『冬は一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今年も一緒に年を越せそうで幸せです
大事な人たちと1年を締めくくれるのは嬉しいです
これからも冬だけといわず、春も夏も秋も一緒に感じて
少しずつ、歳をとっていくあなたの隣で歳をとりたい
【冬は一緒に】
ドアを開けると、清々しい空気が
室内に入っていくのが分かる。
あぁ、冬だ。
私の大好きな季節だ。
ずっと恋しかった。
そう、高鳴る鼓動を抑えながら
私は歩き出した。
冬は一緒になってついてくる。
離れることなんて出来ないから、
今だけは私の側にいてほしい。
あなたと初めて出会ったはずの日。地面にはあまり白が見られず特につるんと氷の膜をまとっていた記憶もない。
あの時のあなたはとても好意的で、けれどもどこかに壁があって、それでも魅力的であった。
「今頃どうしているのでしょうか。」
私の独白は冷たい空気に霧散し、綺麗であったあなたとの記憶を掘り返す。
この街の雪の元で、また会えたら。
「今年の冬こそ一緒に居よう。」
でも、いくら待っても君は来なかった。
「今日はごめんね、来年こそは一緒に居よう。」
君がこの世から居なくなって15年
今年の冬こそはやっと一緒に入れるよ。
そして、来年も再来年も永遠に一緒に居よう
2024/12/18 冬は一緒に
「あの、せんぱい。クリスマスとかって...空いてたりしますか?」
突然のことだった。
しんしんと外で降り始めた雪に比例して降り積もっていた倦怠感はどこかへ飛んでいってしまった。
「...え」
コンビニでのバイト中、暇な時間帯を狙ってきたのであろうバイト仲間の柊くん。ちなみに高校の後輩でもある。
「空いてはいる...けど」
「“けど”?」
不安そうな表情で見上げられて、うっと心が詰まる。だめだ、なんで美形の表情とか仕草というのはこんなにも直接的に心臓を叩いてくるのだろう。
「えっとね店長がバイト誰も入ってくれないって半泣きだったから、入ろうかなぁって」
ちからない笑いを浮かべると、彼は水を得た魚のようにぴょこんっとちいさく飛び上がった。
「ってことは、クリスマスはバイトして過ごすってことですか?バイト以外は予定ないってことですよねっ?」
「まぁ、そうかな」
きらきらとした笑顔が痛い。
柊くんは過ごす相手いるんだろうな。なんてぼんやりと頭の隅で考える。
そしてそこの美形、人の哀愁にそんなきらきらした笑顔を添えるんじゃない。
「あのっ、俺もその日入りたいと思ってて。バイトと終わったらでいいんで、どこか行きませんか?」
「え?柊くん、クリスマスもバイト入るの?」
カノジョさんとかと過ごすんじゃないの、と付け加えたくなったがすんでのところで呑み込む。別れたてで寂しさをバイトで埋めようとしているのかもしれない。
「あ、えっと、バイト俺と一緒じゃいやですか...?」
さっきの自分の発言をそう捉えてしまったらしい。ひどく気まずそうな傷ついた様子の美形がそこにはいた。
確かにあそこだけ聞くと嫌みな感じしかしない。
慌てて顔の前で両手を振る。
「そういうことじゃなくって。柊くんがクリスマスまでバイトなんて意外だなって思っただけ。そうだね、終わったらどこか行こっか」
「…! はいっ」
今度はしっぽが見える。
俺の言動でこんなにも表情がくるくる変わる柊くんが、昔飼っていた犬にそっくりでこっそり笑顔が漏れたのは秘密だ。
─冬は一緒に─ #144
朝早くから凍える空気を吸い山道を登っていく。
数ヶ月前から話し合って冬は一緒に山へ行こうと決めていた日にまさかの大雪になるとは思っていなかったが仕方ない。
前を歩いていく相方は寒さに強いのか薄着で見ているこっちが余計寒い気がして、だが、声を出すのも辛いほど寒いので放っておく。
しばらく歩き続け、山小屋を見つけた。
ドアが壊れているが雪と風を凌ぐには問題ない。
小屋の中は案外広く、蜘蛛の巣を払い除け汚れた床に座り休憩を取る。
そして気付く。相方の顔が青く震えている。寒いのだ。
お前、何も無理してその格好で来るこたなかったんじゃないか?とようやく声を出す。
(金)と書かれた腹掛けにふんどしと草履雪駄。
出発前に阿呆かと言ってやれば良かった。
本当は山頂まで行く予定だったが無理はできない。
下山するぞと立ち上がる。
凍え死ぬ前に家まで帰る為に緊急的に相方をおんぶする。一緒に戻るんだと来た道を早足に突き進む。
次からは冬は一緒に山へ行こうなんて絶対言わない。温泉に行く方が良いに決まってる。
(冬は一緒に)
金太郎のオマージュ、熊目線。雪山でもあの格好してる金太郎は阿呆だがそれを止めなかった熊も阿呆だった。
寒さを必死にごまかすように街は光で彩られている。陽気な歌が流れ、みんなどこか浮き足立っている。
それが、ものすごく嫌だった。
日々に追われながら目の前のことをこなしていくと、いつの間にかこの季節になる。こっちは毎日生きていくのに苦労しているのに、街は多幸感で溢れているのが許せなかった。なんだか、存在自体を排除されているのではないかと思ってしまう自分がいた。
けど、今年は違う。隣には好きな人がいて、辛い日々から逃げ出すように冬を超えていくことができそうだ。
だからこそ、憎しみが身体中を渦巻いている人に目を向けたい。その人を排除しないで、真摯に向き合いたい。
かつての自分を、それで救いたい。
誰かと過ごす冬は、それだけで寒さも過去も消してくれるから。
冬はいつもお布団と一緒。毛布、掛け布団、毛布の3枚にくるまってぐうぐう寝るのが最近の楽しみ。布団に潜るとすぐに眠くなる。催眠作用の何かが出ているんじゃないのか。寒くてかじかんだ手足もしばらくするとぽかぽかになる。そうして体が温まったら次第に眠気が襲ってくるのだ。それに抗うことなく眠る。今季もお布団とずっと一緒に居ようね。
寒い冬は一緒に何をしましょうか。
二人で毛布にくるまって、あたたかいココアを飲みながら星空でも見ましょうか。
この時期は空気が澄んで星がとても綺麗に見えますから、きっとあなたも退屈しないはずですよ。
星にはあまり詳しくないですけど、あなたと一緒に見る星はとてもきらめいて見えるのでしょうね。
だけど、あなたほどキラキラ輝いている星はないでしょう。
ふふ……大好きですよ。
……もう、照れないでくださいよ。私だって恥ずかしいんですから。
朝4時の星空を観に行こう。
スターク・マンローが愛した星の入浴——スターバスに入ろうよ。
未明の空にきらめく星々に瞳を輝かせてまたたきましょう。
砂時計の形が親しいオリオン座を見つけましょ。
あなたが物語る新しい星座も探してみましょ。
日の入りまでの2時間半星を見上げよう。
マンローのように星座の名前を知らんぷりしてスターバスを楽しもうよ。
夜明けの空に浮かぶ星たちをまぶたの中にすくいましょう。
星の数だけ私たちの星座の物語を作りましょ。
朝日に溶ける星々の代わりに輝くおはなしのろうそくを灯してあげましょ。
(241218 冬は一緒に)
そう言えばと思い出す。
出会いは夏。
気になったのは秋。
意識して、距離が一気に近づいたのは冬。
一緒にいることか多くなった冬。
「どうかしましたか?」
吐く息が白い中、彼女とのことを思い出していた。
急に言葉を止めてぼんやりした俺に彼女が顔を覗き込んで声をかけてくれる。同時に繋いだ手がキュッと強く握られた。ここにいるよと伝えるように。
俺は安心させるように笑う。
「ごめん、ぼんやりしてた」
「危ないですよ?」
「うん、ごめん」
何か悩みがある訳じゃないと伝わったのか、彼女も柔らかいほほ笑みを俺に返してくれた。
今はずっとそばにいる。
おわり
二一六、冬は一緒に
『冬は一緒に』
冬は一緒にいようね、と言って彼女は出ていきました。
きっと白鳥が渡ってくる頃には帰ってくることでしょう。
薄曇りで低い空を眺めて、待っているのです。
雪で遠出するのは疲れるけど
少しだけ非日常を味わいたいから
冬は一緒に近場の温泉に行きたい
寒い冬をあなたと一緒に過ごせたら、きっと暖かい冬になるだろう。
【冬は一緒に】
かじかむ手を合わせて暖かくしたい。そう思ってもだーれもいなくて風に吹かれて絶望するだけさ。
「 冬は一緒に 」
塾帰り、車の窓から見える並木道
冬は一緒に貴方とあの道を歩きたい。
【冬は一緒に】
「冬は一緒に雪を見に行こう」「はっ?今どういう状況か分かるか?」「マレーシアもいいけど日本の北海道っていう県?もいいかも」「はぁ完全にイカれた。終わるかもわかんないこの戦争の真っ只中で…」友人の琥珀色の目が輝きながら言った「正常だし本気だよ。もし俺が死んだら北海道に墓を建ててくれないか。景色がいい場所に。」「縁起がないこと言わないでくれ。」「アハハ、そうだな」「ほら行くぞ。」
― 北海道―
「まさか本当になるとわな。北海道の雪綺麗だよ。なぁ見てるか。本当は、二人で見たかったな。」
──遠くへの手紙。
あたたかい寝巻きを買いに行こうと約束しましたね。あなたはずいふん寒がりで、冬の朝がとても苦手だったから。あなたの好みに合わせた濃さのコーヒーを淹れて、どうにかリビングに連れてくるのに苦労しました。
揃いのマフラーを買おうと言ってくださったのはいつだったでしょうか。みぞれが降っても霜が降りても、いっしょに出かけたかったから。お互いの髪の色や瞳の色と合わせようと言ってみたりして、とても楽しい時間でした。
雪が降ったらゆきだるまを作りたいと願ったのを覚えていますか。幼い頃は、寒い日に外で遊ぶなんてことは許されなかったから。にんじんを鼻に、バケツを帽子に、枝を手にするんだと知って、とっても驚いたんですよ。
そちらでは雪は降りますか。寒さも暑さもない、ちょうどいい過ごしやすい気候なんでしょうね。雨も降らないんですか。それなら虹もかからない?
雪に似た、白い羽が降っているんでしょうか。もしかしたら、今のあなたにもその羽はあるのかもしれませんね。
あたたかい毛布にくるまっておしゃべりすることも、互いの瞳の色のマフラーを巻いて出かけることも、地面に足跡をつけながらゆきだるまもつくることもできないけれど。
大丈夫だから、安心して待っていてくださいね。
何も心配なさらないでください。
あなたがいなければ生きていけないけれど、あなたがいなくても呼吸をすることはできるのですから。
(冬は一緒に)
お題《冬は一緒に》
冬は一緒に過ごしたい
みんなで一緒に温め合おう
寒い冬もこれならヘッチャラ
冬も一緒に過ごしたい
限られている君との時間
冬を一緒に過ごせなかった
春に生まれた小さい小さい命
回し車で回る回る
走って走ってどこへ向かっているつもり?
いつも急いで慌てん坊
私も家族も笑顔になった
でもその魂はあっという間に
私の元を走り去っていった
急ぎすぎだよ
あの勢いならすぐに虹の橋の麓にたどり着くね
暖かくて広いずっと求めていた場所
何もできなくてごめんね
幸せをありがとう
「またね」
冬はそこでみんなと一緒に過ごしてね
#9 冬は一緒に