蒼ノ歌

Open App

『声が枯れるまで』

「どうしたの、坊や」
少年の前に現れたのは髪の白い少女だった。
「いた、い、、、痛いの」
少年が紡いだ言葉を笑顔で受け止めると、彼女は少年の胸へ手を当てがい、その声を使用した。
それは空気の震えであり、精神の滲みであり、透けた琴線。
滑らかな糸は少年の鼓動を縫い、撫であげる。
少年は再び大きく命を吹き上げた。
「ありがと、お姉ちゃん!」
少年はきっと、明日にでもなればこの不思議な出来事を忘れてしまうのだろう。
少女は立ち上がると、チリと痛んだ口の奥を噛んだ。
誰が知るだろう。彼女はもう500kmを己の足で歩いてきたのだ。





「ねぇ知ってる?あの女の子よぉ、声で治るだの何だの、ほら」
「あぁあぁいたねぇそんな子そういえば」
「でもあれなんでしょ?最期は声のない子の声帯治して死んだとかって...声もしゃがれて、もうダメだったんだろうね」

(もしかしたら加筆するかもです)



10/22/2023, 4:33:59 AM