『冬は一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
冬は一緒に歩きたい。
寒いけれど、空気は澄んで気持ちが良いし、
都会を少し離れれば、心地の良い明るさが街には広がっている。
そんな道を歩くのが、私は好き。
彼と並んで歩くのが、私は好き。
彼は「ただ歩くのが楽しいの?」と聞いてくる。私は、「そうだよ」と答えけれど、その答えに続く言葉がある。
『そうだよ。貴方と並んで歩くだけで、楽しいの』
恥ずかしくて言えないけれど、私はこの気持ちは伝えなければと思ってる。
文句を言わず、いいよ。と言って一緒に歩いてくれる彼。
寒くないように少しくっついて歩いてくれる優しい人。
「ねえ?私と歩くの、楽しい?」
「もちろん。楽しいよ」
そんな些細な会話が大切。
そんな事を思う私。
ねえ、時間の終わりが来るまで、私といつまでも、隣を歩いてくれる?
あなたに会える季節
毎年かかさず冬の間は一緒だ
約束したわけでもない
ただ、私があなたに会いたくなるだけ
何でも包み込んでくれる
嬉しい時も悲しい時も
あなたが望んでない時も
受け入れてくれる
暖房器具の中でダントツ
あなたと一緒にすごしてます。
こたつ様。
(冬は一緒に)
えーっ、来れないの!?楽しみにしてたのに。
今年“も”クリぼっちかあ。
来年こそは一緒に過ごそうね。
既にいない彼にメッセージを送る私。
【冬は一緒に】
春も夏も秋もおまえとは顔を合わせるけれど、冬は格別だ。ほとんど毎日のように訪ねてきては、かなりの頻度で泊まっていく。仕事帰りのおまえが黒くて重いコートに身を包み、来ちゃったと笑う頻度が重なってくると、ああ今年も冬になったのだなと実感するのがもはや風物詩だった。
互いに口には出さないけれど、木枯らしが冷たい空気を運ぶ季節になるとおまえが俺のもとを訪れるのは、きっとおまえが寂しいからで、俺が寂しいとおまえが思っているからだ。俺の姉でありおまえの恋人だった彼女が死んだ、あのどうしようもなく寒い雪の日を思い出さずにはいられないから。
「今日は鍋にしようよ。具材は買ってきたからさ」
「量がおかしい。そんなに食べ切れるか」
「余ったら明日も食べればいいじゃん」
なるほど、今日は泊まっていく気だな。小さくため息を吐きながらキャベツを手に取った。
ぽっかりと開いた心の穴を補い合うように、慰め合うように、冬になると二人きりで身を寄せ合う俺たちを、天国へと旅立っていった姉はどんな風に思っているのだろう。その答えは俺にはわからない。わかるのはただ、こうして身を寄せ合わなければ俺たちは生きてはいられないということだけだ。
冬は一緒に、寂しさを分け合って。そうして俺たちはいつか訪れる春を、二人で待ち望むのだ。
どれだけ本音を語ったところで、それが孤独と訴えたところで、マジョリティで健常者である、数々の犇めく不神経者どもにはわかるまい。血を吐くほどの苦悩のすべてを、エイムも合わぬまま逆張りと言われてしまっては、かなわない。
心の底から理解できぬのだろう。それはいつだってお互い様であっただろう。それなのに、糾弾され続けるのは、いつもこちら側なのだ。私はそんなに、そんなに数奇に生きてきたか。
今年は、親友と冬の予定をたくさん立てた。「冬は一緒に」たくさん過ごそう。
遠い、いつだったかの自分が良かれと思って選択した自分の答えが、今という未来を導いた。指を折って数えてみたら、遠いと思っていた過去もたかだか12年でしかないことに気づいた。なんてことだろう、忘れていた。記憶に蓋をして、忘れたいと願っていたからなんだ。気持ちとしてはもっと遠い過去の思い出のよう……彼女が20年振りに再会したその日に交通事故で亡くなってからまだ12年しか経っていないというのに。
だめだ、もう自分を欺きたくない。蓋を開けなくちゃ。恐る恐る……そしたら、この12年間のギャップのせいなんだと思う。望まない未来と望んだ未来が交差して、脳髄が痺れるほど揺らめいたように気持ちがよろめいた。大切だった彼女への会えなかった20年分の諦めと一途の想い。姿を消した彼女を探すべきだったのに、数年で諦めて別の女性と結婚をした。私はあのとき逃げたんだ。それを正当化して間違った選択をしてしまったんだ。
彼女と再会するまでの20年間は、本当は自己欺瞞と乾いた孤独に支配されていたんだ。再会したとき、40歳になった彼女は言ってくれた…「この20年間、忘れたことないし、気持ちは変わってないよ」
私は自分の常識を物差しにして、彼女は既に結婚をしていて幸せな家庭を築いていると思っていたから「20年振りに美樹に会えて嬉しい。でも、今のお互いの幸せな家庭のためにも俺たちはもう…会わないほうがいいよね。君が幸せでいてくれて俺は嬉しい」と少し嘘を言ってしまった。
私はもうそのときは妻とは離婚が成立していたし、娘も東京の女子高へ進学して、いくら娘を見捨てた過去があるにしても母親であることには変わりないわけだし、今度は別れた妻から生活の面倒をみてもらえるようになった。なので私自身は幸せと言うよりも、娘と離れ離れになった淋しさがあったが故に、幸せになりたくて男の一人暮らしをしていたに過ぎなかった。
彼女は目を潤ませながら帰って行った。その後ろ姿を見送ったのが、まさか彼女がこの世に存在する最後の姿になるとは思ってもいなかった。それから三日が経った日、彼女の6歳下の妹が職場に訪れた。妹の智奈美が小学5年生だったとき以来の再会なので、最初は誰かと気づかなかったけれど、どことなく当時の面影はあったので「もしかして」とは感じていた。
その妹が私と顔を合わせるなり「お姉ちゃん、三日前に事故で亡くなりました!」と怒鳴って、私の頬を激しくビンタしてきた。そして狼狽えた私の胸に厚めの日記を押し付けてきて「お姉ちゃんの日記!最後のページ読んでよ!」と泣きながら叫んだ。妹のいうように渡された日記の最後のページを開いてみると、そこには……
〝今から彼に会いに行く。20年振りの彼はきっと大人びてはいるけど変わってないはず。だってわたしも変わってないもの。彼に会うために、わたしはずっと一人で生きてきたんだもの。彼が離婚したということを父から聞かされた。今しかないぞって。この20年は秘密裏だったけど、やっとわたしたち、もう一度、今度こそ一緒になれるって信じてる。いま会いに行きますね〟
ああああああっ……
馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だっ!!!!
幻滅だっ、自分は、私は本当に大バカ野郎だ!!
言えばよかった、彼女に対する本当の気持ち。今も大好きだって。仕事を早退してでも彼女と一緒にいるべきだったんだ。職場の入っているビルの1階エントランスで、子供みたく叫ぶように大声を出して大泣きした。恥ずかしさなんて感じないほどの罪悪感があった。
彼女が高校二年の夏休みに、川崎市麻生区百合ケ丘の小田急線沿いの高台にある私のアパートへ泊まりがけで遊びに来た。親公認で初めてのお泊まりだった。そのとき彼女が楽しそうに言ったことを思い出す。「わたし来年は受験生でしょ?だから今度、冬休みに帰省したらさ、日帰りでもいいから一緒に瀬波温泉行こうよ♫冬のデートってまだしたことないけど、でもわたしきっと好き」
私の人生、一度目の本気の大恋愛が始まった日だった。
(これは実話です)
テーマ/冬は一緒に
「冬は一緒に」
君は冬に眠る。
水も食べ物も取らずに冬の間ずっと眠る君は、
さながら「冬眠」のようだった。
今は冬。朝起きた僕の隣には、君の寝顔。
冬の間起きることの無い君は、雪を見ることが出来ない。
眠るだけの君に見とれて外出をしない僕もまた、
雪を見ることはない。
少しだけご飯とかを済ませた僕は、
また布団にもぐりこんで、君の肌を触る。
温かい。
目を閉じる。
君と一緒に冬に眠る。
雪のように、丁寧にこの冬の日々が積もっていく。
愛しく思う心はあたたかい
あなたがいてわたしがいて
ぬくもりの中に生きている
無数に散りばめられている
星の数ほどあるしあわせを
どれだけ見つけたのだろう
わたしと共にあなたはいる
わたしは此処で生きている
一年が終わり一年が始まる
ひとつひとつ冬の星数えて
『冬は一緒に』
冬は一緒に
夏にいられなかった分
冬は雪を見たいの
貴方と隣で
冬は一緒に
暖房で温もった病室。
窓の外ではしんしんと雪が降っている。
初雪だったのもあって見惚れていると
「愛してる」と苦しみながら発する声が聞こえてきた。
僕は神に願うかのように強く手を握った。
彼女は「大丈夫だよ」と言わんばかりの笑顔で目を閉じた。
冷静さを取り戻した時、手の中にあるものに気づいた。
「来年の''冬は一緒に''イルミネーションを見よう」
震えた字でそう書かれてあった。
冷たい手を握っていた僕もそのまま目を瞑り
走馬灯のような長い夢を見た。
ガイド線のない大きさに中敷きを裁つ
こ
の
足
が
新
雪
を
縫
う
寒い時好きな人が「めっちゃ手冷たいんやけど触ってみてや」と言ってきた。そして私は好きな人の手を触った。とても冷たくて、指が長くて綺麗な手…いつかこの手と私の手がつなげますように。
『冬は一緒に。』
冬は綺麗だ。
緩やかに瞬く君の睫毛に結晶がぼやりと乗って滲む。
冬は美しい。
普段の騒々しい街が白一色に淘汰される。
冬は神秘的。
軒先に連なる氷麗に霜柱、積もる雪の落ちる音、そのどれもがこの世から自分だけが取り残されたように思える。
冬は可愛らしい。
真白に残る小さな足跡が確かな成長を感じる。
冬は温かい。
何をするにも独りじゃ寒い、三人寄り添って初めて温もる。
羽毛布団を被り窓辺に手を突き白を臨む。
軈て雪解け春を待つ。
冬は一緒にこたつに入って、鍋を囲うことがある。
今住んでる所はダイニングを兼ねたリビングともいうべき間取りとしては、ごく狭い。
そのため、家族とは普段はこたつとサイドテーブルに分かれて食事している。
しかし、冬は寒い。三方が多少狭い思いをしてしまうが、鍋ならば仕方ない。
こたつは暖かく、隣を見れば家族の顔が近くにあり、みんなで「美味しいね」と鍋の具を手繰り寄せる。
これも冬のこたつ、そして鍋があるからこそ。
ねぇ、今年は一緒にイブと
クリスマス過ごせないかい?
どうした急に
ほら、去年は仕事とか殲滅で
できなかったじゃない?
だから、今年はどうかなぁって
....いいぜ、俺も太宰と
過ごしたかったし
フフ、ありがとう
# 24
もしもし。こんな時間にごめんね。
明後日会えるのが楽しみすぎて、ダメ元で電話しちゃった。
正直出てくれるなんて思わなくてびっくりしてて…え君も電話しようと?
起こしちゃったかなって思ったから…以心伝心だね。
嬉しい。
最近いろいろ検索してて、面白そうなイベントたくさん見つけたんだ。
ここ君と一緒に行ったら楽しいだろうなーってところばっかでさ。
でも、出かけたいって言っておいてなんだけど…家でゆっくり過ごすっていうのもやりたいんだけど、どう?
その、布団でくっついてごろごろしたい…僕はね。
ほらこの冬は久しぶりに一緒にいられるからさ。
…どうでしょうか?
「冬は一緒に」
冬は去年クリスマス一緒に過ごせなかった家族とクリスマスパーティーをする。
ケーキも料理も一から作ってみんなで楽しいクリスマスにする。
私はすごく楽しみで今すごくワクワクしている。
大切な人たちと過ごせるクリスマスってすごくいい思い出になるよね?
※ポケモン剣盾二次創作 マクワとセキタンザン
ひゅん、と風を切って細長い氷が星の瞬く夜空を飛んだ。
セキタンザンは、自分に向かって飛翔してきたそれを見て、重心をずらして上手に避けると、また次の氷が飛んできて、今度は身体を傾けて回避する。雪かきして顔を出したはずの道上に再びうっすらと雪が積もっていて、足場は悪かった。
ぱふ、と音がして、氷はどちらも後ろに積もる雪の中に埋もれてしまったようだ。目線を後ろにやっても暗くてよく見えなかった。
ここは雪と石の街キルクスタウンの外れに近い公園だった。1日の仕事を終えたマクワは、スタジアムの鍵を閉め、雪の積もった冷たく寒い道を歩く。辺りは随分と慣れ親しんでしまった、水っぽくて湿った埃の香りでいっぱいだった。
少し歩いた矢先、ちょうど公園の広間に付いた時のことだった。
「流石氷は避けなれてますね。……今日はずっと書類仕事で身体が鈍っています。ぼくと雪合戦しましょう」
「シュ ポォー!」
セキタンザンが頷くのを聞いたマクワはすぐ道横の雪山の表面から雪を集め、ぎゅっと片手で握りしめると小さな雪玉を作る。それを数回繰り返し、ひとつ投げるとすぐにふたつ、みっつと上から高さを変えてセキタンザンに投げつけた。
強い力に乗った白い球は、セキタンザンの頭上や顔、腕に向かって降りることなく真っすぐ飛んで行く。
だが握りこぶしにも満たないサイズの玉は、セキタンザンに届く前に、その熱を浴びせられ、じゅうと音を立てながら湯気となり、姿を消してしまった。
「あっ……! ……そうですね。きみは……そうでないと……おっと!」
大きく、しかもいわの腕で圧縮された雪玉がマクワの腰を目掛けて飛んできた。マクワはいつものように足の筋肉を動かし、跳躍してアクロバットを試みかけたが、溶けかけた雪の水っぽい足場は着地が難しい。さらにもうすぐに凍ってしまうだろうから、そうなれば危険は増すだろう。
身体の向きを変えて完全に横向きにすると、雪玉は大きな腹の前を通り過ぎて行った。
マクワが何も言わずに赤く染まった頬を持ち上げ歯を見せて笑うと、口端から白い息が立ち上っていった。
「ボオ!」
「やりますね。ではこれならっ!」
植木からごっそりと雪をかき集め、思い切り力を込めて雪玉を作る。そして今度は背中の炎からずっと遠く、そしてセキタンザンにとっては避け辛いであろう足元に狙いを定めた。
変則的に動く白球が、弧を描き、予想のつかない動きを見せた。
「ゴオッ」
「あっ」
セキタンザンはなんと自分の足の前で一瞬炎を吐き出すと、身体に触れる前に雪を溶かしてしまう。そして先ほどよりも巨大な雪玉を両手に抱え、まるで砲台のように大きく、高く空に向かって投げられた。高く大きく伸びた軌道は天辺に到着すると、一気に角度を変えてマクワの上に降り注ぐ。わかりやすいとはいえポケモンの力で飛ばされた雪玉だ。
それはあっという間にマクワの頭上までやってくる。
しかしマクワは動くことなく投げる動作をした。小さな何かが空を飛び、ふたつの雪玉に当たったかと思うと、雪玉がぱっくりと真ん中で割れおちた。
「……こおりにはいわですよ。まあこれは雪ですが」
「シュボッ!」
「きみが自由なのですから、ぼくにも道具くらいは使わせて頂かないと!」
マクワのふもとに落ちてきたのは、ふたつの細長い小石だった。植木に落ちていたものを拝借したのだが、おそらくもともとは道の舗装材料だったものが、長く使われることで劣化し破片となったものだ。
「シュポォー!」
さらにセキタンザンは雪玉を投げる。時々不器用なのか、力を入れ過ぎて壊してしまうこともあるが、それでも驚異的なスピードと力で作り、投げ続ける。
先ほどよりはサイズを小さくし、さらに直球でマクワのマフラーを巻いた首元を狙った。
「読みやすいですよ!」
マクワはすぐさましゃがみ込んで頭上を過ぎる雪玉を避け、今の今まで作り続けていた間合いを一気に詰めた。それから近い小型の雪山の上っ面だけをさっと手袋をはめた掌にのせ、セキタンザンの顔に吹っ掛ける。
セキタンザンは突然の目隠しに片目を瞑るが、しかしほとんどが目に届く前に水となって消えてゆく。
「こっちです!」
人の手は不意を突くように、隠していた反対の手の雪の塊をセキタンザンの胸に向け、直接振り下ろす。
だがしかしセキタンザンも同様に新しく作った雪玉をマクワのコートの胸当たりにぶつけた。
「シュボオー!」
「……っ!」
ばさり、雪が崩れる音がして、衝撃を受けた胸からぱらぱら雪が零れ落ちていく。
ふたりの荒くなった息だけが白い公園に響いていた。夜空はたくさんの星が溢れて、まるで勝負を見守る観客のように見下ろしていた。
コートの繊維の上に、セキタンザンの黒い石炭の凹凸の上に、お互い少しだけ雪を残しながら、大部分は身体にぶつかり粉々になって消えていった。
「フフ、確かにこんなに良い勝負になるとは思いませんでした。……しかし息抜きというよりは……トレーニングの延長だったような」
マクワは笑うと、まず両手の雪を払い落とし、さらに今自分が乗せてしまったセキタンザンの身体の雪を払いのけた。それからぽんぽんと自分のコートの雪を払う。
「ボオ」
「ぼくらしい……? ……そうかもしれませんね。ではせめて……部屋に帰ってのんびりするとしましょうか」
「シュポォー」
運動したことでふたりとも少しだけ息が速まって、白い息が口からたくさん漏れていった。
普段白いマクワの頬は一段と赤らんでいた。
「フフ、よく運動したから……はぁ……きみがいると熱いくらいです。でもすぐに冷えてしまいますから……家までよろしくお願いしますね」
「シュ ポォー!」
セキタンザンの背中の紅い炎が揺らめいた。違う生き物がちょうどよく一緒にいられる温度を探るために。
白い雪は紅い輝きと寄り添う影を受けて、静謐に祝福し続けるのだった。
「冬は一緒に」
手を繋いで歩いて
ぎゅっと抱きしめあって
どんなに寒い冬でも
あなたがいればあったかいね