのは今日一日の間違えた場面だけ。
ああ、つらい。
この苦しみに夜の深さが拍車をかける。
このまま闇に溶けて無くなってしまいたくなる。
夜よ、私をこのまま呑み込んでくれと、何度願ったことか。
目を閉じると体の奥の小さなすり傷に涙が染み入る。
くるしい。
冷たい指先で枕元の錠剤を手繰り寄せ、飲み込む。
こんな夜は、眠るのを待っても意味がない。
薬に眠らせてもらうことしかできない。
どうか、この傷たちよ癒えてくれ。
夜が明ける前に。
光がこの身を包む前に。
夢が醒める前に。
【夢が覚める前に】
ネットで知り合った人たちと
会いたいね。って話はなんとなくあった。
でも、人見知り、仲良しだけどやっぱり怖い。
なんて思ってたけど、会ったら前から
知ってた。とても近い2人。
だいすきだよ。
3人でする全てがキラキラしてる。
ずっと笑って話して楽しくって。
あっという間だった。
夢見たいだね。
覚めてほしくない夢。
別れたあとのロスがすごくて落ち込んだ。
今もまだ、あの日が夢だったのかな。。っておもう。
2人がだいすきだよ。
出会ってくれてありがとう。
残された時間の中であと何回会えるのかな。
泣かないで LADY
きっとこんな夜に また会えるから
吐息ひとつ 伏せた瞳
あなたの仕草が 心締めつける
微笑んで LADY
君がいない部屋で 独り泣き濡れる
時が過ぎて 涙乾いて
壊れゆくメロディ 心揺れ動く
次のシーンに変わる前のほんの一瞬の間に
伝えたかった想いは グラスの底に沈んで
先が見えないこの時代の片隅に生きている
誰もがDreamer 孤独の中で夢見る
だから夢が醒める前に もう一度だけ会えたら
誰かの思惑など気にせずに 君を連れて明日へ
許されない生き方なんて無いさ
望まれない幸せなら欲しくない
いつか夢が醒める前に 世界を失ったとしても
二人だけの居場所を探して 君を連れていくよ
許されない生き方だとされても
醒めない夢を見続けているなら
目を覚ました朝に 隣に君がいない世界ならいらない
ただひたすらに夜を待ち 君への愛を伝えられる場所へ
泣かないで LADY
きっとこんな夜に また会えるから
吐息ひとつ 伏せた瞳
あなたの仕草に 心惹かれてく
朝が来た。
まだ瞳を開けていないが瞼の裏にまで潜り込んでくる白い光と、吸い込んだ空気の生温さでそう感じる。
少しずつ覚醒してくる意識でもって、己の目を固く閉じる。
まだ今日という日を視認する前の、穏やかな私でいたい。
昨夜放り出したままの衣服や、今日締切の仕事や、指先の絆創膏に、気づかないままの自分でいたい。
夢の切れ端からむりやり紡ぎ出したような、淡く馬鹿げた妄想で、あと少しだけ、無垢なフリをさせて。
3/21 夢が醒める前に
あなたに会う夢を見た。
夢の中のあなたは、あの頃の姿のまま、
あの頃と変わらない笑みを浮かべていて。
それがとても嬉しくて、
どうしようもなく寂しくて。
夢だと気づいているけれど、
手が届かないとわかっているけれど、
手を伸ばすのを止められない。
なんて優しくて、残酷な夢。
せめて、夢が醒める前に、一言だけ。
また会いましょうと伝えたら。
またね、と懐かしい声が聞こえた気がした。
彼女はマフラーで頬を撫でながら言う。
「どう、似合う?」
その笑顔が凄く嬉しそうで、こちらも思わず笑ってしまう。こんなに喜んでくれるなら来年は指輪でも贈ろうか。
そんな事を考えていると、彼女から箱を差し出された。
「これ、私からもあげる!」
お礼を言うと、照れているのか彼女の顔は赤く帯びていた。微笑ましく思いながらも箱を開ける。
すると入っていたのは宝石が一つついたネックレス。
その宝石は透明がかった青色で、まるで涙のように綺麗だった。
「それ"アクアマリン"って言う宝石なんだ」
宝石に詳しくない自分は首を傾げる。彼女もたいして宝石には詳しくないはずだ。頭にはてなを浮かべる僕に、彼女は「ふふん」と自慢げに笑った。
「この日の為にたくさん調べたんだよ、恋人同士に幸福をもたらすんだって!」
柔らかいその笑顔に僕は凄く嬉しかった。勢いよく抱きしめて彼女に愛を伝えようとする。
「真奈、愛し──
─夢が途切れる。
目の前には黄ばんだ壁と散らばったゴミ。
「またか」
そう小さく呟いた。
よく、昔の夢を見る。10年程前の記憶だった。
彼女との記念日を祝い合った日。
首にかけたアクアマリンを握りしめる。また、彼女との記憶を鮮明に思い出してしまう。初めて告白した日も、初めてお化け屋敷に行った日も。
そして彼女が事故で死んだ日も。
もう涙も出なかった。胸に異物を抱きながら仕事の準備をする。
スーツを着て、鞄を持って家を出た。美味しい空気も夢を見た後ではまるで泥のようだ。
どうせなら夢が醒める前に、夢でもいいから
「彼女にプロポーズしたい」
そういつもと同じ言葉を吐いた。
『夢が醒める前に』
私の誕生日にはパパとママと一緒に
食べ放題のお店に行く約束をしていたの。
朝起きるとパパが部屋来て「さあ、食べ放題に
行こう。タクシーが待ってるよ」
玄関を出ると象のタクシーが待っていて
皆で背中のカゴに乗ってゆらりゆらり揺れながら
お店に着いた頃にはもう閉店してて‥
大泣きしながら目が覚めた。ああ、夢か。
するとパパが来て「食べ放題に行こう」
パパの車でちゃんとお店に着いたから
今度はたぶん大丈夫。
焼き肉とお寿司とケーキをお皿に盛って座ると
隣の席に大好きなはっぴぃ☆ふぁいぶのユウリが!
‥え、これは夢?それとも現実?どっち?どっち?
どっちにしても夢が醒める前に、早くサインを貰うんだ!
選抜高校野球が始まった。高校球児だったわたしは、この時期になると試合が気になって、仕事に身が入らない。休みの日には全試合観ることもある。
高校野球を観ていると、純粋に夢を追い続けていた10代を思い出す。野球を始めた9歳から高校3年の夏までの約10年間は「甲子園出場」のために努力し続けた。あの頃、練習はきつかったが毎日が充実していた。
甲子園出場という夢が散り、大学入学という新たな夢ができたのだが、夢から夢への接続は上手く行かなかった。大学受験のための勉強には身が入らず現役では不合格。不合格で落ち込んだが、入った予備校での生活は充実していた。面白い授業、意識の高い友人。現役の時とは比べられない位勉強に没頭した。野球にのめり込んだように。
甲子園出場とういう夢を抱きながら、大学入学という夢も持つことが出来たら浪人することはなかっただろう。夢から覚める前に新たな夢を持つ。
夢の中で生き、夢の中で死んでいく。そうたな。
その目で私を見つめたあの時、
その手を私に触れたあの瞬間、
私は初めて、醒めたくないと、
もがくように祈った。
あのひとときをもう一度。
あの感覚をもう一度。
醒めても募るこの想い。
どうかもう一度、
"あの世"に連れてって。
【夢が醒める前に】
夢が醒める前に
夢占い、夢の内容は直前に考えた事とか夢について色々と言われていることがある。楽しい夢もあれば辛い夢も見る。
現実かと疑うような夢見たいな瞬間が現実に訪れることがある。幸せすぎて受け入れきれないような。
偶然訪れる夢のような瞬間。ずっと願い続けて叶った瞬間。
現実でも夢でもどちらだっていい。今自分が見ている世界が幸せならそれでいい。だから夢が醒める前に手に入れることのできる幸せは全部掴み切りたい。たとえ叶わぬ恋だとしても、今目の前にいるあなたとのこの時間を、終わりのあるこの時間を一緒に笑っていたいよ、
「こっちにおいで」
「あ……はい。ありがとうございます」
危ないね、と彼が私の肩を引き寄せてスピードを出しすぎていた車から守ってくれる。
こういう思わせぶりなところ、私に気が無いと分かっていてもときめいてしまう。
__3月21日、木曜日。今日はずっと前から片思いをしている相手、倫太郎さんとお出かけをしていた。
私たちがお出かけをするきっかけとなったのは共通の友人の誕生日プレゼントを買いに行くためだ。
倫太郎さんは近所の喫茶店で働いている。喫茶店は落ち着いた雰囲気が心地よく、生活の合間に休息をするのに適しており、通い始めてから常連になるのは早かった。
そこで働く倫太郎さんの事が気になり始めたのは、彼がつまずいて私にコーヒーをぶちまけたとき。
おそらく30代前半、漆黒の髪に艶気を含んだ低い声。普段店で着ている黒いシャツも相まって色気のある紳士という印象だったが、やってしまったと青ざめる彼の外見と中身のギャップに惹かれて、だんだん彼から目が離せなくなっていった。
きっとこれが恋なんだろう。
いつの間にか喫茶店に通う理由が単なる休息のためではなく、倫太郎さんに会うためになっていった。
倫太郎さんは店の外でどんな服を着るの?
倫太郎さんはなんのテレビ番組が好きなの?
倫太郎さんはどんな音楽を聴くの?
もっと知りたい。もっと話したい。私の恋心は店員と客の関係では満足できなくなっていた。
__そんな時、転機が訪れた。
男友達に倫太郎さんに片思いしている事を話した際、1度見てみたいと言うので、喫茶店に連れて行ったときがあった。
2人が顔を合わせた瞬間、互いに一気に喋り出すものだから話を聞けば旧知の仲だと言う。
男友達はまさか倫太郎さんがこの喫茶店で働いているとは考えもせず、同じ名前なのもただの偶然だと思っていたようだ。
男友達と談笑する倫太郎さんはとても楽しそうで、ああ、仲がいい人の前ではそんな顔をするのかと、 大人げもなくやきもちを焼いた。
私は倫太郎さんにとってただの客でしかない。それは分かっているが、嫌でも比較してしまう。
コーヒーを飲みながら2人の話に耳を傾けていると、恋愛の話になったようだ。
「そういや、倫太郎さんは今付き合ってる人とかいるんスか?」
心臓が飛び跳ねる。私がずっと聞けずにいた事を男友達は軽々と聞いた。指先が急速に冷えていく。
「俺?今はいないよ」
__緊張の一瞬から解放され、ホッと胸を撫で下ろす。
いないんだ、倫太郎さん……
自分にもチャンスがあるという考えがふと頭をかすめる。
「どんな人がタイプなんスか?」
安心したのも束の間、男友達の爆弾発言によりまた緊張で指が冷える。
「うーん……そういうのは特にないかな?ごめんね。期待に添えなくて」
「えーなんスかそれ!もっといろいろあるっしょ!?例えばショートヘアの子が好きとか!」
「見た目のタイプは特にないんだけど…でも、やっぱり一緒にいて安心できる人は良いよね」
……なんというか、当たり障りのない返事ばかりが返ってきて拍子抜けだ。いや、安心はしたが。
それよりもコイツ!この男!!ほんとバカ!!いきなり突っ込みすぎでしょ!!?!倫太郎さんに恋人がいないって知れたのはありがたいけど!!
「そーいや、お前は?」
「……は?へ?わたし!?」
「そうだよ」とため息をついて肩をすくめる男友達は、動揺しすぎだろ、と目で語りかけてくる。
「わ、わたしは」
なんて答えるのが正解なんだろう?さっきの倫太郎さんみたいに当たり障りの無い感じでいくのが無難?
__いや、分かっている。今、この場で男友達が私に質問をしたのは、私が倫太郎さんに恋をしていると知っているからだ。いつまでも消極的でいるわけにはいかない。そんな私にチャンスは降り立たない。
「……私は、黒髪で、低い声の、年上の…男の人が好きです」
好きなタイプにしては具体的すぎる気がしてきた。自分でもかなり勇気を振り絞った方だが、いっそのことあなたみたいな人ですと告白した方が良かったかもしれない。
「ふーん……なんか、倫太郎さんっぽくないスか?」
「へ!?」またもやこの男の爆弾発言に激しく動揺する。
「ははは、俺?そうだったら嬉しいなあ。でももうおじさんだし……他にもっと素敵な人がいるよ」
違う。あなただから。倫太郎さんだから良いのに。他の人じゃ意味がないのに。
__その後は私の用事があったので解散になった。男友達にしつこく質問しすぎだと怒ると「恋はあんぐらい貪欲じゃねーと進展しない」と逆にこっちが諭されてしまった。
特に倫太郎さんと進展するでもなく、ただひたすら喫茶店に通い続けていたある日のこと__
「ちょっといいかな、夢花ちゃん」
ドキッと心臓が跳ねる。名前を呼ばれた。
なんですかと内容を聞いてみれば、あの男友達の誕生日プレゼントを一緒に選んでくれないかとの事だった。そういえばもうすぐだった。
話は進み1週間後にショッピングモールで倫太郎さんと買い物をする事になった。
そう。倫太郎さんと……倫太郎さんと!?!?
これってもしかしてデデデデート!?!?
ふ、服……!髪は!?メイクは!?どうしよう!!!
1週間悩みに悩み続け、結局友人と遊びに行った時に1番高評価だった黒のワンピースにすることした。髪もメイクもおそらく人生で1番気合いを入れた。
これなら倫太郎さんも少しは意識してくれるかな……と考えていたのも束の間。
倫太郎さんはその見た目に劣らず中身まで紳士的で、車からそっと守ってくれたり、扉を開けて先に通してくれたり、座る時に椅子を引いてくれたり……とにかく行動の全てがレディーファーストというか、デート中ずっとときめきが止まらず、意識をしていたのはこっちの方だった。
__時刻は午後5時半。目的のプレゼントを買い終え、もうそろそろ解散というところだった。
まだもう少し、いや、少しといわずにずっとこのデートを続けていたい。
「夢花ちゃん。今日はありがとう」
夢花。私の名前。可愛すぎるというか、名前負けしてる感じがしてあまり気に入ってはなかった。
だけど倫太郎さんが呼ぶ時は特別。その低い声で、私の大好きな声で呼んでくれるなら。
「じゃあ、今日はこれでお別れかな?」
__タイムリミットが迫る。
別れたくない。行かないでほしい。もっとそばにいて!
「また喫茶店でね、夢花ちゃん」
「待って、倫太郎さん!」
倫太郎さんの腕を掴んだ。
恋は貪欲じゃないと進展しない。男友達の教訓が脳裏をよぎる。
「なに?夢花ちゃん」倫太郎さんは優しい声で微笑みかける。
どうかこの夢が醒める前に。
「私、倫太郎さんのことが好き」
倫太郎さんは驚いたあと、こぼれるような笑顔で口を開いた。
「女の子のほうから言わせちゃったなあ」
その声は春の木漏れ日のように優しかった。
『夢が醒める前に』
完全に長くなりすぎました。
『夢が醒める前に』
好きな服を着て
好きなところへ行って
好きな人と遊んで
好きな人と写真を撮って。
病室の中ではできないことを
夢が醒める前に。
朝日を浴びながら遠くを眺めるアナタを見て胸が高鳴る感じがした。まだ春先の朝の冷たい空気が肺の中でそっと温かくなる、夢で見るような絵みたいに綺麗だ。この夢が醒める前にしっかり心に写しとこうと私は胸元で手をグッと握るのだ。
夢が覚める前に
片思いのあの人に想いを伝えに行こう。
現実では直接言えないことも夢の中でなら何でも言える気がする。
あ、見つけた。
ずっとあなたのことが好きでした。
片思いのあの人は満面の笑みでこちらを見ている。
夢が覚めちゃったみたい…
3/20「夢が醒める前に」
あ、これ、夢だな。
そう気づいてしまった。そうなると、目が醒めるのは時間の問題だ。その前に何かしないと。
俺は片思いの彼女に会えるよう念じた。景色は適当にすっ飛び、俺の眼の前には彼女が眠っていた。ショートカットで、金髪で、―――こんな子だったかな。夢の中では常に記憶は曖昧だ。
とにかく俺はその子にキスをした。
数年後、俺はどういうわけか、金髪ショートの彼女と付き合って、もうすぐ結婚するまでに至っている。
彼女にいきなり告白された時にはびっくりしたけど、その理由をいまだ彼女は明かしてくれない。
(所要時間:7分)
3/19「胸が高鳴る」
公園で彼女を見た時、不意に胸が苦しくなった。心臓が激しく鼓動を刻む。この胸の高鳴りは、どう考えても、恋―――
ではなかった。俺はその場に倒れ、救急車で運ばれた。
ちなみに、その時病院に付き添ってくれた彼女が、そのまま俺の彼女になった。結果オーライ、めでたしめでたし。
(所要時間:5分)
3/18「不条理」
妹の娘、つまり姪を、預かった。
「おりょーり、おてつだいする!」
と言って踏み台を持ってきて、隣に立つまでは可愛かった。
材料を鍋に入れると言って、ひとつずつつまんで入れる。粉をぶちこぼす。鍋をいつまでも無駄にかき混ぜる。
いつもの倍の時間と手間がかかり、疲れ切ってソファーに沈んだところで、
「おてつだいしてあげたんだから、あそんでよ!」
正論、だが理不尽。
(所要時間:5分)
3/17「泣かないよ」
怒鳴られても。
殴られても。
引きずられても。
ぼくは泣かない。泣かないよ。
ぼくがしっかりしなきゃ、ママを守れないから。
(所要時間:2分)