『夢が醒める前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「今、なんて言ったの」
「…………別れよう」
出会いはごく単純なものだった。
燻った塊同士の、乱癡気騒ぎ。
青い顔をして隅っこで縮こまった仔犬を、可愛いと思った。
酔わないから辛いんだよと差し出した、甘口の、楽園を冠するカクテル。一気に飲み干して、噎せていた。
今同じ場所で。
もうあなたの顔は青くない。
ああ、そうか。
あなたはもう、目が覚めてしまったのね。
「じゃあね。……風邪、引かないで」
中途半端で、その場限りのやさしさを求めていたのはあなただけじゃなかった。
伝えたことは、無かったけど。
あの日差し出した楽園が、今はこの手の中。
朝が来るまでは、どうかまだ。
「夢が醒める前に」
夢が醒める前に
わたしは、血圧が低くて目覚めるまでの時間がとても長くかかります。うつらうつらと淡い夢見ながらのあの時間です。
そんな夢は、とても可笑しな夢だったりします。いつもは寡黙な人がおしゃべりしてたり、姑が友達だったり。
そんな、夢が醒める前のあの世界は、一瞬だけど素敵な時間。
わたしあの瞬間に、あなたは大丈夫と言って貰いたい。誰からでもない、わたしの深層心理かもしれない、あの瞬間あの時間に。
そしたら、少しは自信が持てそうです。
夢が醒める前に存分に楽しんじゃおうぜ
どうせすぐに醒めて朝は始まるんだ
夢の中の、時の流れは速い
夢の内容は自分で選べないけど、見られた夢の世界を満喫しちゃおう
そうまるで、選べない性分をもってして生まれ制御できない境遇のなかで懸命に生きる
私たちの人生のように
完
夢が醒める前に
手が届かない
すぐそばにいるのに
こんなにも
あなたのことが、
目が開く
1日が始まる
信じていた。憧れの場所だったはずなのに。こんなにつまらなく、楽しくない場所だとは知らなかった。どうすればいいのかも、何をすればいいのかも分からないまま、途方に暮れている。
熱意もやる気も失って、抜け殻のようにさまよう日々。それでも僕はこの世界に留まり続け、何かが変わることを願い、祈り、もがく。
せめてあの時信じてた夢くらいは、どうか信じさせて。
__胡蝶の夢。
そんな言葉が頭をよぎった。
今、自分の体は本当にあるのか、
それとももうとっくの昔に朽ち果て魂だけになっているのか。
あるいはこれが夢で、現実の俺は病院の無機質な白いベッドに横たわり、眠りで重い瞼を閉じているかもしれない。
__胡蝶の夢。
指の爪の先からはらはらと、蝶が飛び立つ。
自らの体が解けていくのである。
儚く、まるで桜の花弁が風に吹かれて散っていく様に。
あぁ、こんなこと、現実では有り得ない!
しかし、今此処にある俺の視覚・聴覚・その他諸々の六感は、本当に夢なのだろうか?
__胡蝶の夢。
夢は、現実の俺が作り出した願望であると聞いた。
では、俺は「日常」と「非日常」、どちらを望んでいるのだろうか?
__胡蝶の夢。
なんと鬱くしく、美しい響きだろうか。
永遠にその世界に揺蕩っていたくなるような、
水面を漂っているような感覚である。
浮いて、沈んで、また浮いて。
__胡蝶の夢。
起きて、夢から醒めて、今日も現実に失望する。
日常は何ら変わりはしない。
ただ鬱々と、粛々と、拙い言葉で俺はこれを綴るのだ。
__胡蝶の夢?
夢が醒める前に、よぉくお考えなさいね?
夢が醒める前に
夢が醒める前に、
あなたと手を繋ぎたい。
体温も感じることができるのかが知りたい。
それだけ。
貴方を想う
長い
長い夜
貴方が恋しい
愛する
貴方の手を握り
愛おしい
貴方の横で眠る
あの日の
幸せ想うと
切なくて
どうか
夢が醒める前に
もう一度
抱きしめたい
終わらないでほしい どうか
この熱狂が
響き渡る歓声が
万雷の拍手が
お前には聞こえているか
これが
醒めない夢だと どうか気付いて
(夢が醒める前に)
夢が醒める前に、きちんと心構えをしておこう。
あの人は、もう隣にはいませんよ、と。
目が覚めたら、いつもの生活が待っていますよ、
と。
夢の中で、顔が見れて、懐かしいと思う。
それは未練ではなく、思い出を懐かしんでいる。
だから大丈夫。
目が覚めたら、またいつもの生活に、きちんと
戻っていこう。
「夢が醒める前に」
テーマ“夢が醒める前に”
ああ、コレは夢だ。
そう思った。
何処までも何処までも沈んでいく。
色のない、音のない、匂いのない、温度もない
多分水の中。
多分海の中。
もがく事もせずに、ただ沈んでいく。
浮かび上がる努力はしない。
浮かび上がると息苦しくて
このまま沈んで行くほうが楽だと知っているから。
『…げるな!…が…けるから』
何か声がする気がする。
誰の声かは分からない。
突然目の前に手が現れた。
グッと腕を掴まれた気がして、ふっと楽になる。
浮かび上がったのに、息が出来る。
誰かに抱きしめられた気がして、思わず目から雫が零れた。
夢が醒める前に
『大丈夫。君は………』
誰かに何か言われた気がする。
目を覚ますと、どんな夢を見ていたか
覚えていない。
けれど、何かに誰かに救われた気がした。
暗い、暗い。水辺に天使が舞い降りた
天使ははしゃぎ、水遊びをする。誰もいない
暗い暗い水辺で、天使は踊ったり遊んだりピザを食べる
夢が醒める前にこれが自由、何をやってもいいが何をやっ
たらいいんだろ?起きてバァァっと汗をかいた。
夢が醒める前に
理想の夢を見てた
家族が生きていて
産まれたあったかい家も
正面の風景も当たり前かのように残っていて
明日の青さが保障された満天の星空を眺めては
木の焚べた周りでみんなでホットミルクを飲んでいる
知っている限り最初の天井の下で
目を覚まし、棚の上のカレンダーを確認すると
友達との予定で埋まっている
数年前の記憶なのか
何故かそれは異常に鮮明になっている
妹となったらしい子に
今日も声をかけられる
時切、その瞳に寂しそうな自分が映り
どこかなつかしく感じていた
夢が醒める前に
お花畑のように…
キラキラして楽しんで
いたいの…
あなたと一緒に…
わたしの心は…
つかれている
なんでもないふりして
笑っていても、心は
不安で不安で仕方ないの…
あなたの前では…
元気なふりして…
でも、
嘘がつけなくなって
きた…
ごめんね
でも
夢から醒めたくなかった…
ゆっくりゆっくり
休もう…
おやすみなさい
夢が覚める前に
朝日が昇る前に
私の息の根を止めて欲しい
呼吸するのが苦しい
怒られるのが辛い
デカイ声を出されると、ビクッとなってしまう
少し震えてしまうんだ
毎日、夜は苦しい
朝日が恨めしい
夢が醒める前に
久しぶりの夢の国。
僕には子供に戻る魔法は効かなかったけど、夢を見ているような気分に浸ることができた。
「幸せ」を絵に描いたような時間。
その時だけは、現実から離れて夢を見ることができた。
でも、夢はすぐ終わってしまう。
それを知ってしまっていたから、僕は子供に戻れなかったんだな。
痛む頭を帽子で隠して、眩しい光の中を足早に歩いた。
誰も、僕の虚ろな心になんて気が付かないだろう。
皆、楽しそうに、心から夢を見ている。
暗闇で声がする。
「今を楽しめているか?」と。
僕は心の中の子供の自分をなだめながら、七色に光るライトを振った。
なんでだろう。まだ、頭が痛いや。
僕は、ちぐはぐな心と身体を繋ぎ留めるように、夜空に揺れる光を切り撮った。
そこには、魔法にかけられた僕の分身が写っている。
こんな夢ならまた見てもいいかな。
今度来るときは、心の中の子供の自分と手を繋いで、思い切り魔法にかけられてみよう。
そして会いに行くんだ。
世界中に愛されているあの人に。
あの人は「よく来たね!」と言ってくれるだろう。
夢を見させてくれてありがとう。
「またね」
僕は、心の中で大きく両手で手を振った。
そう、まるで子供みたいに。
『夢が醒める前に』
これは夢だ。
そうでなければおかしいと、私は知っている。
今そこで誰かと語らい、朗らかに笑うその人が、すでにこの世を去ったと知っている。
この事実に彼の人が気付いたその時、この夢は終わるのだと、私は知っている。
夢でもいい、伝えたいことがある。夢でもいい、もう一度会わせたい人がいる。
でも少しでもこの葛藤を悟られてしまったら、きっとその人は気付いてしまう。
伝えたい、会わせたい、悟られてはいけない。硬直したように、身体が動かない。
この夢が醒める前に、どうか。
優しい瞳がこちらを見つめて、ごめんねと言うように笑んだ。
瞼を開ける。目に映るのは自室の壁紙ではなく、水面の光が反射した、薄水色か緑色か、そんな色が混じった天井だった。ゆらゆら、ゆらゆらと水面の丸い形が揺れる。まるで海の底。
「うみ、」
海のそこ、と口から零れた言葉は、まぁるい気泡になって天井へと吸い込まれていった。思わず深く息を吐く。全てが空気の泡になってまた登っていった。半袖から覗く腕に、柔らかいものが触れているのに気がつく。産まれたての小鳥のような、しかし形がしっかりとしていないやわいもの。目線だけを動かす。岩にこびり付いた藻が、水の流れと揺れている。右手の指の合間には長い水草が生えている。足の先は沈む泥の感触がする。
ああ、ここは沼の底だ。首元を、己の髪の毛か水草かが掠めていく。小魚が顔の上を通ってゆく。そのまま小魚を追って左へと目をやると、白いものが見える。
沼の底で滅多に見れそうにない白。長細く、細かく散ったそれは、大まかな形だけを残していた。
それの右手は、私の左手に重なっていた。
私はその人になにか言おうとして、気泡だけが口から溢れ出た。閉じて、また開いて。
何か言わなくちゃいけなかったような気がする。目を閉じて考える。水面の光が瞼を透かす。
盆の日の夜だった。
お題 夢が醒める前に
“夢が醒める前に”
緩くて出られないお風呂のように
君との愛は心に空いた穴を埋めていく。
今夜、また夢で君と会えたら
もう一度あの時言えなかった言葉を
夢が醒めてしまう前に。
ずっと遠くまであるような、私一人を取り囲んでいるような、ただただ藍色の世界。
時折りそのようなところへ、睡眠中に連れて行かれるのです。
その、一面藍色の世界では、金色がちらちらと桜の花びらのように降り注ぎ、消えて、また降り注ぐ、というのが静かに繰り返されます。
水色の薄雲のようなものが発光しながら漂っていることもあります。
自分以外には誰もいないし、音も無いのに
私はまるで楽しそうに、面白がって歩いています。
なんの不安もないのです。
優しい夢、お気に入りの夢、行きたい時に行けぬ世界。
その夢が醒める前には、なんと、夢の中で朝を感じます。
そして「ああ、朝だ。また連れてきてね」と
誰かに、何かに、そう大声で言い
大きく手を振っていたら目が醒めて
布団の中で「ああ、ここにいる」と
なんだかよくわからない実感を得るのです。
夢が醒める前の「また連れてきてね」を
受け止めてくれる誰か、何か、は
あの世界そのものなのでしょうか。
何も何もわからないのに、どうしてこんなに、あの世界が愛しいのでしょう。
きっと私が頭の中で創り出したものだろうとも
何とも言えぬけれども
とにかく私は、またあそこへ行きたいのです。