名もない譫言

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 私は列車の窓から外を眺める。外は寒いし、雨......というより、みぞれのようだ。

 こんなにも大切な日なのに、空は邪魔をしてくる。最悪だ。ただでさえ悲しいのに、それを更に悲しくさせる。

 今日は母の葬式だ。新年早々、付与の事故で亡くなってしまった。沈む気分をもっと沈ませるのは、母の死を実感させる黒い喪服。

 列車の中では浮いて見えるだろう。私は必死に涙を堪え、次の列車に乗り込む。

3/1/2024, 7:25:25 AM