朝早くから凍える空気を吸い山道を登っていく。
数ヶ月前から話し合って冬は一緒に山へ行こうと決めていた日にまさかの大雪になるとは思っていなかったが仕方ない。
前を歩いていく相方は寒さに強いのか薄着で見ているこっちが余計寒い気がして、だが、声を出すのも辛いほど寒いので放っておく。
しばらく歩き続け、山小屋を見つけた。
ドアが壊れているが雪と風を凌ぐには問題ない。
小屋の中は案外広く、蜘蛛の巣を払い除け汚れた床に座り休憩を取る。
そして気付く。相方の顔が青く震えている。寒いのだ。
お前、何も無理してその格好で来るこたなかったんじゃないか?とようやく声を出す。
(金)と書かれた腹掛けにふんどしと草履雪駄。
出発前に阿呆かと言ってやれば良かった。
本当は山頂まで行く予定だったが無理はできない。
下山するぞと立ち上がる。
凍え死ぬ前に家まで帰る為に緊急的に相方をおんぶする。一緒に戻るんだと来た道を早足に突き進む。
次からは冬は一緒に山へ行こうなんて絶対言わない。温泉に行く方が良いに決まってる。
(冬は一緒に)
金太郎のオマージュ、熊目線。雪山でもあの格好してる金太郎は阿呆だがそれを止めなかった熊も阿呆だった。
12/18/2024, 1:25:43 PM