いちの

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ずっと遠くまであるような、私一人を取り囲んでいるような、ただただ藍色の世界。
時折りそのようなところへ、睡眠中に連れて行かれるのです。

その、一面藍色の世界では、金色がちらちらと桜の花びらのように降り注ぎ、消えて、また降り注ぐ、というのが静かに繰り返されます。
水色の薄雲のようなものが発光しながら漂っていることもあります。

自分以外には誰もいないし、音も無いのに
私はまるで楽しそうに、面白がって歩いています。
なんの不安もないのです。

優しい夢、お気に入りの夢、行きたい時に行けぬ世界。

その夢が醒める前には、なんと、夢の中で朝を感じます。
そして「ああ、朝だ。また連れてきてね」と
誰かに、何かに、そう大声で言い
大きく手を振っていたら目が醒めて

布団の中で「ああ、ここにいる」と
なんだかよくわからない実感を得るのです。

夢が醒める前の「また連れてきてね」を
受け止めてくれる誰か、何か、は
あの世界そのものなのでしょうか。

何も何もわからないのに、どうしてこんなに、あの世界が愛しいのでしょう。

きっと私が頭の中で創り出したものだろうとも
何とも言えぬけれども
とにかく私は、またあそこへ行きたいのです。

3/20/2023, 12:20:20 PM