『声が枯れるまで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【 声が枯れるまで 】
もう、限界だよ。
いつからだったか覚えてないくらい、長い時間が経った。
ずっと、ずーっと、叫び続けてるのに。
誰一人、振り向いてはくれない。
聞こえないほど音量が小さいのか?
雑音にかき消されてるのか?
大事なことだ、心配になる、我慢しないで、なんて、
みんなが優しく教えてくれるのに。
届く気配が微塵も感じられない。
透明な耳栓なんて、この世にあるとは思ってなかったよ。
『助けて』の言葉は、そこに溶け込むものなんだね。
お酒を呑んでゴキゲンな君がグラス片手に、椅子からフラフラと立ち上がるやいなや歌を歌いだす。
母国の言葉なのだろう、淀みのない流れるような歌声を聞いている内に「ああ、あの曲か」と把握。
気持ち良さそうに、高らかに歌い続ける君を肴にして、私はグラスを傾けた。
……だいぶ音を外しているようだが。
酔っ払いは音の外れなど気にすることもなく、一番を歌い上げるとすかさず二番目に突入。
歌詞がうろ覚えなのか酔いが回ったのか、途中から意味の無さげな音の羅列になって、しだいに呂律まで回らなくなっていき、かくりこくりと舟まで漕ぎだした。
立ったまま寝てしまいそうだったので椅子に座らせてやると、そのまま横になって寝入ってしまった君。
ブランケットを掛けてやり、君が歌っていた歌を繋ぐように歌う。
君を起こしてしまわないように、声量を抑えた声で。
for__auld__lang__syne__.
遠い日の思い出を再会した旧友と懐古する歌を。
テーマ「声が枯れるまで」
叫んで、叫んで、声が枯れるまで叫んで。なのに無視されて、でも叫んで。うるさいとも言われ、頑張れとも言われ、どうすれば良いのか分からなくなって、やっと気付いて貰ったのに。私は生きてたくなくなったんだ
【声が枯れるまで】
誰もいないがらんどうの舞台で声を張り上げる。爆撃で床のあちらこちらがひび割れ、壊れた照明器具の転がる荒廃したステージの上。夜空に浮かぶ月だけが、私を照らし出していた。
どうか、どうか、旅立っていった愛しい人にこの歌声が届きますよう。貴方が好きだと笑ってくれた歌が、少しでも貴方の心を慰めてくれますよう。
愛しているよと囁いた貴方の腕の温度を思い出して胸が詰まる。掠れて震えた声を誤魔化すように声量を上げた。この声が枯れるまで、私は歌い続けよう。全身で、全力で、恥ずかしくて結局言葉にすることの最後までできなかった想いを。
(私だって、貴方を愛してたんだ)
目尻から溢れた涙がぽとりと、焼けこげた床を濡らした。
声が枯れるまで #8
なんかの詩みたいな言葉。
歌といえば、
私もいい歳になってきた。
一緒に歳をとった歌手たちや俳優さんたちが
逝ってる
あの世では毎日、同窓会なんじゃないかな
なんだか楽しそうだ。
声が枯れるまで、歌い続けたことがあるんです。夜の学校でした。
窓を開けると、暗闇の中にもぼんやりと何かが見えて、闇の中にも何かはあるんだな、なんてちょっと思っちゃいました。
窓枠に足をかけて、一気に身体を引き上げました。次の瞬間、教室は見えなくなって、私の前には、ただ夜がありました。
息を吸うと、秋風の味がしました。
そして、私は歌いました。遠いどこかにいる、「あなた」へ向けて歌う歌を。実のところ、私にとっての「あなた」は、そこから徒歩10分の一軒家に住んでいました。
でも、きっと聴こえない。あなたに、私は聴こえていない。聴こえたとしても、あなたはそれをただの騒ぎ声だと思うでしょう。名前も知らない誰かの。
それでも、私は歌いました。希望の歌を。愛の歌を。
届かなくたっていい。私が、あなたに向けて声を張り上げた、その事実を、私が忘れなければ。
結局何も変わらない。私の声が枯れて、あなたに「大丈夫?」と半笑いで言われたこと以外は。
また、歌います。きっと。
声が枯れるまで泣いたことはあるだろうか。
喉の奥がつっかかる感覚になんだか声も出ない気がして、認めてしまうのが怖くて、僕は。
ただ、呆然としていた。
大きな声を出したのは久しぶり、と彼女は鈴を転がしたような声で笑った。色があるのは彼女のまわりだけで、僕は愛想笑いのようなへたくそな相槌を打った。
そんなことより。
「抜け出してきて平気なの?」
僕がおどおどしながら尋ねると、
「大丈夫。もう何も怖くないもの」
と、彼女は言った。僕はその笑顔から目が離せなくて、何も言えなかった。
隣町のカラオケ屋。少し薄暗い店内に入るのを躊躇している僕の手を強引に引いて、彼女はさっさと手続きを済ませてしまった。ここフリータイムで八百円だから、と。僕は慌てて財布を確認して、しっかりと四千円は入っているのを見た。
「次はなに歌う?」
彼女が曲を検索し、端末からピピっと音が鳴った。
流れてきたのは、三年前に流行った曲だ。
「これ懐かしい、体育祭で踊ったよね」
僕が振り向くと、彼女はそうだっけ、と首を傾げた。
「サビで円形になってさ、たしか」
と、僕が腕を広げ、うろ覚えのダンスを表現する。意外と覚えているものだ。ちらっと彼女をみると、くすくすと笑いながら歌っている。
僕は調子に乗って立ち上がり、曲に合わせてくるっと回ってみせた。彼女も楽しそうに、腕をリズムに合わせて振った。
僕たちは同じ中学校だった。同じクラスになって、同じ図書委員会に入っていた。話してみると案外話が弾み、仲良くなった。お互いの家が同じ方向で、途中まで一緒に歩いたこともある。ゲーム、宿題、家族のこと。いろんなことを話した。
彼女が長く入院していると知ったのは最近だ。遠い高校を選んだ僕は、家を離れ、下宿生活を送っていた。母親からの電話でふと地元の中学校の話になった。その時に知ったのだ。
全然知らなかった。全く知るよしもなかったのだ。その頃彼女に何が起こっていたかなんて。
証
使い古された電化製品のように
愛された時間が長いほど
最期はお世辞にも美しくはない
しかしその姿こそ
最も得難い幸せの形の一つである
※声が枯れるまで
「声が枯れるまで」
ん?最近のお題はなんかの歌詞から?
『声が枯れるまで』
「どうしたの、坊や」
少年の前に現れたのは髪の白い少女だった。
「いた、い、、、痛いの」
少年が紡いだ言葉を笑顔で受け止めると、彼女は少年の胸へ手を当てがい、その声を使用した。
それは空気の震えであり、精神の滲みであり、透けた琴線。
滑らかな糸は少年の鼓動を縫い、撫であげる。
少年は再び大きく命を吹き上げた。
「ありがと、お姉ちゃん!」
少年はきっと、明日にでもなればこの不思議な出来事を忘れてしまうのだろう。
少女は立ち上がると、チリと痛んだ口の奥を噛んだ。
誰が知るだろう。彼女はもう500kmを己の足で歩いてきたのだ。
「ねぇ知ってる?あの女の子よぉ、声で治るだの何だの、ほら」
「あぁあぁいたねぇそんな子そういえば」
「でもあれなんでしょ?最期は声のない子の声帯治して死んだとかって...声もしゃがれて、もうダメだったんだろうね」
(もしかしたら加筆するかもです)
結局、同じ仕事しかせずに、転職もせず、また、一つの仕事に精通するのは良いが、こういう人達は、増やす必要のない仕事を更に増やし、また、このことを注意をすると直ぐに「カッ」となり、怒る。
医者の場合は、こういうことを注意すると治療をやめる。
ゆえに、こういう人達を発達障害という。
プロ意識が足りないのである、
みんな、ありがとう!
その言葉だけで声を枯らせ。
声が枯れるまで
それはどんな状況だろうか
それはどんな事をしていてだろうか
嬉しくて?悲しくて?悔しくて?
歌いながら?泣きながら?叫びながら?
分からないな
声が枯れるまで、なんてしたことないし
考えて、途中で止める事だってできるだろ
そうか
途中で止めなかった理由があるのか
季節の変わり目にしっかりと風邪を引きました
咳は出るし声はガラガラで喋れません
ここにいるみなさんが健康でありますように
声が枯れるまで
夏の太陽よりも熱いライト。
暗く小さなライブハウスにひしめくかわいいファンたちの熱気。
ミニスカートを翻して煽る。
「みんなー! まだまだ行けるよねー! 声枯らすまで叫べー!」
うおおおお、と地響きのような歓声が肌をビリビリと揺らすこの瞬間があたしは何よりも好きだ。
アイドルになりたくて上京してきたあたしは、夢を叶えてこの舞台に立っている。デビューしたてで知名度は低く、まだ大舞台には手が届かない。それでも今目の前にいる人々があたしを、あたしたちを見てくれることがとてつもない幸運であることを知っている。
かわいいというより美人な方で、背も高く、冷たい印象を持たれやすいあたしは、アイドルに向いている方ではないことを知っている。
それでもアイドルになりたかった。クールなだけじゃないあたしを演出してみたかった。
そんなあたしの挑戦を認めてくれた、プロデューサーと仲間と、そしてファンのみんなに心から感謝している。
だからあたしは歌うのだ。声を枯らすまで。
「さぁ次はファーストシングルからあの曲! いくよ!」
次の曲を伝えれば、会場の熱気は更に増す。
活動を続けてから、曲は何曲か増えている。それでも最初の一曲目は特別だ。左右の仲間たちと目を合わせて、開始前のポーズを取る。
初めてあたしがセンターを飾った曲。
あたしがアイドルとして認めてもらえたときの曲。
イントロが流れるこの瞬間は、いつもドキドキした。まるで恋をしているみたいに。大好きな人に、かわいいと言われることを想像するときみたいに。
愛を込めて歌うから、めいっぱいの歓声をあたしにちょうだい。
息を吸う。
愛してるを歌に込めて、全力を出すつもりで歌い出す。それでも溢れる愛は枯れそうになかった。
「声が枯れるまで」
彼が私を置いていってしまう
どうしてみんな私を置いていってしまうの?
誰か…誰か彼を助けてっ…!
その時、ジープが土煙をあげ救護所の前で止まった
土煙の中から現れたのは白衣を着た五人の男たち
私は彼らにすがって懇願した
「お願い!彼が死んでしまう!助けて!」
すると無精髭のリーダーらしき男が答えた
「すいません…私達は国境なき肛門科医師団なので…」
私は声が枯れるまで叫んだ
「死ねぇー!…死んでくれぇー!」
好きなものを好きだと叫びたい。
好きだと言うのは思った以上に勇気がいるけど。
否定を恐れるな。好きなものこそ一途であれ。
━━━━━━━━━━━━━━━声が枯れるまで
「つまんないね」
握りしめた原稿用紙
ペンだこをやけに引っ掻いて
「マンネリじゃない?」
握りしめた原稿用紙
タイトルをやけに見つめて
「なんか微妙」
書きかけの原稿用紙
消しゴムをやけに握って
「目標今週」
真っさらな原稿用紙
文字1つ浮かばなくて
「我儘を言わせて」
喉が渇くまで
鉄の味がするまで
語りつくしていいなら
喉が枯れるまで
夢の中で声が枯れるまで叫ぶ
小さかった私たちには吐き出すことが叶わなかった
あの日の言葉たち
夢の中で叫んだはずの言葉たちも
ポタポタと落ちてしまって
誰のもとにも届くことはない
そしてそれは足元から
私たちの頭をめがけて
下から上へとあっという間に侵食してきた
そしてそれはあの日から
私たちの呪縛となり
外から内へとあっという間に支配してきた
大きくなった私たちには吐き出すことが叶う
あの日の言葉たち
それでも吐き出すことが出来ないのは
きっと
吐き出すことが出来るのに気付いていないのか
それとも
誰かのもとに届いてしまうのが堪らなく怖いのか
どっちなんだろう
声が枯れるまで
声が枯れるまで私は歌い続ける。
声が枯れるまで私は思いを叫び続ける。
あなたにこの思いが届くまで。
あなたに私の声が届くまで。
この声を失うことになっても…。