勿忘草(わすれなぐさ)』の作文集

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勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

2/2/2026, 12:28:28 PM

画面の向こうのあなたが笑う。記憶の中のあなたよりも立派に成長したあなたが無機質な鉄の箱に映る。
ピタリと画面に手を添えるも、画面の向こう側には何も干渉せず。ただ液晶に指紋が残っただけだった。
あなたがいれば幸せになれた。
あなたが側にいてくれればそれで満足だった。
あなたのことを考えたら、これが正しいんだ。
だから笑って送り出したのに。

「忘れないで」

どんなに呼びかけたって鉄の箱はお構いなしだった。

2/2/2026, 12:26:30 PM

仕事からの帰り道、閉店間際のホームセンターの店先にその花の苗を見つけた。
まだ蕾すらない小さな苗なのに、どうにも呼ばれたような気がしてたまらず、夕食代を切り詰めてその苗を買うことにした。


春告げ花でもあるその花は、うたた寝が気持ちよくなる時期になってようやく小さな花を咲かせた。
店の見本の写真では青かったと記憶していたが、咲いた花の色は白。

白もあるのだろうかと何気なくネットで調べていると、ある項目に不意打ちを食らった。


白の場合の花言葉「わたしを忘れないで」


今になって気が付いた。
あの夜、この花に呼ばれた訳を。

そうか。
自分はまだきみを忘れなくていいんだな。


その声なき言葉に答えるように、窓辺の勿忘草はさわさわとその白い花を揺らした。



お題『勿忘草』

2/2/2026, 12:25:58 PM

#勿忘草(わすれなぐさ)

―――

春らしい暖かな風が、青い小花をふわりと揺らす。
その近くへ座ると、持参した酒瓶を、音が聞こえる程の勢いで置いていた。

この一面の花畑を見たら、彼奴はどんな顔をするだろう。
こう言うのは癪だが、ここに立つ姿は、きっと様になってしまうのだろう。...本人は、困った顔をしそうだが

人間の記憶力と言うのは、恐ろしいもので。
彼奴の気配を感じない日常も、もう随分板に付いてしまって。あれだけ鮮明だった彼奴の声にも、今ではモヤが掛かっている。

...これから更に年月を重ねれば、顔も、その想い出すらも曖昧になっていくのだと。
何度目かの思考に、またも目頭が痛くなった。


「君には、是非私の最後を看取って欲しい」


冗談だと思うだろう。いきなりそんな事を言われても。
だからその時は悪趣味だなとしか思わなかったし、適当に返してしまったし、そう言った彼奴の顔も、よく見ていたかった。
そもそも、あとから聞いた医者の話的に、自分の鈍感さに嫌気が刺す。

たらればの話を広げた所で、戻ってこないのだと、ただ虚しさを感じるだけだと分かっている。
だが性懲りも無く、逃避を企てる思考はそちらへ向かうのだから、ただの悪循環である。

当たり前過ぎた故に、受け入れるのに随分と時間を要した。...いや、こんな事を思い返している時点で、朝の時折、俺を起こす彼奴の声を探してしまう時点で、実の所ちっとも受け入れられていないのだろう。

...いっその事、忘れないでと言われていたなら。遠慮なく、忘れる事が出来たかもしれない。
だって、あまりに唐突に居なくなるものだから、余計印象に残ってしまった。

だから態々、嫌味を込めて勿忘草を植えた。
向こうに居るだろう彼奴も、これを見て俺を忘れなければ良い。あんな別れをした事を、後悔してしまえば良い。

自分のエゴで固めた周りは、妙に居心地が良かった。

開ける気になれない酒を眺め、旨そうに飲み干す彼奴の顔が浮かんだ。

2/2/2026, 12:23:20 PM

お題:勿忘草(わすれなぐさ)
後日あげるのでお題とスペース保存しておきます。

2/2/2026, 12:22:22 PM

勿忘草


声を聞いてよ。

こえはとどかなかった

私を見て。

だれもみやしない

助けてくれって。

もうみたくもないや


そんな苦痛の中であなたは頑張っている

もがいている ここで心を落ち着かせている

願わくばその先に  貴方に光があります様に。

大丈夫だよ。

2/2/2026, 12:20:59 PM

【題:勿忘草(わすれなぐさ)】

 これは、私が高校生だったころに出会った、少し変わったクラスメイトの話だ。


私はその子と、高校生活でほとんどの昼休みを共にした。


 出会いはいたって単純だった。始業式の次の日、クラスで孤立していた私に、

――お昼、いっしょに食べない?

 なんて眩しい笑顔で話しかけてきた。


 その子はお花が大好きだった。

 昼休みには毎日のように学校の裏庭を探検した。一ヶ月に一度ほど、共に植物園にいったりもした。

 花を前にすれば、その子は花言葉や名前の由来などをおもしろおかしく話すのだ。それの顔や声があまりにキラキラしていて、ヒマワリを擬人化したらこうなるんだろうな、なんてくだらないことを考えていた。

 そんなある日、その子にひとつの質問をした。

"一番好きな植物ってなんなの?"

 彼女は一拍考えてから言った。

――ワスレナグサ……かな?

"へえ、どんな植物なの?"

――青とか白の、小さくてかわいいお花を咲かせるの。花言葉は、有名なのは"わたしをわすれないで"かな。

"あ~、聞いたことある!恋人とか友達に贈るんだよね"

――そうそう!でも、その花の一番好きなところは、その漢字なんだよね。

彼女がくしゃくしゃなメモ用紙を取り出して、ボールペンで字を書いた。


『勿忘草』


"……これでワスレナグサって読むの?順番逆じゃない?"

――へへ、これでそう読むんだよね~。『勿』って漢字が"~しない"、って意味だから、漢文の書き下し文みたいな感じで、ワスレナグサってつけられたんじゃないかな。

"なにそれ、面白いね!でもなんでこれが一番好きなの?"

――えっと、ちょっとぶっとんだこと言うんだけどさ、私、勿忘草の『勿』みたいな存在になりたいんだよね。

"……どういうこと?"

――『勿』って字、話すときには読まれないというか、そこにあるって思われないけど。なかったら忘草になって、"忘れてしまう草"みたいに、意味が逆になっちゃいそうじゃない?
 だから、ワスレナグサの根本を支えてる文字って『勿』だと思うんだよね。

"えっとつまり?分かるような……分からないような"

――簡単にいうと、決して目立たないけど、誰かを支えられたり、誰かのこころにいい影響を与えられるような人になりたい、ってこと!



 その会話は、不思議とずっと、こころに残っている。社会人になった今でも、だ。

 そして今では、私もそんな人になりたい。そう思うのだ。

 あの時、あの子はそんな人になりたいって言ってたけれど、もうなれてたんじゃないの、って最近考え出した。

 だって、時間を越えて、今の私のなりたい人の像にまで、いい影響を与えてくれているのだから。



 次の週末、彼女と高校卒業ぶりに会うことになっている。何を話そうか、わくわくしてくる。

 それと、彼女になにか贈り物をしたいな。高校のときはそういうの、できなかったから。



 ああ、そうだ。彼女に桃色の勿忘草をイメージしたアクセサリーを贈ろう。




 ピンクの勿忘草の花言葉は『真実の友情』




 あの子への贈り物にはピッタリだ。

2/2/2026, 12:17:50 PM

恋人のため勿忘草を摘もうとして足を滑らせた騎士ルドルフは、川に流されて死んでしまった。ぼくを忘れないで…という最期の言葉を残して。

あの世に来たルドルフは、同志を集めはじめた。
花を摘んでいる最中、毒蛇に噛まれて死んだエウリュディケは、二つ返事で引き受けた。
枝を折って川に流されたオフィーリアは、悲劇がひとつでも減るのなら…と優しく微笑んだ。
水辺で亡くなったナルキッソスは、えーめんどくせーと言いながらしぶしぶ加わってくれた。
ルドルフはさらにメンバーを増やしていった。

彼らはチーム勿忘草を結成。花を摘んでいる人間が、夢中になって足を滑らせたり、危険な目に遭ったりしないよう、今日も岸辺でそっと見守っている。

2/2/2026, 12:13:33 PM

勿忘草

私を忘れないで
って結構怖いね

私は逆に相手が苦しむぐらいなら
忘れて欲しい
忘れないでと思ったことがない
私は大半の人を忘れている

特に同級生とかは
相手が覚えている場合が多い

人に興味なさすぎと言われるが
違う、興味ないではなく
私の境界内は忘れないだけ
外はへのへのもへじぐらいみな同じ感覚

人に印象を残すタイプらしいが
私本人はそんなことあったんだぐらいだ

人間は覚えてはいないことが
多いが私は昔の記憶はすごいある方

わかった、記憶に残すほどの人間で無いと
私は覚えれないのかもしれない

2/2/2026, 12:13:00 PM

勿忘草

車に乗ると、意味深な表情で私を見る友人がいた。
「なに。」
私は前回会った時にした喧嘩をまだ引きずっていて、今日は渡すものがあるから来ただけだった。
「はい。それじゃあ、帰るから。気をつけて。」
それだけ言うと、私は車から降りて帰路へ着く。

「待ってください!」
後ろから追いかけてきたのは、友人の隣にいた子だった。
「待ってください、ほんとに、これで終わりでいいんですか?もう、会えなくなるかもしれないですよ。」
この時私は、別にいいと思った。
ただ、必死になって説得しようとするこの子が可哀想になり、私は車へ戻った。

「この子必死だったから戻っただけだけど、なにかあるなら早くしてくれる?」
私は、この時とても冷たい顔をしていたと思う。
少し言い淀んだ友人は、静かにピンク色の勿忘草を差し出した。
「....ごめん。この前言いすぎた。」
私は冷めた目で勿忘草を見つめる。
追いかけてきた子が、受け取ってくれと目で訴える。仕方なく、それを私は受け取って、上辺だけの、「いいよ。こちらこそごめん」を口にした。

後に、この選択を思い出す度に良かったと思うようになった。
今も隣にいる友人は楽しそうに私にこれを見せたかったとTikTokを見せてくれる。
今では唯一無二の友人だと、胸を張って言える。
それが、私たちだ。

勿忘草:私を忘れないで 真実の愛 誠実な愛
ピンク色の勿忘草:真実の友情

2/2/2026, 12:10:48 PM

恋人の為に綺麗な花を摘もうとして足を滑らせて川に落ちて溺れるとは。騎士にあるまじき最期だ。だがこれまでの功績を讃えその摘もうとした花に忘れない名を付けてやろう。
(勿忘草)

中世ドイツの悲恋伝説から、勿忘草の由来となる物語。

2/2/2026, 12:07:33 PM

【勿忘草】

私の好きな春のお花

小さいけど鮮やかな青がぎゅっと集まって
とてもキレイ

菅田くんと架純ちゃんの映画のイメージもあるかなぁ

ちなみに…

私は鮮やかな赤の千日紅が好きです
1本でも凛とした存在感があって魅了されます

2/2/2026, 12:06:13 PM

忘れられるなら安らぐこの胸に君は赦しを与えずに咲く

題-勿忘草(わすれなぐさ)

2/2/2026, 12:03:01 PM

店先に、やけに目を引く花があった。かといって、別に見目が派手なわけではない。むしろそれは、人目を忍ぶように、ひっそりと花を咲かせていた。

「かわいいでしょう、そのお花」

 しゃがみこんでじっと見ていたら、声が降ってきた。顔を上げると、人の良さそうな微笑を浮かべた、初老の店主が立っている。
 勿忘草っていうんですよ──店主は、花の名前を教えてくれた。ワスレナグサ。名前を聞いたことはあるけれど、実物を見たことはなかった。雨催いの色をした小さな花びらを眺めていると、どういうわけか、うら寂しい気持ちが込み上げてくる。

「わたしを忘れないで、って」

 そんな花言葉が有名ですね。店主はのんびりとした声音で、そう言った。
 甚く健気な言葉だと思った。だれにも気づかれず、ただ秘めやかに咲くちいさな命の、切なる願いに思いを馳せる。するとふいに、あのひとの言葉が脳裏を過ぎった。

 震える俺の手を、その白い手は、やさしく握り返した。馬鹿みたいに泣きじゃくる俺を見て、ちょっと困ったように笑った。それから俺の名前を呼んで、あのひとは言ったのだ。どうか忘れてください、と。
 そんなのいやだと俺が言ったら、あのひとは「きみはやさしいなあ」なんて言った。そうして、俺の頭にそっと手を置いて、寂しげに笑ってみせたのだった。

「やさしいきみには泣いてほしくないな」

 そう言うあのひとこそ、最期までどうしようもないくらい、やさしいひとだった。
 あのとき、あのひとは、忘れてくれと言ったのだ。けれども、きっと、本当は。

 俺は花鉢を抱えて、店をあとにした。
 いまだにあなたの夢を見ると言ったら、あのひとは怒るだろうか。それとも、ちょっと困ったように眉を下げて、笑ってくれるだろうか。

【テーマ:勿忘草】

2/2/2026, 11:54:53 AM

『勿忘草(わすれなぐさ)』


 一途に待ってる 心の色は
 せつなく柔らかい ライトブルー
 愛しているのに 離れてしまった
 それでも終わらない 花咲くように

 勿忘草に落ちる青
 出会った時から わかっていたの
 きっと苦しい 恋になる
 勿忘草にキスをする
 激しく燃えてく あなたへの思い
 隣の席だけは 誰にも…座らせない

 真夏を越えれぬ 一年草は
 恋から逃げてった あなたみたい
 別れているのに お互い気になる
 必死に隠しても 繋がっている

 勿忘草が揺れる庭
 わたしは決めてる いつまでも待つと
 あなた以外は 愛せない
 勿忘草を持って来て
 笑ってみるから 抱きしめてくれる?
 どんなに遅くても 未来は…二人のもの

 勿忘草に落ちる青
 奈落に堕ちても しあわせなのが
 きっと本当の 愛と思う
 勿忘草よ連れてこい
 わたしがあなたを 口説き落とすから
 隣にいて欲しい 誰にも…渡したくない

2/2/2026, 11:54:06 AM

勿忘草は ちいさな花

きっとどこかに咲いているけど 

詳しくは覚えていない

まるで「気にしないで」って言ってるみたい

でも人間、「忘れないで」って言われると忘れるから

時々見かけるものの方が気になるものだから

やっぱり勿忘草は気にしてほしいのかもしれない





#春凪詩集 「勿忘草」

2/2/2026, 11:52:18 AM

勿忘草ってさ。
なんであの名前なんだい。

これに関しては、僕
知ってるんだよ。
昔のヨーロッパでね、
恋人同士が花を贈りあったんだ。
「僕を忘れないで」
「私を忘れないで」 ってね。
それに──

へぇ、草が生えた瞬間に
しおらしくなるんだ?
忘れちゃいけない
そんな意味なのにね。
実に人間らしい。

そうかな。
君の「人間らしい」は皮肉だろ。
むしろ、これは素晴らしいんじゃあないか?

2/2/2026, 11:42:28 AM

お題「勿忘草(わすれなぐさ)」(雑記・途中投稿)
……昔はお葬式の香典によく勿忘草の種がついていたものだけど、最近は見なくなったなぁ。
って事で花言葉でも書くか?

2/2/2026, 11:37:57 AM

ワスレナグサ
勿忘草とは青い小さな花を咲かせる多年草です。花言葉は、「私を忘れ...、真実の愛、真実の友情」です。

校長先生の話の後、新入生代表の言葉として私は立った「中学生になって新たな事が沢山あり不安のこともあるけれど前を向いて少しずつ成長して行きたいです!」私が言い終えると、パラパラと拍手が聞こえ胸を撫で下ろした。5月から私はたった1学年1クラスしかない中学校の新1年生になった、小学生の時の同級生は大体他の学校に行ってしまい知り合いは幼なじみの桜しか居なくなってしまった。
中学生になって4ヶ月くらい経つと最初は良かったクラスの雰囲気が悪くなってきて、桜が女子にハブられるようになった。私は心配で話しかけようかと思ったけれどクラスの子達が止めた、たった1人の桜か何人もいるクラスの友達,比べてしまうこと自体が間違ってるのは気づいていた。けど、私は何も出来なかった,出来るのに何もしなかった。クラスの子が桜を嫌っていたのは、桜が可愛くて可愛くてみんな羨ましかったからだ。実際桜と並んでいる私は相応しくないし、桜に似合う人間なんかじゃなかった。
ハブりは段々エスカレートしてイジメになっていた。それくらいから桜はよく休むようになっていた、学校に来ても昔みたいな元気がなく黙って机に突っ伏しているだけだ、桜が休むと1番家に近い私がよく手紙を渡しに行っていた。家に入ると昔みたいに明るい桜が迎えてくれる、そうやって話してる時だけは、私も昔に戻れた気がした。
桜が学校に行く頻度が減っていくと同時に私が桜の家に行く頻度も増えた、桜と喋るのは楽しくて楽しくて,桜が私だけの物だと思えて、心地が良かった。
ある日突然桜が引っ越すことを知り走って桜の家に向かうと引越しのトラックが家の前にあって、こっちを桜が見ていた。「桜っ!」息を切らしながら近づくと、桜が私をじっと見つめた、おばさんが「桜そろそろ出るから早くしてね!!」と車に荷物を積みながら言っていた。すると桜が口を開いた。
「ごめんね、紫苑言うの遅くなって。私なんか忘れて、クラスの子と仲良くするだよ!」
そう言ったらすぐ車に乗り込んでしまった。桜が窓を開けて「これ、あげる」花を渡してきた。それは、紫苑と桜の花束だった。私は涙と鼻水を堪えてしっかり謝ろうと口を開いた、「ごっ、」その瞬間窓は締まり桜はニコッと笑い、車は出発した。私は見えなくなるまでずっと手を振り続けた。



サクラ
桜とは、春に薄ピンクや白色の花を咲かせる植物
花言葉は「純潔、精神美」フランスの花言葉では「私を忘れないで」です。

2/2/2026, 11:35:26 AM

目が覚めると嗅ぎなれた大好きな匂いで満たされた薄暗い部屋にいることに気付いた。

「……ったた…なんか体がおもーiッッッッ!!?」

「んー、起きてんのか、工藤」

目の前に大好きな佐藤先生。ガードがゆるゆるな佐藤先生。そして、たぶん見覚えのないこの部屋の所有者は佐藤先生。まだ覚めない頭が必死に働くが思考回路は無論、封鎖されたままだった。

「え……あれ、、、え、、、先生?」

「なーんかまた難しい事考えてんだろー?大人しく寝とけ」

そうして抱きしめられるまま、私はまた深い眠りに落ちた。

2度目の起床はすっかり日が昇っていて、その頃にはもう自分がどうしてこんな状況に置かれているのかも大体把握していた。完っ全に、私が訳の分からん我儘を言ったせいでこんな…こんな……こんな…///

それからは無心で台所を借り、朝食を作った。昨日の自分の至らなさといい、未熟さといい、とにかく全てに反省しながら、そして好きな人の家に存在しているという幸せを噛み締めながらッッッ準備を終えた。

「はよ、工藤。おーご飯…うまそ」

「おはよーございます、先生。先に顔洗ってからにしてくださいねー?」

寝起きのこの無防備さ…好きッ!なんなのこの…ん?上裸……?私が起床時に服を着ていたかどうかはご想像にお任せして、とにかくこの朝イチの先生の、き、筋肉は眼福であった。先生は私が部屋にいる事も昨日の事も特に何も考えていない様子で私もついでに忘れる事にした、一時的に。もうここまできたならば、この部屋にいる時間くらい彼女面したって良いじゃないか。私がこの時間を独り占めしてやる。



「んーなんかいい匂いする」

私が身なりを整えている時の話だった。

「あ、これですか?勿忘草の香水みたいなモノですよーって近い近いっ!」

「へー勿忘草ねー。聞いた事はあるわ、マジでいい匂い。花言葉?とか気にしたりすんの?」

「あーあるみたいですよね…検索しましょーか」

「どー?なんて?」

先生が顔をすり寄せてスマホを覗き込む。

「私を忘れないで、真実の愛とかですって。先生見てー、この由来可哀想」

ドナウ川で恋人のために花を摘もうとして溺れた男が消えるまで恋人への愛を叫んだ事が由来らしかった。
健気で純粋ですごくロマンチックだと思った。

「へーなんか切ないな、それ。でも、その男、恋人の事死ぬほど好きだったんだろーな」

「そこまで愛してもらえるなんて羨ましいですねー…私の事忘れないでねーって事で先生にもふりかけちゃう、えいっ」

「うわっ、何すんだよ笑ってかなんだよ、その理由笑俺が工藤の事忘れるわけないだろ?」

「わかんないじゃないですかー!心変わりしないようにおまじないです!」

「ん?工藤は俺と結婚するんだろ?毎日プロポーズしにくる奴を忘れられる猛者はいないだろ笑」

「…へっ先生!?って事はプロポーズの返事は…!」

「あーめんどいめんどい、その時考えるわー」

その時、首筋に柔らかい感触と一瞬の鋭い痛みが走った。

「まーでも俺も工藤取られないように予約しといた」

「先生…なんか今日、めっちゃおかしいよ?甘くない?メロくない?なんなnーーッッッ!!?」

優しくてあたたかいキスだった。大切にされてるって私でもわかるくらいに甘い甘いキスだった。

「今くらい彼女面しとけよなー?1週間喋れなかっただけで昨日みたいに甘えモードになるんだろ?」

「やっぱり昨日の事無しにしてくれません?先生、お願いしますー!」

昨日過ごした甘い時間も今日一緒に過ごす大切な時間も、歳をとってもきっと忘れない。この匂いがまた記憶を紡いでくれるから。

題材「勿忘草(わすれなぐさ)」

2/2/2026, 11:32:32 AM

『勿忘草』
春から初夏まで咲いている青くて小さな可愛いお花。
小さくても一生懸命咲いてる花を見ると自分も頑張らなきゃと勇気をもらえる。
その小さいな花にも名前がちゃんとある。
それが勿忘草。

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