『半袖』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ねぇ、まだ半袖って寒いと思わない?」
今の時季は寒暖差が激しいから何を着るべきか分からない
朝、晩は肌寒い気がするし
かと言って、昼は暑い
薄手の長袖か半袖の上からシャツを羽織るのがベストかな
と思うんだけど
どういう答えが返ってくるかな
「
半袖の方が二の腕が見えて好きだけど」
「長袖にしよ」
夏になり顕になった真っ白で細い腕。はっきりと見える血管。そんな細かなことにさえ気を取られて脳内を独り占めしていく。
あぁ、君はずるい人だ。
ー 半袖 ー
#お嬢と双子 (NL)
Side:Miyabi Obinata
冬は長袖のセーラー服でも夏は半袖の丸襟ブラウスにジャンパースカートが当たり前のお嬢様学校に通っていたワタシは、今まで半袖のセーラー服を着たことがなかった。
しかし7歳年上の元許婚が別の女性と婚約してくれたおかげでワタシは自由を手に入れ、こうして人生初の半袖のセーラー服に袖を通す夢が叶った。
そして今日が、半袖のセーラー服での初めての登校日だ。
「帯刀さんおはよ〜!」
「…おはようございます」
転校してきたばかりの時に比べると、クラスメイトの方々に話しかけてもらえることが増えたような気がする。
これぞワタシの求めていたハイスクールライフ。
これぞワタシの求めていた「普通」の女子としての日常。
お嬢様学校では得られなかった心の栄養で、ワタシの心は潤いまくっている。
…ただその一方で、潤い過ぎでもあり…。
「帯刀先パーイ!おはざーっす!」
「おはようございます、先輩」
「あら…おはようございます」
…成見兄弟。身長のことで変な絡まれ方をされていたワタシを助けてくださった、双子の殿方。
コンプレックスを褒められ慣れていないワタシは彼らを見ると何故か胸がざわつくようになってしまって、だからワタシは平静を装うためになるべく彼らと深く関わらないようにしてきたつもりだった。
ただ…彼らはそれでもワタシと距離を詰めてくるので、ワタシの心は潤いすぎて常にキャパオーバー寸前だ。
「半袖の先パイも可愛いっすね!」
「…そう…ですか?」
…ああっ、こんなに真っ直ぐに褒められてしまっては…ワタシ…いつか爆発してしまいます…。
お2人はきっと知らないでしょう、ワタシの表情筋は全く仕事をしていないのにワタシの頭の中はこんなにうるさいことを…。
ワタシは高鳴る鼓動を抑えられず、無表情のまま彼らから視線を逸らした。
「…先輩?」
「…すみません。嬉しいとは思っているのですが…褒められ慣れていないものですから」
「先パイ、もしかして照れてるんすかっ!?」
「それは…ないですね」
…ウソです、めちゃくちゃ照れてます…っ。
ワタシの脳内で複数のワタシが天使と悪魔の如く論争を繰り広げている。
まるであるワタシが「素直に照れていると言ってしまいなさい!」と言っていて、あるワタシは「このまま言わないでいたほうがいい!」と言い、それぞれがワタシの表情筋の制御装置を奪い合っているかのよう。
結局、ワタシは無表情のままで心の声を誤魔化すことにした。
今はまだ…ワタシの気持ちには気づいてほしくない。
「へへっ、じゃあオレがこれから先パイのこといっぱい褒めますね!」
「…え?」
「俺も褒めます、先輩のこと」
「いえそんなお気を遣わせるわけにはいかないのでお気持ちだけで」
「ぶはっっ!先パイ早口になってる、可愛い〜!」
…仕方ないでしょう、この距離の近さなんですから…!
ああああ近い近い近い…。
初めての半袖のセーラー服に舞い上がっていただけだったのに、彼らはまた距離を詰めてきた。
胸がさらにざわつく。
お2人ともワタシの心の奥にぐぐっと入り込んでくるのが分かる。
それでもワタシはまだ、この気持ちに気づいていないフリをする。
素直になりたいけどなれない本当の自分を、可愛いセーラー服で隠して。
【お題:半袖】
◾︎今回のおはなしに出てきた人◾︎
・帯刀 雅 (おびなた みやび) 高2 お嬢様学校から転校してきた
・成見 椛 (なるみ もみじ) 高1 楓の双子の兄(文面がうるさいほう)
・成見 楓 (なるみ かえで) 高1 椛の双子の弟(文面が静かなほう)
太陽の光が
強く照りつけている
多くの人は
半袖や露出の多い服を着ている
でも、ボクはみんなみたいな服は着れない。
肌が弱く太陽に長く当たれないボクにとって
みんなが羨ましい
"なんでボクが"
何度もそう思った。
けれど今が幸せならそれでいい
「なあなあ!何見てるんだ?」
教室の後ろに貼ってある写真を見てるとKが声をかけてきた。明るい活気のある声である。
「あーこれ、この前撮った写真か!もう貼り出していたんだな~」
Kは僕の神経を逆撫でするかのように無邪気に笑った。この写真は先月の四月に撮ったクラス写真で、端っこの方に僕とKが並んで写っている。
僕とKは特別仲が良いというわけではない。去年同じクラスで何度が話しただけである。彼はいわゆるムードメーカーで僕とは住む世界が違う。なのにKはずかずかと僕に話しかけてくる。気付いていないふりする僕の身にもなって欲しいものだよ。
「…そういや、みんなこの写真見て騒いでいたよなー。俺がふざけたせいで変な雰囲気になったからみんな怒っているのかな?」
みんな無表情で真剣な表情をしているのに夏服姿のKはにっこり笑ってピースをしていた。たしかにこの写真はKのせいでとても不自然になっている。
「……なあ、何でさっきら俺のこと無視するの?というかお前、大丈夫か?すごい震えているけど…。」
震えが収まらない僕にKは心配そうに僕の顔を覗き込む。
震えたくなるよ。だって今すぐ君から逃げたいのだから。怖いんだよ…!だって君は……
去年の夏、事故で亡くなったんじゃないか!
題名 夏服のK
『解説』
Kは去年の夏に亡くなった。ということは、語り手の前に現れたKは幽霊であり、語り手と同じクラスの学生でない、ということになる。
そりゃあ騒ぎにもなるはすだ。新しいクラスの皆と初めて撮った写真が、死んだはずの人間が写った心霊写真になったのだから。
Kは自分がふざけてしまったせいで写真が変なことになったと言っていたが、写真に写った皆は冬服の格好なのに、自分だけ夏服であるということに違和感を覚えなかったのだろうか?
私は半袖が好きだ。なぜなら動きやすく夏でも冬でも着られると思うからだ。長袖でも夏に着られるかもしれないがとても暑く着られる暑さではない。一方半袖は下にヒートテックを着ておけば冬も着られるため一年中着れると思うからです
半袖はまだ寒いぞ
でも昼は暑いんだもんな。
困るな。
もうすぐ夏だ、あの子の夏服はきっと可愛いだろう
私は長袖の服を着てるあの子しか見たことがない
半袖姿のあの子はきっと凄く可愛いだろう
服が薄くなるから私とあの子がハグする時もきっともっとあの子の暖かさを感じられる
あぁ、夏になるのが楽しみだ
真夏のある日に思い出す。
蝉時雨の中であの子と遊んだ夏休み。
半袖から伸びる腕は健康そうに日焼けして。
“バイバーイ!” “またね!”
そう別れたのが最後の記憶。
遊び場所で待っていても、新学期が始まっても、
あの子に会う事はなく、大人たちに聞いてみても、
あの子が最初から居なかった様にはぐらかされる。
何処かへ消えてしまったあの子の顔は
今では薄らぼんやり浮かぶだけ。
嗚呼…あの子の名前はなんと言ったか…
#半袖
半袖から見える細い腕…
君の腕は今にも折れそうで
僕の腕とは正反対…
僕が守ってあげるんだ!!
そう思った少年時代。
半袖
通常ならもう半袖の季節。
けれども今年はまだ少し寒いから長袖。
かと言って、このまま衣替えしないのも問題だ。
早く、半袖の季節こないかな。
「暑くないの?」
その問いかけは今週に入ってから3人目くらいだった。
周りを見渡せばみんな、真っ白の半袖から健康的に腕が伸びている。紺色のセーラーカラーと白のブラウス。紺色のプリーツスカート。男子は白のカッターシャツに黒のスラックス。教室に差し込む、季節を主張するような強い日差し。青春って感じだ。
対して私は長袖の合服のままだった。ところでこの合服、過去十数年のうちに生徒たちの意見でようやく実装された代物らしい。私は何度か目になる先人への感謝の念を放っておいた。
「ポリシーに反するので」
このポリシーは、セーラー服は合服が一番可愛いと言うものである。冬服の全身紺色よりもブラウスが白い方が可愛いに決まっている。そして、半袖よりも長袖の方が可愛い。
「ふぅん」
聞いておいてやる気のない返事が返ってくる。長袖の人間には体感温度がバグっていないか確認しないといけない義務でもあるのだろうか。
「去年もそう言って8月の2週目には夏服になってたよね。今年はいつまで持つかな」
「……なんで覚えてるの?」
具体的すぎる。私ですら覚えてなかったのに。ファンなのだろうか、私の。
「長袖の方がかわいいって言うけどさ〜」
意味ありげに右手を持ち上げる。オーバーサイズ気味の半袖から覗く腕が、ひどく細く、白くて艶かしく映る。
「半袖でがっつり腕出して、そこにブレスレットとかしてたら可愛くない?」
急に性癖みたいな話をされた。
「えっ可愛い」
すらりと伸びる腕の先にシルバーのチェーンを幻視して、私の脳内審査員が満場一致で両手を上げてしまった。なんで私の好みを知ってるんだ、やっぱり私のファンか。
「帰ったら夏服出すかぁ……」
ついでに指輪とか付けたい。さすがに怒られるか。
「おしゃ、今年の記録は7月1週目ね。私の勝ちだ」
「待って。誰かと賭けでもしてます?」
『半袖』
No.12『半袖』
暑い。何故こんなにも暑いのか。まだ5月のはずなのにだ。
正直半袖にしたい気持ちはやまやまだが、周りは日焼けを気にしてずっと長袖だ。だから、別に日焼けを気にしない私も長袖である。
結局こうして周りに合わせる私はこのままこうして生きないといけないのかな…。
#半袖
普段長袖の人の
今シーズン初の半袖姿を見た時
何とも言えぬ爽快感を感じた
毎年の出来事なのに
不思議ね
ショコラ
衣替えの時期はとっくに過ぎたのに、彼女は未だ長袖のままだった。
そんな彼女を無意識に目で追っていて、気づくと僕は彼女のことばかり考えていた。
ある日、買い出しに出ていると、彼女を見かけた。やっぱり肌は見せていない。
彼女は大きな男と一緒にいた。
なんか不思議な組み合わせだ。そう思ってもう一瞥だけして帰ろうとしたとき。
彼女が、上着を脱いだ。
下は、半袖だった。
短い袖からのぞいた腕には。
龍の刺青。
一瞬にして釘付けになる。
大男が慌てたように上着を彼女の肩にかける。その手を彼女は煩わしそうに払った。
どうしよう、とんでもないものを見てしまった。
それに。
彼女のことを、もっと好きになってしまった。
【半袖】
______
このアプリと出会って今日で一年。あのときのテーマもなぜか戻って来ました。一年周期なんでしょうか。
記念日と言うことで一年前のリメイク、ではないですが書きました。成長したんでしょうか。してて欲しいですね、書くの好きなので。
この一年でたくさんの短編を書いてきました。
文章を書いて、たくさんの人に見ていただいて、評価ももらって。
楽しいですね、とても。本当にありがとうございます。アプリの製作者様、見ていただいた皆様に感謝。
これからもよろしくお願いいたします。
『半袖』
何故着ないのかと問われたら、
単純に、訳ありだ。
もちろん、暑い。
半袖でねるねるねるねを練ると、
夏の色に変わった。
しかしその色とは、幼少の頃の夏の、
イメージに過ぎなかったのだ。
この季節になると思い出す
自分が自分を傷つけたこと
未だある痕跡をみて
今は許されない
見放されるだろう
これを見て見放されないだろうか
もう二度と消えないのか
後悔をする
【半袖】
✂ーーーーーーーーーーーー✂
「跡が消えんのかよ」
『1年経てば消えたよ』
「1年だろ、今すぐには消えないだろ!」
「お前は魔法使いなのか?あ?!」
『しょうがないだろ。苦しいんだよ』
君の警告も何もかも無視をした
「落ち着いて。過呼吸になるなよな」
『#@-いやだ!&2だれ91&\$\!』
自分が何を言ってたのかも分からない
「誰かいるの?落ち着いて深呼吸しよう、な?」
あーあ、、今頃後悔してるよ
跡が消えないんだ
半袖から伸びた腕との境界線がくっきりと出るのが嫌で、袖を捲り上げていた十代の頃。
筋トレを重ねても二の腕の逞しさが年々増すから、肘まで隠れる袖を選ぶようになった三十代の今。
『半袖』
『半袖』
半袖から覗くその腕には
墨が入っている。
あなたと出会うまでは
そういった人たちに少し怖いと感じていたけれど
あなたと出会って
優しいのだと知った。
今ではその腕を愛おしいとさえ思う。
半袖から覗く綺麗な腕。