初恋の日』の作文集

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初恋の日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/8/2024, 10:31:05 AM

お小遣いを全部つぎ込んで、下校途中のカフェも映画もぐっと我慢、クローゼットのお気に入りはとっくの昔にファストファッションと入れ替わった。おばあちゃんの形見だよって貰った指輪も入学祝いの時計もみんな親に内緒で売っちゃった。
 それでも推しへの愛が足りてない。
 もっともっと、全身全霊で応援しなきゃ。

 だというのに。
 フリマサイトとがらんどうの部屋をかわりばんこに見てはため息。もう売れるものがない。

“諦めないで! どんなものでも買い取りします!”

 目に飛び込んできた宣伝文句。

 どれどれ。
 え、公園で拾ったどんぐりって、そんなの買う人……いるんだ。
 一回使ったティーバッグ? 嘘でしょ。
“明日10時から1時間”って、お手伝いってこと?
 みんな変なもの出品するんだな。でも、ちょっといいかも。

 ……
 …………

「ねえねえ隣のクラスの転校生、すごいカッコいいんだけど!」
「見た見た! やばいよね」

 きゃあきゃあと騒がしいクラスメイト。

「あれ、アヤちゃんあんま興味ない?」
「クールだねー」
「好きなひととかいないの?」

 ほっといてよ、と思う。
 ああでも、売るんじゃなかった。
「○○の日」なんて。




(初恋の日)

 ツルゲーネフは『初恋』より『はつ恋』派。

5/8/2024, 10:06:08 AM

初恋の日は覚えていない。でも振られた。心中に誘って。当たり前だ。せめて普通に付き合えたら。無理か。あんなに自由で笑顔で元気な子が私みたいに辛い想いをしていて。そこからもっと好きになった。でも恋愛感情か友情か分からなかった。今でも。あの子は、可愛い女の子。
初恋の日はいつも通り。新しい環境でいつもより一段とだるく、死にたかった。でも新しく出逢った人と話していて、死に方の話になった。
「好きな人と一緒に死にたいかな。」
何言ってるんだろ私。
「君とならいいかな。一緒に死んでも。」
私は、この一言で惚れた。あいつは、可愛い男の子
「私は二つの初恋をもつ。」
お題『初恋の日』

5/8/2024, 9:59:29 AM

高校に入学して初めての文化祭。
お祭りの喧騒を離れて訪れた、美術部の展示スペースにて。
ひっそりと飾られていた、そこに広がる作品群に思わず足を止められた。

黒地をベースに彩られた青に黄色。
時折混じる、白と赤がアクセントとなって光り輝く銀河の海。
そんな宇宙の星々を、可愛らしくデフォルメされたキャラクターたちが巡る冒険譚。
漫画のように台詞や言葉はなくとも、絵本のように雄弁に語りかける世界観に魅入られて、絵の中の宇宙へ吸い込まれたかのようにして私は夢中になった。

「気に入ってもらえた?」

不意に背後から声をかけられて、私は驚いて飛び上がった。
慌てて後ろを振り返れば、口元に手を当てくすくすと笑いをこらえる男の子が一人立っていた。
「びっくりさせてごめんね。これ、俺が描いたんだ。すっごい真面目に見てくれてるから、嬉しくって」
そう言って笑う彼は本当に嬉しそう。
一方の私は、突然の作者登場に頭が追い付かず。
食い入るように眺めていた一部始終を見られていたのかと思うと、恥ずかしくて顔から火が出る思いだった。
何とか気持ちを落ち着かせて、
「色使い、とか、あと、宇宙人が、可愛く、て」
と感想を捻り出したものの。
緊張の追い討ちで、途切れ途切れにロボットのような受け答えになってしまったのが悔やまれる。
ああ、何たる醜態。挙動不審でごめんなさい。

けれども、そんな私の間抜けさは、彼にとっては些細なことだったらしい。
焦る私には気にも留めず、彼は満足そうに微笑んだ。
「ねえ。どの絵が気に入ったの?」
彼に問われるまま少し考えて、私は部屋の隅にある絵を指差した。
指差した先を見届けると、彼は短く「へえ」と相槌を打ち、そのままくるりと背を向けて入り口付近の机まで戻って行く。
その途中。次いで「じゃあ宇宙人は?」と質問を投げかけられ、私もまた同じように絵を差して、「あの丸い子」と返して、遠退く彼を目で追った。
「よし分かった」
彼はペン立てからマジックペンを取り出すと、机の上でさらさらと何かを描き出した。
それはあっという間の出来事で。
一分もしない内にそれを描き上げると、彼は一枚のカードを持って私のところへ帰ってきた。
「はい、どうぞ」
彼が手渡してきたそれは、先ほど私が好きだと指差した絵のポストカード。
裏面には同じく好きだと答えたキャラクターが即興で描かれており、その横には吹き出しで「ごめんね」の四文字と、彼の名前がアルファベットで小さく綴られていた。

「――えっ! い、いいの?」
突然の贈り物にびっくりして、手の中のポストカードと彼を交互に見比べる。
慌てる私が面白いのか。彼は「いいよ」と笑って手を振った。
「折角集中して見てくれていたのに邪魔しちゃったから、そのお詫び。どうぞ、受け取って」
「あ、ありがとう」
改めて受け取ったカードを見返した。
丸い宇宙人が、「ごめんね」とぺこりと頭を下げて謝っている。本当に可愛い。
あんなに早く描けちゃうなんて凄いな。
折角なら、描いているところも近くで見させてもらえば良かった。
なーんて、そんなこと言ったら贅沢かなあ。

「え。いいよ?」
「――え?」
まるで心を読んだかのようなタイミングの言葉に、三度驚いて顔を上げた。
見上げた先には、同じくきょとんとして私を見下ろす彼の顔。
首を傾げて彼は続ける。
「描いてるところ、見たいんでしょ? 俺、描いてるとき周りの視線とか気にならないから構わないよ。ほら、こっちにどうぞ」
そう言って踵を返すと、彼は机の方まで戻って行き、今度は椅子まで用意して私を手招きした。
初めは彼の言っていることが分からなかった私も、次第に状況を理解する。
馬鹿な私はうっかり願望まで口に出していたらしい。
は、恥ずかしい!
「し、失礼しました!」
「え? あ、ちょっと待って!」
彼の制止を振り切って、私は脱兎のごとく美術室から逃げ出した。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!

――その後日。
逃げた私を気にかけて。
美術部の彼が私の教室まで訪ねて来るのを、茹で蛸の私はまだ知る由もない。

絵をきっかけにして知り合って。
お互い初めて恋を知る。
そんな二人の絵描きの、始まりの思い出話。


(2024/05/07 title:032 初恋の日)

5/8/2024, 9:57:06 AM

彼女は私よりも2ヶ月早く生まれた子だった。

私とは何もかも違っていて
恵まれた容姿に利発な性格
運動もできて保育園の中でも一番足が速かった。
お喋りが上手くて、よく笑い
園児ながら誰からも好かれる魔性の色香のようなものがあった。

「●●ちゃんは××くんのことが好きなんだって!」
ある日彼女は同じクラスの園児たち全員の前で
私の秘密を高らかに暴露した
私の制止などお構いなしに
何度も何度も叫び回った
性愛に絡め取られる一歩手前の
柔らかな思慕の心を
まるで当然の権利のように
満面の笑顔でめちゃくちゃに踏み躙ったのだ

それから少しも経たないうち
小学校に上がったばかりの頃
ふたり、子供部屋で遊んでいたら
不意に彼女は
私を押し倒し
手を取り足を絡め
全身を擦り合わせてくることがあった
これがどういう行為なのか
当時も今も私にはわからない
そういえば初めて唇を合わせた相手も彼女だった

中学、高校は付き合う友人や部活が違い
私は彼女と疎遠になった
彼女は
癌で余命幾許もない母親の為
25歳で結婚し
すぐに子供を作って
安定した生活を送っている
今も私の知らない所で暮らしている

ところで明日はハロウィンなので
何かお菓子を作ろうと思う
アップルパイはどうだろうか
林檎は丁寧に切り刻んで
元の味などわからないくらい
砂糖で煮詰めてしまおう
こんな苦い思い出話も
あなたなら
優しい瞳で静かに聞いてくれるような気がする

アップルパイは残さず食べてしまってください。

◼️初恋の日

5/8/2024, 9:57:00 AM

何もかも捨てても惜しくないほどの初恋の日はまだ来ない。洗脳じゃあるまいしそうそうそんな恋なんてしないでしょうなんて笑った君があの子とともに消えてからずいぶんと探したんだあまりいい話があの子の周りから聞けなかったから。どうして独りであんなところにいたんだ何もかもを手放したのは本当に君の意志なのか?問いかけても答えがかえることはもうない。ひんやりとした部屋の中でじっと二度と目を開けることがなくなった君の骸を眺めている。

5/8/2024, 9:55:18 AM

初恋の日


思い出すのは小学生の時、
なんだか飄々としていた、
足の速い男の子。
派手ではないし、
今でいう陽キャでは全くなかったけれど、
不思議にクラスメイトから好かれていた。

いいなと思ったきっかけは何だったんだろう。
全然思い出せない。
見て、たまに話せるだけで満足だった。

元気でいるといいな。

5/8/2024, 9:38:55 AM

「初恋の日」
(「優しくしないで」&「二人だけの秘密」(5/2、5/3)と対にしても読める……かもしれない。)

❁⋰ ⋱❁⋰ ⋱❁⋰ ⋱❁⋰ ⋱❁⋰ ⋱❁⋰ ⋱❁⋰

初めて見る景色、初めて見る花々、初めて見る人々。
今日から新しい場所で、新しい暮らしを始めます。
わたしの心は、夜明け前の空みたいな、期待と不安が入り混じった色。

これからここで、色んなことを覚えて、色んな人と出会って、それから……。

そんな時に出会ったのが、あなただった。

明るい栗色の髪を淡いピンク色のリボンで飾った、ふわふわのワンピースが似合う女の子。
まるで絵本から飛び出してきたお姫様のような、可愛くて儚いわたしの運命のひと。

小さな星のような、囁くような声で「こんにちは」と挨拶してくれたあの瞬間が今でも忘れられないの。

大人同士で話し合っているのを横目に、わたしたちも話をしたのを覚えているかしら?

内気で人見知りのあなたは最初こそ恥ずかしがっていたけれど、話しているうちにだんだんとお互いのことが分かっていって、最後には桜のような笑顔を見せてくれた。

あなたの好きなもの。淡いピンク色、灰かぶり姫の童話、牡丹の花、薔薇の香り。

わたしの好きなもの。群青色、楽譜の挿し絵、百合の花、メープルシロップの香り。

好きなものはまるっきり違ったけれど、好きな気持ちを分かち合った時、わたしはとても幸せだった。
それはそれは素敵な、素敵な初恋の日でした。

そんなある日、あなたが貸してくれた絵本に「騎士」というひとが出てきました。騎士というのは、大事な人を守る役目をもつ存在。

そのことを知ったわたしは、これから先もずーっとあなたを守れるような騎士になりたいと、そう思いました。

あなたが辛いと思った時にはわたしが盾となり、あなたを害する者が現れたら矛となる。そんなふうになりたいと、そう願いました。

あなたの騎士となるために、わたしは色んなものを読みました。あなたにとっての騎士となるために、親友であるために、願わくば初恋を実らせるために。

騎士でいられたあの時間、それはそれは幸せな、幸せな時間でした。こんな日がいつまでも続けばいい、そう思っていました。

でも、ぼろぼろになったあなたを、それをわたしに隠し続けようとしたあなたを見てから、彼奴があなたの前に現れてから、全てが変わった。変わってしまったのです。

どうして彼奴はあなたを傷つけるの?
どうしてあなたはそれを黙っていたの?
どうしてわたしは何もできなかったの?

わたしはあなたの騎士などではなかった。
ただ家が隣同士の間柄でしかなかった。
彼奴にとっては他人でしかなかった。

だったら。

だったら、もう一度やり直せばいい。
もう一度、ほんものの騎士になればいい。

あなたを害するものを荊で貫けば、
永遠に美しいお姫様を守れば、
わたしの大切なこの世界を守ればいい。

その為になら、私は───

5/8/2024, 9:36:51 AM

恋というものは、幾つになっても訪れるものだけれども、それが初めて、というのは本当に特別な時間なんだ。



 今年4月に高校に入学し、晴れて高校生活を始めてみると、僕の中学からの友人たちは、ちらほらと新しい恋を始めていた。

 彼らの話をよくよく聞いてみると、どうやら異性と恋に落ちた、いうよりも、恋に憧れて自分と一緒に恋を育んでくれる女の子と、とりあえず付き合い始めた、といったところなのか。

 入学して1ヶ月経つが、もう数組が別れてしまったようだった。

 僕も、女の子に興味がないわけではない。

 自分の隣で、自分の話に相槌を打って頷づいたり、笑ったりして、私たちだけの絆、大事にしようね!みたい優しく微笑みをかけてくれる女の子がいたら、それはもうhappyだけしかない毎日になるだろう、という事ぐらいは容易に想像がつく。

 でもそれは、

『恋人』

 というお互いの暗黙の了解の中の、

『契約』

 …みたいなもので得られる

『安心』 というか…


 …幸せなわけで。

 
 育てていく恋、というものなんだろう。

 
 初恋は

 
 恋をしようと思ってなかったのに、落ちてしまう恋…。



 初めての恋は、きっと誰もがそんな恋なのではないだろうか。





ずうっと昔、まだほんとに小さかった頃。
  
 その女の子を見ただけで、ほかの何もかもが見えなくなる程の衝撃を受けたことがあった。

 
 僕がまだほんとに小さかった頃。

 幼稚園入学式。

 色鮮やかな桜が咲き乱れ、花びらが風に待っている中、その女の子は門の前に立っていた。

 その日は強い風が吹き、風に煽られて桜が大きく揺れていて、満開の桜の花から離れた小さな花びらが、たくさん宙に舞っていた。

 女の子は、その大きく風に揺れる満開の桜たちを、口をぽかんと開けながら、でも嬉しそうに見つめていたんだ。

 今考えてみれば、大きく揺れる美しい満開の桜と、風に舞う無数の花びら。

 そんなシチュエーションの中で佇む同じ年頃の女の子を見たのだから、僕の中に強烈な印象を与えたのだろう。

 初恋は叶わないというけれど、実際僕の初恋は、ほんの一瞬で終わった。

 何故なら、僕は入学した翌日から、狭い幼稚園の中をキョロキョロしながらその桜の女の子を探した。

 けれど、不思議なことにその女の子はどこにもいなくて、2年通った幼稚園だったけれど、その後、一度も会う機会が無かったのだ。



 夢でもみていたのだろうか。

 桜の妖精だったのかな…

 

 真実はわからないけれど、今考えてみれば、あの瞬間。

 あの日が間違いなく、僕の初恋の日なんだ。

5/8/2024, 9:36:43 AM

〝初恋の日〟

風に乗って流れてきたその音に、私は一目惚れした。
だから興味がなかった楽器についても調べたし、
吹奏楽部の子にも色々聞いた。
…あの吹奏楽への初恋の日から、早三年。
高校に入学した私が、入る部活はもう決めていた。
部室に入るその瞬間、私の想いは報われる。

5/8/2024, 9:30:48 AM

『初恋の日』
僕の初恋は保育園の頃だった。
告白して両思いになれたのに両親の反対で離れ離れになってしまった。

5/8/2024, 9:25:13 AM

お題 初恋の日

あなたの笑顔を見たとき胸がときめいた

あれが私の初恋の日

5/8/2024, 9:22:00 AM

いつからか

分からない。









気が付いたら
目で追っていて

一緒にいられたら
嬉しくて

今日会えるかな
って期待して








これが

恋なんだ。







自覚すると

急に

恥ずかしくなる。







わたし、

あの人が

好きなんだなぁ。


#初恋の日

5/8/2024, 9:19:57 AM

悟られないように
気づかれないように
気をつかわせないように

目が合ったらダメよ
わたしは
まだ慣れていないの

気持ちを伝えるすべも
まだ持っていない

あなたでいいのかも
わからない

わたしはまだ
子供なのです

『初恋の日』

5/8/2024, 9:15:12 AM

初恋の日

君が好き、なによりも君が好き

目が合うだけでどきどきして

朝おはようって言いたくても言えなくて

話したくて話したくてしょうがないのに、

話しかけられなくて

好きで好きでたまらない ただ大好きなの

貴方に届け。

5/8/2024, 9:08:37 AM

初恋の日


好きです。と言われても僕はその人のことをほとんど知らなかった
強いて言うなら髪に赤い髪飾りをつけていることくらい




僕は初恋を殺した

5/8/2024, 8:52:25 AM

今でもたまに思い出すよ。
周りからしてみれば変わった人だったようだけど
頭が良くて、想像力も豊かで、可愛くて、寂しそうな人。私の大切な幼なじみ。

君との帰り道自分たちの手袋で人形を使って、ああでもないこうでもないと冒険に想像を膨らませていたこと。
バイバイした後に君がぽつんと玄関前に座り込む姿がどうしても放っておけなくて、冒険の続きを聞かせてくれと私の家に誘ったこと。
私は君の話を聞くだけでとても楽しかったこと。

君の部屋の窓ごしに見えた恐竜の模型はもう見えないけれど…
大人になった今でも君が好きだったものを見かけるとふと立ち止まる時があるよ。
この広い世界のどこかで君が今日も笑っていてくれますように。
もし、悲しいことがあっても独りで背中を丸めていないといい。君を一人にしたくない人が君の側にいてくれるといい。

私は今でもたまに君を想うよ。
_初恋の日_

5/8/2024, 8:45:00 AM

初恋の日

出逢うだけで鼓動が聴こえる
毎日飽きずに目に入れて
友達と恋ばなに花を咲かせる
こんな恋はもうできない

5/8/2024, 8:38:51 AM

また明日 また明日
眠るのも惜しい毎日が
別れの後
もう二度と会えぬのだと
これが恋しさなのだと泣いた
輝いていた毎日も
次の日からは味気なく
君が照らしていたのだと知った

別れの日
二度と会えぬ君に
ああ これが恋なのだと知った



初恋の日(お題)

5/8/2024, 8:37:42 AM

[初恋の日]

私の目の前で笑う貴方の笑顔が…
素敵で…、
今日、私は貴方に“初恋“をしました…


なんか今日好きのタイトルと似てるね…
今日好きになりました 今日私は貴方に初恋をしました
↑似てるね(  ᴖ.ᴖ  )
今日好き見たことないけど…
偶然だよ?(*^^*)
てか、短すぎた…単純すぎたな…←(私が)

5/8/2024, 8:37:00 AM

初めて出会ったのは中3の頃だった。
あいつは発育が遅くて、俺よりも一回りほど小さく、
まだ声変わりもしていなかった。すぐピーピー泣くし、運動神経いい癖に鈍臭いし、ほっとけない奴。それが最初の印象。


ある日いつも通り仕事帰りに練習場に寄ると、いつもと違う声が俺の名を呼んだ。俺の驚いた様子を見てバツが悪そうに声変わりが始まったことを告げた。
『ぼくじゃないみたいで気持ち悪いやんな』
『ぼくも、自分の声じゃないみたいで気持ち悪いねん』
そう掠れた声が弱々しく告白すると、あいつのまん丸い瞳からぽろぽろと涙が溢れていく。そんな風に泣かれるのは初めてだったから、どうしていいか分からなくなって思わず抱き寄せた。
「気持ち悪ないよ、みんな通る道や。これからカッコいい大人の声になるんやで」
「……よぉちゃ、の声かっこよない……」
「おっまえな、人が慰めたってんのに……」
「うそやって、よこちゃんはカッコいいよ。ありがとうなぁ」
今鳴いたカラスがなんとやらだ、すっかり赤くなってしまった目元がニコッと弧を描いた。この腫れ様からすると今泣いたのだけではなさそうだ。
でもこいつ、俺の言葉でピタッと泣き止むんやな。
その小さな気づきが、とある想いが心を巣食っていく切欠。


結局えぐえぐ泣いてたのが喉を傷めさせてしまったのか、あいつの可愛らしい高音はガラガラした声になってしまった。
実際これが声変わり失敗なのかは判りかねるが。
声変わりし始めたときはあれほど自分の声が変わることを気にしていたのに、いざ変わってしまったらあっけらかんとしている。俺が気持ち悪くないと言ったから、というのは自惚れすぎか。でもどんな声だろうとあいつであることには変わりはしない。声が変わったとて性格が変わる訳でもない。泣き虫で寂しがり屋で天然で、表情がコロコロ変わるほっとけない奴だ。
練習の帰り、お腹すいたとあいつが言ったので肉まんを奢ってやった。100円そこらのコンビニの肉まんに目を輝かせて、『よこちゃんは救世主や……!』と喜んでいる。大袈裟な奴。
「ホカホカやから気ぃつけて食えよ」
「わかってるって!……っあちゅ!」
「言わんこっちゃない……」
あちゅって言うたこいつ。めっちゃかわいいやん……って、何考えてんねん。こいつは男やぞ。確かに女の子に見間違われるくらい可愛い顔してるとは思うけど、ってそれもちゃう。
考えを振り払って、ペットボトルを渡してやる。
あ、俺の飲みかけや……別に回し飲みくらい普通にするやんけ。あかん、思考回路がおかしなってる。
そんなぐちゃぐちゃした気持ちの中ダメ押しが来た。
少し筋張った指が口元に伸びる。
「よこちゃん、あーん」
何も考えずに言われたまま口を開けると肉まんが入ってくる。
目を白黒させながら口をもぐもぐと動かすしか出来ない俺に『お礼や!』と八重歯を覗かせた悪戯っ子のような顔で笑う。
「美味しいやろ?」
背が伸びたとはいえまだ俺より小さいあいつが俺の顔を覗き込む。そうすると可愛いお目目が自然と上目遣いになって……。
思わず目を逸らした。
「てか、俺が買ったったんやんけ」
「そこはありがとうでええやんか!」
不満げにぷぅと口を膨らませてむくれる。
おいおいお前は一体幾つなんだ。でもそんな歳にそぐわない幼い仕草も可愛いと思ってしまったらもう認めるしかなかった。

俺は目の前のこの男が好きだ。

『初恋の日』



作者の自我コーナー
いつもの。『初恋』の詩からインスパイアを受けたはずなのですが、ふたり仕様に変えていたら全然分からなくなってしまいました。だから本当はあと二段落あります。『初恋の日』にどこかしらに投稿しようかしら。

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