『君の奏でる音楽』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
一つの音楽室が
君の奏でる音楽でいっぱいになる
一つの美術室が
君の色で広がっていく
一つの教室が
君の笑い声で包まれる
僕は部屋いっぱいに
君を愛したい
君の奏でる音楽
君の声
ただそれだけ
君が喋れば
天上の音楽
あなたは今どこで何をしていますか?
この空の続く場所にいますか?
君が音楽を奏でることはなくて
代わりに私が奏でてる
君の奏でる音も気になるけど
私の音で踊る貴方が好き
君の奏でる音楽は
とても美しく素敵で素晴らしいものである
そう夫に言うと
お前のもそうだったよ
と言われてしまった
嬉しい
やっぱり夫にはなにも勝てないなと思った
寝ぼけ眼の深夜に、死んだ筈の君の奏でる音楽が聞こえた。
夢か?
-----嗚呼、そういえば、今の時期はお盆か。
盆の季節は死んだ魂がかえるなら、幽霊でもいいから君の顔が見たいよ。
……でも、きっとこれが正解なのだろう。
音楽だけを届けて、君が俺に会わないというのなら……その選択を、正解としよう。
きっと俺は君の顔を見たら、君が居るところに俺も逝ってしまうだろうから。
君の奏でる音楽は、百年の孤独に匹敵する。
この楽譜を手に入れたとき、ヒト一人の人生を、湯水のごとくすべて使っても理解しきれない歯ごたえと、噛むごとに滲みでる、幽かな残存。
それにより琴線に響いた、心地よい柔らかさを感じた。
神の血を引く傲然とした血脈。
鎌倉時代の源氏のように、途切れた血筋。
その古さを感じた。良き古さであった。
旧態の埃を被り、忘れ去られた探訪の末の君。
宿を貸してくれたうら若き村人か、豪族の末裔の幼い巫女、欧州ならば聖女であろう。
この目で一度は見てみたかった、君(作曲者)の姿を。
だけれども、ここには楽譜しかない。
楽器は見えず、輪郭は見えず、また君も見えず。
歴史の狡猾さと、時間の跳躍により、堅牢な亀の甲羅の中に籠もりきりで、長寿の象徴たる亀すら死んでしまった。タイムカプセル失敗。楽譜がむき出しになった。
もはや退廃した世の中の、廃れた叢のなかにゐる。
君は、時代に従った埋葬方法をされたかすら不明である。楽譜は飛ばされた。
飛ばされ、飛ばされ。
歴史のとある1ページがそのまま現代へと飛躍してきたかのようだった。
空虚を飛んで、空間を飛んで。
記憶と事実の彼方から無名の風に乗り、ゴミの、紙切れを私は拾う。
それが譜面であると私のみが見抜いた。
ただのゴミではない。
黒い線が引いてある。
小さく黒い丸が付けられている。
くしゃくしゃの紙面上に踊る黒色
私が数少ない、音楽活動者であったことが奇跡であろう……。
今回のMVでは、その邂逅を再現したつもりである。
色の失ったモノクロの世界。
目撃情報は白と黒の世界。
黒い影が動き、黒い風を描き出している。
音楽家が紡いできたものも白黒。
紙とペン。
幾筋もの横線で音階を示し、いくつかの黒円をぐるぐる書いただけ。
抽象の、抽象による、音楽的流布の再現。
音譜も系譜も、白と黒でできている。
もしかしたら人間だって、白と黒の二色カラーでできているのかもしれない。
色取りどりに見えるのは、人間の眠りから目覚めた延長上にある目の錯覚に踊らされているだけなのかもしれない。
世界はカラフルであれ!――という単なる思い込み。
君の奏でる音楽は、百年の孤独に匹敵する。
色の必要としない物語。孤独は、そもそも色を必要としない。耐えるべきは時間という風のみなのだ。
その孤独を、動画サイトに解き放て。
君を、好きなだけ奏でてほしい。
時間の跳躍の末の音楽的拡散。
私はその一助をしたのみである。
(作詞作曲 くしゃくしゃの紙)
かれこれ17、8年前
自宅の真っ黒な
ソファで横になり
『君の奏でる音楽』に
耳を委ねて
よく寝落ちした
寝落ちといっても
完全に寝てるわけではない
意識と無意識の
狭間を行き来してるような
ウトウト状態だ
で、たまに
先生の指導の声が入る
そしてまた、
君の調べが耳に届く
はっきりではないが
心地よく…
もう、そんな
時間は過ごせないだろう
君は大きくなってしまった
まー
「俺、ミュージシャンになりたい!」
そんな夢を語ることができたのはいつまでだっただろう
「あなたには音楽の才能がないわ」
「どうして小さい頃からやってるのにこんなこともできないの⁈」
周りの大人達の声が耳に張り付いて離れない
でも1人だけ、1人だけ
俺に励ましの言葉をくれた友がいた
「一緒に夢、叶えようぜ!」
あぁ、そうだな。自分の心を動かしてくれるのはいつだってお前だった。
「君の奏でる音楽」
お前の音で今日も、俺は進むことができる
「ヘッッタクソ」
「昨日よりは上達してますわよ」
「ヘタクソには変わらないんだよな」
「指運びと息継ぎが上立つしましたので」
「楽器は得意っつってたの嘘か?」
「弦楽器ならできるんですのよ……肺活量関係ありませんもの…」
ごじつ加筆します
君の奏でる音楽、僕の奏でる音楽。
残念だけど合わないみたい。
でも僕は君の音楽が好き。
僕には出せない、分からない、素敵な木管の音。
ああ、どうして僕はドラムやギターしか鳴らせない?
チェンバロを叩いて、チェロを弾き鳴らしてみたい。
君がくすくす笑う。
「チェンバロは叩かないよ」
「大きくて、キレイな音のする、フロアタムみたいな」
「ティンパニかい」
ぽんぽん。ポポン、ポン。
君のスマートフォンから聴こえる、透き通った音。
ドラムじゃ出せない音。ジャーンとか、ドーンとか。
君と僕じゃぜんぜん違う使い方。
君の奏でる音楽が好き。
誰も居ないと勘違いした君の鼻歌。
足りない背丈にぐっとつま先を伸ばして今日は珍しく僕の代わりに物干し竿に手を伸ばし、布を掛けていく。
白く爽やかな風に靡かれた布団のしーつは暑くて蕩けてしまう夏を攫って、そして君が額にかいた汗を着物の裾で拭った。
ふんふんとトーンが高くなりつつ小さく響く鼻歌と、君の背丈と君の命、愛おしくて、後ろから抱きしめた。
キミの奏でる音は、まるで生きているようだ。
楽器の鼓動が聞こえるみたいで、心地よい。
その魂はときに人を奮い立たせ、ときに優しく包み込んでいくようで。
そんなキミの音が、ボクも奏でられたらいいな。
君の奏でる音楽
冬の早朝
草に降りた霜を
新しい靴で踏む音が好きな君
キュッキュッ
キュッキュッ
息を弾ませ
真っ赤な鼻で笑う君
チラチラ
チラチラ
雪が陽光に照らされ
光を反射する音
キラキラ
キラキラ
君の瞳が
ガラス玉のように
輝く音
君がいるだけで
音楽が聞こえる
君が奏でる音楽
僕には聞こえる
響きわたる
キュッキュッ
チラチラ
キラキラ
キュッ
チラッ
キラッ
えへへっ
今日も寒いね
君の奏でる音楽(祈りの歌)
彼女の歌声は百年に一人の逸材だと世間で持て囃された。
透き通るように繊細だが芯があり力強く、聴く者を一瞬で黙らせる能力は天下一品。
皆、聞き入らずにはいられない。
オペラのように滑らかに、高音と低音を使い分ける彼女の歌に世間は夢中になり虜になった。
「素晴らしいわ、今日も拍手が鳴り止まない。あなたの歌声に皆釘付けよ」
「ありがとう。嬉しいわ」
「日に日に人気も高まって、メディアの対応がいっぱいいっぱい。嬉しい悲鳴ね」
―――外へ出れば取材陣と出待ちのファンで溢れ返る。それらに丁寧に対応しながらスルーしてその場を離れる彼女は、完全にスターとして確立されていた。
一日を多忙に過ごし、家に帰ると一目散にベッドに突っ伏す。
………疲れた。
声を整える、特別に配合してもらった飴で喉を労りながら、彼女は気怠げに寝返りを打った。
小さい頃から歌うのは好きと言うより、使命だと思っていた。
歌わなければならない。
何かのために。誰かのために。
この歌声を何処かに、届けなければ―――と。
『歌ってよ』
『歌ってくれたら、すぐに君を見つけて会いに行く』
微睡む夢の中で、その人は静かに微笑んでいた。
懐かしい、遥か昔のいつかの記憶―――。
わたしの歌は、貴方に届いているだろうか。
―――僅かに残る理性で大好きなメロディを夢現口ずさむ。
遠くに置いてきた思い出に瞼を閉じたまま、彼女は切なく微笑むのだった。
END.
君の奏でる音楽
いつかきっとの話になってしまうけれど…
君の奏でる音楽を聴きたい
「音楽」と聞くと、私は単独で奏でるものではなく、団体での演奏が聴こえてくる。
だから、テーマである「君」ではない。「君たち」となる。
作曲家は単独で作曲するものだと思う。しかしその個人の頭の中には、音楽の中のイメージの人物や、曲を演奏する人達のイメージ、聴いてくれる観客達、様々な人物がいるのだと思う。
出だしは心細い一音、それが様々な音と結びつき和音となる。次々と現れる音はやがて音列となり、リズムを作る。
心細い一音から始まる、曲の中に精一杯込めたイメージは観客達に届くだろうか。
観客達それぞれの頭に浮かび上がった情景や感情は、個人個人の過去の経験、考え方等と結びつき、おそらくオリジナルのものが映ると思うけれど、それさえも曲であるように思う。
音が空気の振動であるように、聴いてる私たちの心が震えるものだから。
皆さん。小学生の頃、授業の一環としてリコーダーを吹いたりしていませんでしたか?
自分もその一人でした。
吹き始めは簡単で、こんなの楽勝楽勝とたかをくくるのも束の間。
段々使う指の本数が増えていくにつれて、ダブルタスクが苦手な上、当時あまり指が長くなかったのも相まって、指示通りの音を吹くのが難しくなっていきました。
シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ……。
ミの辺りからはもうついていけない。
その授業の最後に、これまでに習った音階を続けて吹いてみよう。
先生がそう言いますと、皆軽々と余裕そうに音を鳴らすのです。
ピー、ピー、ピー……。
その中に混じりますはピュゥー、ビュー、ビゥゥー……。
きっと誰もそんなこと言いやしないでしょうが、どこともなしにこんな声が聞こえてきた気に思えます。
「君の奏でる音楽、すっごい下手だね」
もっと最後は歌い上げていい
そうダメ出しを食らった
歌い上げるのは語るのとは違う
(あああ時間がっちょっと描きかけキープ)
君の奏でる音楽
私が気がきく賢い女だったら
貴男が突然にいなくなるなんて
たぶん、なかったわ
はっきりとしない間柄
待てなかったのが悪いのか
貴男の心に気づくべきだったのか
ただ、貴男の長短全てが
貴男らしくて怒れなかった
貴男は私を愛していたのか
それは今もわからない
けれど 貴男を愛していた私
お願い
嫌われるのを覚悟で
私が別れ際に贈った
命のための忠告を守って
長生きして
貴男を愛していたから
長生きしてほしいの
私は…
賢くない女