しるべにねがうは

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君からのLINE

「ニャインってどう…パッと…出すんですっけ」
「おばあちゃんここを開くのよ」
「ひらく…?分解はしないんですけど」
「タップしてこれを」
「たっぷ」
「指をぺたっと」
「ぺたっと」
「まてそこから動くなアプリ編集になっちゃった」
「ここで開けますか」
「やめろ今はダメだ動くな動かすな!!」
「難しいですねぇ…」
「本当まってて代わりにやるから…」
「もうしわけない」
「んでニャイン開いてどうしたいのお嬢」
「ささもとに……ささもとの可愛いすたんぷを…真似したいんですけど……ラリったニコちゃんしかわかりません」
「どこにあんのそのスタンプ!?」
「ささもとにかわいいすたんぷおくりたいです」
「……とりあえず俺で練習すれば」
「やさしさが沁みます…ありがとうございます…デジタルマスターと呼びますね」
「やめろなんか絶妙にダサいから」
「コンピュータ師匠と呼びますね」
「ダサ度アップやめて」
「かっこいいと思いますのに……」
「ここでほら無料スタンプってのがあってな」
「こっちがいいです可愛いから」
「有料なのよそっちはよ」
「可愛いから……」
「とりあえず無料ので我慢しなさいよお試しだから」
「んぇぇ……」

ぺたんぺたんとゆっくりスタンプをダウンロードする。
この人本当機械苦手だよな。オールアナクロ人間。

「そこ、それ俺とのトークルームな」
「談話室という事ですね」
「……まあ間違ってねぇけれども」
「談話室ならそっち行きます?」
「通信端末の意味をもう一度説明させる気かお前」
「現実にあるなら使えばいいですのに…」
「行けないやつもいるからな。今すぐとかな。」
「はーん…お仕事ですのね」
「そういう日もあるが」
「なるほど怪異に巻き込まれている時など」
「高確率で圏外だけどなそういう時って」
「…………一体いつ、なんの目的で使うんですのこれ」
「怪異に巻き込まれずともすぐ迷子になる誰かさんと連絡を取るためとかかな」
「あ、尾上君すぐ迷子になりますものね、全くダメですよ石蕗が見つけてくれるからいいものの…」
「お前だわ箱入りお嬢様」

お嬢様すぐ迷子。絶妙な語感の悪さ。
こないだ行ったデパートで3秒目を離したらいなかったんだよびっくりしたわ。まぁそんななのであそこマジでオバケいないんだろうな。お嬢そういう場所だと俺から離れないもん。対おばけプロ護衛さすがである。あとまっさら経営の新築デパート最高。建築もホワイト。人柱で5人ほどとかそういうあれもない。隣の県にはありました。もう絶対行かない。

「電波さえ立ってりゃ鳴るなりなんなりするから、そしたら出てくれよ」
「何に…どこへ…」
「携帯がなるから通話してくれって事だよスマホ音痴」
「試しにかけてみても?」
「いやこっちからかける絶対用事が多いから」
「ふぅん…?お願いします」

鳴り響く通知音。切られる着信。

「予想通りだよ!!緑の方タップして!スライド!」
「すらいど」
「こう!」
「こう…」
「そう!!」
「できました!!」
「やったー!!」
「で、すたんぷは?」
「ここでこう」
「ほほう」

そしてぽん、とくる通知。
トークルームで踊り狂う緑の豚。

「これで私もすたんぷマスターですね」
「なぁこれ何処にあんの!?ねぇ!?」

その後笹本さんからお礼を言われた。
俺のおかげでお嬢がちょっと映えな飯写真とスタンプができるようになったとかで。

「次はフリック入力ですね」
「あれっ俺もしかしてお嬢のスマホ講師にされようとしてる!?」

もちつもたれつ、ということで。

9/15/2024, 5:53:29 PM