夏
「あ゛づ い゛〜」
そう言いながら、図書館に涼しみに行く。
放課後のこの時間は人がいない為、涼しむ為の最高のスポットだ。
今日もいつも通りに涼しみに行くと…先客が居た。
(あっ…人居たのに気が付かなかった…。)
先客は…中性的だ。
その中性的なその子は
透き通るような白い肌
綺麗な黒髪ストレート
顔は半分マスクで隠れて見えない。
俺はそんな人に心を奪われた。
その人は俺の声に気が付くと、本から顔を上げてこちらを見た。
俺を見る瞳はルビーの様な輝きをしていた。
『えっと…クーラー強めましょうか…?』
そう言ってリモコンに手を伸ばそうとしていた。
「あ!いや!大丈夫だよ!」
そう言ってその子を制す。
『あっ…そうですか。もし下げて欲しかったら、下げますよ。』
柔らかい表情でそう答えた。
俺はなんとなく気まずくなり、適当に本を取り少し離れた場所に座る。
俺は本を読んでいる振りをして、その子を眺める。
(嗚呼…やっぱり“好き”だなぁ…。
これが世に言う“一目惚れ”ってやつかもなぁ…)
また明日も居るのかな……
俺はほんの少し、夏の暑さに感謝した。
6/29/2024, 9:09:57 AM