『入道雲』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
入道雲
まるで飲み込まれそうだ、そう感じた
人間よりももっともっと大きくて強さを感じるもの
その今にも覆いかぶさってきそうな大きさに不安を抱く
いや、それは私が隠しているものを見透かしているのか
自分の息子と一緒に見た入道雲。
もくもくと大きかった。
それを見た息子は、
「おっきいわたあめみたい!」
と言って、はしゃいでいた。
私も「そうだね」と言って、微笑んだ。
こんなふうに笑い合えるって、幸せだと思う。
そんな幸せが、日常に溢れているって、素晴らしいことだと思うんだ。
〜入道雲〜
入道雲は雷雨を運ぶと同時に攫っていく。嵐のようでいて、どっしりとした佇まいのそれは、神様のようだ。
入道雲
入道雲を積乱雲と呼んだりしたのに、曇りを雲りと書いていたあの頃の僕は一体何を考え感じていたのだろう。
僕はたぶん独りになりたかったはずだ。疲れていた。
わけの分からない会話、同じようなひょっとしたら、あの人の方が知識がなかったはずだ。
それを知るようにと普段の言葉とは違う言葉を使ってどこでもみたかったのかもしれない。
全うに曇りという漢字そしてその他のいろいろな漢字を覚えて何を言われても揺らぐことのない自信を持つようにとあの頃の「僕」にゆっくりと時間を掛けて話して聞かせてあげたい。
「入道雲ってさぁ、なんか可愛いよね」
山の間から顔を出している雲を眺めながら口にするとそうかぁ?と隣の君が首を傾げた。
「うーん、俺的にはカッコ良いと思うんだよね。入道雲。デカいし質量がある感じ、なんか強そう!」
そう言ってきらきらと笑う君になにそれ〜と笑う私。「もこもこで可愛いじゃん」「いーや、ムキムキで強そう!かっけー!」そんなくだらない事を言い合って、顔を見合わせ吹き出した。
予鈴が鳴り響く空き教室で、もう一度遠くの空に目を向ける。この日常の一コマをあの入道雲が遠い未来に運んでくれる予感がした。
卒業したら上京する君と地元に残る私、共に過ごす最後の夏はまだ始まったばかりだ。
*
あのあと鳴り始めた本鈴に二人慌てて走ったあの日の記憶は、今年もまた入道雲が届けてくれた。
彼は今も入道雲を見て変わらずカッコ良いと感じているのだろうか。
……入道雲にあの日の記憶を見てくれてるだろうか。
私は今あの日の君が何処で何をしているのか知らないけれど、今年こそは何かメッセージを送ってみようか。
入道雲の写真を貼り付けて、今年も入道雲が可愛いよ、なんて。
2023.06.30早朝 「入道雲」#03
入道雲、、
夏感じるなぁ、、
てか、雨このあと降るんかな。
激しい雷雨になるかもしれませんなんて朝お天気のお姉さん言うてたっけ。
今こんなに晴れてるのに。夏は天気変わりやすいよな。
暑いし、、、
えんがわで扇風機に当たりながら空を見て私はそんなこと思ってた。
すると玄関の方から声がした。
そして慣れた様子でこちらに向かってくる。
『あ、やっぱりここにいた。えんがわの人じゃんもう』
「やっほ」
『スイカ持ってきたぞ』
「わーい!!」
幼馴染の存在ありがたいと思いつつ、私はこいつが好きだったりして。
「たべよー!」
『うん』
「このあと雨降るよ」
『え、まじ?』
「まじー」
『この雲がそれなの?』
「うん、お天気のお姉さん言うてた」
『そうなんだ笑 いや、やばいね激しく降る感じ?』
「多分ね。一時的だけどね」
『じゃあそれが止むまではここにいてもいいよな』
「止んでもここにいていいよ」
で見つめあってしまった2人が良い感じになるのはまだもう少し先の話。
ずん、とそびえ立つ雲は、それだけで暑さの訪れを予感させる。
ブルーハワイシロップを薄めたような水色に、山から生えた木や植物のようにまっすぐもくもくと伸び上がる、真っ白な雲。
手をどれだけ伸ばしたって、ちっとも届きやしない。
だから、せめてもとソーダ味のアイスを手に取ってしまう。
シトラスの風
キミが 大きく手をふる
好き があふれて
駆けだしそうになる
青と 白い夏雲
* 入道雲 *
歩き出したわたしの一歩
何処を目指して歩くのか
人間の心の中にある裏表
どちらを前面に出すかは
わたしに委ねられている
全て自分で選んでいる道
人生は楽しむためにあり
人生は喜びのためにあり
時に悲しい事があるのは
こころを大きくする為の
登り坂の道かもしれない
人生は長いようで短いか
それならば見たい世界を
歩んで行こうじゃないか
自分に優しく人に優しく
今この時の美しい景色を
わたしの心に焼き付ける
澄み渡る青い空を見上げ
キミも修行の道なのかと
夏にある雲に問いかけた
『入道雲』
小学生の頃はよく、
友達と虫取り網をもって走り回っていたっけ
小さな川でカニや魚を見つけては大はしゃぎして
汗だくになりながら一日中外で遊んで
肌が真っ黒になるまで日に焼けて
夜はクタクタになってぐっすり眠っていた
青空に浮かぶ入道雲を見ると
決まって思い出すんだ
無邪気でいられた頃の自分を。
毎日が楽しくて
明日が来るのが楽しみで
ずっとずっとこんな日が続いて欲しいって
心から思っていた。
大人になった今、
病気や障害を患って
生きづらさを感じるようになった。
明日が来ることが怖い日もある。
けれど、あの頃の思い出があるから
今ここであの時のように楽しい気持ちで
言葉を綴ることが出来ている。
この先も、記憶が消えない限りは
何度でも思い出すことができる。
何度でもワクワクしたり嬉しい気持ちになれる。
だから、あの頃の私に伝えたい
「楽しい思い出をたくさん作ってくれてありがとうね」
夏が近づいてくると、雲が力強さを増してくる。
もくもくと日を増すごとに膨らんでいく雲たちは、重なり、合わさって、1番大きくなった時に夏を告げる。
彼らはかなりお茶目であり、たまに自分を誇示する姿勢を取ったり、両手を広げて迎え入れたりしようとする。
一度、連れて行かれたいものだと、たまに思う。
「入道雲」
立体感のある、あの雲が好きだ。
夏の訪れを感じる。
それにしても昨日の天気予報は
「晴れのち曇り ※雷雨の可能性あり」
と言われていた。
いやどんな天気だよ、と思っていたが
朝まで晴れていたのが、昼から日差しがなくなり
夕方前には急に空が真っ暗になって
一時的に激しい雷雨がやってきた。
天気予報って、ちゃんと当たるんだな。
降りしきる雨を職場の窓から眺めて思った。
帰る頃には止んでいて助かった。
明日は朝から大雨らしい。たいへん困る。
予報、外れてくれないかな。
【入道雲】
流れていた、入道雲が。その頃僕は寝転がりながら本を読んでいた。いいじゃないか、ここの芝は人工のやつで綺麗なんだから。
「また、そんなところで寝転んで。何読んでんの?」
「......綺麗だし。推理小説。」
本を閉じて声をかけてきた本人の目を見つめる。
「何。」
「何も。ただ、なんか、いつ死ぬんかなって。」
「唐突じゃん。縁起でもないこと言うなって言う前に何があったんだよ。」
一瞬だけ、考えた素振りを見せてから何も無かったようなケロッとした声色で答える。
「何も無いから。なんもないからだよ。」
そのまま見つめていたら少しだけ困ったような顔をした。苦笑いをしてから一言。
「早く殺してやればよかった?」
その言葉に反応して笑顔になった。ずっと待ってた。
「殺してくれればよかった。」
何にもしてなくても
体のベタつきを感じて
日本特有のアレが来ていると感じる
淀んだ空と湿ったかぜ
待ち焦がれる青空と
どこかに続く気がする
あのシロを待ち侘びる
入道雲
入道雲
アラジンの魔神のように
青空に突如現れた入道雲
私の願いを叶えてくれや
しませんか
『入道雲』
青い空に入道雲…子供の頃や
10代20代の頃はエネルギーが
溢れてくるような季節だけど
今はもう暑さに参ってエアコンで
体の冷えに参ってしまう…。
夏になるワクワク感はもう
とうに失くなってしまいました。
入道雲は好きではないかな。ポジティブに言い換えるとソフトクリームみたいな感じ。アイスの中でコーンの上にのっているソフトクリームは好き。
晴れ渡る空に
にゅっと現れた白い雲
私は思わず笑顔になる──
人は皆
“入道雲だ! 気を付けろ!”
と、声を揃えて言う
……私は違う
昔、大好きな人に
サヨナラを告げられた日
涙で頬を濡らし歩いてた
とめどなく溢れる涙は
行き交う人々の注目の的になりそうで
泣くに泣けなかった
そんな時、入道雲がやってきた
私を濡らす雨は
“泣いていいんだよ”
と、言った気がする
私は……一目を気にせず泣くことが出来た
涙ごと私を濡らして……
雷は……
雄叫びのような声を出して泣くことを許してくれた
屋根の下に入る頃には
笑っちゃうくらい
ずぶ濡れで
大きな雷一つ
雨は止んだ
私の心も晴れていた
「今日もフラれたんだよ?……また、泣いていい?」
答えるように雨が振りだした──
(2023.06.29/入道雲)
何と無く、ふと気が付くと、最近よく見かける。
特に探しているわけでもないが、存在感に視線を奪われるのだろう。なかなかの体躯の持ち主でもあるが、その姿は爽やかであり美しくもある、そして様々な表情を垣間見せる。それが目を離せないのだろう。
しかし、こんな姿をまさか見せつけられるとは予想外であった。何が要因なのかわからないが憤然とした態度になり、荒んだ行動を先程から繰り返している。
私もそれに巻き込まれてしまい、なかなかの被害にあった。偶発的とはいえ、仕方ないことだが、もはや諦めの境地である。ただ呆然と私は途方に暮れて、その様子を眺め続けることしか出来なかった。
一時的な避難場所として、勝手に他所様の軒下を使用してしまい心苦しいが、暫くそっと身を潜めることにした。
「酷い夕立ですよね…。入道雲は何処へ隠れてしまったのかしらね」
軽やかな可愛らしい声が、私の肩越しからそっと囁かれた気がしたので振り向く。いつから居たのだろうか、嫋やかな女性が穏やかに微笑んでいた。
それが私と彼女の出逢いである。
『 入道雲 』
君は雷が嫌いだ、少し意外。
普段はクールな君が雷の鳴っている時だけは、ソファの影でクッションを抱きしめてブランケットまで被っている。
子供みたい、思うが決して口にはしない。
窓の外が光る度に、普段は聞けない君の情けない声が上がり、笑うのを必死で堪える。
直後、凄まじい雷の音と地響きがして、流石にビックリした。
近くに落ちたみたいだ、閉め切った窓のガラスがビリビリと揺れている。
ゴロゴロピシャーンッと元気な音がする、まだまだ雷は止みそうにない。
ふと君のほうを見ると、ソファの前に置かれたローテーブルがコタツに変身していた。
思わず噴き出し、大笑いしてしまった。
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