詠み人知らず

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入道雲を背にして

笑いながらこちらを振り返る君の

笑顔をずっと探してる

夏の初めに予定を立てようと

懐かしい二つ折りの予定表を

弟から奪ったのだと

悪びれもなく広げる君

僕にはそのコピー

その夏ふたりは同じ時間を共有するつもりだった

花火大会の浴衣の匂いにソワソワしたり

突然の雨に呆然としたり

間に合わなかったバスを大声で追いかけたり

川沿いの蝉の煩い木陰で無為に時間を潰したり

チョココーヒー味のアイスを分け合ったり

そのすべてのシーンに君はいないけど

どこまでも続きそうな農道の蜃気楼の先に

やっぱり僕は

君の幻影を見る

◼️夏

6/29/2024, 8:12:07 AM