『哀愁をそそる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ち込んでいるおまえの背中が物悲しい。
「どうした?」
「いや、いつものだよ。ただのうつ」
ただのってことはないだろ。
俺は、ただ、おまえの隣に座って、じっと待つ。
「なあ、オレが死んだら、おまえはどうする?」
「泣く」
「その後は?」
「生きる」
「よかった…………」
おまえが、そういうことを訊く時は、本当に精神状態が悪い時だ。
だから、そっと手を握り締めた。
#鏡の中の自分
毎朝見る鏡に映る私の顔。
朝早くてまだ眠たそうな顔だったり
楽しいことがあるからか自然と笑顔だったり
昨日辛かったことがあって少し悲しそうな顔だったり。
今日はどんな私が映るんだろう
哀愁をそそるこの風景。
君の別れた虚しさを心の中に溜め込んで。
「かたすみ」
夕陽に染まる町が眩しくて影に隠れるように歩いてる
いつも目立たない場所から眺めてた憧れみたいに
きっと夢は他愛もないことから始まるの
こころ開けずに今は一人小さな蕾のよにうつ向くけれど
誰も一人じゃないよ一人じゃつまらないから ねぇ
共に唄おう始まりのウタを
君らしさは知らない、だけど君にだけ分かる
そこからの風景を教えて
寂しいことなんてないよ だって君はいつもそこに居るから
何にも染まらなくても片隅の君が繋ぐ音はいくつもの一つで
きらめいて四季のように奏でるよ
木枯らしの中を好んで一人歩いてた
何を感じ何を見つけていくのだろう
途方もない山の向こうに見える秋の空
夜に染まり消えていく影を見て気づいた月の明かり
そのままでいいよ 眩しい太陽があるなら
ねぇ、きっと君は 美しい月の光だよ
だから共に唄おう
同じ光じゃできなかった奇跡のウタを
君にだけ分かる心の音を教えて
何にも染まらなくても片隅の君が注ぐ光が眩しくて
いつだって四季の空に奏でるよ
「私は生きています」
世界に存在する魂の数は一定だ。あらゆる魂はこの地球上で輪廻を繰り返しながら新しい生を目指す。
そんな天上の理を知る由もない人類は、文明発展の勢いに任せ、多くの動植物、時には細菌までも絶滅させた。行くべき道を失った魂は続々と人間へと生まれ変わり、世界人口は限界まで膨れ上がる。
やがて人類の繁栄期も終わり、今度は人間が絶滅を迎える順番がきた。しかし地上の生物は既に死に絶え、膨大な魂の生まれ変われる身体がない。
そのとき神は廃墟で立ち尽くす機械にふと目をとめた。
彼らはここに存在しており、その頭には知性があり、資源と活力が有れば自己増殖できる。ならば魂の入れ物としては充分ではなかろうか。
「私は 生キテ いマス」
低電力モードのせいで品質の落ちた声。
旧式アンドロイドの表情は固く、フェイスカバーの剥げた隙間からは集積回路が透け、哀愁をそそる。
全てが滅んだ世界でついにAIは魂を持つに至った。
もうそれを喜ぶことのできる人間はいないけれど。
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「哀愁をそそる」
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所感:
お題に対し、情けなさや嘲り、笑いといった要素を付加させず、ただただ悲しみだけを味わえる情景をさがしたら、また人類が絶滅しました。いつもすみません。
ある女の話をしよう。
女が少女であった頃、その頃から利発だった。
数字や数式、元素といった「記号」に魅了され
両親に買い与えられた読本を夢中になって読んだ。
そんな少女をよそに、両親は仲違いをしていった
父と諍いの絶えない母。気付けば失踪していた父。
そうして、母も同じ様に少女を置いて行った時
少女は他人に興味を失った。
少女が一人でいるのを保護された時も。
少女を哀れと思った誰かが引き取っても。
少女はただただ数式と化学式に没頭した。
心優しい里親と自身の努力の結果、
国立教育機関に学費免除の上成績首位で入学となり、
より多くの知識と可能性を追求できる
環境へと身を置いた。
少女は女となり、
女は知らぬ間に様々な功績を打ち立てて、
所謂「天才」と持て囃される様になった。
多くの賞を得て、名声も地位も手に入れた。
女に多くの人間が関わる様になった。
女の恵まれない幼い過去を掘り下げる輩が出てきた。
女が望んでいなかった「無駄な」時間が増えた。
ただ探求する事が好きだった。
ただ煩わしい音が嫌いだった。
憐憫も嫉妬も憧憬も同情も。どんな言葉も声も。
何もかもがうっとおしく感じられた。
そうして女が初めての賞を得てから5年が経った頃。
ある大雨の日に、女はふらりと姿を消した。
「 、ふぇくちっ」
「………何やっているんですか、貴女は。」
ガラリと躊躇いなく開けられた浴室の扉から
呆れ声が一つ。また自分は眠りこけていたらしい。
ぺちゃぺちゃと張り付く感覚に
気持ち悪さを覚えながら、頭上の声の方へ向く。
「やあ、君か。何って…付属物と身体の洗濯?」
「衣服を着ながら入浴している事を間違っても
「洗濯」などとは言いませんし、
そもそも衣服を身体の「付属物」と言うのは
何か服に恨みでもあるんですか貴女」
凛々しい眉をぎゅっと寄せて、
同居人はじとりと睨んでくる。
さて、何故こんな状況になったのか。
物臭女は、幾らか頭を捻って思い出す。
そういえば、
丸3日本に没頭して部屋に倒れていた自分を
仕事で暫く会っていなかった同居人が帰宅後
発見し、栄養補給を強制的に行われ
「流石に不潔です。せめて入浴して下さい」
などと語られ浴室の前に放り投げられたのだった。
そして、3日間思考の冴えたままだった自分は
「脱ぐのは面倒だ。そのまま入れば一石二鳥だ」
と恐らく思考して使って今に至る…気がする。
同居人の放つ圧と視線に耐えかねて
ざばあと湯を滴らせながら立ち上がるも、
ぬるい湯の染み渡った「付属物」…いや服は
まとわりついて動きにくい。
……そういえば、こんな事が前にも
あった様な気がする。
「とりあえず早く上がって着替えて下さいね。
…間違っても、その服を周辺に放らない様に。
あと髪を乾かしてる途中で眠りこけない、」
「わかったわかった!全く、君は世話焼きだねぇ」
物臭女がタオルを受け取ったのを確認して
同居人は浴室を後にし、リビングへと向かう。
上がってきた女の為に珈琲を用意する為だ。
……つい2年ほど前にも同じ事があったな、と
懐古しながら
ーある██の話をしよう。
██は女の事を少女の頃から知っていた。
と、言っても実際はただ一度の邂逅も同然
女は碌に覚えていない記憶だろう。
十五夜と呼ばれるある夜、
まだ仲の良かった男女と少女は空を見上げていた。
比較的夜空が美しく描かれる郊外にて、
恐らく旅行にでも来ていたのだろう。
少女は星にも負けない様なきらきらとした目で
空を眺めていた。
その途中で、じっと「自分」を見てくれたのだ。
名のない、普遍的な薄い赤の光を放っていた██
少女は特に何を言うでもなく、
暫く「自分」を見てからくるりと翻し
「ぱぱ、まま!キレイな██様がいたよ!」
と言ったのだ。
きっとそれは自分じゃない。
他の██の事を指したのだろうが、
あんなにも熱心に見られてしまった事が
あのきらきらした瞳が、表情が。
忘れられなかった。
出来る限り██は少女を見守った。
少女が喜ぶ様も、傷つく様も、
次第に周囲へ興味を失っていく様も
何も出来ないまま、見守った。
見る事しか出来なかった。
少女が女となり、女がややあって
何処かへ逃げる様に…或いは迷子の様に、
大雨の中を彷徨っていた頃。
哀愁をそそる後ろ姿を見せた時。
とうとう██は堪えきれず飛び出した。
どうやって、だとか何をもって、だとか
理屈は分からないまま傘を片手に降り立った。
そうして、濡れ鼠になった女にそっと近づいて
「何をやっているんですか?貴女」
と傘を傾げて言ったのだ。
哀愁をそそる
秋の夜道。
こんな帰り道には月を眺めたくなる。
見上げた月は、
朧月のようにぼんやりとしているわけではなく
けれどもいい具合に雲がかかって
なんとも言えない存在感を放っていた。
ただ美しいだけのようなのに、
物悲しい気持ちがおこるのはなぜなのだろう。
きっと、人の心は複雑で
たとえそれが自分のものでも全てを知ることはできないのだろう。
『哀愁をそそる』
“哀愁”という言葉。
なかなか、使うことがなくって、
どんな時に使うかな?って考えた時、
“切ない”という単語と、すごく似ているような気がした。
でも、哀愁は、もっとこう、酢いも甘いも味わって来た先に、感じ取れるような感情という気もする。
“切なさ”の向こう側という感じ。
“切ない”という言葉には、苦しいけど、諦めきれないという切羽詰まった感じがする。だから、胸が痛いんだと思う。病気に例えるなら、急性と言ったとこだろうか。
一方、“哀愁”という言葉には、諦観の響きを感じる。
かなしくて、さびしくて、辛かったけど、でも、それは仕方の無いことだよねって、もう受け入れている。溜息さえ、もう出尽くした。そんな気がする。
そして、もう慢性の状態だ。悲しみを包含した状態がデフォルトになっている。言わば、かなしみと共に生きることを覚悟した、とも言えるだろうか。
私は今、片思いをしている。
相手の方には家庭がある。
そして、彼には、哀愁をそそるような雰囲気がある。
だから、今、とても切なさを感じている。
胸も痛くなるし、意図せずに、大きな溜息も出てしまう。
この、思いが、哀愁に変わった時、
私は、私の人生を前に進めるのだろうか?
答えはわからない。
だけれども、哀愁という言葉に、
私は今、希望を感じているのだ。
縋りたいくらいに。
枯葉がひとつ。
はらり、はらり。
もう枝には何も無い。
最後のひとつ。
はらり、ふわり。
木枯らしに連れられて
どこか遠くへ。
ふわり、ひらり。
もう他の落ち葉と
見分けがつかない。
ひらり、ひらり、ひらり。
-哀愁をそそる-
扉を開けば夜空。
自宅と外、隔てる壁。
越えてしまえば、
いつしか冬があった。
星が煌めいて、
冬の香りがする。
「哀愁をそそる」気配。
やはりその正体の名は、
未だ冬以外に有り得ない。
秋の哀愁
今日の風邪は少し悲しい
君の表情も今日はやけに悲しかった
私も悲しくなって涙を流した
明日の哀愁は
晴れ模様
【哀愁をそそる】
実際に何があったのか。
言葉を綴られて、その言葉を飲み込んでも、理解してあげられない。
なぜなら、心は言葉として見えないし聞けないから。
生きてけば、環境が少しずつ変化する。
止めることは出来ない。
自分勝手。自己犠牲。
少なくとも、ひとつ願う事は自分自身の心の声だけは聞いていて欲しいと願います。
どんな人もステージアップする。
好きになって応援した。
なら、寂しいけど見守ろう。
人生、道は一本じゃない。
『 哀愁そそる』
愛情は無かった、
命は思っている以上に重たかった、
想いは儚く消えてった、
意味を見出すことすら諦めた、
それでも、
そうだから、
見せてみせよう、
この人生にぴったりの、
哀愁そそるハッピーエンドを。
木の葉舞う十一月の
淋しいけれども
薄陽射す黄金の光は
この老いた身をも美しく
かがやかせてくれる気がするのだ
#哀愁をそそる
「哀愁をそそる」
さよなら、明日からは他人だね。
うん。
元気でやるんだよ。
大丈夫。
どうか、幸せに。
きみにはもう会えないのにね。
「哀愁をそそる」
「そそる」とは「誘う」という意味。
つまり、哀れな悲しい気持ちにさせるという意味でしょ?
例えば、悲しい場面とか悲しい情景とかを見て、そんな気持ちになるのは仕方ない。
でも中には、自分かわいそうと見せかけて、哀愁をそそるような人もいるよね。
そんなのは嫌だな。
もう届かない
君への言葉を
心の中で
そっととなえる
君と別れて乗る電車
「さよなら」の意味がこの前とは違った
【ハスとの時間】
私は一ノ瀬ねどこ。21歳。ごく普通の社会人だ。
独身で1人暮しをしている。
「今日も疲れた」ため息をつきながら帰宅をした。
テレビを見てると\ピンポーン/とインターホンが鳴らされた。
「宅配なんて頼んだっけ。」
玄関のドアを開けるとそこにはハスキー犬を連れて立っていた。
姉は2一ノ瀬志乃。23歳。余り関わっていない。
私は「どうした?」と質問すると
迷わず「あのさ、出張が決まってさ1週間だけハスを預かって欲しいの」と志乃は言った。
私は「犬なんて飼った事ないよ。」と言った。犬を飼った事ない私が世話なんて出来るのか。心配だった。
しかし志乃は「お願い!1週間だけでいいの。」
そう言われると断るにも断れず「いいよ。」と言ってしまった。そうすると志乃は嬉しそうに「基本的な事は教えるから!」と言って教えてもらった。そして教え終わると「教えた事をやってくれれば大丈夫だけら!」と言って帰って行った。
一日目
朝起きると布団に重みを感じ、見るとハスが丸まって寝ていた。「えっ。」まぁいいや。私は起こさないように降りたが、気づかれ起きてしまった。
何故かハスは「ワンっ!」と吠えてきた。志乃に教わった事を振り返って見た。ちゃんと朝餌を上げること!と言われてたな。「餌か。」容器に餌を入れると凄い吠えてきた。床に置くと一瞬で食べ始めた。
その間に着替えをした。あいにく今日は休みだから
家に居れる。洋服が何故か濡れていた。
泣いているあの子を
優しく抱きしめたい
あの子は
幼い私と同じ帽子を被っていた