『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
創作)23話 夏
--6月11日--
八木千尋:……、大丈夫ですか…?
天杉琉初:大丈夫じゃ無ぁい…
千尋:手掴まって下さい、保健室行きましょ
保健室の先生:いらっしゃい
千尋:頭痛、目眩、吐き気等あると思います
先生:あら、そうなの?その割にはいつもより元気そうね
琉初:エヘヘー、千尋くんが私のこと触ってくれたぁー
千尋:でも、熱ありますよ、おでこ触ったらとても熱くて…
先生:えー、そうなの?低気圧かしら、梅雨入りしたし
千尋:琉初さんと去年から関わりがあったんですけど、去年は低気圧で頭痛とか無かったですよ
先生:あらー、そうなのー?
千尋:多分ストレスかと…人間関係で随分悩まれていました
先生:そうなのね、…時間があれば話し相手になってあげて
千尋:え…?…分かりました…
--6月12日--
安達優生:昨日大丈夫だったー?琉初のこと
千尋:はい、大丈夫でした、具合はどうなんでしょうか
優生:大丈夫そうだよ、でも一応今日休むらしいよ
千尋:あ、そうなんですね、ありがとうございます
優生:夏だね、初夏がもう来ちゃった
千尋:そうですね、雨の音で全然声が聞こえないです
優生:うん、そうだね…、…オマエノコトナンテスキナワケナイ
千尋:…?なんか言いました?
優生:ううん、なんも言ってないけど…?
千尋:あ、ごめんなさい…
優生:いや、全然良いよ…
暑い。
今日はその一言に尽きる。
店内は涼しいけど一歩外に出たら灼熱の暑さ。
本当、なんでこんなに暑いの。
「氷華(ひょうか)、お疲れ様。麦茶いれたから飲む?」
「飲む...」
私は店先に打ち水を撒いていた手を止め、バケツとホースを片付けた。
「ありがとう氷華...ごめんね、暑いのに」
「大丈夫...高校の時の部活に比べたら全然だよ...」
「そ、そっか...」
私は手をパタパタとさせ、麦茶の入った硝子コップを手に取る。
ぐびっ、と一気に煽った。
ごくんっ、と喉を伝う冷たさが気持ちいい。
「...っぷはぁ~!美味しい!!」
「あ、あとこれも」
そう言ってお姉ちゃんは私の手に飴を握らせる。
「塩分補給も忘れずにね」
そう笑ってお姉ちゃんは裏へと回っていった。
私はその飴を口に放り、店内の作業へと取りかかった。
お題 「夏」
出演 氷華 言葉
夏
「あ゛づ い゛〜」
そう言いながら、図書館に涼しみに行く。
放課後のこの時間は人がいない為、涼しむ為の最高のスポットだ。
今日もいつも通りに涼しみに行くと…先客が居た。
(あっ…人居たのに気が付かなかった…。)
先客は…中性的だ。
その中性的なその子は
透き通るような白い肌
綺麗な黒髪ストレート
顔は半分マスクで隠れて見えない。
俺はそんな人に心を奪われた。
その人は俺の声に気が付くと、本から顔を上げてこちらを見た。
俺を見る瞳はルビーの様な輝きをしていた。
『えっと…クーラー強めましょうか…?』
そう言ってリモコンに手を伸ばそうとしていた。
「あ!いや!大丈夫だよ!」
そう言ってその子を制す。
『あっ…そうですか。もし下げて欲しかったら、下げますよ。』
柔らかい表情でそう答えた。
俺はなんとなく気まずくなり、適当に本を取り少し離れた場所に座る。
俺は本を読んでいる振りをして、その子を眺める。
(嗚呼…やっぱり“好き”だなぁ…。
これが世に言う“一目惚れ”ってやつかもなぁ…)
また明日も居るのかな……
俺はほんの少し、夏の暑さに感謝した。
『夏』
青春の季節と言われるそれが私は嫌いだ。暑いし、暑いし、暑い。暑いということがどれだけ人の体を蝕むのかこの季節になるととてもよくわかる。でもそんな夏にこそ好きな場所がある。いつの間にか昼食を終えた私は、走り始めていた。汗なんて感じなかった。少しきしんだドアを私は開けた。
「失礼します!!!!!!」
[今日も来たんだね〜。毎日来るから顔覚えた。]
今日もいた。部屋にはたくさんの本棚が並んでいる。カウンターにいるあの人はにっこり笑った。あぁ、ここに来てよかった。その笑顔だけでも反則なのに、顔を覚えてもらえるなんて。やばい。私の心臓は大きく動いた。
それと同時に体温も上昇した。夏の暑い気温のせいだろう。多分。
夏
私はこの暑い時期が苦手だ
でもこの試合が行われる場所は好きだ
暑いから苦手
ポンコツな体はすぐに体調崩してしまうから
夏
この季節は苦手
いっそこの灼熱の中
解けてしまおうか
唯一好きなものは
海
ただ眺めるのだ
キラキラ輝く
青い海を
「夏」
夜空に咲いたきらきら花火
甘くて美味しいしゅわしゅわラムネ
カリカリ甘いりんご飴
夏を伝える蝉の声
水しぶき舞うプール
綺麗な音色の風鈴
しゃくしゃくみずみずしいスイカ
すぐに溶けていくひんやりアイス
急ぎすぎると頭痛がしてくるかき氷
空に浮かんだソフトクリームの入道雲
どれもあなたにに合いそうで想像しただけで頬が緩む
こんな暑い日には貴方と話をしたくなる
時間が無限に広がっているよう
耳に残る音
空の広さ
プールの心地よさ
時間と空間の進まなさ
夏の前ではすべてのものが
悠々と輝いて見える
動き回っても
しばらく寝ていても
夏という季節は
すべてをおおらかに包み込む
遊ぶことというよりは
夏そのものに楽しみを感じていた
季節は同じ夏なのに
その頃とは違う現在
歳を重ねるに連れ
最も自分を外から見てしまう季節になった、夏
心は躍るが
身体の外に飛び出せないでいる鬱屈
夏の真ん中で
僕はひとり取り残されているようで
心は
藻掻き、足掻いて
そうしてるうちに終わっている季節
一年は
夏を境に
世界の見え方がガラリと変わる
受験を経験したからだろうか
夏以降はなんだか追い詰められていくような感覚が今でも抜けない
秋よりも
下手をすると
冬よりも
哀愁漂う季節となった
夏が終わるだけで
ややもすると
全てのものが無に帰していくような
そんな大黒柱のような時間
偉大な夏。
『夏』
ある年の7月に世界が終わるという噂が広まったことがある。その当時小学生だった私は成人する前に世界が終わるかもしれないということを同級生たちとよく話題にしていた。どこに逃げればいいか、どこに隠れればいいかをカウントダウンの差し迫る中でみなと考え、そういった話し合いのできないひとりきりの布団の中では涙ぐむことさえあった。
そしていよいよ迎えた世界の終わりの年の7月1日。緊張感の漂う毎日は一日また一日と日を重ね、結局何も起こらないまま7月31日を終えるという形で幕を閉じた。何も起こらず肩透かしを食らった私は無事に成人して年を食っておじさんになっていったけれど、いまだに7月になると何かが起こってしまうのではないかと少しだけ胸にざわめきを覚える。
図らずも今年の7月は同窓会がある。懐かしい噂話は話題に上がるだろうか。それとも、みなそんなことはとうに忘れてそれぞれの生活に没頭しているだろうか。いずれにしても楽しみなことである。
ちりん、ちりん。
どこかの家の風鈴の音が、汗ばむ体に静かに響き渡る。
「あづすぎる〜…」
今年の夏もやはり記録的な暑さ。
毎年毎年更新されていく最高気温。
こんな日には、アレを買って、乗りきろう。
家族のお下がりのギコギコ鳴る自転車で、坂を猛スピードで下って、駄菓子屋へ向かった。
「ごめんくださーい。ラムネ一本、お願いします!」
「いや、二本お願いします」
「え?」
後ろから聞こえた低い声には、聞き覚えがあった。
「はいよー。…あら、なつみちゃんに、れんとくん?今日も部活だったの?夏休みなのに大変ねぇ」
れんとは、私と同じ部活の後輩だ。
いつも同学年の男の子と二人で一緒にいることが多いが、今日は一人みたい。
「そうなんですよー」
「ボランティア部、だっけ?珍しい部活よねぇ。…あらやだ、ラムネ、きらしちゃったわ。一本しかない。ごめんなさいね。もう一本、コーラならあるんだけど。」
「そうなんすね。じゃ、俺コーラでお願いします」
「はーい。ほんと、ごめんなさいねぇ。」
「…えっと、ラムネ、百二十円でしたっけ?」
「そう、百二十円。でも、コーラはタダね。あたしの準備が足りなかったからさ」
「え、いいっすよ、俺炭酸だったらなんでもいいんで、払います」
「いいのよ、ほんとに。」
駄菓子屋のおばあちゃんに百二十円を手渡した。
「ちょうどね、ありがとね。はい、どうぞ。」
「ありがとうございましたー。」
自転車を停めたところに向かって歩いていると、れんとが話しかけてきた。
「よっしゃ、タダでもらっちゃったね。見ました、先輩?」
「え、何を?」
「あーやって、一回食い下がるふりするんすよ。そうしたら、大抵の人は良心が働いて、結果、こっちはこっちでいい思いできるし、向こうも向こうで優しくして気持ちよくなれるから、ウィンウィンって感じっすね」
「バカ」
「あいてっ」
後輩のあんまりな言葉に、思わず軽くゲンコツした。
「ボランティア部から出る言葉とは思えません」
「でも、事実じゃないっすか」
「…いでっ」
今度はさっきより少し強めにゲンコツした。
「…ていうか、れんと、ラムネ飲みたいんじゃなかったの?私、コーラでいいけど」
「さっき俺言ってたの聞いてなかったんすか。俺炭酸だったら何でもいいんで。それに、飲みたいのは先輩でしょ。」
「うわっ!」
ラムネを持っている私の手を掴んで、私の頬にひんやり冷えたそれを当てた。
「汗だくだくだし」
笑いながられんとは言った。
「つっっっっんめた!!!」
「ちょっと。もう少し可愛らしい声出せないっすかね。女の子でしょ」
「うるさいなぁ、多様性の時代っ」
自転車にまたがり、れんとと解散しようとしたが、またれんとは口を開いた。
「せんぱーい、自転車乗せてってくださいよー」
「はぁ?」
「先輩んち、坂の上ですよね?俺んちはそこまでは行かないんで迷惑かけないと思いますよ。しかも、俺軽いし、先輩ムキムキだし」
「ちょっと、いい加減にしなさいよ」
「俺、暑くて倒れそう」
「……」
二人乗りに悲鳴を上げながら走る自転車。
「普通逆でしょうが…」
「え、今なんか言いました?」
「もう、なんでもない!」
「涼しー…先輩、もっと早くこいでくださいよ。風を感じたいです」
「じゃあ自分でこげ!!」
「えへへ。あ、ここっすよここ。俺んち。」
「はあ、やっとお荷物が降りたわ」
「あはは、失礼っすねー。ほんじゃ、俺はここで。」
「うん」
「気をつけてくださいね、なつみ先輩」
「ありがと。また次の部活ね」
「うっす」
青い空と、太陽が、私の町をぎらぎら照らしている。
生意気な後輩を見送って、結局また汗だくになって、坂道をのぼる。
蝉の鳴く声が、あまりに大きくて、耳がぐわんぐわんと揺れる。
なんでもない一日の思い出が、空になったラムネに詰まっている。
そんな、夏。
入道雲を背にして
笑いながらこちらを振り返る君の
笑顔をずっと探してる
夏の初めに予定を立てようと
懐かしい二つ折りの予定表を
弟から奪ったのだと
悪びれもなく広げる君
僕にはそのコピー
その夏ふたりは同じ時間を共有するつもりだった
花火大会の浴衣の匂いにソワソワしたり
突然の雨に呆然としたり
間に合わなかったバスを大声で追いかけたり
川沿いの蝉の煩い木陰で無為に時間を潰したり
チョココーヒー味のアイスを分け合ったり
そのすべてのシーンに君はいないけど
どこまでも続きそうな農道の蜃気楼の先に
やっぱり僕は
君の幻影を見る
◼️夏
浴衣きて横に並んでりんご飴たべる。
これがあたしの夏での夢
夏が始まった合図がした
傷付き疲れるけどもういいんだ
気分を上げるために音楽を聴く
夏の始まりは少し憂鬱でもありながら、楽しみでもある
世界が明るく色付いて、いろんな音が溢れ、わたしはまた一つ大人になる
世界を広げる合図がした
世界に羽ばたく準備はいいか
"なつ"= 夏
わたしは、夏が来ると君と花火したこと思い出す
花火は手持ち…
君とわたしと線香花火でお互いに
お願い事聞いてもらえるという競争したこと…
夏は暑くてむしむしして過ごすのもしんどいけれど
君との花火との時間はそんなことも気にしないぐらい
「楽しかった!なつ」
次は夜一緒にロケット花火みたいな…
“教授、一口もらってもいいですか?”
下がり眉と潤んだ瞳。見事に撃ち抜かれた私は、まだ口をつけていない方を彼女に向けた。小さい一口と控えめに覗く舌に色気を感じ、思わず目を逸らした。
“美味しかったです。私のもどうですか?”
差し出されては断れない。溶けるクリームを舐め取れば、重たい甘みが広がる。
「綾音くん、君はどんな味がするのかい?」
Title
「眩む線引き」
Theme
「夏」
【夏】
夏って好き?
ワタシは好きではないかな
だって最近の北海道は暑過ぎて…
湿気だって多くて
それもあるけどさ
小さい頃から太ってるワタシは
ビキニを着る機会もなく
だいぶ大人になったし
花火は好きなんだけど…
音に敏感になってしまったワタシは…
怖くてさ
それに…
早くに子育てしたワタシは
お祭り浴衣デートとかもしたことがない
若い頃にしておきたかったこと
全然出来てないなって
最近思うんだ
今更ビキニ着たら引くでしょ?w
大きくなった息子と花火なんて
お祭りだって、行かないでしょ?
勿体無いなって思うことが次々に
浮かんできて…
幼い頃から大人にさせられた人生は
つまんないなって
でも一つだけ残してあるの
いつかまた結婚できたらさ?
ウェディングドレスを着たいんだ❤︎
これもさ、叶わなかったことの一つ
だけど、これならさ、
まだチャンスあると思わない?
みんなに祝福されなくてもいいんだ
たださ、
ウェディングドレスは
唯一の今後もできるかも知れない夢⭐︎
欲を出せば人の影を見せないで欲しいし
必要としないで欲しい、これはただのわがまま
言うつもりもなければ見せるつもりもない
夏
風鈴の音が聞こえる……。
「夏だなぁ。」
半開きの窓から入ってくる風は、生温かい。
木造の家屋であるはずだが、どうしてだろう……。
あまり入ってこない風をよそにうちわを仰ぎながら、しばらく壁に目をやった。
ありえないことではあるが、木が呼吸していたら面白いなぁと考えてみたりもした。
「まあ、切られる前はいきていたんだろうしなぁ。」
ふと、声がした。
「まっちゃん、公園に今から行こうよ」
「そうだね。暗くなるまでは行きたいね」
土曜授業から帰ってきた子どもたちの声だった。これから遊ぶ子どもたちの声の明るさのように、この時期なら外の明るい時間も、もう少し続くだろう。
「夏だなぁ。」
夏になると心がそわそわする。去年も一昨年も、彼らは夏になるとバカンスのように何処かに連れ出してくれた。特に説明も無いままあれよあれよと連れて行かれるのはびっくりしてしまうけれど、何処に連れて行ってくれるのだろうと冒険心が踊るのも否定出来ない。
最近彼らが集まって何やらヒソヒソ内緒話をしていた。私に気づくと何でもないような顔で誤魔化されたので私には秘密の事らしい。
彼らはよく私の為に、と色んな催しをしてくれるから無粋な真似はするまい。素知らぬフリでいつも通り過ごす。理由は何であれ、彼らが楽しそうに過ごしているのなら私に否やは無い。
さあ、今年はどんな夏になるだろう?