『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【夏】
蝉の声が聴こえる
とうとうこの季節がやってきた
絶え間なく響くあの音は
日を追うごとに少しずつ小さくなる
そう考えるとこの音には
どこか儚ささえ感じてしまう
また今年も、
あの音とともに夏が始まり、
そして、終わっていく。
この暑い日々は
私達の常識を塗り替え続けている
変化に追いつくのが精一杯なのに
それすらも許さないスピードで
私達の知る夏を
私達の知らない夏に。
暑さに痛めつけられる季節
夏とはなんだろう?
真夏にエアコンが壊れてサウナのような部屋、時折窓から入る風が気持ちいい。
「君にとっての夏ってどんな季節?」
嵩ばかり多く見えるかき氷に挑む君に、ふとそんなことを訊いてみたくなった。
「一番かき氷がおいしいのに、一番かき氷が溶けるのが早い季節」
「食い意地の張った返答をどうもありがとう」
【夏が燃え尽きる頃のこと】
「……別に、食い意地だけで言ったわけじゃないよ」
「部分的に食い意地ではあるんだ」
しゃく! 細いストローのスプーン一杯で食べ進められる量はたかが知れていて、確かにこのままだと食べ終わる前に溶けてしまうだろう。
「アイスやかき氷がおいしい。代わりに、すぐ溶ける。すぐ溶けるような暑さだから、おいしい。かき氷の寿命が縮むような環境で、かき氷のおいしさを知る」
「かき氷の寿命とは」
「幸せという薪を燃やして、その温かさを知る。けれど私たちがそれを知るとき、薪は黒い燃えカスになってしまっている。夏って、たぶんそんな季節」
かき氷が溶けて液体となった部分に、提灯の光が降り注ぐ。
「……どういう意味」
「映画に、水族館。スポーツ観戦にプールに、夏祭り。こんなに一気にイベントをこなしてしまって、先はあるのかな」
「……」
「私たち、かき氷を楽しむ傍らで、かき氷の一番おいしい時間を消費してしまったんじゃないかな」
スピーカーからアナウンス。もうすぐ花火が上がるらしい。
「あーあ、やっぱり間に合わなかった」
ほとんど砂糖水になりかけたかき氷。捨てられる場所ないかな、と君が辺りを見回す。
「……それ、ちょうだい」
「え? ただの甘い液体だよ?」
「僕、そういうのも結構好きだよ」
返事も待たずに君の手から容器を奪い、一気に傾ける。まだ冷気の残ったそれが全身に染み渡るような感じがして、やっぱり、そう悪くないじゃないか。
遠くの空に、蝋燭を灯したみたいな花火の光。綺麗だな、と僕らが思う頃には、それは役割を終えている。
夏の太陽は輪郭と色を明確にする。
そのあまりにも強い日差しを受けて、目と肌がジリジリと焼かれた。
日曜日のカフェは騒然としている。
屋外での明暗の差についていけず、視界がチカチカと点滅した。
目が慣れないまま、適当にアイスコーヒーを注文して彼女を探す。
空港から少し離れている駅。
たったそれだけの理由で待ち合わせ場所として指定された。
ブラウンを基調にした開放的で広々とした落ち着きのある内装とは裏腹に、慌ただしく人が流動している。
外で照りつける強い日差しはブラインドで穏やかに遮られた。
それでも店内はまろやかな光に包まれており、いたるところに飾られている大小の観葉植物の緑をくっきりと縁取っている。
どの店でも彼女は出入り口から一番遠い壁際の席を選んでいた。
サングラスで顔を隠したまま、彼女はストローでグラスの中の氷を突く。
エアコンの涼風で揺れる彼女の柔らかな横髪は、日差しの余熱を受けて輪郭を強くとらえた。
「めずらしい。ジャスミンですか?」
「……」
驚かせないようにそっと声をかける。
目の前のイスに座れば、彼女は俺を一瞥したあとサングラスを外した。
「……キラキラしててきれいだなって」
カラン、とグラスの中で氷のバランスが崩れた。
淡い黄金色のジャスミンティーが氷とともに透明に揺蕩う。
結露を浮かせた狭いグラスの中で緩慢に円を描いたストローは、まるでタクトのようだった。
店内はざわついているのに、その控えめな音は俺の耳に心地よく響く。
だからこそ、先ほどの不自然な間が気になった。
「……なんです? 今の間は」
「別に。いつもと匂いが違ったから、ちょっと混乱しただけ」
「匂い? あぁ。少し前にコロンを新調したんです」
まだ残っているのかはわからないが、彼女の鼻先に手首を近づけた。
「……っ」
「苦手でした?」
歯切れの悪い彼女の反応に腕を引っ込めた。
クセのないグリーン系の香りを選んだし、量も控えめにしたのだが彼女にはキツかったかもしれない。
「香りは……平気。好き……」
思いがけない彼女からの告白に、一生このコロンを使い続けると決めた。
夢見心地で彼女からの「好き♡」を反芻する。
「ただ、手が……」
「え、手?」
遠慮がちにポツリと形のいい桜色の唇が動いた。
「手がおっきくてビックリしたっていうか、ドキドキしたっていうか……」
くるくると、彼女が回すストローの速度が速くなった。
「早く、その手に触れられたいなって……」
「……は?」
急になにを言われた?
こんな往来のあるところでお誘い……は、いくら久しぶりの逢瀬とはいえあり得ないだろう。
彼女の言葉の真意を探っていたとき、その本人が急にキャンキャン吠え始める。
「え? …………は!? はあっ!?」
自分の発言と俺の反応を照らし合わせて、彼女自身が大胆な発言をしたことを自覚した。
とてつもなくデカい爆弾を落とされたのは俺のはずなのに、なぜか彼女のほうが顔を真っ赤にして慌てている。
「ち、違っ!? へ、変な意味じゃなくてえっ!?」
あまりにもわかりやすく自滅する彼女がかわいくて、つい声を弾ませてからかってしまった。
「そんなに早く俺を感じたいんですか?」
「だからっ、そうじゃなくてっ!?」
「そうじゃなくて? なんですか?」
「なにって、だから、…………本当に、違くて、ヤダ。こんなこと言うつもり……」
一生懸命に的を得ない言いわけを重ねても逆効果だとようやく察したのか、彼女は諦めてジャスミンティーを口に含む。
今日みたいに大きな荷物を引き取るとき。
手を繋ぐとき。
室内へ促し背中を押すとき。
すぐに離れてしまう彼女に俺の存在を覚えてほしくて、彼女といるときはできるだけ多くスキンシップを取っていた。
奥ゆかしい彼女に合わせて外での過度な触れ合いは控えている。
だからこそ、こんなかたちで彼女から求めてくれる日が来るとは思ってもみなかった。
カコン、と小さくなった氷が空になったグラスとぶつかる。
彼女のストローのタクトが止まったとき、俺も一気にアイスコーヒーを飲み干した。
「そろそろ行きましょうか」
わざとらしく差し出す俺の手を見て、彼女は頬を膨らませて不貞腐れてしまった。
外に出ればすぐ、手を繋いだ俺たちの体温は汗とともに混ざり合う。
この汗のように早く、彼女との輪郭を曖昧にしてしまいたい。
夏の暑さにあてられて、煩悩まで掻き立てられてしまうのだった。
『夏』
家族と、そして近所の幼馴染の家族と一緒に、夏祭りへとやって来た。
小さな女の子と、同い年の小さな男の子は、お祭りの雰囲気にわくわくしていた。
たこ焼き、わたあめ、金魚すくい、宝釣り……たくさん遊んで、たくさん笑った。
しばらくすると、大きな音と共に、空に花火が打ち上がった。
目を輝かせて、二人の子供はそれを見上げている。
「もっと花火の近く行こう!」
男の子が女の子の腕を引っ張り、花火が打ち上がった方へと駆け出した。
「あ、ちょっと、待ちなさい!」
母の呼ぶ声なんて耳に入っていない。
その声は、人混みの中へと紛れていってしまった。
子供達はしばらく花火を見ていたが、両親の姿が見えないことに気付くと、途端に不安になってしまった。
「ねぇ……ママもパパもいないよぉ……」
「な、泣くなよ! すぐ見つかるって!」
泣き出しそうになっている女の子を見て、男の子は慌て出した。
どうしようどうしよう。
ポケットの中を漁ると、先程宝釣りで当てた、クマのキーホルダーが出てきた。
「こ、これやる!」
そのキーホルダーを突き出す。
女の子は涙が零れそうになっていた目を丸くして、そのキーホルダーを受け取った。
「かわいい……」途端に笑顔へと変わる。「ありがとう!」
男の子は照れたような顔をして言った。
「だから、その、一緒にいるから大丈夫。すぐ見つかるって」
「うん」
しばらくして、迷子のアナウンスが入り、無事家族と合流することができた。もちろん、しっかりと叱られたが。
それでも、女の子にとって、忘れられない夏の思い出となったのだった。
「それは、この間のお祭りで取っていたクマのぬいぐるみと同じクマか?」
少女のスクールバッグについたキーホルダーを見て、所属している部活の部長が言った。
「はい」
少し嬉しそうに笑う彼女を見て、部長はにやりと口の端を上げる。
「このクマがよっぽど好きなのか――それとも、君の幼馴染の関係の品かな?」
見事に言い当てられ、思わず真っ赤になる。
幼馴染も同じ部活だ。きっと部長は全て気付いている。
「秘密です!」
この間、部活のみんなで夏祭りへと出向いた。
そこで、自分でクマのぬいぐるみを取った。気付いたら、このクマのキャラクターが好きになっていたから。
そして、それから――いろいろとあった夏祭りだった。
こうしてまた、忘れられない夏が増えていく。
『夏』
8 夏
もうすぐ夏休み
毎日の部活
学校ないから嬉しいけど、部活だけ行ってる不登校もどきには辛い
でもテニスでダブルスだし、ペアに迷惑かけたくないから行く
あぁ、しんどい、早起きってこんなに辛かったっけ?太陽ってこんなに眩しかったっけ?暑い、疲れた、もうヤダ
そんな毎日が待ってるんやろうな
宿題もやらんとあかんし、もうすぐ大会あるし、はぁ
暑いしめんどくさい夏は嫌いや
それは生々しくうずいている
薄い皮膚から血液の熱が伝わるように
1億4960万キロメートル先からの信号と
皮膚に隠した灯火が
今わずかに呼応した
テーマ「夏」
廃校になった小学校の隅に、小さな文房具棚が残されていた。誰のものだったのか分からない、名前の消えかけた鉛筆が、そこに五本、きちんと並んでいた。
「まだあるんだ」
僕は埃を払って、そっと一本を手に取った。六年ぶりの帰省。海辺のこの町にはもう祖母もいない。けれど、あの夏の終わりに、何かを忘れてきた気がしていた。
あの日も、空はこんな風に高かった。アスファルトに滲む陽炎。通学路の途中にある駄菓子屋の軒先で、かき氷をこぼして泣いていた僕に、彼女はそっとハンカチを差し出してくれた。
「泣くと、塩味になるから、やめたほうがいいよ」
その声を、今も覚えている。彼女は転校生だった。淡い麦藁帽子に、白いワンピース。毎朝、同じ時間に通学路の桜並木を通ってきて、教室の隅で静かに座っていた。
「絵、描くの好きなの」
ある日、そう言って見せてくれたスケッチブックには、夏の雲や、風鈴、駅前の時計台が、鉛筆だけで緻密に描かれていた。
僕はその日から、彼女の隣に座るようになった。何か言葉を交わすわけでもなく、ただ、静かに、隣で絵を見ていた。それが、心地よかった。
夏休みに入る数日前、彼女はふいに言った。
「ねえ、夏の終わりに、ひとつだけ、約束してもいい?」
「うん」
「この町に、また来て。わたし、ここに、何か残していくから」
それが何なのか、訊けなかった。八月末、彼女は突然、また転校していった。置き手紙も、連絡先もなかった。
あれから、ずっと思っていた。あの“何か”とは、なんだったのか。
僕は文房具棚の下にある、木製の引き出しを開けた。中に、一冊のスケッチブックがあった。表紙には、鉛筆で描かれた町の風景。めくると、そこにはあの夏の日々が、確かに記されていた。
駅前で見送る僕。夕暮れの堤防。教室で笑う僕たち。
そして、最後のページには、小さくこう書かれていた。
「また、夏に会いに来てくれて、ありがとう」
僕は鉛筆を握りしめた。少しだけ、芯が折れそうな気がしたけれど、それでも、彼女の描いた夏は、確かに、ここにあった。
校舎の窓から見える海が、陽に照らされて光っていた。潮の香りと蝉の声が、どこか懐かしく響いていた。
僕はそっと、スケッチブックを胸に抱えて、もう一度、あの坂道を歩き出した。
鉛筆一本で繋がれた、遠い記憶の、その続きを探すように。
夏…
はァーい♡みんな、差し入れ持ってきたよ♡おしるこでしょぉ〜あとコーンポタージュでしょぉ〜それからそれからオニオングラタンスープもあるよぉ!あとはねぇ〜、とろーりチーズの入ったアッツアッツの肉ま〜ん♡おでんもあるよぉ!石焼きイモでミネラルも補給しなくっちゃね!さぁ〜!冷めないうちに召し上がれ♡♡♡♡♡
最近、すぐ疲れる。毎日外に出ている私は夏に外に出ると体力が大量に削られると感じる。そう感じているからすぐ疲れると思う。冬だったらこんなこと起こらないかもしれないと考えると夏って本当に嫌だなと思う。
夏
頭がぼーっとする。
だるい。
自分の体の感覚と空気が混ざる。
体感が消える。
思考などない。
早く帰りたい。
早く横になりたい。
早く早く。
それだけを思って前に進む。
家はまだ遠い。
蝉の鳴き声がひっきりなしの朝
本格的な 夏 が来た!
クーラーの効いた部屋から出る
もわっと暑さの圧をかけてくるのが不愉快だ
外出すれば
殺人級の日差しに狙われる
それでも 夏 が好きだ!
心身共に 夏 にヤられた渇き
冷やしたグラス
冷えたビール
キンキンの至福の1杯を味わえる
夏 が好きな大人の理由
『夏』
私の夏はいつも片想いだった
今年も片想い
一方通行の夏が2車線になるのはいつなんだろう
蝉に背中を押され
今年こそは、と意気込む夏の朝。
戦争に私は反対だ。なぜならば核兵器などの使用により環境が破壊されてしまうからだ。また軍人などの徴兵で一般人も動員された過去もあり、さまざまな人が戦争に駆り出され死亡する可能性も出てくるからだ。したがって平和でなくなってしまうため戦争に反対だ。
夏といえば思い浮かぶものが2つある。1つ目が空の景色である。ちょうど江の島の景色に近いだろうか。もくもくと立ちのぼる白い入道雲と、それと対になる青い空。昔エアコンの効いた部屋の中から外を眺めていたのを思い出す。そんな中、夏野菜やスイカを食べたのは良い思い出だ。戻りたいと思ってしまった。
2つ目は花火である。私の地元にはかの有名な長岡花火というものがある。毎年8月頭に行われるもので、2キロにわたって壮大なスケールで打ち上がるフェニックス花火は圧巻の一言だ。上京して気付いたが、全国的にもかなり有名らしい。今までは花火と言えばあのスケールか当たり前だったので、外に出てみて初めて、そのすごさにも気付いた。以上2つが夏と言えば私が真っ先に思いつくものだ。空と海の景色、これは今年も見れるかもしれないが、長岡花火は見れないかもしれないなあ。と思いつつ、せっかく土日なのだから見に行きたいとも思った。新幹線取ろうかな。
夏は嫌い
でも、
夏の夜の匂いは好き
夏の雲の形も
風鈴の音も
夕立前の雨の気配も
遠くに聞こえる
夏祭りの太鼓の音も
好き
夏が嫌いなんじゃなくて
暑いのと
蚊に刺される事が
嫌いなんだな
外から聞こえてくるセミの合唱。
季節はもうすっかり夏だ。
……夏って、どのタイミングで呼ぶべきだろうか?
暑くなったら夏?
梅雨が明けたら夏?
七月になったら夏?
セミが鳴き始めたら夏?
海開きになったら夏?
どれが正しいのだろう?
そうだ、SNSのアンケート機能で皆に聞いてみるか。
「うーむ……」
結果、どれかが飛び抜けて多い訳ではなく、ほぼ同じぐらいだった。
夏の基準を決めるのは難しいな……。
まぁ、人それぞれという訳で……いっか。
俺は冷蔵庫に冷やしていた缶ビールのプルタブを開け、喉を潤した。
夏だ。
アスファルトに反射した太陽の光が、熱を放出して、その上でミミズが干からびている。
蝉が鳴いている。
夏だ。
靴の頭を目的地に向ける。
日光に熱されて爽やかさを失った熱風が顔に吹き付ける。
私たちは今から山に向かうのだった。
山の地中に埋まっているはずの、あの子を探しに。
あの、蝉が鳴きじゃくる山の上に向かうのだった。
夏だ。
日差しがぎらぎらと照らし続けている。
白い雲が遠くに見える。
蒸し暑い。
あの子は、突然姿を消した。
ちょうど今日みたいな夏だった。
あの日、あの子はどこへ行くと云っていたのだっけ?
ともかく、あの子は出かけて、私たちは、クーラーの効いた部屋で、あの子もすっかり大きくなった、とお互いに語り合った。
夏だった。
蝉の鳴き声が大きくなる。
日差しを、木々の葉が覆い始めた。
蒸し暑い。
水気を含んだ熱い空気が揺らぐ。
山を登る。
天辺まで行けば、涼しいだろうか。
今より。
あの子が消えたあの夏の日より。
そんな考えを、浮いてきた顔の汗と一緒に拭う。
夏だった。
蝉が鳴いている。
蒸し暑い。
中体連を終え、大好きな部活を引退した。
志望校が決まり、新たな目標に向けて私は走り続ける。
走るのを辞められない。止まらない。
勝つのは私か。それとも…
私は絶対に負けない。
勝負の夏が始まる