『喪失感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今日はメモです。いつもはこんなん書かないんですが笑バーっと候補書いたので書いたきますね。良いお題なので貯めておきます
喪失感
死別
これはなんでも良い。すきなようにやれ
庭にあった花が咲かなくなった
愛する夫を亡くした老人の未亡人。若い頃夫と植えた花(花言葉調べてきめて)をみて、儚くマイナスな気持ちになるも、台風が通っても死ななかった花に少しずつ勇気をもらう。だが、ある日を境に花が咲かなくなってしまう
ペットとの別れ
生まれた頃からずっと家にいた猫→主人公に懐かないから物心つく頃には猫の事が嫌い→主人公が中学生になって、この猫の先が長くないことに気付く→そうおもっていたのにも関わらず何もできずに猫が亡くなってしまった→その死骸をみて嫌いだったらはずなのに涙が止まらない
子離れできないおや
親の心子知らずって言葉あるからこれは書けないかもな。娘にして、中学生くらいの子がいいかも
幼馴染に彼女ができて、好きでもないから応援するも何故か喪失感を感じる女子中学生
→まんま!
卒業したため勉強をしなくなった勉強のできた社会人
→勉強について大人からかなり褒められてきた主人公。良い高校に主席で入学。成績トップのまま有名な大学に通う。しかし、卒業して就活が終わると、必要以上の期待と責任感でプレッシャーだらけだった。今までの期待は全て勉強で返せていたが、仕事は自分の肌に合わず、(主人公はそのことに気づかず自分を責めてしまう)褒められるどころか責められ叱られる毎日。上司のため息を聞いて主人公は自殺を考えてしまう
2024/09/10
今日は漢字テスト2連続でやって疲れた、しかも学校が始まったし、さいやくよ、しかも1ヶ月後にはテスト、オワタ、もういやーーーーーーーーー!
数学なんて私の嫌いなグラフがでてきたし、まじでお疲れ様だわ私。
あはは、もういやん!
はぁ、まぁどうにかしなきゃいけないんすよねー、やるしかないよね。それしか方法は無い。
今日はここまで、さよなら〜
ポテチを開け食べ始める満足感、
食べ続けなくなっていく喪失感、物足りなさ、
昔の友達が気づいたら遠く自分と対岸にいる寂しさ
有限の時を感じる僕は今、境界人の真っ只中。
『喪失感』
「喪失感」
ぽっかり空いた
底なしの穴
恋しくて覗くと
うっかり落ちそうになる
わたしひとりが悪いのね。
そんな気持ちになる帰り道はきっと疲れていて、今背負ったリュックもスマホも線路に投げ捨てて、ホームに座り込んで滅茶苦茶に泣きわめきたくなるのがその証拠だ。
でも、きっとわたしひとりが悪いんだわ。
さっきあった事を思い出すと、鼻の頭がつんとした。強く目を瞑って泣きたくなる衝動をやりすごす、まだ泣くべきではない。どれだけ行きずりの知らない人に(その中に知り合いが混ざっていても)涙を見られても平気だけれど、次の電車にカノコがいるかもしれないのだ。
打ち上げいく?とおそるおそるたずねたら、カノコは行かないと言った。
ハヤシくんと話している時のカノコはとても楽しそうに笑うのに、わたしが聞いた時、カノコはこちらをちらりとも見ずに、携帯の画面を見ながら、そっけなく。そんなふうに細部を思い返すと、また泣きたくなる。
わたしまるで、夫の嫉妬に狂った妻みたい。
細部を思い返す自分が報われない主婦にすら思えてくるが、実はたいしてカノコを好きな訳ではなかった。
ただ、そんな風にかろんじられる自分が悲しくて泣いているのだった。このあと打ち上げいく?と聞いたのがハヤシくんだったら、カノコは笑っただろうと思ってしまったから。
被害者ぶっている。
首を強く振る。わたしと話している時に、カノコが笑ってくれたことなんて、なかった。わたしは退屈でつまらない話しか、できない。カノコを喜ばせたことがないのに笑って欲しいなんて傲慢だ。わかっている。
それでも、先日カノコを含めた皆で打ち上げに行った時の空気が大好きだったから、今日のカノコもそうであってほしいと思っただけだった。それもまた、傲慢な思いだ。
先日の打ち上げから時間が経ち、サークル内の空気も既に先日のものとは違う。もう終電が近づいていて、誰もが帰らなくてはと思いつつ、それを言い出してしまってはこの時間が終わるから、誰も言い出さずに、会話の空白を見ないふりをして会話を続ける。そういう雰囲気が好きだった。
幼少期から、誰からも仲間に入れて貰えなかったわたしには、そういうことがなかったから。
でももう、違ってきてしまった。
ここ数日、カノコは明らかに居心地悪くしていた。ハヤシくんと隅でこそこそ話していた。それをわたしはただ見ていて、カノコとハヤシくんは、この空間に居づらいのだろうと何となく思っていた。まるで動物園の飼育員が檻の中を眺めるような、仲間というには冷たい遠い距離感で。
わたしはカノコとふたりきりで話したことさえ、ない。
でも、傲慢だし、被害者ぶっていて、聞けたものでは無いとわかっているが、わたしは本当はカノコとハヤシくんと一緒に檻の中に入りたかった。
檻の中に入って仲間になってくれないわたしをカノコが仲間ではないとみなすのは当然のことなのだ。
しかし、檻の中に入ってもカノコたちがわたしを仲間に入れてくれなかったら?わたしにはそれが一番こわい。
檻の中で笑うことも檻の外に戻ることもできず、檻の隅で、ひとり息苦しさと寒さに耐える。そんなのは嫌だ。嫌だ。嫌だ。
わたしは動物になれないままなのだろうか。このままどの檻にも入れないまま、人間でも獣でもない醜悪な内面を抱えて、さまようのだろうか。
わたしの話を聞いてくれる同族は、どこにもいないのだろうか。カノコも、わたしを話を聞いてくれないとして仲間ではないと判定したのだ。そう考えると悲しさで身体がねじ切れそうになる。わたしは、檻の外からカノコに手を差し伸べるべきだったのだ。何もしないまま、害を与えなければ愛されると、見当違いな錯覚をしていたのだ。
でもわたしには、面白い話と不在の人を傷つける話との区別が、つかない。それでつまらないことしか言えないのだ。
まっとうにひとと話すことなんてできないのかもしれない。
カノコと話さなかったわたしひとりが悪いのね。
そうじゃないよ、と言ってくれる同族の存在を心のどこかで期待して、月も見えない地下鉄の天井に向かって呟く。
そういう汚いところに、かみさまはいるような気がして。
かみさまから同族に伝えてくれるといい、こんな都合のいいことを考えているからいつまで経っても会話が弾まないのだ、矮小な人間なのにプライドだけは高い。
次の電車が来た。大量の人間が降りていく。体臭で埋め尽くされて、また元のうっすらとした湿気が残る。人の中にカノコがいたかは、わからなかった。
わたしは泣いている。何もなせない自分をあわれむために。
カノコと笑って話せたかもしれない選択を失ったことを、泣いている。電車は5分ごとに轟音と共にやってきて、降りてくる人達は全員わたしが泣いていても気にしない。
「篠川駅で、人身事故だって」
窓辺の席の俺は、教室の窓を開けボーっと外を眺めながら、秋風を肌で感じていた時、ふと
「あの子は…何をしているのかな…?」
などと考えていた。
自習時間なのにも関わらず、お喋りにカードゲーム
をしている。賑やかなクラスメイト達
そんな賑やかの中で、
聞き覚えのある駅の名前が、俺の耳に入ってきた。
『篠川…駅…?』
俺は、呟きながら…ゆっくりと顔を
前の席に座っている友人
新(アラタ)の方に向ける。
彼は、窓を背もたれにし教室内を眺めていた。
「あぁ…ほら。ネットニュース」
新は、賑やかなクラスメイト達を眺めながら
俺の方は見ずに、んっ…。と、自分のスマホを
渡してきた。
受け取ったスマホを握りながら。
こう思った。なんだか…嫌な胸騒ぎがする…と。
本能と言うか直感?みたいな感じだ。
怖い…けど、知りたい…を行ったり来たりしながらも
ネットニュースの記事の内容を読み始めた。
〘本日、2024/09/10 8時15分頃 篠川駅上り電車にて
人身事故が有り、なお電車は……〙
俺は、記事の内容を読みながら
頭の中が真っ白になった。
8時15分の電車は…いつも乗る電車より1本遅い。
あの子を見かけるのは大体、1本前の7時20分の電車…。
けれど……今日は、見かけていない。
寝坊でもしたのかな?…なんて考えていたけど
……まさか。……どうか…
この予感が当たらないでくれ…。
それから………
………その後の事は、あまり覚えていない。
覚えているのは、震える声で、新に…
「あの子」の事を話した事
新が、知り合いの友達に聞いて周ってくれていた事
さらに、その知り合いが知り合いを……
情報という輪が大きく、大きくなっていった。
願いは、ただ1つ…《あの子じゃ…ありませんように》
……それから、約2週間後
その日は、天気が良くカラリと晴れていた
俺は、篠川駅ホームのベンチに座り
何も感じず何も聞こえずに、ただ、ボーっ……と
あの子が乗っていた電車を何本も見送っていた。
『……今日が休日で良かったな。平日だったら
オレもだけど、お前も遅刻してたぞ。』
冗談を言いながら、ドカッと、音を立て
右隣に座ってきたのは…
情報を集めてくれていた友人…新だった。
「…あぁ…。そうだな…」
生きる希望を無くした俺は、生半可な返事しか出来ないいま、『喪失感』の中にいて…
…心に穴が空いている。そんな状態だ。
「はあ…。」喪失感、絶望、そんな言葉と共に
ため息しか出てこなかった。
こんな状態の俺を見て、新が呟いた。
『……今、この状況で、
コレが欲しいかどうかは知らないし
渡すのが、合っているかどうかも分からないが、
……コレをお前に渡しておくよ。』
そう言い残し、右手がジャンケンのグーの形に
なっている俺の右手に無理矢理ねじ込み
紙を握らせ彼は、その場を静かに去って行った。
俺は、チラリと右手を見た。気分は…のらないが…
開いてみるか…と、ねじ込まれた紙を
両手で、ガサゴソと紙を広げ始めた。
元の大きさまで広げられた紙には、こう書いてあった。
《 あの子の情報
港藤原学園 2年6組 宍戸原 恋芽
(ししどはら れんか) 》
この文章を見た瞬間、涙が溢れた。
胸のつかえが外れたかのように…
ボロボロとその場で、泣き崩れた。
脳裏に浮かぶのは…
篠川駅の上り電車に乗る。
茶色のボブ髪と美しく歩くその姿…。
(※胸の鼓動に登場)
神様は、残酷な殺人鬼だ。何故なら
2度と会えない様にするからだ。
あぁ…。一度で良いから
恋芽さん と、名前を呼んでみたかったな…。
俺の『はつ恋』は、絶望の中…静かに幕を下ろした。
(※19:18 編集済)
喪失感
からっぽになった、なんてことはない。
ただ、悲しみと諦めが胸の内で泣いていた。
頑張り過ぎたから
ちょっと
休もうか。
やることが、
なくなってしまった。
最初は
嬉しかった。
あそこに
行かなくて
いいんだもん!!
出勤前の
吐き気から
解放された。
寝たいだけ
寝ていられる。
休む前も
一応
家事は
普通に
出来ていたし
一人暮らしは
継続出来た。
でも、
わたし
このまま
どうなっちゃうんだろう?
やることがないし
喋る人もいないと
独り
考える時間が増えて
不安が
止まらなくなる。
毎日
やることがある
って
シアワセなことだ。
#喪失感
「喪失感」
人生で3回、喪失感を味わった。
みんな私を置いて逝ってしまった。
幸い友人はいない。
だからあと、喪失感を味わうのは1回
いや2回だけ。
大切な人、どうせ逝くのなら、
私の後に行ってくれ。
喪失感
喪失感って感じたことあるかい?
僕はねあるよ。
仲が良かった2人と
仲違いしちゃったみたい笑
心には喪失感。
身体には、ハッピー感を取り繕う。
親しき仲にも礼儀あり
この言葉、心に感じて行きたい
お題《喪失》
心が錆びていく、ゆっくり、おだやかに。
「だいすきだよ」
あなたの言葉が、きらい。
気持ちが空白になってしまったのがわかるから。
でもいえない、いいたくない、わたしをゆらす。
「さよなら」
わたしの笑顔は不変の嘘。
「落ち着いて聞くんだ」
ほんの少し前まで救急隊の仲間たちとふざけ合っていた中、先輩に呼び出される。そして神妙な面持ちで俺に前置きをした。
そして、先輩の口が動いて耳に入る。恋人が事故に巻き込まれ非常に危険な状態だという言葉。
俺は目を見開いた。
先輩の放つ言葉に、俺の耳は先輩の声を遮断する。
視界は揺らぎ、色が失われる。
背中から悪寒と、内側から小さく震えが襲う。
上手く思考することも出来ない。
「おい、聞いているのか!?」
先輩ががしりと俺の肩を掴んでいた身体を揺らした。
そこで俺は現実に引き戻される。
「危険な状態ではあるけれど、彼女次第なんだ! そんな顔をしてどうする!?」
喝を入れてくれる先輩に、俺はハッとした。
そうだ。
彼女は……まだ生きているんだ。
失われたわけじゃない。
違う。
俺は彼女を失いたくない。ほんの数分前に自分が体感した喪失感を現実にしたくない。
彼女にも、生きる気力を無くさせたりしない。
彼女を失いたくないから、俺の心に火が灯る。俺は俺に出来ることをしよう。
「先輩。俺、彼女のそばに行きます」
「治療はするなよ」
「分かっています」
恋人として同棲していても、籍を入れていなければ他人なんだ。
それでも、彼女は誰よりも近い人だから、俺は彼女の診断や治療は行えない。
それでも、俺に出来ることをしよう。
――
そして、改めて考えることがあった。
俺自身、危険な仕事をしている。
実際に俺だって死にかけたことがある。あの時、彼女もこの喪失感を味わったのだと思うと余計に胸が苦しくなる。
俺は左手の薬指を見つめた。
「真剣に考えなきゃな……」
おわり
一一七、喪失感
喪失感
(トゲトゲを自分に向けて)
群衆心理
同調圧力がもたらすものは
自己破壊
自己喪失
逆らうことなくうなづいて
出来たのは
使い古された人形
大きく分厚いドアを前に言う
「解放してよ」
門番は言う
「ならば、さあどうぞ」
開放されたドア
なのに出ていけない
出ていく勇気がない
この先一人で生きていく知恵も何もない
踊れない人形
多種多様に拡がる交友関係
職場家庭友達趣味仲間ネット仲間
おびただしい情報量
何が正しいのか
誰を信じていいのか
分からなくなる
その中からの取捨選択は
自己判断
自己責任
いっそこのまま
人形のフリしていようか
靴を脱ぎ捨てて
end
「喪失感」
大会にエントリーされなかった。
きっと誰よりも努力してるはずなのに。これが悪かった。
練習のしすぎて疲労骨折してたなんて気づきもしなかった。
ほんとに悔しくて辛いな、今まで積み上げてきた努力が砕けた喪失感で涙が止まんない。
年に一回しかない大会。いや、来年受験生のわたしにとっては人生で最期の大会。
絶対に出て優勝したかった。
テーピングとサポーターで筋肉質なボロボロの足を見てやっと気づいた。
むらさき色の気分だ……
頭が痛む。枕元の時計はもう夕方を差し、カーテンからは日暮れが透き通ってくる。動けないことはないため、ゆっくりベッドから降りて机に向かう。
机の上は昨日の夜で一時停止されていた。開けただけのポテチに、中途半端に中身の入ったビール缶が二本。空き缶はもっと。
あれ、こんなに呑んだんだったっけ……?
寝起きだからだろうか、記憶が曖昧だ。
そうだ、仕事で疲れてたんだ。
体に残る倦怠感が私に思い知らせる。もう若いときほど無茶できないな。
とりあえず片付けないと………
あーあ、せっかくの土曜日だったのに……
喪失感 #7
楽しい時間が終わったあとは、とてつもない喪失感に襲われる。
またすぐ会えるんだし。って自分に言い聞かせてるけど毎回失敗。もし帰り道に交通事故にあったら?誘拐されたら?もう二度と、会えなくなったら…?こんなネガティブなことまで考えてしまう。
だから、今、その時を存分に楽しもうって決めた。
大切な人との時間、終わりたくないけれど…次があるって信じて、運命に身を任せようと思う。
帰り際に少し引き止めちゃうかもしれないけど許してね。
今は1分、1秒でも君の隣にいたいんだ、
喪失感
心に溜まっていた水が溢れていき、空になった瞬間全てがどうでも良くなった。
日々家
「Who killed Cock Robin? I, said the Sparrow,
with my bow and arrow, I killed Cock Robin.」
制服で、車に揺られている。
車窓の外は、嘘のようにカラッと晴れ渡っている。
制服の、折り目正しいスカートの上に載せられた詩集が、車の振動に合わせてカタカタと揺れる。
「Who killed Cock Robin?」
分厚いマザーグースは、車の揺れに合わせて、繰り返し駒鳥殺しの犯人を問うていた。
今日は、本当に蒸し暑い。
ようやく効き始めたクーラーの冷気が、埃の匂いと一緒に、私のいる後部座席へと流れてくる。
「Who killed Cock Robin?」
マザーグースは、冷気でページをはためかせながら、そう主張していた。
車内では誰も喋らない。
クーラーの冷たい風の鳴き声と、車のエンジンの唸り声と、マザーグースのページの捲れる音だけが、響いている。
青くて、騒がしくて、鬱陶しいほど暑くて、陽炎すらもゆらめいている外。
黒くて、冷たくて、静かで、霜が降りそうなほど沈痛なこの車内とはまったく正反対だ。
こんな良い天気に死ななくてもよかっただろうに。
私は、罰当たりにもそう思う。
ぼんやりと車窓の外の空を眺めて。
今日の午前に、叔母が死んだ。
父さんの妹だった叔母は持病で、ずっと病院暮らしだった。
昨日と今日の間の深夜に、その容態が急変して、今朝息を引き取ったらしい。
起き抜けに電話をとった父に告げられて、私たちは、黒い服に身を包んで、車に乗った。
叔母は、病気のせいで派手に動けないというだけで、話してみれば、陽気で楽しげで、とても素敵な良いおばさんだった。
膝の上のマザーグースをくれたのも、「Who killed Cock Robin?」がもともと哀悼の詩だけども、英米のミステリーの常套スラングとして有名なんだと教えてくれたのも、叔母さんだった。
私たちは叔母さんの病院へ向かっている。
これから、叔母さんの持ち物や私物を整理して、叔母さんと最期のお別れをするんだと、父さんが震える声で、そう説明した。
もう叔母さんとは喋れないらしい。
もう叔母さんとは遊べないらしい。
お別れが終わったら、もう叔母さんの手も握れないらしい。
…そう何度も自分に言い聞かせても、なんだか遠くの地の、他人のことのような気がする。
悲しさも寂しさも、どっか遠いどこかを漂っている。
足元がふわふわしている。
喪失感。
突然、頭の中にそんな言葉が浮かんだ。
このふわふわ感は、どこか他人事のような無気力感は、喪失感というのだろうか。
喪失感。喪失感なのかもしれない。
膝の上に目を落とす。
「Who killed Cock Robin?」マザーグースは相変わらず、犯人を探している。
ぼうっと、ページを繰っていった。
「Who’ll dig his grave? I, said the Owl,
with my pick and shovel, I’ll dig his grave.」
「Who’ll be the parson? I, said the Rook,
with my little book, I’ll be the parson.」
「Who’ll be the clerk? I, said the Lark,
if it’s not in the dark, I’ll be the clerk.…」
鳥や動物たちが、駒鳥の死を悼んで、お葬式の準備をしていた。
制服のネクタイの色が、明るすぎる気がした。
相応しくない気がして、ネクタイを乱暴に外す。
窓から空を見上げた。
青い空を、カラスが一羽、横切っていった。
喪失感。意外と無いな。
何も感じてない。
ただあれからお腹の辺りが変な感じ。
身体目的でも求められるなら嬉しいと思っちゃうんだ。
不純になったもんだ。私。
もう目的は問わないからわたしを離さないでね。
浮気しても言わないでね。
嘘でもいいから、私の前では私を愛してるフリをしてね。
私を求めてね。
離さないでね。
貴方の心臓の音、速かった。
あれうれしかったよ。
私、脈早くならなかった。
気づいていたかな。
最初から。
今までの胸の高鳴りは感じなかった。
でも、貴方が離れそうになった時勝手に涙がでてきた。
これで終わりにしたくなかった。
まだ貴方といたかった。
いや、私は私を見放されるのが怖かった。
離れないで欲しかった。
私を求めるのを辞めないで欲しかった。
また1人になりたくなかった。
だから、もう身体目的でもいいよ。
あの時にもう割り切った。
この恋に純粋は似合わない。
欲をいうなら、
遊びで終わりにしないでよね。
_喪失感
僕のお嫁さんは超能力者だ。
と言ってもサイコキネシスとかテレパシーとか、そういった有名なものは使えない。
マイナーというか、多分世界に一人だけの超能力だ。
嫁の超能力、それは『世界に一つだけ』の複製を作ること。
凄い、と思われるかもしれないが、意外と使い勝手は悪い。
その名の通り、そもそも存在しないものは作れない。
二個あったりするとこれも複製不可。
複製できるのは、失敗含めて一日一回。
『世界に一つだけと思ったら、なんか二つあったらしく失敗』なんてこともあり得る(と言うかあった)。
だから手あたり次第は出来ず、案外使いどころが難しい
それにだ。
考えてもみてほしい。
世界に一つだけのものが分かったとして、欲しいだろうか?
仮にテレビで『世界に一つだけ特集』をしていたとしよう。
そこで紹介されたもの、本当に欲しいだろうか?
凄いとは思っても、欲しいとまでは思わないのでは?
『世界に一つだけ』でも欲しくない。
あるいは欲しくても『世界に一つだけ』じゃない。
現実は厳しい。
ちなみに、お札は複製できる。
『あれこそ数えきれ程あるだろ?』と思うだろうが、そこは発想の転換。
お札には固有の番号が振ってあるので、番号さえ指定すれば複製できる。
試しにやったら出来たので間違いない。
妻と二人で大喜びである。
だけど、寝て起きたら急に怖くなった。
だってこれ、通貨偽造だよね。
通貨偽造は重罪。
真っ当な人生を生きてきた僕たちは、やったことに怖気づいてしまった。
なので、こっそり燃やして捨てた。
それ以来、お札は複製してない。
まあこんな感じでうまくいかなかった。
ということで最近は、一日ごとに『世界に一つだけの物』を当てる遊びみたいに使っている。
結局俺たちは、このくらいのほうがちょうどいいのだ。
そんなある日の事。
その日は僕の番だったのだけど、どうしても思いつかなかった。
99回連続で外した身としては、どうしても正解したい。
妻から笑われないためにも、ここは負けられない。
僕は一日中悩んだ末、天啓を得た。
『僕を複製できるか』
僕はこの世界で一人だけ。
間違いなく当たりだ。
とはいえ、本気で言ったわけじゃない。
はっきり言って冗談だ。
思いつかなかったので、やけくそで言っただけ。
本当に複製を作られても困る。
妻もきっと、僕の冗談に笑うか、あるいは『趣味が悪い』と怒るだろう。
そう思っていた。
だけど、妻は予想外の反応をした。
僕から気まずそうに目をそらす。
何その反応?
待って、『ゴメン』ってなに?
土下座しないで。
ちゃんと説明を、いや説明しないでくれ、知りたくない。
もう一人僕がいるなんて、そんなのありえない
だって僕は、世界に一人だけの――