朝が来た。まだ瞳を開けていないが瞼の裏にまで潜り込んでくる白い光と、吸い込んだ空気の生温さでそう感じる。少しずつ覚醒してくる意識でもって、己の目を固く閉じる。まだ今日という日を視認する前の、穏やかな私でいたい。昨夜放り出したままの衣服や、今日締切の仕事や、指先の絆創膏に、気づかないままの自分でいたい。夢の切れ端からむりやり紡ぎ出したような、淡く馬鹿げた妄想で、あと少しだけ、無垢なフリをさせて。3/21 夢が醒める前に
3/21/2024, 1:44:46 AM