定規

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__胡蝶の夢。
そんな言葉が頭をよぎった。
今、自分の体は本当にあるのか、
それとももうとっくの昔に朽ち果て魂だけになっているのか。
あるいはこれが夢で、現実の俺は病院の無機質な白いベッドに横たわり、眠りで重い瞼を閉じているかもしれない。


__胡蝶の夢。
指の爪の先からはらはらと、蝶が飛び立つ。
自らの体が解けていくのである。
儚く、まるで桜の花弁が風に吹かれて散っていく様に。

あぁ、こんなこと、現実では有り得ない!

しかし、今此処にある俺の視覚・聴覚・その他諸々の六感は、本当に夢なのだろうか?


__胡蝶の夢。
夢は、現実の俺が作り出した願望であると聞いた。
では、俺は「日常」と「非日常」、どちらを望んでいるのだろうか?


__胡蝶の夢。
なんと鬱くしく、美しい響きだろうか。
永遠にその世界に揺蕩っていたくなるような、
水面を漂っているような感覚である。
浮いて、沈んで、また浮いて。


__胡蝶の夢。
起きて、夢から醒めて、今日も現実に失望する。
日常は何ら変わりはしない。
ただ鬱々と、粛々と、拙い言葉で俺はこれを綴るのだ。







__胡蝶の夢?
夢が醒める前に、よぉくお考えなさいね?

3/20/2023, 12:52:03 PM