『優越感、劣等感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#59 優越感、劣等感
時々急にね、
暗いこと考えてどんよりしてる。
自分で自分が面倒くさいと思うよ。
でもさ、卑屈なこと言っても、
何にも解決しないからね。
踏み締めて立つよ。
持つべきは達成感だと思う。
次に進めるように。
優越感も劣等感も本質は同じらしい。
他と比べなければ生まれない感情だものね。
人間なんて全部発展途上なんだから
どれ並べたってどんぐりの背比べだ
考えて考えて、
そう結論づけた私はスマホを投げ出した。
昔から何でも姉と比べられてきた。
勉強の出来、スポーツ、容姿、人間性、そのすべてを。
姉が「あなたはすごい。」と褒められても、私の場合は
「どうしてお前はこんなこともできないの。」
と、否定の言葉ばかりがぶつけられて、日に日に劣等感が膨れ上がっていつも死にたいと思っていた。
───あの子に出会うまでは。
高校2年生になり、新しいクラスに馴染もうとみんなクラスメイトに話しかけていた。かくいう私も新しく出来た友達に愛想笑いをしながら教室を見渡していた。
すると、一人で背を縮こまらせながら本を読んでいる
女の子を見つけた。その時、声が聞こえてきた。
「ねぇ、あの子も同じクラスなんだ。」
「ああ、地味子って言われてる子でしょ。話しかけても無視するし、ノリも悪いし、いつも一人でいて中学じゃいじめられてたって噂もあるよ。」
「ああいう暗い子ウチのクラスに合わないよね。」
「確かにね~」
少し嫌な気分になりながらも授業の準備をする。
相変わらず彼女はうつむいたまま準備をしていた。
そして、放課後図書室で勉強をするために向かうとそこには彼女がいた。本を読んでいる彼女になんとなく話しかけてみようと近づく。
「ねえ、貴方。」
「ひ、ひゃい!」
「ふふっ、ひゃいって。」
「あ、あの何か用ですか?」
「いや、なんとなく話しかけてみたいなと思って。」
「そ、そうですか。」
そこから私たちは少しずつお互いの事を話して一通り
自己紹介をし終えると彼女はぽつりと呟いた。
「いつも、人と話すのが怖くて顔を下げちゃうんです。そんなんだから地味子だとか言われて、いじめられて。勉強もなんにもできなくて、こんな自分は嫌なんです。だから話しかけてくれて嬉しかったです。」
こんなに震えて一人ぼっちな彼女を可哀想だと思っているのに、なぜだか満たされた気持ちになる。この気持ちの正体がわからないまま、
私は彼女に言う。
「私があなたの友達になる。だからもう敬語はやめていいよ。」
「本当に?ありがとう。」
それから私は彼女と図書室で待ち合わせをし、勉強などを教えたり話すようになった。
どうやら、彼女は勉強もスポーツもできないようで教えるのに苦労した。だけど。
「すごいね!私とは大違いに何でもできるんだね!」
その言葉を聞いた時、彼女を見ていると込み上げてくる気持ちの正体に気づいた。
それは────
「どうかした?」
「う、ううん。何でもない。」
それは優越感。何もできない彼女に先生ぶって勉強やいろんなことを教える。いつも姉と比べられてきた私が他人に尊敬の眼差しを向けられるために、多分彼女を友達に選んだ。自分自身の満たされないものを満たすために。なんて最低なんだろう。でもやめられない。だってそれでも彼女は私によって救われたのだから。親友にだってなってあげた。だから少しくらいいいでしょう?
そんな言い訳を心の中でしながら私は彼女に向き直った。
『優越感、劣等感』
『優越感、劣等感』
私は臆病者だ。
何をするにも他人の目を気にしたり、余計なプレッシャーを自分にかせてしまったりしている。
私の学校の体育で器械運動という種目があった。
私は全くできない。という訳では無いのだが。なんというか、こう、やりずらい。
男女合同というのもあるかもしれないが。
前転や後転、側転など失敗したり不格好だったりするのではないか。
下手くそだ。
こんなことも出来ないのか。
みっともない。
実際に言われている訳でもないし、特別視線が私に向いているという訳でもない。自意識過剰だということも重々承知だ。
でも尚、恐れを離すことが出来ない。
妹の通知表の結果が帰ってきた。
彼女は私が越えられなかった壁を易々と超えてゆき、私が中学時代得意だったとする数学の内心をも越して見せた。
なのに私に数学の問題を訪ねてくる。
私以上の評価を持つ人がなぜ己以下の人に質問をするのか。
素直でない私は嫌味と受け取ってしまう。
彼女はそうは思っていなくとも、私がそう思ってしまう。
父や母も普段はちゃんと物事をこなすと褒めてくれることはあるが、
妹がこの内心を持ち帰ってからは、私に対して「おまえもこれくらい」という視線が向いているように感じる。
そこで私は勉強すればいいわけだ。
なぜ私が勉強をしないのか。
別に勉強をしていない訳でもないが、自分で首を絞めているとわかっていても
最後の最後までやりきることが出来ない。
私の妹はいわゆるコミュ障というものだろうか。他人と話すのも苦手だし自分の意見も周りに通そうとはしない。
だが何故か彼女は、他人の目は気にしないのだ。
彼女が言うには
自分の知り合いから見られるのはいやだが、赤の他人からどう思われていようが関係ない。
のだそうだ。
私にはそれが理解できなかった。
というかそれを享受できなかった。
そういった点が優秀な彼女と粗悪な私との差なのだろう。
結局私は何が言いたかったのだろうか。
お城に住むお姫様。
彼女は美人で、性格も良くて、心優しい。
お金だって持っている。
そう、何もかもが完璧…!
あぁ、聡明な彼女は自分が恵まれてるって気付いてるんでしょう?
「あなたのことが羨ましい…
私なんて、何も持ってないただの女の子だもん」
――――――――――――――――――――――――
町に住む女の子。
彼女は明るくて、元気いっぱいで、好きなことが何だって出来る。
何処へだって行ける。
そう、何もかもが自由…!
あぁ、奔放な彼女は自分が何にも縛られないってわかってるんでしょう?
「あなたのことが羨ましい…
私なんて、意思の持てない籠の中の小鳥だもの」
完璧な両親、優秀な弟、可愛い妹、出来の悪い俺。
俺だけが何でも平均以下。
劣等感を抱え生きるのももう疲れた。
一度で良いから周りよりも優れているんだと優越感に浸ってみたい。
そんな無駄なことを考えながら何の意味もない1日を終わらせる。
毎日変わらない面白味もない日常それが俺の人生だ。
優越感は劣等感の裏返し
小さな頃の夢はケーキ屋さんになることだった。女の子なら誰でも一度くらいは、毎日ケーキが食べたいと思ったことはあるだろう。大抵の場合すぐにまた別のなりたい何かに変わってしまうありがちな夢だが、私の場合は進路を決める歳になるまでなんとなく、その幼い頃に抱いた夢を胸に温めていた。
高校を卒業して製菓の専門学校へ2年通って、地元のこぢんまりした洋菓子店にパティシエ見習いとして入った。しかし、何年たっても上達しなかった。一緒に入った同僚たちはめきめき腕を上げて、大事な仕事を任されるようになっていく中、どんなに努力をしても、私だけは認めてもらえない。当時の私は自分が不器用なことをまったく自覚していなかった。ケーキが好きというだけで、うまく作れるわけではないことをわかっていなかった。
それで、なんで私だけ、と周りと比べて劣等感に苦しんだ。とうとう逃げるように店を辞めて、フランスへ修行に出た先輩を頼って、自分もパリへ行った。けれど、日本でダメなのに外国へ逃げてうまくいくわけはない。
雇ってもらったパティスリーでは1か月でクビになり、仕方がないので日本レストランで働いた。本当に辛かった。毎日泣いていた。
それから、20年。
今はそのとき同じパリにいて、いろいろと相談に乗ってくれた先輩と結婚し、2人で小さな洋菓子店を営んでいる。でも、もう私はケーキを作ったりはしない。ケーキを作るのは夫だけだ。20年という月日の中で、自分に何が向いているのかを知った。私の仕事は接客と、カフェのお客さんに飲み物を作ること。私のラッピングは評判がいいし、ラテアートも得意だ。何よりお客さんとのおしゃべりが大好き。夫も毎日私を褒めてくれる。なので今は仕事が楽しくて仕方ない。
劣等感というのは、身を置いた環境やかかわる人によって強くなったり、弱くなったりするものらしい。環境設定ですべてが変わる、というのだ。
いくら好きでも自分に向いていない場所では、当然他人の方が上手にできるのだから、他人に嫉妬したり、羨ましく思ったりするだろう。劣等感があるからこそ頑張れるとも言えるのかもしれないが、見当違いの努力は虚しい。
劣等感に苦しまないためには、きっと、もっと自分を知ることなんだと思う。
優越感、劣等感(2023.7.13)
あなたはわたしを選んだこと、後悔していますか?
わたしのことを好きなのはあなただけだけれど、あなたを好きな女の子はたくさんいる。
あなたがわたしといてくれる時。悪いことかもしれないけれど、わたしは優越感を覚えるの。わたしだけを見て、わたしだけに笑いかけてくれる。そんなあなたが、この世界の誰よりも愛おしい。
あなたが他の誰かといる時。それが素敵な人であるほど、わたしは劣等感を覚えるの。やっぱり、わたしなんかじゃだめだよね、ああいう人が、あなたとお似合いなんだよねって。そんなあなたが、この世界の誰よりも憎らしい。
だから、気をつけてね?わたしにとってあなたは、世界でいちばん一緒に生きたくて、世界でいちばん殺してあげたい人だから。
【優越感、劣等感】
何かに対して優越感を抱くと
心の奥底にいた劣等感を覗かせる。
どちらもきっと綺麗な感情ではなくて
それでも人間ならではの感情だから
消すことは出来ないから必死に受け止めるんだ。
そんな人間でも
生きてていいんだって思っていたいんだ。
あのこは私よりもフシアワセ
だってセーラームーンのへんしんステッキをもっていないんだもの
私はセーラームーンになって てきをたおすつよい子
おとうさんがどなっておかあさんをしかるみたいに
わるいひとがいたら たおす力をもっているの
なのにどうしてだろう
おとうさんは私をどなりつける
私はセーラームーンからわるい子にもどる
へんしんステッキをもってないあのこは
おとうさんと手をつないでニコニコわらってる
私よりもフシアワセなはずなのに
とてもたのしそう
優越感に浸りたいことがよくある
けれど自分はダメなんだと劣等感に浸っていたい事もある
優越感に浸っていたい時はどうしても自分の話をしがちだ。
劣等感に浸っていたい時も自分の話をしがちだ。
結局のところいつだって誰かに自分の話を聞いて欲しいのだとそう思う。
相手の話を聞いて共感することの出来る『 ちょこっとだけ大人』になりたいな
わたしには、憎い人がいた。
でも、正直言って、私がその人より劣っていることなんて、「世間慣れ」ぐらいだった。
絵は毎回賞をとれる。
文章は佳作に入った。
音楽は学年トップの成績。
算数も国語も理科も社会も体育も、
その人より良い成績を残したはず。
それなのに、
賞を取った時の優越感も、
その人が出来なかったことに対する満足感も、
その人が大人達に褒められて、慰められて、
讃えられて、応援されて、
その度にないはずの劣等感がわたしを襲って。
わたしに足りないものはなんだというのか
あいつの何がいいの
自称インキャで
スタバのメロンソーダの自慢で
「ヨウキャごっこ⭐︎」とか
最初からコミュニケーション能力が
あったくせに
悪い分類のヨウキャだったくせに
あいつは、
伊達メガネして
整形して
髪の毛矯正して
その度に、人から話しかけられるたびに、
嬉しそうに
笑ってたのに。
そのクラスメイト達が
どれだけあなたのことが嫌いだったか
あなたは
偏差値の良い学校へ行った
わたしは
あえて
偏差値の悪い学校へ行った
なぜなら
あなたがゴミと見下してきたクラスメイト達
全員
わたしがまとめて面倒見てやる
全員天才にしてやる
お前がゴミと見下してきたやつが
お前を塵芥と見下す時が
待ってろよ
絶対
全部の面で
見返してやる
あなたとは違う、
正々堂々
何もかも
あなたより上に立つ
絶対。
今度こそ感じる
優越感
待ってろよ
あなたに最高の劣等感を
感じさせてやる
待ってろよ
『友達?』
私だけが知っているあなたの秘密。
あなただけが知っている私の秘密。
それはきっと歪な関係だけれど、私たちには欠かせない優越感。そして秘密を共有してないと保てない劣等感。
何も無くても友達でいられれば良かったのに。そう願ったところでもう遅い。
私たちは秘密でしか繋がれないのだから。
テーマ:優越感、劣等感
今日のテーマ
《優越感、劣等感》
数日間にわたる期末試験も今日でやっと終わった。
今日からは試験勉強から解放され、これでようやく自由を満喫できるというものだ。
「今日、この後どうする?」
「お昼どこで食べようか」
「あ、ごめーん、これから彼とデートなんだー」
いつものメンバーで昇降口へ向かいながら話をしていたら、その中の1人がそう言いながら手を合わせた。
しかし言葉とは裏腹に、その顔にはあからさまに自慢げな表情が浮かんでいる。
口で言うほど悪いと思っていないのは全員にしっかり伝わった。
なにせ、本人が迸る優越感を隠す気もなさそうなのだから。
友人達が一気に白けた顔になるのも当然というものだろう。
「あっそ。じゃあ早く行ったら?」
「そうそう、彼氏待ってるんじゃない?」
「待たせたら可哀相だし、あたし達のことはいいから行ってあげなよ」
「やだ、そんな追い出すみたいに言わなくてもいいじゃん」
みんな彼氏がいないからって僻んでるんでしょ?
そう言いたげな態度と口調に、友人達の顔からじわじわ笑顔が剥がれてくる。
このままいくと本格的に関係に亀裂が入ってしまうかもしれない。
「はい! わたし超おなかペコペコだから、お店が混む前にお昼食べに行きたい!」
一触即発の空気なんか気づいてません、というように、わたしは敢えて空気を読まずにそんな発言をした。
いつメンの中でも一番仲良しの親友だけはわたしの意図を察してくれたらしく、すぐにそれに乗ってくれた。
ムードメーカーの彼女が頷くと、若干険悪だった空気はすぐに緩み、他の子達も追従してくる。
彼氏自慢をしたがってた子にみんなで「またね」と手を振って、何とか穏便にその場は収まったのだった。
お昼を食べた後は、試験の打ち上げを兼ねてみんなで夕方までカラオケに行った。
ところどころであの子に対する愚痴が飛んだけど、普段は仲が良いだけあって深刻な悪口にまではならない。
みんな、自分達に羨む気持ちがあるのも、彼女が舞い上がってちょっと暴走しちゃってるのも分かってるから。
とはいえそれを笑顔で受け流せるほど大人でもないから、思い出したように愚痴が出ちゃうんだけど。
「自分だけ彼氏持ちになったって優越感マシマシなのが鼻に付くんだよね」
「ほんとそれ」
「ノロケならいいんだよ。でも、あれは違うじゃん?」
「えー、あたしノロケも聞きたくないんだけど」
「私は種類とか話し方次第かな」
またもぶり返した話題に、わたしは親友とこっそり目を見交わして苦笑した。
実を言えばわたしも親友も彼氏持ちだったりする。
でもそれぞれ相手が別の高校に通ってるから話題に出すことはない。
隠してるわけじゃないし、聞かれたら普通に話すけど、自分から率先して話したりはしてなかった。
日頃から「彼氏がほしい」という彼女達に話したら自慢してるように思われそうだし。
だからわたしと彼女は余計な口を挟むことなく、飲み放題のジュースのおかわりと称してそっと席を立ったのだった。
「彼氏ほしいって言うけど、みんな好きな男子っているのかな?」
「あの子みたいに、告られました、相手のことも好きになりました、ってことなら平和につきあえるだろうけどね」
「合わない相手とつきあうくらいなら、友達とわいわいやってた方が楽しくない?」
「分かる」
ドリンクバーでジュースを注ぎながらそんな会話を交わす。
でも、そんな話をしながらも、みんなの言いたいことも分かるような気もしていた。
自分だって恋をしたい。
誰かの特別になりたい。
そんな気持ちはきっと誰しもが持つものだろう。
そして、恋をして楽しそうにしている友人の姿をつきつけられて、我が身に起こらないことにささやかな劣等感を刺激されてるのだろう。
わたしも、この親友に彼氏ができたばかりの頃は似たような鬱屈を抱いていた。
自分の片想いは叶いそうにもないのに、と羨んでいた。
結果的にはそれから程なくして恋は叶ったし、おかげで嫉妬も羨望も劣等感もすぐに消え失せたんだけど。
「彼氏と過ごす楽しさと、友達と過ごす楽しさは別物だからなあ。きっとあの子ももうちょっと落ち着いたらちゃんと分かって戻ってくるでしょ」
「そうだね。今はつきあい始めの一番ウキウキしてる時期だもん、しょうがないよね」
「そうそう。まあ、暫くは彼氏とあんなことして、こんなとこ行ったって自慢しまくりでウザがられそうだけどね。私も前にやらかしてたからちょっと居たたまれないんだけど」
「あはは」
主にノロケを聞かされまくって辟易してた被害者として、その言葉に思わず苦笑してしまう。
もっとも、わたしも彼とつきあい始めてからはノロケたり相談に乗ってもらったりしてたから、それについてはお互い様だ。
「みんなもいい恋ができるといいよね」
子供の頃にCMで『初恋の味』というキャッチフレーズが使われてた乳酸菌飲料。
真っ白な炭酸入りのそれを手に、祈るようにわたしはそう呟いた。
もし右手と左手が、優越感と劣等感で別れた、別々の生物だったら…。
そりゃあ、文字を書く役割の手が、いて。
そのまま調子に乗って、ものを描くようになったり。
紙を押さえる役割の手が、いて。
力が入りすぎて、紙をくしゃくしゃにしてしまったり。
優越感と劣等感さえ、別で生まれて、比較されてしまうのだから。
それぞれに好きなようにさせていればいい。
コントロールしようとしなくていい。
両利きなんて、ずるいよ。
「あーあ来週かあ…。」
私は大きく伸びをした。ここは、会社の休憩所だ。
「何が?」
同僚のイシイちゃんが尋ねる。アクティブな彼女と大人しい私では、まったくタイプが違うが、不思議とウマが合うのだ。
「いや、来週結婚式なんだよね。友達の。出費はかさむし、旦那はイケメンだし、イマイチお祝いするモードになれないんだよねえ…。」
「人の幸せを素直に喜べない人は、劣等感が強いらしいよ。」
「え、何それ!?」
私は思わぬ鋭い言葉に、胸をズシリと射抜かれたように感じた。
「劣等感?そりゃまあ、確かにあるけど…。でも友達も悪いんだよ、なんせイケメンの旦那ができて、優越感のかたまりみたいになってるんだから…。」
「まあまあ。そんなんほっときなよ!飲みに行こ!」
彼女は何かというと飲みに誘う。
「わかった。じゃあ仕事終わったらね!」
私は思わず約束をして、制服に着替えた。制服があるのは嫌だったが、今以上は太れないという縛りが出来て、助かる部分はある。
結婚式前にあまり太りたくはないが、この制服が入るサイズなら、パーティードレスも入るはずだ。
【劣等感、優越感】
同じような
幕の下ろし方
分かってる
逃げだって
変われば楽に
なれるのだって
いつだって
分かってた
それでも私は
私のままで
これまでずっと
生きてきたから
泣いたって
辛くたって
私のまま
生きてきたから
これからも
こんな私のまま
ありのままで
生きてく
変われないまま
変わらないまま
譲れないまま
譲らないまま
だって
これが
私だから
「これまでずっと」
優越も劣等も連れてきたよ
それが俺だからね…
顔にはださないけど…
いつも2つを道ずれにしてきたよ
誰にもサトラレナイ様にね
顔で笑って心で泣いて
顔で怒って心で泣いて
イチローさんは凄いよいなぁ…ほんとに…凄い!
劣等も優越も顔でなくて…
行動で明日を魅せてきたから…
大谷さんの時代の礎を導いたね…
さてと
私も
今日も暑いけど…
もう一踏ん張りしますか!(笑)
ミーチャン…
イチローさんは生意気とか責められても
自分を通したね
俺は…俺の中の気持ちを…
通してね
いつかかならず…!
そして…
いつまでもミーチャンを…
「優越感、劣等感」
私はこの二つに縛られている。
私は時に人より何かが出来たとき優越感になる。
だが、人よりも何かが出来ないと、劣等感に襲われる。私は、この二つに縛られている。
キラキラ輝いていないと価値はないの。
盛りに盛った写真を撮って、世界に発信。
毎日毎日、高級ブランドの衣服や装飾で着飾って、高いお菓子やお酒を貪りながらパシャパシャ。
高級品に取り囲まれたアタシも、価値ある存在に見えるでしょ。
家一軒ポンと買えちゃうような高級車を乗り回しても。
美男美女を侍らして、毎晩の様に遊び狂っても。
アタシ自身は、セミの抜け殻みたいに空っぽで、みっともないハリボテなのにね。
あー、笑える。
テーマ「優越感、劣等感」
「みなさん、マフィンが焼き上がりましたよ」
きみの声はよく通る。
わっと我先にと集まってくる子どもたちを鷹揚自若に迎えて、きみはにこやかに微笑む。
神官装束の裾をひらめかせながら大皿いっぱいに盛られたマフィンを庭先に運び入れていった。甘い香りにつられた子どもたちがはやくはやく、ときみを急かす。
全員に行き渡るように、ひとつひとつ手渡しで配ってゆくきみは、よっぽど神の子に見えた。
さくりとした食感のあとに甘いチョコレートの味が頬を緩ませて。チョコチップ入りのものも、バターたっぷりのプレーンもとってもおいしそう。
現に子どもたちは次から次へときみの手からマフィンを受け取ってゆく。きみが笑えばつられて子どもたちも笑顔になった。
きみはとても温厚でやさしくて優雅。けれど確固たる芯を誰にも壊させない。だからだろうね、きみの周りにはいつも人が集まる。
いまもそう。
孤児院の穏やかな庭先をぼくはじっと眺めている。庭に出されたチェアで脚を組みながら、テーブルに肘をついて頬杖。
きっと、いま、あんまり宜しくない顔をしてる。
ぶすっと不機嫌。
手にはきみから一番に渡されたマフィン。むしゃりと頬張れば不機嫌な顔がさらに悪化して。
「……」
きゃあきゃあ、とても和やか。きみと子どもたちの周りだけ時間が贅沢なままいつまでも続くような気配で。
三分の一になったマフィンを配り歩いていた。
ぼくの表情に気づかないはずがないのに、きみはまるで気にした素振りもなく。残りのマフィンを持ってぼくが座っているテーブルとは別のテーブルに足を運んだ。
ひとりで手遊びをしている少年。
その子の前に屈んで、目線を合わせてお話し。
……何話してるんだろ。
あんなににこにこして。口許に手の甲を持ってくる癖なんかも魅せちゃって。
そうしたら少年が不意にぼくのほうに向いた。ぼくだって大人。スマイルで手を振ったらその子のお顔はぱあっと明るくなる。けれどその子に話しかけているきみは、少しもぼくを一顧だにしない。
なんだか妙にお腹がぐつぐつとしてきた気がしているけれど、唇を噛んでおしまい。
少年と視線が外れればぼくはまた不機嫌顔に。
庭を見渡せば、きみが配ったマフィンを頬張ってしあわせ顔な子どもたち。それを見ればぼくだってこころ穏やかになる。
あー、こういうお顔がぼくにも引き出せたらなぁ。
適材適所とはよく言ったもの。それができていればなんにも問題はないのに。できないから困っちゃう。
「なんです、そんな不機嫌顔で」
「……」
いつの間にかきみがとなりに。
ぼくなんかと違っていつも変わらない笑みが憎たらしい。ぼくにも持てるかもって思ったものは、だいたいきみがすでに持っている。
だからってじゃないけれど、ぼくは不機嫌なまま答えちゃう。
「べつにぃ。誰にも教えたくないだけ。でもぼくには素直じゃなくちゃね」
「なんですか、それ。おかしなひと」
手の甲で口許を隠した。
ぼくの目はきみを贔屓するようにできてるのかも知れない。
だからかな。
きみは空っぽになったぼくのお皿に冷めたマフィンを。大皿は空っぽに。
「一番に焼き立てのマフィンを手渡して、一番最後にもうひとつ」
「…ふぅん」
「そうでしょう?」
「……きみってばほんと、まるっきりぼくじゃないんだね」
当たり前でしょう?
そう言ってのけたきみがぼくの向かいに腰を下ろした。
ほんと些細なこと。
それだけで、ぼくはきみに心底からあふれたスマイルを見せちゃうんだから。
#優越感、劣等感