『夜明け前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテンから透けて見える淡くて暗い色が、起きてすぐの目にはとても優しく感じる。まだあまり頭が回っていない私はぼんやり染まる部屋を、天井を見つめ何となく心地いいなと思った。
それにしても微妙な時間に目が覚めてしまった。起きるにしては早いし寝るにしてもキリが悪い。
少し伸びをした後、何を思ったかカーテンの向こうを覗いてみた。
そこに広がっていたのはまるで水彩画で描いたような霞がかった空とぽつぽつ灯っている明かり達、
それを見て私は何とも言えない気持ちになった。
満たされたような、切ないような、このまま空に飛び出したくなるような、
こんな時間や感情を独り占めできるなんてすごく素敵だけど、
どこか離れた場所で、
もしくは実は近くで、
自分と同じように窓の外を見つめている人がいると思うとそれもまた美しいなと思う。
#夜明け前
夜明け前の少しだけ明るくなった空を眺める時間。
そんな時間が私はほんの少しだけ好き。
何も考えず、ボーッとしながら太陽が昇るのを待つ。
そのまま寝落ちしても良いし、最後まで起きていると感動的な夜明けを迎えられる。
今日は寝れそうにもないし、夜明けを待とうかな
夜明け前
朝の4時頃になると
地球が深呼吸するみたいに
ふぅーっと空気が軽くなる
ホントだよ
たぶん1日の始まりは朝の4時なんだよ
嘘だと思うなら起きてごらん
夜明け前
夜明け前の空をぼーっと眺める。静かにまだ眠っている町。
なんとも言えない空の色。吸い込まれそう、と言えばいいだろうか。
青い空も良いが、夜明け前の空もなかなかいい。自然と笑みが溢れた。
空を見ていて思う。また忙しない朝が来て、気がつけば月や星が輝く夜になる。
そして、夜明けへと近づいていく。明けない夜はないからと――
夜明け前必ずと言って良い程トイレに起きる。
恥ずかしいが加齢で寝てるあいだ二回程起きてしまう。
できるなら夜が明けるまでゆっくり寝ていたい。
若い頃あんなに眠れたのに‼結局人生プラマイゼロなんだね
夜明け前が一番暗いという。その言葉を信じてがんばってみるか。重大な問題はここがクレバスの底ということだが……
止まない雨はない
明けない夜はない
みたいなカッコいいのを考えたくて
曲がらない関節はない
開封に困らないチュッパチャプスはない
もう
何も浮かばない
個人にビガップ
嫌だな。夜明けがくる。
瑠璃色が明るくなる。
明るくなるにつれて、私の心は反比例みたいに暗くなる。
消えたい、消えたい、消えたい、
音が増えていく。視野が明るくなる。人が多くなる。
ああ、もう夜明け前だ。
こんなならもう、夜が明ける前に紛れたい。
『夜明け前』
ポツリ、ポツリと鳴る音がする道
月明かりは道を照らさず、
僕の後ろを照らす。
引き返そうにも、引き返せず。
振り返り、見ることしか出来ない。
いつか、夜が明ければ、
進める道が分かるかも知れない。
夜明け前
家に一人
空腹だし暗闇は怖くて寝られない
鳥のさえずりが聞こえてくると
やっと眠りにつけた
夜明けが近づくと
呑んだくれの父親が帰ってくる時間
お決まりの不登校
変えられない日常
歳を重ねてきて
なんだかトイレの回数が増えたような
そんな気さえする
夜明け前の
微妙な時間帯に
目が覚める
起きたくないけれど
そうもいかない
しかもうちのトイレが遠い
なかなか寝付けず
そのうち起床時間
もう寝る前に何も飲めやしない
惨敗
起きていたかったわけじゃない
まさか
受け入れられないなんて
受け入れられると思っていたなんて
一通のメール
一通の告白
一通のメール
行き止まりの返信
薄暗い中部屋を飛び出す
走る
受け止める事ができる様になるまで
※夜明け前
「夜明け前」
「なんで起きてるの?まだ夜だよ?」
「タバコ」
ベランダでタバコの煙に巻かれながら彼はそういう。
「ベランダで吸ってほしいって言ったの守ってくれてたんだ」
「約束は守る」
「そう?そのわりには、まだプロポーズはされてないけど?」
いつかのときに口に出した。そろそろ結婚しよう。毎回有耶無耶になって終わってしまう。
どうせ、夜が明けたら彼は忘れてしまうのだろう。ならば、これくらいイジワルしても許されるはずだ。
「忘れてた」
彼は、タバコの火を消した。
「夜が明けたらプロポーズしてやるから待ってろ」
そういうと、彼はベットに潜り込み、寝息をたてはじめた。
「はぁ、惚れ直しちゃうな」
夜明け前がこんなに美しく思えたのは、いつぶりだろうか。
深く美しい宵闇から、月のない晩を経て、また空に光が差しこみ始める前、夜の最後の抗いのあたりで、僕はようやく眠ることを許される。
それまでのつまらない思索の小路はいつだって、何についてだって、胸が潰されそうになる。心臓を掴まれるように。胸部を帯でゆるゆると、しかし冷酷に締めつけを増してゆくように。大昔の失敗や敗北、不見識。そしてもう避けられない未来の困窮と、手を変え品を変え、僕の心をを捕らえる。自身を罰するために、この世に出てきたのではないかと思わせるほどに。
そのくせ僕はそこから離れることはできそうになかった。薬のように、酒のように、毒親のように、僕はそれを捨てられずにいたのだ。この果てしない自罰的な時間から、僕は離れられそうにない。青年時代からの癖になってしまっている。だから昼間に集中力など残っていない。発揮できる機知もない。仕事でもプライベートでもへまってばかりだ。
自己愛と自己否定の間をさまよいながら、僕はまた宵を迎える。僕の上に覆いかぶさり、それは僕の心を掴み、この世のものとは思えぬぞわぞわした声で、深い深い小路へと僕を連れ去るのだ。
僕はもう自力ではこの沼から這いあがれそうにない。だから、誰か。僕を、僕を、こいつを裏切らせてくれ。縛って、殴って、首を絞めて、切り刻んで、燃やして、僕をあちらへ引きずりこんでくれ。頼む。頼む。頼む。
もう、僕は――ソレなしには。
「――ってあらすじなんだけど、どう?」
「うん、没。よっぽどうまく書かないといけないし、書けても売れないよ。君、そこまでの技量ないし」
「そっかぁ。そうだなぁ」
「ま、また面白い話を考えついたら呼んでよ。そしたら一緒に考えよう。コーヒー代くらいならなんとかなるから」
『泡沫焦燥後に儚く(うたかたしょうそうのちにはかなく)』
砂浜を走り回るあの日の君。
太陽に透き通る肌が鮮明なその笑顔を引き立てている。
向日葵を持って走る君は、今にも転びそうだ。
僕が手を繋いだら「一人でも大丈夫だもん」ってぷんすこしちゃったなぁ。
その瞬間に一枚散った向日葵の花弁が君の鼻に付いて、
思わず声をあげて笑ったら、向日葵を盾にして30分ぐらい顔を見せてくれなかった。
僕がお手上げだよと言って、向日葵から顔を覗かせた君は完全に僕を弄んでたよね笑
でも、その笑顔でさえも尊かった。
ざざーんと朝日に巣食う静かな波は、あの日の君を思わせる。
いつも通りのその日、僕は君を置いてあの砂浜に行った。
本当だったら君を連れていくはずだった。
でも、信じられなかったんだ。
君が死んでしまうなんて。
朝、起きたら横にいるはずの君がいなかった。
慌てて家中を探してみたらリビングの机にこんなものが。
「どうやら私はもうすぐ亡くなるみたいです。でも、心配しないでください。もし、心配してくれるのならここへ。○○病院 電話番号×××××」
急いでその病院に電話を繋いで、君の声を確かめた。
とても、弱々しい声だった。いつもの君とは思えない。
まるで、幼子が風邪をひいた時のような。
それから僕は病院に行って、お医者さんに問い詰めた。
「あの子が死ぬってどういうことなんですか!!何か、何かして助けれないんですか!!」
「お、落ち着いて下さい……ま、まだ死ぬと決まったわけでは、」
「じゃあなんで、なんであの子は僕を覚えていないんですか!!!」
大切な人を覚えていない。これはこの場合ただの記憶喪失などではない。
「''死ぬ前兆''じゃないですか!!」
何をいってもおどおどした様子で話をはぐらかす医者を押し退け、君の病室に行った。
「由美!!!」
「……だれ、で、すか」
「僕だよ!!啓汰だよ!!」
「…け、いた…だれ?」
病室は間違っていない。
病室の扉の隣には彼女の名前「東山由美」とちゃんと印されていた。
「な、なんで覚えていないんだよ……なんで、なんで……」
僕は涙が溢れた。君は狼狽えて、でもその目からは生を感じれなかった。
「あ、ぁの、貴方はいったい……」
「っ!!」
僕はヤケになって、君の病室を飛び出した。
君が僕を忘れてしまう、君の肌にもう触れれないという現実は、僕には些か辛すぎた。
そして走り出してこのビーチに。
サンダルでも裸足でもなく最新のスニーカーで砂浜を走ったもんだから何度もよろけた。
ただ、走って走って君から遠ざかる度に、君の後ろ姿が蘇る。
白いワンピースで、麦わら帽子を被る君の透き通った後ろ姿が。
またその度に心がきゅっとして、僕のガソリン切れの足にエンジンをかけた。
「「ねぇ、啓汰」」
疲れて疲れて、そろそろ倒れそうだった体が一瞬にしてふわっと軽くなった。
君の声だった。
もしかして元気になって僕を迎えに来てくれたのかもしれない。
そんな淡い希望は泡沫に、僕の携帯がピリリと鳴いた。
嗚呼、いったいこれは死を伝える伝書鳩だろうか。
震える手で、僕は携帯の通知画面を見た。
そこには、思いもよらぬ知らせが。
「啓汰へ。貴方が生きている未来への動画です」
なんのことだと通知をタップしてみれば、一つの動画が始まった。
「啓汰へ。貴方が生きていることを願います…って、なんだか私が生きているのに変な感じだね笑でも、きっとこの動画を見てくれないと啓汰は死んでしまうから」
そんな君のメッセージから始まった一つの動画。
僕は呆気にとられた。この砂浜、いつものワンピースで笑っている君と僕。
僕が海水をぴゅってかけて怒る君。仕返しにって言って海水をじゃぱーんとかける君。
転ぶ君。助ける僕。泣いてる君。慰める僕。困惑する君。微笑む僕。
笑う君。笑う僕。
君との砂浜での思い出が全てつまっていた。泣く余裕もない程ぎゅうぎゅうに。
「えーっと、こんなものでいいのかな。動画とか作ったことないから分かんないや笑自分は文章とか書くの苦手だからこういう風な動画にしてみたよ。びっかりしたかな」
びっくりどころの話じゃない。もうハニワみたいな顔してしまったよ。
「じゃあ、最後に。これが私の遺書代わりかな」
''遺書''という言葉に思わず反応してしまい、体がビクッと跳ねる。
ドキンドキン
「私と出会った日のこと、啓汰は覚えているかな」
忘れるはずがない、このビーチの端で出会った。
「私が寝ていたら横に知らない人が居てびっくりしたよ」
だって、熱中症かと思ったから。
「女慣れしなさすぎて、最初は全然話せなかったよね」
それはごめんと思ってる。
「でも、どんどん慣れてきて一気に距離が近づいた時はドキッとしちゃったな」
初恋だったんだ。距離詰めすぎて逆効果かと後悔したよ。
「告白したのは私からだったけどね。言葉選び下手すぎ~」
国語は昔から苦手なんだって。
「でも、その後の「僕が一生幸せにします」には愛が詰まってたな~」
咄嗟にでた言葉だったんだ。きっと顔真っ赤だったよね。
「やっぱり、大好きだよ」
僕も、当たり前のように大好きだ。
「でも、ごめんね。私は一緒にいられないみたい」
いかないで。
「だから、最後この言葉を貴方に」
「また、会いに来るから、絶対ずっと待っててね」
_もちろん。約束はちゃんと守るよ。
その後、僕はその砂浜に朝日が完全に昇る時まで居続けた。
朝日が完全に昇ったら、君の名前を一度呼んで、返って来ないことを確認し家に帰った
そして、その日からもう十年の月日がたった。
あの後、僕は毎日この朝方のビーチに来ている。
君との思い出が残り続けるこの砂浜に、波の音しか聞こえぬこの海に。
嗚呼、いつまで待てば君がくるのだろう。
いや、何年でも何十年でも、何百年でも待ち続けよう。
君がまた蘇る砂浜にて。
お題『夜明け前』
※鮮明(せんめい)=あざやかではっきりしているさま。美しく分明なさま。
※弄ぶ(もてあそぶ)=相手を軽くみたり、思いのままに操ること。
※巣食う(すくう)=悪いものが溜まったり、住んでいる様子。
※狼狽える(うろたえる)=不意を打たれ、驚いたり慌てたりするさま。
※些か(いささか)=少し。わずか。尚、些かの後ろに「~ない」等の打ち消しがある場合は、「少しも」「まったく」という意味になる。本文では大分という意味で使われる。
※泡沫(うたかた・ほうまつ)=泡。儚いもの。本文では波の泡として使われる。
※呆気(あっけ)=思いがけないことに出会って驚き呆れる状態。ぼんやりしている状態。
※咄嗟(とっさ)=急に。ごくわずかな時間。
─夜明け前─
君との別れ際。
もう時刻は深夜三時。
いつもの夜明け前。
これで何回目かわからない、
愚痴や雑談だけで終わる、
二人だけの、秘密の飲み会。
仕事が辛いだの、繁忙期に入っただの、
上司がうざいだの、最近暑いだの。
何故夜明けまで語れるのか分からないほど、
どうでもいい話ばっかり。
それでも楽しい。
癒しであって、幸せである唯一の時間。
いつまで続くか分からない、至福の時間。
飲み潰れても、二日酔いが辛くても。
いつまでも続いてほしいと言う願いは、
二人が言えないたった一つの本音。
夜明け前。日付が変わる。
最前線に立っているというのに、僕はこうやってもう少しだけ起きていたいな、と思っている。
夜明け前
今日は元カレの誕生日だ。
私は彼のことをすごく愛していたし、別れてから半年近く経った今でも忘れられなかった。
彼と昔交わした約束。
「次の誕生日は必ず1番にお祝いするね」
きっと夜明け前の今、彼にLINEを送れば1番に祝えるのだろう。
彼は起きていないだろうけど。
彼は電話を切るのを嫌がって、よく夜明け前まで電話をしていた。
2人とも眠くて、だけど幸せで、2人っきりになったような誰も起きていない静かな空気が好きだった。
彼の優しくて少し低い声も、彼が語ってくれる日常も全てが好きだった。
バンドマンで歳下の彼とは、この夜の電話が唯一2人の時間だった。
彼はまだ、私に教えてくれたあの歌を好きでいるのだろうか。
今も誰かと電話しているのだろうか。
私はカーテンを開けて窓の外を見た。
光る街灯が眩しかった。
LINEを開くと、彼の名前を隠すようにたくさんの風船が飛んでいる。
久しぶりに見た彼のアイコンは、もう私が撮った後ろ姿ではなかった。
消せなかったトーク履歴を見て、彼と交わした言葉が蘇る。
「おはよう」
「おやすみ」
「ありがとう」
「好きだよ」
滲む視界の中、私は指を動かした。
これが彼に贈る最後の言葉だ。
「おめでとう」
小説とか漫画を読む時に、
海外の知らない国とか 個室のご飯屋とか
今の自分が知らない世界を覗いてワクワクすることがある。
白と黒のインクで描かれているそれじゃあ
到底現実には叶わないんだろうけど
もし自分がそこに__
天ぷらの美味しいご飯屋のカウンター席に
海外のアートが張り巡らせた地下道に
_行ったらどうだろうって考える
そんな紙の上の話だったものが、
大人になると現実になる
百聞は一見にしかずってこういうことかあ…
って心の中で納得する
ファンタジーとは違う楽しみ
今は当分お座敷のある居酒屋に行ってみたいなあ
うっすらとした、曖昧な世界。
その狭間の世界が、何故かとても好きだった。
どっちでもない、ギリギリの、でも、物悲しさと希望を見出だせるような気がして。
音も、気配も、色も、全部が塗り潰された世界に差し込むナニカ。
それをどう表現していいのか解らないけど。
”夜明け前”は、とても辛くて、とても幸せな世界で、時間だと思ってる。
夜明け前