『優しさ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
優しい。
幼い頃、私はそのようにカテゴライズされていた。
少なくとも“良い評価”と認識して生きてきたが、これまでの人生で、その評価が役に立ったことはあっただろうか。
外に出れば優しくない人間は存外少なく、社会に出ようものなら“優しい”と持て囃される機会は限りなくゼロになる。
価値があるものとは「皆が欲しがっていて、数が少ないもの」だ。
早い話が、優しさに価値はない。
無意識に性善説を刷り込まれた人間にとっては、当たり前に持っているべきレッテルでしかない。
故に、常に劣勢を強いられる。
つけ込まれ、時に騙され、搾取、蹂躙される。
正しい倫理観を持つよう喚起する社会ですら、時として性質を利用し、私腹を肥やそうとする。
「正直者が馬鹿を見る」を痛感する。
優しくあることは愚かだろうか?
「それでも優しさは大事だ」と唱えることを、奴隷の鎖自慢と揶揄するか?
「はい」でも私は構わない。
価値のない優しさだけでは残念ながら理想は追えない。
そこには事情があると信じるしかない。
「いいえ」と答える理由。
性善説や社会通念上の反射反応か、強い信念によるものか。
なんだっていい。
これからも不当な損をし続けるだろう。
優しい人間が報われる社会も、まず来ないだろう。
愚かでもいい。
価値がなくてもいい。
だから、私は優しさを大事にする人にだけ優しい人間でいたい。
どうか相応の幸せが訪れますように。
~優しさ~
ぎゅってして
ぽんぽんてして
名前呼んで
沢山呼んで
帰らないで
まだここにいて
お顔見せて
お声聞かせて
いつでも言っていいよ
って
思ったことは言葉に出して
って
そんなん言われたら
大好きじゃ足りないくらい
好きになってしまうけど
よいかしらん?
----------------------------------------優しさ
優しさ
優しさは強さ
強くなければ本当の優しさは保てない
人の為なのか
自分が良い人でいたい為なのか
優しくあろうとするのは
なかなかに難しいのだ
paki
優しさなんてもの私は持っていない。君は優しい私が好きと言った。私は優しくない。私はただ怒らないだけ。怒らないと言うか怒り方が分からない。ただそれだけだ。怒る時に怒らなければ、人間の甲斐がありません。そんな言葉がある。
「私には人間の甲斐がない。」
お題『優しさ』
『あなたのため』
その手を振り上げるのも、
その口から出てくる言葉も、
他の兄弟たちとはちがう態度も、
他の人たちに向けるものとはちがう笑顔も、
不出来な自分を正すために必要なことだった
優しい家族、家族の優しさ
なんだかザラザラしてて上手く飲み込めない
そっか、私が悪いんだ
ごめんなさい
生まれてしまってごめんなさい
【題:優しさ】
昼時の暖かな陽射しに眠気を誘われて、意識は夢の中に深く潜った。
捻れ交わる不安定な世界を彷徨い歩き、不安に心を押し潰されたその時──
「!」
意識は浮上する。引っ張られ、戻って来たときは黄昏の空が広がっていた。
毛布代わりの上着と背中越しの体温が
心地良くて、身を委ねることにした。
第一話 その妃、悦に浸る
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
鬱蒼と生い茂る樹木に足場の悪い傾斜。昼間でも暗いこの小山を短時間で抜けるには、男でも相当山道に慣れていないと難しい。ましてや体力のない女子供など以ての外だ。
その奥へと続く道なき道を抜けると、急に眼下へと現れる廃れた御殿。それが、とある妃の宮殿だと言われたところで一体どれだけの人間が間に受けるか。深山に隠されている時点で、帝からの寵愛は疎か、その存在も知られてはいないだろうに。
「……事の次第につきましては、追って使いを寄越しますので……」
御簾の向こう側から聞こえる、鈴音のような耳心地の良い声。気配を消し、貴人を乗せたその輿が完全に見えなくなるまで見届けてから、宮殿の門を叩いた。
離宮内はしんと静まり返っている。下女は疎か、主人を世話するはずの侍女ですらこの宮にはいない。その代わりの男が、帝の命により時々訪れる程度だ。
「眠れないなら、お茶でも淹れますよ」
月光に照らされた、絹のように滑らかな白い肌。下ろされている濡羽色の艶やかな髪。形の美しい紅を引いた唇と、色っぽい目元の二連黒子。頬に影を落とす睫毛が持ち上がると、そこから現れる意志の強い瞳。
目尻に此方を捉えると、この離宮の主人は嘲笑を唇に描いた。そう、この美人に嘘は通用しないのだ。
頬杖を突きながら流し目を送る美人に、ほうと感嘆の息を漏らしてから、国の情勢を掻い摘んで報告する。専ら男の仕事といえば、こうして美人と色のない話をすることだけであった。
しかし、今夜は少し様子が違って見えた。
いつもなら「そうか」と言ってすぐに宮から追い出そうとするのに、いつまでも主人は、池に映った月を眺めている。
「いつもなら今頃夢の中なのに、随分とお優しいじゃないですか」
「非常に有意義だったからな」
「妬けちゃうなあ」
「面白い話はいつまで聞いても飽きない」
なら、いつもすぐ下がらせる報告程度の話は、さぞかしつまらないのだろう。
唇を尖らせながら下がろうとするが、やはり今夜は何かがおかしい。
「おぬしも聞きたいだろう?」
何故なら、悦に浸った様子の主人が、真っ直ぐに此方を見つめていたからだ。
こんな時間に、そんな状態で、こんな美人に出ていくのを引き止められて断る健全な男がいようか、否いまい。
静かな二人だけの夜。
この時はまだ、知る由もない。
目の前にいる麗しのお妃様が、まさか腐敗した小国からの脱出だけでは飽き足らず、国家転覆まで企んでいようとは。
「おぬしも聞いていて損はないだろう」
「では僕も、とっておきの面白い話をして差し上げますね」
「期待はせずにおこう」
「存分にしてくださって結構ですよ」
これは、誰も知らぬ御伽噺。
やられたら気の済むまでやり返す破天荒者――後に『落花妃』と呼ばれる女の、亡国物語である。
#優しさ/和風ファンタジー/気まぐれ更新
『優しさ始めました』
いつも行く食堂に、そう書かれたノボリが置かれていた。
「はあ、やっと始めたのか……」
どれだけこの日を待ちわびたことか……
冬は人肌が恋しくなる寒い季節。
だが人肌が無くても人は生きていける。
同じように人は優しさが無くても生きていける。
だからといって優しさが無くてもいいわけではない。
そう言った理念のもと、この店は毎年冬の初めに『優しさ』を始めるのだ。
今年の冬は、暖かい日が続き冬がなかなか来なかった。
出すタイミングを逃して、そのまま忘れていたのだろう。
あのとぼけた店主の事だ。
そうに違いない。
俺は扉を開けて店に入る。
「店主さん、張り紙見たよ。やっと優しさ始めたんだって?」
「ははは、すいません。
どうにも優しさがなかなか入荷しなくって……」
「忘れていただけだしょ?」
「はは、バレましたか」
店主は笑いながら、俺を先導して空いている席に案内する。
この店は小さいので、週末以外は店長一人で切り盛りしている。
案内された席に着くと、そこには腰痛軽減クッションが置かれていた。
昨日は置かれてなかったので、わざわざ用意してくれたのだろう。
腰痛に悩まされる俺のために置かれているクッション。
先日、腰痛が辛いと言ったことを覚えていていてくれたらしい。
このさりげない優しさが憎い。
「外は寒かったでしょう。ご注文の前にこちらを」
そう言って差し出されたのは、ホットミルク。
受け取って飲めば、体の芯から暖まっていく。
優しさが体の隅々までいきわたる。
「ご注文が決まってますか?」
店長は頃合いを見計らって注文を聞いてくる。
「今日は中華定食で」
「かしこまりました」
そう言って店長は店の奥に入っていく。
料理を作るために、厨房へいったのだ。
料理が来るまで時間があるので、店の中を見渡す。
すると暖炉に火が入っているのが見えた。
昨日来たときは点いてなかったので、今日からなのだろう。
冬の間、ずっと点ければいいのにと思うのだが、なかなか掃除が面倒らしい。
この暖炉は、店で『優しさ』をやっている間だけの期間限定のものなのだ。
暖炉から何か優しさ的なものが出ている気がする。
掃除が面倒でも、『優しさ』をやる間だけは点けるというのは納得である。
どれだけ見入っていたのだろうか、店主が店の奥から出てきた。
「お待たせしました」
目の前に料理が並べられていく。
「今、『優しさ』が期間限定で100%増量しています」
「見た目変わんないけど」
「大丈夫ですよ。きちんと入ってますから」
「本当?違ったらSNSで炎上させるから」
もちろん本気じゃない。
優しさなんて入っていなかったところで、分かる人間なんていない。
店長もそれを分かっているので、一緒に笑う。
「こちらサービスになります」
そう言って、店長はあるものを置く。
中華定食のデザート、俺の大好物の杏仁豆腐だ。
これ自体は、いつもサービスで付く。
だけど今回は――
「こちらも、優しさ増量中となっております」
目の前に出されたのは、いつもより大きめの茶碗に入った杏仁豆腐。
だがこれはこの期間だけのスペシャル杏仁豆腐なのだ。
これがとんでもなくうまい。
それもそのはず、店主が食材からこだわった、スペシャルな杏仁豆腐。
店主のお客様のためという『優しさ』が暴走した結果の杏仁豆腐なのだ。
「ありがとうございます」
俺は心の底からの感謝を述べる。
これを毎年楽しみにしているのだ。
デザートを早く味わうため、定食を手早く食べる。
優しさどころか、味もまともに分からない。
定食を食べ終えて、一度深呼吸する。
スペシャルな杏仁豆腐なのだ。
慌ててはいけない。
しっかり精神を落ち着かせてから、ゆっくりと杏仁豆腐を口に運ぶ。
「やっぱり、優しさが入っていると違うな」
杏仁豆腐は優しさに溢れた味がした。
否定もせず肯定もせずただひたすらに
その人を受け入れてみる。
するとその先にまた新たな関係が見えてくる
優しさなんてない。
優しいようないかにも善人が考えるようなことを思っても醜くて最悪な思いで塗り潰される。
心が黒くなっていくようだ。
なんでこんなに優しくないんだろう。
なんでこんなに優しくなれないんだろう。
「優しいね。」
そう言われるたびにそんな人間じゃない自分はもっと最低だと思い自己嫌悪に陥る。
表に最悪な面を出している人よりもよっぽど裏で最低なことを思っている人のほうが最低。
優しくなれない。
なりたい。
優しさってなんだろうね……
嫌がる子を無理やり連れて行くのは
優しさなのかな……
行きたくないって言ってる子を連れて行って
結局しんどい想いをして帰宅して
あの時なら
「それは……優しさじゃない」
って思っていたけど今思うと
あの時に無理矢理にでも
連れて行ってもらって良かったのかなって
思う。
連れて行ってもらったから
話を聞いてくれたから
今の僕がいるのかな……
今は優しさじゃないって思っている
時間かもしれないけど
いつかきっと
それは最後に気付く
優しさになるかもしれない
優しさ
あなたが優しい人だと知っていた。
人の気持ちに敏感で、困っている人には自然に手を差し伸べる。
だけどあなたが、自分の優しさを自覚した時、
その優しさからは、
少しだけプラスチックの匂いがするようになった。
どうか気づかないで。
もし気づいたなら、あなたは、
とても傷ついてしまうと思うから。
#158
きみの優しさに触れた時、心があったかくなった。
その優しさに触れたいと、いつの日からか恋してた。
恋をしてたはずなのに、それはだんだん執着心へと変化していったのは、どうして?
真っ暗な画面を起動して、今日もおまえに会いに行く。
強力プレイや、武器の強化がリアルで機械オタクの人気を集めているMMORPG。
そこで俺はおまえと出会った。
録でもない家庭で、録でもない親父に殴られては、
気が触れたお袋の慰みものになる。
機械いじりが好きだったから車の整備工場で働きはじめた。
底辺の俺でも働かせてもらえる、個人経営の小さな町工場。
キツい仕事で、客もクソ。
機械を弄ってる時と、家に帰って親父が鼾をたてた時に始めるゲーム。それが俺の癒しだった。
「今日も仕事キツくてさー」
「給料前だからイベントキツいわ」
「次のクエストどうする?」
どんな愚痴でも楽しそうに聞いてくれるお前に惹かれるのは当然だった。
直接会ってみたい。
このクソな世界でも、お前となら楽しくやれる気がする。
ハイランクプレーヤーなお前が、俺とばかり組んでくれるのも、俺に気があるからかもしれない。
お前は誰にでも優しいが、俺には特別優しい。
でもそれは
優しさとは
限らない
そう知った時には全てが遅かった。
わたしは優しさが嫌いだ。
優しさに甘えられることが嫌いだ。
わたしはあなたに優しくありたくて意識して言葉に優しさを込めているのに、あなたはわたしの優しさを当たり前だとでも思っているみたい。優しくありたいわたしを優しくあれない悪い人にするあなたが嫌いだ。
誰かから与えられる優しさは、その人を気遣う心を麻痺させる毒なのかもしれない。
わたしは優しい人じゃなくて優しくありたい人だって、それだけ分かってほしかった。
(優しさ)
優しさに囲まれて
暖かさに囲まれて
世界は生きて、回っている
その優しさに押しつぶされて
苦しむ人を見ないふりして
「知ってる?『優しい』って半分は誉め言葉じゃないんだよ」
「裏にはね、『頼みを聞いてくれる』とか、『何も言わなくても対応して』とか、『利用しやすい』とか、『押せばどうにでも出来る』とかね、隠れてるんだ」
「だからね、私、君に『優しい人になって』って言えない」
「君を損なわない程度に、人に優しく『してあげる』位で良いよ」
そう言って、母は微笑んだ。
とても、とても優しい人だった。
<優しさ>
あの子はいつも僕に優しい。だから絶対に僕に気があるんだ。そんなこととっくに気づいてるよ。なのに、いくら待ってもあの子は僕に告白しようとしてこない。チャンスをあげようと思って、「今日一緒に帰る?」って誘っても友達と帰るからいいと断ってきた。なんだそれ。僕のこと好きなんだろ?だったらできるだけ僕のそばにいたらいいじゃないか。なのに君は涼しい顔して僕の誘いを受け流す。どういうつもりなんだよ。僕のこと本当に好きなの?
だから今日、あの子の後をつけてみた。彼女が言ってた“友達”なる子達と校門を出るところだった。多分、同じクラスの女子。何かを楽しそうに話していて、みんなでいきなり爆笑したりよく分からない歌を歌いだしたり。僕に見せるあの笑顔をそのままみんなにも振りまいている。つまり、あの子は僕だけじゃなくてみんなにも同じように優しいというわけだ。
これが女子の友達になら納得がいったと思う。けど僕は信じられないものを見てしまった。どこから現れたのか、女子グループに合流してきた男子にまであの子は笑いかけている。ソイツがわけ分かんないことを言って飛び跳ねるのを見て、彼女は全力で笑っている。目じりには涙を浮かべるくらいに爆笑している。そんな顔見たことなかった。なんだかいつもよりいきいきしている。嘘だろ、と思った。
僕に優しいから僕のことが好き。
そんなわけがなかった。あの子はみんなに優しい。そして、みんなのことが好き。男にも女にも、分け隔てなく接する彼女は、僕のものじゃないんだ。
くやしい。彼女の優しさを好きの気持ちだと勘違いしてたことが恥ずかしい。チクショウ、と呟いて彼女の尾行をやめた。踵を返す僕の背にまた、彼女らの楽しげな笑い声が降ってきた。
優しさ
人のちいさな『嬉しい』をたくさん見つけてくれるあなたはちいさな『ありがとう』をたくさん受け取ってそれがだんだんと『優しさ』になっていったんだろうな
優しいあなたの様になれるように
わたしもちいさな『嬉しい』をたくさん見つけて言葉に出そう行動しよう
それがきっとわたしと同じく救いになる人がいる
優しい眼差しの向こう側に
私はいつまでも行けないのだろう。
いくらその横顔を見つめたって、ずっとずっと
私には笑いかけてくれないの。