『列車に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
多種多様な人を乗せて列車は走る。
風景を眺める人。
音楽に身を委ねる人。
睡眠時間に充てる人。
暇つぶしに興じる人。
お喋りを楽しむ人。
向いている先はまるで異なっている。
ただ、そんな人の思いを乗せて、同じ先に向かう。
特定の場所に向かうため、列車は走る。
そんな不思議な空間を内包して、列車は走る。
ふと、それが、人生と重なった。
不揃いな私達を乗せて、時間という列車が動いている。
降りる場所も目的地も違う。
名前も知らないもの同士。
目線も合うことはない。
見知らぬ人同士での会話もない。
ただ、それで良いのだろう。
人生とは、生きること、というのは。
そんな中で、いずれ共に手を携えて、
一緒に楽しく乗れる人が居たら。
そんな人が隣に乗っていたら。
きっと列車に乗る時間は楽しいだろうな。
そんなことを思いながら、僕は今日も揺られてる。
時間という列車に乗って。
【星へ、お花見。】
銀河鉄道に乗って火星まで
早咲きの桜を見にゆく
最近ICOCAが使えるようになったって聞いたから使おうとしたらチケット売り場のおっちゃんが
あん?
ICOCAなの?
…って
めっちゃめんどくさそうに眉間にシワ寄せ寄せでにらむからさっ
はぁっ?
なんかあかんことあんの?
◼️%&$%◎△()0=!!!
…って
ヘンテコになるから普段はほとんど使わない関西弁で
窓口に貼ってあったイコちゃん(カモノハシ)ステッカーをツンツンしながらまくし立てちゃったよ
それで、今、席について「猫」をかぶり直している…
列車がゆっくりと走り出した
駅を抜けるとレールはなくなるけれど平然と列車は宇宙(そら)へ向かう
うわ〜 あのアニメと一緒だー!!
と毎回何故か感慨深い
もちろんこの鉄道の終着駅もアンドロメダ駅だ
さすがに機械のカラダはもらえないけど
開発が進んでおしゃれな星(都会)になって人気の移住先らしい
その点、これから行く火星は今は少し廃れたレトロ星で、早くから開発を始めたのに思ったほど発展しなかったのは、あの赤い砂嵐を克服できなかったせいなのだろう
でもその赤い砂の砂風呂はお肌にいいぞー
楽しみだ!
・・・なんて、ほら、もう火星が見えてきた
地上に点々と設置された透明なドームの中で早咲きの桜が舞っている
ヒトが宇宙の神様に捧げたスノードーム
その中では地球の日本に似せた四季が移ろっている
自然を無視したバイオテクノロジーは明るい闇だ
そしてそれはとても美しい
車掌がもうすぐの停車を告げながら通り過ぎる
通り過ぎたのはアニメに出てきた「その制服の中はどうなっているのでしょう?」の不思議なあの車掌さんではなくて、もちろん、Suicaのペンギンだよ🐧
#列車に乗って
夏休みになると飛行機で祖母の家に行っていた。のだが、ある日私は「列車で行きたい!」と伝えた。突然の要望に「どうしたの?」と母は当然の質問を向ける。私は目を爛々と輝かせ答えた。
「青函トンネルに行きたい!」
青森と函館を結ぶ、世界最長の海底トンネル。そんなトンネルがあるのをテレビで知り、どうしても行きたくなっていた。母の嫌がる素ぶりを確認しつつも説得を頑張り初体験の切符を手に入れた。
スケジュールの都合で父だけ飛行機で、母と妹と駅に向かった。特急カシオペアに乗り込む。初の寝台列車に感動した。見知ったと言うほどでもないが、いつもの駅を出発して列車は進む。街、建物、川、木、ビル、駅、木、川、木、色々を、通り過ぎながら。無駄にベッドで横になったり、食事をしながら過ごす。
待ちに待った、青函トンネル。
行けども行けども、トンネルの壁。黒、ではない、よく見るトンネルの壁。行けども行けども壁。
私は----がっかりした。
海底トンネルと聞いて、水族館のアクアトンネルを想像していたのだ。いつかそんな景色が広がるのではないかと粘ってみたが何も変わることはなかった。夢でアクアトンネルを楽しんだ。
終着駅に到着する。こんなはずではなかったと思いつつ、自分から言い出した手前そんな事も言えない複雑な顔をした私に、母が尋ねた。
「楽しかった?」
「次は船で行ってみたい」
「船かぁ…」
母は私以上に複雑な顔を浮かべた。
「列車に乗って」
「列車に乗って」
私は今から雲の街に行かなければならないの。
そう、君を置いて。
【#46】
列車に乗って、どこに行きたいかと聞かれたら、どう答えるか?と、ふと考えた。
どこか田舎の高原を走る列車を俯瞰で見ている自分がいる。
窓を開けて、風を楽しんでいる。
ビールを飲んで、高揚している。
大声を出して、気持ち良さを表現している。
今度、家内と犬と一緒に旅行したくなってきた。
初夏の高原列車を調べてみることにしよう!
いつか、きっと。
列車に乗って窓から景色を見ると綺麗
癒される ずっと見てるとだんだん眠くなる
きっと気持ちいいんだよね
疲れた体を癒してくれる
寝て起きた後は窓を見ると眩しい
眩しい光が入って来る 明るい景色
そんな感じで楽しむと
列車に乗ってるとなんか楽しいなと感じる
また次もいつか乗りたいなと思うよ
君もそう思わない?
絶対思ってるでしょ?ねぇねぇ!笑
〝列車に乗って〟
がたんごとん、がたんごとん。
列車の揺れがリズムを刻んでいる。
列車のシートほど、
眠りを誘うものはあるのだだろうか。
列車に乗って、まどろみの中へ。
【列車に乗って】
このご時世には珍しい汽車だった。
蒸気の中に座っているかのような蒸し暑さを温いミネラルウォーターで誤魔化して、私はあの人とこの機関車に乗っていた。汗が滝のように出て、このままアイスのように溶けてしまいそうだった。
いや、むしろ溶けてしまった方が楽だろうか。心臓がバクバクして、嫌な汗もだらだらと混じって流れる。
爪の間に、まだアレの血液が残っているような気がしてきた。
隣にはイヤホンを耳につけたあの人が居た。何かバラエティものでも見ているのか、時々小刻みに肩を震わせる。
それがいつも通りの光景と似通いすぎて、吐き気が込み上げる。何故、どうして、どうして、自分の隣を人殺しに預けて、その死体も見て、その上でバラエティものを見て笑える。頭がおかしくなっているとしか思えなかった。
何故?私の震え声の告白を聞いた途端、親の財布を引っ掴んで、電車、いや汽車を手配して逃亡しようだなんて。なにもかも判断が早すぎる。友達ってだけで?
何もかもわからない。わからないけど、正気が今の今まで保てているのもこの人のおかげに違いなかった。
列車に乗ってずっと行きたかった場所に来た
これで満足しましたか
満足しない理由はなんですか
私が列車に乗った理由は
ここに来たかったからじゃないよね
きっと環境を変えたかったからだよね
目的、信念はありますか
なければそれでいい
あるのなら
それを強く心に留めておくといいよ
想いは必ず私をそこに導く
列車に乗って
過ぎていく風景
忘れてく思い出
全てを過去へと
列車は時を進む
見覚えのある家
かつてあった森
今は変わるから
その一瞬の大切
注意しなくちゃ
通り過ぎちゃう
見つけるの選択
全ては見える物
その中で自らが
これだと言える
大切な物を選ぶ
時の列車に乗る
ー列車に乗ってー
私は列車に乗っていた。毎日乗っている列車。いつも見ると乗客は少なかった。
座ると、見知らぬ人が出てきた。
第三十一話 その妃、頬に触れて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
……右手があたたかい。やさしい熱に包まれている。そういえば、少しだけその手が痛い。
ゆっくりと目を開けると、星空の見える見慣れた天井に、風が吹き抜ける大きな穴の空いた壁。
そして、寝床に伏せるようにして眠る間抜け顔。
ようやく、長い夢の旅から帰って来たのだ。
その顔を暫くの間眺めていると、ゆっくりと目蓋が持ち上がる。寝起きの掠れた声が、ジュファと名前を呼んだ。
寝惚けた様子をじっくり堪能してから、小さく呟いてみる。
「どうせなら、何処か遠くへ行くことにしなさいよ。いい子で待ってたご褒美」
理解が追いつかない様子で、寝起きの男は怪訝に顔を顰めた。
「列車に乗って、船に乗って、飛行機に乗って。望むなら、宇宙船にだって乗せてあげるわよ」
「……どういう、意味ですか」
「正直何でもいいの。この国から……柵から抜け出せたら何だって」
「……すみません。まだ、頭が寝惚けてるみたいで」
繋がる手を引き寄せながら、もう片方の手で彼の頬に触れる。驚いたような顔で、ぴくりと体が震えた。
それが可笑しくて笑っていると、その頬に触れた手も、躊躇いがちに包み込まれる。
「……これこそ、本当の夢ですよ」
「なら、夢かもね」
「っ、ジュファ様」
「でも、さっき言ったことは嘘じゃない」
だから、こう伝えておく。
あなたが“それを忘れなければ”、きっと叶うわと。
それに何かを感じるかもしれないし、そうでないかもしれない。だからと言って、彼に失望するわけじゃない。
「……言いましたね。なら、僕が行きたいところに連れて行ってもらいますよ」
「望むところだけど、私が行くとは言ってないわよ」
「え。まさか一人で行かせる気だったんですか」
「私が行きたいわけじゃないもの」
「僕のご褒美には、貴女様が必要不可欠になるのですが」
「旅費はあんた持ちね」
「貴女が傍に居てくれるならいくらでも」
「大きく出たわねえ」
彼には彼の人生がある。
そもそもこれは、その先を見据えた上での決定事項。彼の人生の中に不要なものとして、最初に排除の対象となったのは――
「……なら、楽しみにしていようかしら」
……“私”なのだから。
#列車に乗って/和風ファンタジー/気まぐれ更新
遠くに行ってしまいたい。
この列車は私をどこに連れて行ってくれるのかしら。
「列車に乗って」
いつもの席につく
ふと見上げるとあの子が私の前に座る
名前も知らないあの子。
いつか名前が知れるだろうか
いつかお話ができるだろうか
いつまで貴方と座れるのだろうか
本に落とす貴方の目元に
見惚れています。
『列車に乗って』
列車に乗って
列車に乗ってどこか遠くに行きたい…
誰も知ってる人がいない…
遠くへ
毎日が続いているような感覚がある
変わらない時間に起きて、変わらない手順で制服を着て、顔を洗って、ご飯を食べて、決まった時間に家を出る
毎日乗っている1号車の1番ドア
車掌室越しに見る線路の風景は今日も変わらない
太陽の光に照らされて輝くレール
微風に揺れる草木華
一生懸命外を見ようと背伸びをする小学生
なにもかもが今日も変わらずそこにある
わたしはいつ寝たのかしらと、そんな風にまで思えてしまうほど毎日変わらない動きをしている
それでも、そんな普遍も終わりがくる
今日で高校2年生の通常登校が終わった
今までずっと一緒に過ごしてきた仲間たちと来年を、そしてその先を迎えてしまったらこんな日々は崩れてしまう
今日も私は列車に乗る
車窓からの風景を大切に大切に心に留めながら
行くあてもなく列車に乗ってぼんやり車窓を眺めていると、見覚えのある景色が眼前に飛び込んできた。その拍子で浮上する苦い思い出の数々。
できるだけ奥底に沈めてあやふやになった輪郭が、再び形を帯びていくのはあっという間のことだった。阻止しようと試みても、湧水のようにあふれてくる残像に抵抗する術がない。
不幸せそうな表情のすべてを元の形のままに思い出してしまったら、俺はまた俺を殺すことになると、必死に訴えても俺の頭の中はあの人を映す。俺の心は未だにあの人が独占していることを知らしめてくる。
記憶の中のあの人と目を合わせてはいけない。骨が浮いてどこか哀愁を帯びた背中に決して触れてはいけない。それは罠だ。できるだけ濃い靄を浮かべて、誘惑のすべてを覆う。なにも見なかった。なにもなかった。すぺて気のせいだ。
払拭するために乱雑な言葉を矢継ぎ早に放つのは、ただ惨めに思えた。どうしたって救われない。今更になって列車に乗ったことを後悔している。
あの人が住む街を通り過ぎた。
車窓の向こうには曇天が広がっている。壊れかけのイヤホンからノイズ混じりで聴こえてくるのは、かつて好きだった曲。
ポケットの中にあるスマホを引っ張り出して、ひみつのアカウントを開く。
“あの人が教えてくれたバンドの曲、消すの忘れてた。もうあの人は俺のことなんて忘れて別の人と生活をしてるんだよな。俺だけ憶えてるとかどんな地獄なんだよ、これ”
無機質なゴシック体では俺の気持ちの1%も現すことはできないけど、誰も見てないことをいいことに行き場のない気持ちをいくつも書き連ねている。
不特定多数の誰かじゃない。あの人に届いてほしい。あの人だけに向けて言葉を吐き出し続けているけど、それは叶わない。だって、あの人はSNSなんてやらないから。
「苦手なんよ、こういうの。マジで何書けばいいかわかんねえっつーか……書くこともなければ、見て得るものもないのかもしれない」
いつか話してくれたことが蘇る。
確かにあの人の言う通りだと思う。ヘイトの割合の方が多いし、気分を害すことが過半数であるいわば地雷を自ら踏むなんて馬鹿げてる。そこから生まれるものも、得るものない。
俺が運営しているひみつのアカウントは無意味だ。掃き溜めでしかない。ゴミ箱を好き好んで覗く人は居ない。俺だってそんな滑稽なことはしない。
諭せば諭すほど深い絶望に覆われて狂いそうになる。自分自身を諭すことは、あの人との関係が進行形には戻れないということを再自覚すること。どれだけ「もしかしたら」という期待を膨らませても続きは芽生えない。
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何気なく話した夕日に溶け込みたいという話で、処方される薬が増えた。
「お薬、ちゃんと飲んでくださいね。そうじゃないといつまでも彼のことを引きずったままになってしまいますよ」
消毒液のにおいが充満している待合室で、そう告げてくる声音はどこか辟易としているようだった。
子供騙しみたいなことで服用を促すなんて大した医者じゃないなとか胸のうちで悪態をつく。
長ったらしく忘れるのを待つなんて面倒なことをせずにビールで流し込んで早々に忘れてしまった方が楽だ。
カバンの中に潜ませておいて缶ビールを手探りで探しても、それらしき感触に行きつかない。
代わりに入っていたのは、ペットボトルの炭酸飲料。透明で甘いやつ。診察中に看護師がすり替えたのだろうか。
やるせなくて涙が零れた。俺は一体、なにをしているんだろう。あの人が浮かんでしまうから、泣くのは嫌いだ。
どうしたらいいのか。どうしたら手に入るのか。どうしたら、俺を必要としてくれるのか。
未だにこんなことを思う。
答えは存在しない。疑問に答えてくれる人は誰も居ない。唯一の薬は時間だって言ってたけど、あとどれくらいかかるのか。ただ薬の量が増えていくばかりで、なにも変わらない。記憶が美化されるのと比例して、惨めになる。
ふと気づくと、またあの列車に乗ろうとしている俺が居た。分岐点に戻れる列車に辿り着くまで繰り返し続けていく。いつしか望んだ列車に辿り着き、分岐の場面に直面したのなら今度はあの人と出会わない人生を選択しようと思う。すごく悲しいけど、きっとそれがいい。
昔は、小さな子供達がロープで輪をつくり列車ごっこをしていた。あの子達がロープで作った列車に乗って見る景色はどんなものだったのだろうか。
私は列車の窓から外を眺める。外は寒いし、雨......というより、みぞれのようだ。
こんなにも大切な日なのに、空は邪魔をしてくる。最悪だ。ただでさえ悲しいのに、それを更に悲しくさせる。
今日は母の葬式だ。新年早々、付与の事故で亡くなってしまった。沈む気分をもっと沈ませるのは、母の死を実感させる黒い喪服。
列車の中では浮いて見えるだろう。私は必死に涙を堪え、次の列車に乗り込む。
『列車に乗って』
故郷や家族を顧みることなく、あの列車に乗ってみたい
この地で生活をしていると、息が詰まり出す
当たり前という安心感はあるものの、呪縛に囚われ苦悩さえ感じることもある
服役は死ぬまでか?
重い鎧のついた手足を引きずりながら、檻のなかをぐるぐると徘徊している
「片道切符」を手にする、チカラが欲しい