「もうすぐ冬だね」
玲人(れいと)は空を見上げながら言う。拓也(たくや)と秋(あき)にじゃんけんで負けて、二人はコンビニまで歩いていた。
「寒くなってきたよね~」
「ねー、葉瀬(ようせ)ちゃんはこの冬何かするの?」
「え?......んー、いつも通り...?」
葉瀬がぼんやり空を見つめて答える。玲人はパッと葉瀬の方を見る。
「いつも通り...!?え?もっと何か無いの?スキー行くとか、スケートするとか、おせち爆食いするとか!」
「おせち爆食いだけ何か可笑しくない??」
「気のせい」
「そっかー」
葉瀬は、む、と考えたが特に思い浮かばないらしく何も言うことは無かった。
「...冬って、楽しいこといっぱいあるじゃん。折角ならしようよ。そういうこと」
玲人は葉瀬をチラリと見て話す。「おおー、いいねー」と葉瀬は未だに上の空だ。
「話聞いてる?」
「聞いている聞いている」
「じゃあ俺が何て言ったか分かるよね」
「わかるわかる。何かしようぜ、って言ったよね」
「要約しすぎじゃない?」
「大体いっしょでしょ?」
それでも葉瀬は上の空から戻ってこない。
「......冬さ、四人で鍋しない?」
唐突に発した玲人の言葉に、葉瀬はパチッと現実に戻る。
「四人で?」
「そう、四人で」
「...私そういうのやったこと無いから、わかんないんだけど...」
「俺らで教えるから大丈夫」
「...鍋って何鍋するの?闇鍋?火鍋?」
「初めての鍋が闇鍋とか火鍋はまずいよ」
ちゃんこ鍋とか寄せ鍋にしよ?と玲人は微笑む。
「食材とかさ、一緒に買いに行こうよ。初めてなんでしょ?」
「うん」
「じゃあ帰ったら二人にも話して、日程決めよう」
そう言うと二人は早足でコンビニへと向かったのだ。
お題「冬になったら」
出演 葉瀬 玲人
11/18/2024, 10:00:09 AM