水月凜絃(みなつきりお)

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『哀愁をそそる』

“哀愁”という言葉。
なかなか、使うことがなくって、
どんな時に使うかな?って考えた時、
“切ない”という単語と、すごく似ているような気がした。
でも、哀愁は、もっとこう、酢いも甘いも味わって来た先に、感じ取れるような感情という気もする。
“切なさ”の向こう側という感じ。

“切ない”という言葉には、苦しいけど、諦めきれないという切羽詰まった感じがする。だから、胸が痛いんだと思う。病気に例えるなら、急性と言ったとこだろうか。

一方、“哀愁”という言葉には、諦観の響きを感じる。
かなしくて、さびしくて、辛かったけど、でも、それは仕方の無いことだよねって、もう受け入れている。溜息さえ、もう出尽くした。そんな気がする。
そして、もう慢性の状態だ。悲しみを包含した状態がデフォルトになっている。言わば、かなしみと共に生きることを覚悟した、とも言えるだろうか。

私は今、片思いをしている。
相手の方には家庭がある。
そして、彼には、哀愁をそそるような雰囲気がある。
だから、今、とても切なさを感じている。
胸も痛くなるし、意図せずに、大きな溜息も出てしまう。

この、思いが、哀愁に変わった時、
私は、私の人生を前に進めるのだろうか?

答えはわからない。
だけれども、哀愁という言葉に、
私は今、希望を感じているのだ。
縋りたいくらいに。

11/5/2022, 9:23:09 AM