『君からのLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
一生懸命文字を打ったのだろう、祖母のLINE。
誤字脱字は当たり前、内容にそぐわないスタンプも沢山あった。
今となってはどれも素敵な思い出の宝箱に大切に保管している。
ばあちゃん、またLINEしてきてよ。間違って電話を掛けてきても構わないから。
もう二度と更新されることのないトーク履歴を指でそっとなぞった。
片想いから始まったのはいつだっただろう?
確か初めて出会った時はあまり好きじゃないタイプだった。
そこから何度か時が過ぎてどちらかわかんないけど交換してからもなんの音沙汰もなく過ぎていった。
9月の中旬忘れもしない何もない日にLINEが来て
~来週の祝日はなにしてるの?〜
なんの予定もなかったので何も無いと返信したら
〜じゃあ飲み行こうか?〜
世間では訳の分からない風邪で猛威奮ってるのにまぁいいかと思い。行きましょうか!
〜じゃあ15時に神田で〜
これが後々私達を変えるとは…。来週次の祝日は3年目の記念日。長いのか短いのかよく分からないけど気が合うからずっと一緒に居るんだろうな。
(ホントにある話を脚色してますが来週記念日なんです。)
おめでと。 短くても結構嬉しい。
この子からLINEが送られてくるとき「おめでと」とか「ありがと」とか「すご」とか最後の一文字が抜けてるのが逆に可愛い。
スタンプで言うより先に言葉でくれる。短い言葉で。言葉で伝えられる人には短文でっていうのがこの子の考え方だしね。
おはよう! ― おはよ
ねーねー ― んー?
今日ね ― うん
……
幸せなLINE。
お休みなさい。(朝ですが)
やっほー
ごめん、今起きた
集合時間遅れるかも
あとで何か奢る🙏
_君からのLINE
お題『君からのLINE』
ポコン、と傍から通知音。
何かと思ってスマホへ視線を落とすと、友人からLINEが来ていた。
『た』
「……んん?」
思わず首を傾げる。
ロック画面に届いたメッセージとして表示されていたのは『た』だった。どこからどう見ても『た』だ。『た』でしかない。
とりあえずロックを解除してアプリを開いてみる。昨日までの話題を『今日』と区切った下には、やはり間違いなく『た』と送られた一文字だけが鎮座していた。
「誤爆してる……?」
けれど、それにしてはなんだか取り消すまでが長い気もする。
一体どういうつもりなんだろう。さっぱりわからない。
まあ、何かと変なことをするのが好きな友人である。よくあることか、と電源ボタンへ親指を掛けたところで、左下に新しい吹き出しが現れた。
『ん』
「……んんん??」
今度は『ん』だ。こちらも一文字だけ。
『た』と『ん』。
二つ並んだ文字の意味はわからないが、少なくとも誤爆ではないらしい。
ただただ微妙な顔をして見守るしかない私の前で、既読に気づいたらしい文字は次から次へと増えていく。
少しして『!』の文字が連打され始めたので、これでおしまいなんだろうなと画面を指先で弾いた。
改めて送られた文字を上から見返してみる。
「……あ」
『た』『ん』『じ』『ょ』『う』『び』
『お』『め』『で』『と』『う』『!』
『!』『!』『!』『!』
「そっか、私、今日……」
やっと意味のわかったそれは、十一文字に分けて贈られた祝福の言葉。
思わずスマホを握っている手に力が籠る。自分でもすっかり忘れていたけれど、今日は私の誕生日だった。
いつも大雑把で色々忘れているのに、こういうことだけはちゃんと覚えている。本当に、ずるい友人だ。
だからって、一文字ずつ送る理由はさっぱりわからないけれど。
「……ふふ。絶対そんなにびっくりマークいらないでしょ」
ぼやけた視界を誤魔化すように呟いて、『何かしてほしいことある!?』と送られてきたメッセージに『ありがと』と返した。
1度リセットをかけた液晶を光らす業務外の連絡。適当に構っただけの相手から来るくだらない質疑のメッセージ。
時間と暇と精神を潰す為の玩具でしかない。どれもひとりで簡単に消化できるようになった今では目障りでしかなかった。
辟易としながら心にもない一言を惰性で返す。
きっと相手はわかっているのだろう。わかった上で懲りずに試みるのであろう。
透けて見える執着と期待と嬉しさと寂しさと虚しさ。点と点でしかない繋がりを、線にしようと抗う浅ましさ。それに縋ることしかできないほどの孤独。
過去の自分と重なって見え、自己嫌悪の吐き気を催す。
大切なものを切り離したのにどうでも良いものが纏わり付く。
それならいっそ、もう一度リセットしてしまおうか。
一旦、また、見て見ぬ振りをした後に。
今日も、連絡なしかぁ…。
仕事忙しいもんね。仕事の後にも、お付き合いがあるのも、知ってるー。
そんな合間に、一言二言返事してくれるのもー。
本当に解ってはいるんだよ。
我儘は言えないし、言わないけどー。
やっぱり、寂しい。
無理をさせたい訳じゃないしー。
独占欲強い自分が、嫌になる。
本当は、見せたくもない。
でもこんな気持ちも知っててほしいって、ちょっと思っちゃダメかな?
あっ、通知きた。もしかして、君からかも!
20240916「君からのLINE」
「君からのLINE」
君からLINEがくる。
10分おきにスタ連。
既読がつくと怒り出す。
「なんで既読をつけないの?」
君は僕のLINEは見ないのに。
君はSNSで自撮りをあげるよね
君の可愛い姿を他人に見て欲しくないけど、
君がそれで満足なら僕は何も言えない。
そうな過激な格好は避けたほうがいいよ。
病んでるきみを愛してあげるから。
あ~あ、ついにLINEをブロックされちゃった。
君からのLINEはいつも来なかった。
通知に気づいて無いみたいだから教えてあげてたら一言返事が返ってくる。
だから気をつけたほうが良いと君にいつもLINEしてた。
◯イッターで君のコスプレを見る。
週に3日ほど衣装を変えてコスプレ、長い足にほそい腰いつ見ても可愛い。
でもそんなのが世の中に晒されるのは良くないよね。
やめたくなる様に注意する。
ほら僕こんなに君が好きなんだよ。
なのになんで君からのLINEはこないの?
僕ほど君を愛している人はいないのに?
詩(お題)
『君からのLINE』
君からのLINE
隣にいるなら口で言え
君からのLINE
短すぎて、意味不明
君からのLINE
間があくと、ちと不安
いつだって君と話すのは楽しかった。
「明日の国語って小テストあったっけ?」
「今なにしてる?」「あの漫画最高だよね!」
なんでも話せる数少ない異性の友達。
でも徐々に引かれていった君の笑顔。
誰にも取られたくなくてLINEを開いた。
「好きです」
送信ボタンを押すのに何分使ったか。
送った後に携帯を裏返して天井を見上げる。
少し経って携帯が鳴った、直ぐに携帯を手に取り通知を見ると君からだった。
初めて君からのLINEが怖かった。
「明日直接聞きたいな」
どちらとも取れる、けれど拒絶ではなさそうな返答。
明日、面と向かってちゃんと言おう。
「君が好きです」
ーー元気?
ーー元気だよ
ーーこっち、まだ暑いよーうだるー
ーー海あるからいいじゃん!海行きてええええ
ーー海は泳げなくなったよ、君のおばーちゃんのおでん食べたいなぁ
ーーUberしよか、俺
ところで海開きの反対って、なんて言うの
ーーさあ? 海、閉じ……?
ーー語呂悪っ
ーーじゃシークローズ
ーーかっこよ
「……何見てんの」
あたしが聞くと彼はぱっと携帯から顔を上げた。慌てたそぶりも見せずにLINEのアプリを閉じる。
笑顔で
「何も、明日の天気どうかなぁって」
と言う。
「……どうだった?」
「晴れ」
「そ、か。良かった」
明日、おばあちゃんとこにご挨拶だものね、婚約の。お天気はいい方がいい。そう言うと、
「会うの、楽しみにしてるよ。俺の選んだ人に間違いはないって、君に会う前から断言してるし」
「うわー、ハードル上がるなぁ」
緊張すると言うあたしの肩を優しくぽんぽんとしてくれる彼。
……あたしは気づいている。
10年前、彼が高校の時田舎のおばあちゃんちで出会った女の子と、当時やりとりしていたLINEの履歴を今でも消せていないこと。
たまに見返しては、切ない顔をしてること。
古いアルバムの写真のページをめくったときのように。
まさか、あの後、交通事故で亡くなってしまうなんて誰が想像しただろう。
真夏の海風と健康的な笑顔の残像と初恋の熱だけを彼の胸の内に焼き付けて、その子は去った。はるか遠いところへ一人で。
彼と再会することは叶わないままーー
……彼のLINEから、この先、その女の子とのやりとりは消えることはないだろう。
それでもいい。あたしは切ない夏の初恋を懐きながら、時折切ない目をする彼を愛すると決めた。
これから先、ずっと。
この10年、そうしてきたように。彼の一番近くで。彼より先に逝かないと、もうあんな風に悲しませないと心の中で誓いながら。
「おばあちゃんにご挨拶するとき、手を握っていてね。緊張するから」
お願いすると、彼は「もちろん」と笑った。
#本気の恋 の続編です。
#君からのLINE
“いまどこにいる”
君からのLINEを
見て見ぬふりして
ソッと電源を落とした
_君からのLINE
→『彼らの時間』8 〜タイムラグ〜
ワタヌキコウセイは、小学3年の時のクラスメイトだった。羽ばたく鳥のように優雅に動く彼の手に、何故か目が吸い寄せられた。
小学校卒業を待たずに引っ越した彼と再会したのは、大学1年の時。夜明け前の公園だった。俺は彼女と別れたばかり、向こうも同じような状況っぽかった。詳しくは訊いていない。憔悴しきって、あの美しい手は骨のような有り様で、顔を覆って泣いていた。
お互いに驚いて、言葉少なく。LINEを交換して別れた。
その日から何度も、小鳥を温めるように彼の手をそっと包み込む夢を見るようになった。
会うことなく近況報告の日々。それでもトークは途絶えずに続いた。
分岐点は、合コンに誘った時の彼からのLINE。
―誘ってくれてありがとう
モジモジなクマのスタンプ。
―男の人しか好きになれないから… 遠慮しとくね
世界が、開けた。10年のタイムラグ。
自分が本当に誰を好きなのか、ようやく気がついた。
あれから1年、ワタヌキコウセイとの関係は続いている。今は少し停滞気味だが、これからも一緒に居たい、けど……――コイツ、誰? え? 何事が起こってんだ?? 状況に頭が追いつかない。
その男は、ワタヌキの首に手を回して部屋に乗り込んできた。
久野司と名乗ったソイツは嘲るような視線だけをこちらに送り、ワタヌキの耳に口を寄せた。「なぁ、昴晴? あんなに一緒にいてほしいとか縋ってたくせに、あっさり鞍替えか?」
「お願い、手を離して、司さん」
「あーぁ、真っ赤になっちゃって」と久野はワタヌキの耳を舐めた。ワタヌキが身を捩る。
「やだぁ! 止めてよぉ!」
「そんなに喜ぶなよ」
ハァ!? ふ・ざ・け・ん・な!!!
バカなオヤジにプツンとキレて、ようやく体が動いた。
「おい! オッサン!! コウセイ、嫌がってんだろ!! さっさと離れろ!! 前時代的ご都合主義振りかざしてんじゃねぇよ!!!!」
久野からコウセイを引き離し、俺は二人の間に割って入った。
テーマ; 君からのLINE
#77「君からのLINE」
君から連絡は、僕にとってとても嬉しいことだ
だって、僕に用があるってことだろ?
誰かに必要(軽い要件も含む)とされることって
この上ない幸せだと思わないか?
金があっても人望がなければ寂しい人だろ?
本当は君からのLINEによって助けられている
君が僕の心の声を聞いて
慰めてくれて
認めてくれて
愛してるって
その優しい言葉は僕の傷付いた心を
いつも少しずつ癒してくれる
心からありがとう
君からのLINEは僕の第2の命だよ
君から伸びているライン上には誰がいるのだろうと、ふと思うことがある、家族の線では家族と繋がってると思う、恋人の線では?友達の線では?僕はどこにいるのだろう、そもそも彼女からの線上にいるのだろうか、とふと思うが、知る由もなく今日もただ1日を過ごしている。そんな日々を過ごしているうちに線上から線外にいるのかもしれない。
LINEを線と思って書きました(思いつかなかっただけです)蒼井ましろ
「助けて」
突然の君からのLINE。
自室に戻ったばかりだが、スマホ片手にサンダルをつっかけて飛び出した。
ひとまず彼の自室まで走りながら通話ボタンを押した。が、一向に出ない。
自室にたどり着くも鍵が掛かっていて開かなかった。
「クソッ!どこいるんだよ!?」
君からのLINE
「ニャインってどう…パッと…出すんですっけ」
「おばあちゃんここを開くのよ」
「ひらく…?分解はしないんですけど」
「タップしてこれを」
「たっぷ」
「指をぺたっと」
「ぺたっと」
「まてそこから動くなアプリ編集になっちゃった」
「ここで開けますか」
「やめろ今はダメだ動くな動かすな!!」
「難しいですねぇ…」
「本当まってて代わりにやるから…」
「もうしわけない」
「んでニャイン開いてどうしたいのお嬢」
「ささもとに……ささもとの可愛いすたんぷを…真似したいんですけど……ラリったニコちゃんしかわかりません」
「どこにあんのそのスタンプ!?」
「ささもとにかわいいすたんぷおくりたいです」
「……とりあえず俺で練習すれば」
「やさしさが沁みます…ありがとうございます…デジタルマスターと呼びますね」
「やめろなんか絶妙にダサいから」
「コンピュータ師匠と呼びますね」
「ダサ度アップやめて」
「かっこいいと思いますのに……」
「ここでほら無料スタンプってのがあってな」
「こっちがいいです可愛いから」
「有料なのよそっちはよ」
「可愛いから……」
「とりあえず無料ので我慢しなさいよお試しだから」
「んぇぇ……」
ぺたんぺたんとゆっくりスタンプをダウンロードする。
この人本当機械苦手だよな。オールアナクロ人間。
「そこ、それ俺とのトークルームな」
「談話室という事ですね」
「……まあ間違ってねぇけれども」
「談話室ならそっち行きます?」
「通信端末の意味をもう一度説明させる気かお前」
「現実にあるなら使えばいいですのに…」
「行けないやつもいるからな。今すぐとかな。」
「はーん…お仕事ですのね」
「そういう日もあるが」
「なるほど怪異に巻き込まれている時など」
「高確率で圏外だけどなそういう時って」
「…………一体いつ、なんの目的で使うんですのこれ」
「怪異に巻き込まれずともすぐ迷子になる誰かさんと連絡を取るためとかかな」
「あ、尾上君すぐ迷子になりますものね、全くダメですよ石蕗が見つけてくれるからいいものの…」
「お前だわ箱入りお嬢様」
お嬢様すぐ迷子。絶妙な語感の悪さ。
こないだ行ったデパートで3秒目を離したらいなかったんだよびっくりしたわ。まぁそんななのであそこマジでオバケいないんだろうな。お嬢そういう場所だと俺から離れないもん。対おばけプロ護衛さすがである。あとまっさら経営の新築デパート最高。建築もホワイト。人柱で5人ほどとかそういうあれもない。隣の県にはありました。もう絶対行かない。
「電波さえ立ってりゃ鳴るなりなんなりするから、そしたら出てくれよ」
「何に…どこへ…」
「携帯がなるから通話してくれって事だよスマホ音痴」
「試しにかけてみても?」
「いやこっちからかける絶対用事が多いから」
「ふぅん…?お願いします」
鳴り響く通知音。切られる着信。
「予想通りだよ!!緑の方タップして!スライド!」
「すらいど」
「こう!」
「こう…」
「そう!!」
「できました!!」
「やったー!!」
「で、すたんぷは?」
「ここでこう」
「ほほう」
そしてぽん、とくる通知。
トークルームで踊り狂う緑の豚。
「これで私もすたんぷマスターですね」
「なぁこれ何処にあんの!?ねぇ!?」
その後笹本さんからお礼を言われた。
俺のおかげでお嬢がちょっと映えな飯写真とスタンプができるようになったとかで。
「次はフリック入力ですね」
「あれっ俺もしかしてお嬢のスマホ講師にされようとしてる!?」
もちつもたれつ、ということで。
「髪切った?かわいいと思う」
うれしすぎるよーーそんなの
「ピコーン」
スマホの通知音がなるたびに
君からのLINEだったらいいのにな
もう連絡が来ることはありえないけれど
未だにほんの少し期待してしまう
画面に映る文字列は
君の小さなこえだった
眠れぬ夜の静けさは
君にも同じことだった
指先で交わすおしゃべりが
夜空の月を高くする
照らしだされた窓辺から
夜ふかしの理由がとけていく
一往復のおやすみで
今日のまぶたが閉じていく
君との夜が明けていく
〜君からのLINE〜#1