『冬になったら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「黄櫨《こうろ》」
静かな声に呼ばれ、黄櫨の肩がびくりと震えた。
「ここへ辿り着いた事に関しては、褒めてやろう。だが俺の眼を欺いた事は許されると思うな」
「ごめんなさい。神様」
素直に謝罪する黄櫨に、御衣黄《ぎょいこう》はそれ以上責める事はなく。目の前の男を見据え、黄櫨を庇うように太刀を構えた。
「かがり…」
男が黄櫨の声に反応して、足を踏み出す。その眼前に切っ先を突きつけて、御衣黄は嗤った。
「黄櫨は貴様を呼んだのではない。俺を呼んだのだ。貴様を神と呼ぶ者は誰一人居らぬ。必要とする者すらないだろう。そのまま朽ちて消えるとよい」
「じゃまを…する、な…」
低い唸るような声。
男が腕を振う。それに反応して木々が、地が揺れる。鋭い枝葉が御衣黄に向け伸ばされ、地中から湧き上がる泥が彼を捉えようと形を変える。
「無駄な事だ」
笑みを崩す事なく、御衣黄は太刀を振るう。軽やかに舞うようにして泥を翻弄し、四肢に繋がれた縄が泥を砕く。
楽しげに嗤い、遊ぶように舞う御衣黄を男は焦るでもなく、白濁した目を宙に彷徨わせ。
不意にその目が黄櫨を、その背後の曄《よう》を見た。
「駄目だよ、曄」
無意識に前に出ようとする曄の手を引く。
はっとして、引き止めた手を見つめ安堵の息を吐く。
礼を言おうと顔を上げた曄は、だが黄櫨へと伸びる男の手を見て焦り、彼女の名を呼んだ。
「黄櫨っ!」
「触れるな、と。そう言ったはずだ」
煌めく一閃に、男は腕を引き距離を取る。
変わらず無表情なままの男に、御衣黄は忌々しげに舌打ちした。
「物覚えの悪い、成り損ないめが」
黄櫨を男の視界から隠し、太刀を構える。
だが不意に何かに気づいたかのように、太刀を下ろし笑みを浮かべた。
「まあよい。どうやら貴様の待ち人が来たようであるしな」
その刹那。
男の背後で何かの破れる音がした。
「悪ぃ、兄貴。見つけるのに手間取った」
「遅いぞ、寒緋《かんひ》。屋敷の中だ」
何もないはずの空間に縦に亀裂が走り。その割れ目から現れた寒緋に、御衣黄は視線を向けずに声をかける。その言葉に従って、屋敷の方へと駆けていく寒緋を止めようと、男は彼に視線を向け腕を上げる。しかし寒緋に続いて現れた複数の気配に動きが止まった。
「彼の邪魔をしてはいけないよ」
「ふじ、しろ…?」
男を留める藤白《ふじしろ》の言葉に、感情のない瞳に初めて僅かな困惑が浮かぶ。
求めていたはずの存在に、声に留められるその意味が理解できていないようだった。
「…なぜ?」
「彼はお前が攫っていった娘の躰を取り戻しにきたんだ。ちゃんと返してあげなければいけないだろう」
「ふじしろ。だが」
「これ以上、我が儘を言うものじゃない。そろそろ戻らないものもある事くらい理解してくれ」
首を傾げる。幼い子供のような男の仕草に、藤白は小さく嘆息した。
「無駄だ。この庭がある限り、諦めきれぬだろうよ」
「それなら如何すればいいんだい。千里眼を持つ神よ」
藤白の言葉を鼻で笑う。
既に知る答えを敢えて聞く藤白に、御衣黄は侮蔑を含んだ笑みを浮かべながら口を開いた。
「知れた事。季を流せばよい。夏から秋を繰り返すこの庭に、全て等しく眠らせる冬を与えてやれば、諦めもつくであろう」
「簡単に言ってくれる。その手段はどうするんだい」
「何だ。出来ぬのか」
然も以外だと言わんばかりに、御衣黄は藤白を見つめた。
「貴様は作られたのか。なれば致し方ないな」
一人納得し、振り返る。
黄櫨、と静かに名を呼んだ。
「何、神様」
「お前は何を望む?」
問われ、黄櫨は手に抱いた子猫に視線を落とし。曄を見て、御衣黄を見た。
「クガネ様が元に戻る事はあるの?」
「難しいな。あれは既に壊れている。望みに応え続けたとて相手はなく、新しく望みに応えるという思考すら今のあれにはないのであろう。何もせずとも、何れは消えゆくだけの存在だ」
「篝里さんが戻れば、クガネ様も元に戻るの?」
「戻らぬよ。望みに応えるために望んだ者の魂を砕き、その僅かに残る欠片が奪われるまでの季を繰り返したとして、失われたものが戻る事はない。欠落を他で埋めたとして、それは結局は別のものだ。どう足掻いた所で一度失ったものが元に戻る事はないのだ。既に失われているのだから、黄櫨の躰に施された否定する呪も意味をなさぬしな」
御衣黄の言葉に、黄櫨は眼を伏せる。
その頬を優しい風が撫で上げて、芒の小穂を高く舞い上がらせた。
風に促されるように顔を上げ、暫く空を見上げて。黄櫨は御衣黄と視線を合わると、柔らかく微笑んだ。
「歌うよ。クガネ様のために。冬の、惜別の歌を」
「黄櫨」
「私が招かれた。だから歌うの」
黄櫨の微笑みに、御衣黄は仕方がないと息を吐き、道を空けた。
歩き出そうとして、手を引かれる。
「一人で行こうとしないで。あたしも行く。招かれたのは一緒なんだから」
振り返れば、曄は笑って黄櫨の隣に立つ。
手は繋いだまま。視線を合わせて頷いた。
「神様。この子をお願いします」
御衣黄に子猫を託し、歩き出す。
道に迷った子供のような不安げな顔をする男の前まで来ると、手を伸ばした。
「クガネ様。もう終わりにしようか」
「あたし達は大丈夫だから。ゆっくり休んでよ」
男の手を引く。白濁した目が迷い揺れて、けれど促されるままにその場に座り込んだ。
黄櫨が歌う。冬の訪れを。別離を。それでいて優しい歌を静かに歌い上げる。
男の隣に座った曄は、男に寄り添いながらその背を優しく撫で、時折黄櫨の歌に合わせて歌を口遊む。
歌う二人以外には誰も言葉を発する事なく。
静かな歌は木々の葉を落とし、芒を枯らす。
庭園の停滞していた時が動き出し、秋から冬へと季を写していく。
「クガネ様、ありがとう」
「おやすみなさい、クガネ様」
少女達の言葉に、男は静かに瞼を閉じて。
「おやすみ。かんしゃする」
淡く微笑んで、その姿は光となって消えていった。
20241118 『冬になったら』
冬になっったら
恋がより
したくなる
でも
諦めたい
「ジンゴさー、今年の冬休みどうする? みんなでどっか行かね?」
「ウケるまだ8月じゃん。気ぃ早すぎじゃね?」
「だってさー、お前の家キビしいじゃん? 結局去年も一昨年も遊べなかったしさ。今年で高校も最後だし。色々思い出作っときたいじゃん」
そう言って栄《エイ》は俺の目を見て笑う。
クーラーの効いた教室の中。
それぞれがそれぞれの会話に夢中になる昼休み。
その温度が、音が、少しだけ遠くなる。
「そだなー。考えとくわ」
そう返した俺は、うまく笑えていただろうか。
……もし。もし、ここで全て話せば、俺の未来は変わるだろうか。なんて、一瞬浮かんだ熱はすぐにクーラーに冷やされ常温にかえる。
言えるわけない。言ってどうする。第一、栄は一般人だ。信じてもらえるかもわからない。そんなことを話して栄にどんな重荷を背負わせる気だ。
俺は未来が視える、とか。
秋には俺は死んでいる、なんて。
出演:「サトルクエスチョン」より 福井 栄(フクイ エイ)、仁吾 未来(ジンゴ ミライ)
20241114.NO.103「冬になったら」「たくさんの思い出」
冬になったら
「冬になったら、何をしようかな?」
休日の暖かい秋の昼下がり、小学三年生の息子が言った。
「雪合戦でもするか?それか雪だるまでも作るか?それともお母さんと一緒にマフラーでも編むか?」
「冬が始まるのが楽しみね」
家族で家でパスタを食べながらそんな話をする。
冬の寒さとは反対に暖かな空気が漂っていた
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皆様こんばんは、覚えていますでしょうか?青春碧と申します。最後の投稿から約1年半が経ちました。本当に本当に久しぶりの投稿です。この場に綴りたい気持ちはたくさんありますが、今日はこの辺りで、、初めましての方も覚えていらした方も私の拙い語彙力で作り上げた小説を読んで下さりありがとうございます。
「もうすぐ冬だね」
玲人(れいと)は空を見上げながら言う。拓也(たくや)と秋(あき)にじゃんけんで負けて、二人はコンビニまで歩いていた。
「寒くなってきたよね~」
「ねー、葉瀬(ようせ)ちゃんはこの冬何かするの?」
「え?......んー、いつも通り...?」
葉瀬がぼんやり空を見つめて答える。玲人はパッと葉瀬の方を見る。
「いつも通り...!?え?もっと何か無いの?スキー行くとか、スケートするとか、おせち爆食いするとか!」
「おせち爆食いだけ何か可笑しくない??」
「気のせい」
「そっかー」
葉瀬は、む、と考えたが特に思い浮かばないらしく何も言うことは無かった。
「...冬って、楽しいこといっぱいあるじゃん。折角ならしようよ。そういうこと」
玲人は葉瀬をチラリと見て話す。「おおー、いいねー」と葉瀬は未だに上の空だ。
「話聞いてる?」
「聞いている聞いている」
「じゃあ俺が何て言ったか分かるよね」
「わかるわかる。何かしようぜ、って言ったよね」
「要約しすぎじゃない?」
「大体いっしょでしょ?」
それでも葉瀬は上の空から戻ってこない。
「......冬さ、四人で鍋しない?」
唐突に発した玲人の言葉に、葉瀬はパチッと現実に戻る。
「四人で?」
「そう、四人で」
「...私そういうのやったこと無いから、わかんないんだけど...」
「俺らで教えるから大丈夫」
「...鍋って何鍋するの?闇鍋?火鍋?」
「初めての鍋が闇鍋とか火鍋はまずいよ」
ちゃんこ鍋とか寄せ鍋にしよ?と玲人は微笑む。
「食材とかさ、一緒に買いに行こうよ。初めてなんでしょ?」
「うん」
「じゃあ帰ったら二人にも話して、日程決めよう」
そう言うと二人は早足でコンビニへと向かったのだ。
お題「冬になったら」
出演 葉瀬 玲人
冬になったら、ホカロンに振り回される。
ホカロンとは何か。
一応書いておくと、カイロのことである。
僕は、冬の終わりかけになると、コンビニの20%から30%ばかり安くなったホカロンたちを買い占めている。
「ふふふ、冬は毎年来るんだぞ。な~にが今年で終わりそうな雰囲気出してる。来年の冬に備えていると思えば、割引ってお得だろっ」
と思いながら、カイロの在庫処分に貢献している。
春夏秋とカイロを眠らせて、満を持して押し入れから取り出す……ということを毎年予定しているがイマイチタイミングの機会を逸している。
冬とはな、突如来るんだぞ。
冬になったら、とか考えているうちに、今日来ちゃったのだ。
家にテレビとかないから、天気予報なんてスマホのホーム画面にあるアプリをさらりと見て終わっちゃう。
アプリも開かずに「14℃」という数字を見て、
「ああ、現在の最低気温は14℃なんだな」
とか思っちゃう。
実際は最低気温は4℃って書いてあった。
昨日と同じ秋の陽気だと思ったのに……さむい!
ヒートテックなし、防寒着なし。
体感してさむいってなったんだけど、
「まあ、行けるだろう」って最初は思うんだな。
室内の温かい空気を纏っているから。
でも、その衣が剥がれてきて、もう引き返せない段階になると「寒い!」ってなる。
風よけのない駅のホームで特急電車の通過待ちで待っていて、特急が来て、冷たい風がぶわんとやって来た。
「うわああ、さむいいい!」
いつもはやらない腿上げとかをやったり、奇妙なダンスを踊って身体を動かざるを得ない。みんなはいいよなっ、防寒着着てさ。僕は、僕は……くよくよ。
などとしてた。
そんな朝の寒さから10時間後くらい。
予報では11℃と書いてある。えっ、である。
えっ、朝よりももっと寒いの?
愕然とした。戦々恐々とした。
どうして、どうしてヒートテックを着てこなかったのか……。
そんな帰宅の風を受け、やむなくコンビニに赴いて、ホカロン(貼るタイプ)を1枚買う。
すぐに貼ってしばらくする。
お腹あったまってきた。
お腹をさすると、こたつにぬくりたいって言ってます。
冬になったら
湯川さんは言う。
「また、ここに来よう」
私は間髪入れずに、頷いたけれど
それは叶わない約束だと
直感していた。
[作成中なので、冒頭だけ投げました]
お題キープ。
「冬になったら」
今日は肌寒い。昨日まではそこそこ暖かかったのに、もう随分と冬めいてきたもんだ。風邪をひかないように気をつけないと。
体のためにも(?)寒いところにはなるべく行きたくないな。
「ねー、ねね!ニンゲンしゃん!」「どうした?」
「ふゆ て なに?」「これから来る寒い季節のことだよ。」
「しゃむいのー?」「そうだな。」
「寒いと多くの草花が枯れたり、雪が降ったりと、この星に暮らす生き物にとってはかなり厳しい季節なんだ。」「……ん。」
「ね、ニンゲンしゃん。」
「ニンゲンしゃん、ちなない?」
「寒さくらい平気だよ……っくしゅん。」
「ほんとにだいじょぶなの?!ねー!」
「だいじょぶだって。風邪ひいてなくてもくしゃみくらいするから、な?」「ほんと……?」「大丈夫だよ。」
心配そうな瞳で見つめられるとなんだかドキドキする。
「だって、ボクね、びょーきでいらないされちゃったから、とってもこわいの。びょーき、やだやだなの!」
「そうだな。でも、自分は風邪引いても死なないし、お兄ちゃんにはすごい弟もいるだろ?だから大丈夫だ。」
「よかったー!」
「でも、冬は子どもの喜ぶイベントもあるんだよ。」「なあに?」「クリスマス、って言ってな、いい子にしてたらサンタクロースからプレゼントが貰えるんだ。」「ぷれぜんと?!」
「ボクもぷれぜんともらえる?」「きっとな。」
「そういや、お兄ちゃんは何が欲しいの?」
「えとねー、んー……。」
「欲しいもの、ないのか?」「んーん。いぱーいある。」
「ボクはねー、もういっかい、おとーしゃんにぎゅーってちてもらいたいの。」「……そっか。」
「でもねー、ボクね、ニンゲンしゃんといっちょだからいいの!だって、ニンゲンしゃんはいつもぎゅーちてくれるでちょ?ボク、ニンゲンしゃんがいるの、しあわちぇ!だいしゅき!」
「そうかそうか〜。よしよし。」「えへ、なでなでもちてくれるのー!ボクもぎゅーとなでなで!おかえち!」
いいこいいこ。……自分もこんな風にされたかったな。
「ね!ふゆになったら、なにしゅるの?」
「他には……雪遊びとか、初詣とか、あとバレンタイン?……あんまり縁ないけど……。」
「ふゆ!たのちみ!ニンゲンしゃんといぱーいあしょぶ!」
「よし、これからちょっとずつ冬に向けて準備しようか。」「ん?」
「冬といえば、まだあった。」「こたつを出そう。」
「こたちゅ?」「そう、こたつ。」
「今から組み立てるよ。」「おてちゅだい!」
小さい子にこたつの組み立ては難しいだろうから、とりあえずこたつ用布団を持っていてもらった。
「よーし、完成。」「わー!」
「これがこたつ。」「てーぶるにおふとんついてるのー!」
「ここに入るとな……。」「んー?」「出られなくなるんだ。」
「えっ……?」「とりあえず入ってみて?」「や!こわいのー。」
「怖くはないから安心して。」「えー!」
怖がりながらこたつに入る。
「あ!あったかい!ふわふわ!」
嬉しそうに寝転がりながら遊んでいる。
そのうち眠くなったようで、いつのまにかそのまま眠ってしまった。遊びながら寝るなんて、子どもらしいな。
そんなことを考えているうちに、気づけば夕暮れになっていた。
冬になったら、何をしようかな。
「前回までのあらすじ」───────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!
……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。
その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?
それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。
小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?
もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!
というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。
そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。
ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!
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はなればなれ と冬になったら です。
はなればなれ
会社から、出向するように。との辞令が出て、単身赴任することになった。
共働きで、家事も分担してたから、一人暮らしに不安はなかった。
なのに、自分で作る料理は何か一味足りないし、洗濯物もふわふわしてない。
キミとはなればなれになって、どれほどキミが僕を支えてくれているかを思い知った。
「早く、キミに会って感謝を伝えたい」
次の休みには、家に帰ろうと思うのだった。
冬になったら
「冬になったら、どこに行こうか」
キミと2人で旅行雑誌を見ながら、旅行の計画を立てる。
「そうだなあ。秋は紅葉のキレイな所にしたから、冬は雪景色を見に行こうか」
「いいね。それじゃ…」
雑誌をパラパラとめくりながら、候補を挙げる。
「すごい雪だね」
「うん、この辺では見られないね」
高く積み上がった雪の写真を見ながら
「紅葉もそうだけどさ、四季があるからこその景色が見れる。っていいよね」
「そうだね。これからも、その季節にしか見れないもの、できないことを堪能していこう」
「うん」
これから来る季節。キミと一緒に過ごせることを楽しみに思うのだった。
冬になったら
涙が凍るくらい寒くて
固まった涙は悲しみの象徴みたいに綺麗で
気分にそぐわぬ
きんと綺麗な空から逃げ出したくなる
冷えた空気が喉を刺して
行き場も逃げ場もない中
火の消えた暖炉の横で丸まって寝る
僅かなぬくもりを抱いて
冬になったら絶対2回はスキーに行きたい!ていうか行く!!
鍋が
美味しい
季節になってきた。
昔は
自分独りだし
料理にも
そんなに
手をかけたくなかったから
1人用の
鍋つゆに
とても
お世話になっていた。
今は
2人になったし
料理は
相変わらず
得意じゃないけど
多少
手はかけられるようになった。
鍋つゆも
勿論
美味しいけど
レシピを
検索して
色々
挑戦して
美味しい鍋に
出会いたいな。
#冬になったら
凍える手を優しさで、またつつんでよ。
冬になったら
はぁ…と息をはいたら白い息が僕の目の前を白くする
白い息がゆっくりと消える
空がとてもきれいにみえるね
「冬になったら」
冬は苦手だ。
外に出るのも億劫になる。
暖房の光熱費もバカにならないし。
それに。
それに、冬はどうしても君のことを思い出す。
もう君がいなくなってからいくつもの時が過ぎたというのに。
愛してた。
心の底から愛してた。
君のためなら自分の命なんて投げ出してもよかった。でも、それは君も同じだったんだ。
典型的な相思相愛だった。
「冬になったら会いに行くよ」
昨年の冬にした約束を今年も守り続ける。
これは今年も来年も再来年も変わらない。
ーーーーーー
冬になったら
【冬になったら】
〜Mrs. GREEN APPLE様『スマイロブドリーマ』〜
やる気の出番は無くて
冬になった
そんなもんさ
Yeah!!!
面倒くさいくらいがいいね
Yeah!!!
偏っちゃうくらいがいいね
この街も少しずつ変わりながら
私たちをいつも包んでいる
冬になったらおでんが食べたい、みかんも食べたい、でも寒のは嫌
冬にこたつの中にいるねこちゃんって、すっごく可愛いよね、
ねこちゃんは飼えないけど、想像のねこちゃんで、、、
冬は手がかじかんで、上手に字が書けない、
冬は美味しいものいっぱいあるけど、嫌なこともあるから、
夏が恋しくなってしまう、
「冬の印象ですか?朝寒いのに早めに起きて雪かきとかいう重労働をタスクに入れてくる、明日の予報☃が憎いです……」
「あっはっは、雪国の運命だねぇ…けどその分、雪遊びができるでしょ?」
「そんな風にはしゃげるのは十代までです。……まぁ、アイツが作った鍋とかは、数少ない冬の楽しみですけど」
「いいことあるじゃん!」
「というか、元々この家の土地って、貴女が所有権持ってるんじゃ…」
「ひゅうひゅひゅひゅ〜♪」
「口笛吹くならもっと上手く…いえ、もっとウザく吹いてください」
「えっ、もっとウザくなの?!∑(OωO; )」
【冬の前の一幕】
冬になったら
冬になったら何しよう?
雪だるまを作る?かまくらも作れる?
そんなことを考えていた夏。
夏になると冬が恋しくなるのに、
冬になると夏が恋しくなる。
不思議な感覚がまた私を呼んでいる。
お題『冬になったら』
双子の姉からの手紙の書き出しは大体決まっていた。
『“春“になったら〜』、『“夏“になったら〜』、『“秋“になったら〜』と四季が入っている。
今回届いた手紙の書き出しは『“冬“になったら』
だった。今、季節は夏真っ盛り。季節外れにも程がある。手紙の内容はこうだ。
『愛する妹へ 冬になったらあなたは何をしていますか?私(わたし)は雪で雪だるまや、かまくらを作るのが好きです。もう15歳になるのに子供っぽい遊びをするでしょ(笑)だって田舎だもの。この前、村の集会で長老達が話している内容を偶然聞いてしまいました。私は16歳の誕生日に見知らぬ男性と結婚させるらしいのです。村の掟に基づいて。………助けて!可崘(かろん)私はまだ結婚したくない!それに彼氏もいるのよ!お願い!!助けて!!』
最後に書き殴った文字を見て私(わたくし)は怒りと寒気がした。
【私(わたし)の代わりになって】
冬になったら私は16歳になる、その時私の未来はどうなってしまうのかしら……。
End