『喪失感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ぽっかり穴があいたみたい
いつからだっけ
そうだったっけ
たくさんたくさんここに詰め込んで
なにか だれか
なんでもいいからって
けれどなくしてみて思うのは
このままでいいかもしれないってこと
夜空を見上げたら
月明かりが、ほら
喪失感
あなたの心へ
直接問いかけてます
あなたの目の前に
あるいは手の中に
届けることば
あなたの心との
向かい合わせに
ことばとおもいの
交わりの可能性を探す
すべての終わりが
すべての始まりという
あなたの無言の問いかけに
私は沈黙を持って反対した
今ここにある事実は
まだ終わりを迎えていない
今ここにある現象は
まだしっかり動いていた
それでも
あっという間に
引き離され
逃げ出せない束縛
気づけば砂時計の流れ
時は待ってくれない
距離だけが離れていく
もう元へ戻せない
アラームの危険な赤
感情が追いつけない
今の思いが大事でも
願いは遠ざかり
やがて消えていく
頬をつたって消える
明けることのない夜の涙
喪失感
全てを無くした気になった。
今まで信じていたものが、生き抜く為にしてきたことが、
今の自分を追い詰めていたのだと、気付いた。
こころが、心臓を鷲掴みにされるように、胸が痛くて、悲しくて、寂しくて、絶望して、毎日涙がこぼれた。
心細くて仕方がなかった。
それは今もかもしれない。
・喪失感
兵士たちが、目を抑えて呻いている。
老夫婦が、泣き喚いている。
せかされて、彼女は彼らに踵を返した。不意に、誰かが彼女の着物を掴む。
シワシワの手だった。彼女は無造作にそれを振り払う。
行かないでくれ、かぐや姫。
その言葉は、届かない。
***
「おかえり、カグヤヒメ01」
彼女が目覚めたとき、目の前には柔和な笑顔があった。最新型AIである彼女を開発した、若き天才エンジニアである。
人の心をもつロボットをつくること。それが彼の目的だった。そのためにもう何度も、架空の世界でシュミレーションしている。
さて、今回の収穫はどんなものか。彼は一歩、彼女に近づいた。
「気分はどうだい?」
「異常ありません」
ふうむ、と、彼はまじまじと彼女を見つめる。その口元は、みるみるうちに緩んでいった。
彼女はあの世界で、感情を手に入れていた。そう確信するに足る証拠を見つけたのだ。
「異常がない?じゃあこれは何かな?」
そう言いながら、彼は彼女の瞳に触れる。瞬き一つしないで、彼女はその手を受け止めた。
するり。その手が瞳から離れたとき、彼の指は、わずかに濡れていた。カグヤヒメ01のボディは、人間と全く同じ機能を搭載している。
そう。悲しければ涙を流す、というように。
「ねえ。君は、悲しかったんだよ。あの世界で、愛した人たちと別れることが」
歓喜の声が溢れそうになるのを必死に押し殺して、彼は彼女にそう言い聞かせる。ちょうど、幼子をあやすように。
彼女の目から、涙が溢れた。
混乱する意識の中で、彼女はお爺さんを思った。お婆さんを思った。帝を思った。もう二度と戻れない、失われた日々を思った。
その気持ちの名を、彼女はまだ知らない。
題:喪失感
喪失感しかない人生なら
私はこの世からとっくに
いなくなっていたと思う。
私が今ここにいるのは
立ち直れた訳では無いし、
喪失感から抜け出せた訳でもない。
ただ、大切だと思う人が増えただけ。
一番、喪失感を感じたのは
おばあちゃんが家からいなくなった時
施設に入ることになって
おじいちゃんに差し入れしに行った時
「おー! 来たか」
って声も
そこにおばあちゃんがいない
そんな事実を毎回感じた
来る日も来る日も……
ちゃんと、生きているのに
いつもいる家にいないってことが
とてつもなく……辛かったのを
今でも覚えてる──
(2023.09.10/喪失感)
喪失感
12月
何ともないことだ
と自分に言い聞かせても
どこか寂しくて
未だに君を想ってしまう
ふと気が付いた時に
浮かんでくるのはいつも君の笑顔
色んな顔を知っている筈なのに
いつも思い出すのはやっぱり笑顔
その笑顔を僕がずっと守って行きたかった
叶わなかった
僕は君と出会ってから冬が大好きになった
君の誕生日やクリスマス
幸せだった
あの時は世界が輝いて見えた
今は笑顔の君はもういない
大好きな冬が大嫌いにもなれない
ただ虚しさで溢れる季節となった
君はもう僕のことなんか忘れて
きっと違う人と笑いあってるんだろう
僕はまだひとり
君しか見えなくて
何年か前の事。
まだ涼しい朝方に、人気のない公園で二人はブランコを漕いでいた。
特に用事があったわけじゃない。ただ行きたくなったから。
こんなワガママに付き合ってくれるなんて、貴方は優しかった。
二人は特に何か言う訳でも無く、ただブランコを漕いでいたから、
キイィ、キイィと鉄が軋む音だけがして。それがどこか寂しかった。
そして私がなにか話そうとして、口を開こうとした瞬間だった。
貴方がこっちを少し悲しそうな顔で見て
「俺ね、もう海暗と一緒にいるの疲れちゃった。もう別れよう?」
冷たい声だった。だけどいつもの温かさも少し残っていて私はそんな声で言われた突然の発言に
驚愕する。
別れよう、この言葉が私の頭の中で狂ったメリーゴーランドの様ぐるぐる回る。
別れたくない!嫌だ!なんで!
という言葉が頭に浮かぶ。だけどそんな言葉は口に出来ない。
私は貴方と違う気持ちを持つことが嫌だったから。
僅かな沈黙の後私は震えた声で
「…うん、分かったよ。今までありがとう。」
と言う。本当はこんなこと言いたくない。なのにこんなことを言ってしまって
私は溢れる涙を堪えられずにいた。
私の言葉を聞いて、この公園から去っていく『君』。
私はそんな『君』をみて、必死に行かないで、って言おうとした。
だけどそんな言葉、出なかった。
私の口から出るのは、『君』との別れに強い喪失感を抱いたが為の呻き声だけだった。
そして今。
私は相変わらず独りだ
やっぱり『君』が戻ってくることをずっと待っている
あの時から抱いてる喪失感は一向に消えない。あの時のことは今でも忘れられない。
「貴方しかいないの…この想いを、晴らしてくれるのは…」
と、独りの哀しい部屋で呟いていた。
喪失感
何かを失った感じ
おおよそは錯覚
実は始めからない
あるのが錯覚だったんだよ
自分のものではなかったんじゃない
なくはないけどさ
それは問題が知らずに解決した
その時に味わう一瞬の喪失
物体からの解放感
なくなってはいない
ただ解けてしまった感じ
何だったかすら危ういそんな存在
ふと必要になると現れて告げることに
たまに誰かの役に立つくらいの問題
喪失感って別に悪くはない
もし悪く捉えてるとしたら
その存在に依存してたってこと
きっと生きやすくなると思う
あれは、私の記憶にひどくこびりついた錆です。
あの日宇宙から飛び降りてきた彗星は、あなたを迎えにきた使者を乗せていたのかもしれませんね。
なんせ、あれが視界から消え失せた時、あなたの心臓はぴたりと動かなくなってしまいましたから。
いくら嘆いたって心の穴は埋まらないし、どれだけ叫んだってあなたに届きやしないのに、こうしてあなたを想いつづけることを止められない。頭ではきちんと理解できて、ちゃんと決心も出来ているはずなのに……。
どうやら心というのは、存外融通の効かないものらしいです。
まぁもし此処にあなたがいたら
「他人に配れる心があるなら、おまえが幸せになるその時の為に蓄えとけよ、バーカ!」
なんて突っぱねられていそうですけどね。
私は、蒼く染め上げられたあのソラの色を、未だ忘れられずにいるのです。
私にとって、蒼は、まさしく“恐怖”そのもの。それは私の大切を余すことなく奪っていったもの。
これまでそうだったように、これから先もずっと、私は蒼を恐れ、避けながら過ごしていきます。ずっと。ずうっと。
ねえ、___様。
私、思うんです。
いっそどこかの麗しき姫のように、寿命と引き換えにあなたの記憶をさっぱりと消してくだされば良かったのに、って。
いつまでも拭えぬであろう複雑な気持ちを、記憶とともに棄ててしまいたかったのに。
▶喪失感 #9
ママへ
ママがパパのところへ逝ってから四年が経ちました。
パパと仲良くラブラブで、どこかドライブしてるのかな?
ママと出会ってこの人の本当の娘だったら良かったなぁと
何度思ったことでしょう。
たった1年の間でしたが、本当に可愛がってくれてありがとうございました。
実の親を亡くしたように、時々今でも喪失感が襲ってきます。
一緒に買い物行ったり旅行に行ったり、もう少し一緒にいたかったな。
母親から褒められたことが無かった私は、些細なことですごく褒めてくれるママにとても救われました。
ママと彼と3人で過ごした1年はとても楽しくて幸せでした。
ママから「匡をお願いね」って言われたけど、ごめんね約束守れなかった。
ごめんなさい、私には無理だった。
怒ってるかな?許してね。
子供みたいにママに会いたいなぁって、いつも思ってるの。
頭を撫でてヨシヨシして欲しいって思っちゃう。
いい大人がバカみたいでしょ?
彼とお別れしたことより、ママと会えないことの方が私にとってはとても寂しくて悲しいです。
ママ、会いたいな。
喪失感
……はぁ。
気づけば今日一日中ため息をついている。
…なんでだろう?
別に特別辛いこともなかったし
ただ平凡な生活をおくってるだけなのに。
今日は何をしようとしてたんだっけ…?
それすらも ろくに分からなくなってしまった。
…そうだ。
こんなときはプリンでも食べよう。
そう思って冷蔵庫を開けた。
…美味しい
とは思わなかった。
普段はつい食べ過ぎるくらいなのに。
…はぁ。
今日は何やっても駄目みたい。
「今疲れているそこのあなた!!必見ですっ!!!」
なんだなんだこのどでかい声は
音量を下げた。
テレビショッピングみたいだ。
おなじみのキャストやさくら達が写っていた。
「今日おすすめするのは…
この疲労回復サプリメントでs…
ブチッ
あいつが言い終わる前にテレビを切ってやった。
…そうだ。思い出した。
私は今日、有給が残ってるから少し休めと言われて
仕事を休んだんだ。
「先輩も、たまには好きなことしてくださいね!」
「…先輩は頑張りすぎなんですから。」
「…うん。ありがとうみんな。」
私は、後輩たちの思いに応えたくて
一生懸命、充実した休みをおくろうとしてたんだ。
…でも結局何もできなかった。
分からなかった。
何をすればいいのかも。
…案外仕事より難しいのかもしれないな。
だったらいっそこの喪失感に飲み込まれて
流れに身を任せればちょっとは楽になるのかな?
「喪失感」
「心にあいた穴、塞ぎます」
露店主が道行く人たちに声をかけています
私は露店主に声をかけました
露店主は私の顔を見ると
「またあんたかい」と言いました
私は言いました
「糸がほつれてきちゃったの、心にすきま風が吹いて寒いのよ」
露店主は慣れた手つきで針と糸を持ちチクチク縫い合わせていきます
「少し痛むが我慢してくれよ」と、言いました
私は「大丈夫よ、この心にあいた穴の痛みに比べたらどうってことないわ」
露店主は心の穴を塞ぎ終わると言いました
「あんた、心の穴を埋めてくれる何かが早く見つかるといいな」
私は「そうね」と返事をしました
ある時、私は私自身を見失ってしまったのだ
私が私自身を愛せなきゃ、この心の穴は塞がらない
迷子の私を、今日も探しに行くのです
喪失感が空を覆って、寂れた街に吹く風をぬるくする
苛立ちとやるせなさで編まれた薄紫のレース
遠くのクラクションに驚いて僕に纏わった
寝れば許せる自分が許せないから、今日はまだ帰らない
いずれ大切な人々の旅立ちを
見送らねばならない日が
きっと来るだろうこの先
とんでもない喪失感に
今から恐怖です
そう遠くない現実
わたしは果たして
正気でいられるだろうか
いや、きっと無理だ
案外にひ弱なんだと実感
新鮮新宿駅都営新宿線本八幡方面時刻表 15時49分各駅停車本八幡行 15時55分各駅停車本八幡行 16時00分各駅停車本八幡行 16時04分各駅停車本八幡行 16時10分各駅停車本八幡行
16時16分急行本八幡行 16時19分各駅停車本八幡行
高校に受験した。
大学に受験した。
文化祭だって、体育祭だって真剣にやった。
今となってはただの「記憶」でしかない。
大人になった今は、そんな「喪失感」と戦っている。
でも、今は昔なら想像もつかないような趣味を見つけた。
あなたにも、「乾き」を癒すものはありますか?
▼ 喪失感
家族、相棒、大切な——
一度に失う事になるとは思わなかった
ただ自分の選択肢が間違っていたとは思わない
だからこそ、後悔はない
日常が変わる
暖かいと思っていた生活がなくなって、家の中でぼんやりと窓の外を見ながら紫煙を燻らせる
先を見ているから哀しさはない
必ず成し遂げる自信もあるからだ
それでも、少し、ほんの少しだけ
寄り掛かっていたあの背中にしていたように身体を傾けた
喪ったもの、失ったもの
その重さも数も
その時に感じた想いも痛みも
いつまで経っても消えなくて
見えないくせにいつまでも
古傷のように疼いて痛んで
いきなり襲いくるもんだから
息苦しくて、どこか淋しくて虚しくて
もう慣れたはずなのに、
その夜は眠れずに
震えた指で唇で煙草を咥えた
吐いた煙が淀んで
僕自身を隠すように包むから
なんだか泣きたくなる
喪失感が心に穴を開けるだけなら
どうしてこんなに痛むのだろうか
喪う事も失う事も避けられないんだったら
何度やり過ごせば楽になれる?
喪失感
「元気でいてくれれば、それでいいよ」
彼が自分に求めるものは、それだけだった。
料理が失敗しても、
待ち合わせに遅刻しても、
くだらないことで怒ったりしても、
不機嫌でいても、
情緒不安定になっても、
嫌いだ、なんて言い放っても、
彼が自分に、ここを直して欲しいなんて一切言わなかった。
「健康で、元気に笑っていてくれるなら
それでいいんだよ」
「だって、人はいつ死ぬか分からないんだから」
「ただ、生きてくれれば、それでいい」
その言葉、そっくり今あなたに返すよ。
この喪失感と一緒に
Fin.