『優しさ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「貴方は優しいね、」
お昼一緒に食べたいと散々駄々をこねた後。
観念したような先生が貴方ならいいっか、なんて軽く微笑んで準備室まで並んで歩いた。
先生が、職員室に戻らず準備室でお昼を食べているのを知っていたから。
「別に優しくないです、…先生とこうしてお喋りしたかっただけですし、!」
「…前から思ってたけど貴方ってやっぱり変わってるのね。俺なんかと一緒でたのしい?」
大好きな先生をそんなふうに言われてしまうのはそれを言ったのが先生であってもちょっぴり悲しい。
先生は一緒にいるだけで私の世界に色をつけてくれる人
先生以上の人なんて探したって見つかりっこない。
「先生のおかげで毎日しあわせです。…だから、そんなふうにいわないでください、っ」
「あ〜もう分かったってば。あなたのその顔俺、結構弱いから」
自分がどんな顔をしてるかなんて想像できない。
でも、多分先生のことがさぞかし好きだ、って恥ずかしい顔、してるんだろう。
私の気持ちをするりとかわすのも一種の優しさかもしれない。
2024.1.27『優しさ』
優しさ。渡る世間は鬼ばかり。他人に優しくしてくれる人なんていないよね。
昨日は今住んでる場所の退去を通告された。通告というかお願いの形を取っていたけど結局は強制の追い出しだよな。
住人集めて法が許す6ヶ月の猶予を持って今日言ったので6月に出ていってもらえますか、みたいなこと言ってたけどほぼ2月に言われたんだから7月か8月だろって腹立ったわ。
しかも人を集めておいて通告だけで立ち退き料とか一切言われなかった。こういうの言うのはちょっと嫌だけど法が許す最低限の期間で言うのは情とか誠意がないだろ。
せめて一年前に言ってくれていればエアコンを買い換えなかったのに。まじ最悪だわ。工事までしたのに一年も使わずにエアコンを捨てなきゃならん。
エアコンは工事とかあってめんどくさくて不動産経由で頼んだからめっちゃ高かったのにこの仕打ちよ。腹立つわ。
全くもって納得いかないから法テラスに行って立ち退き料とエアコンのことを相談しなきゃいけない。エアコン代は取り返せるか怪しいけどまずは相談しなきゃな。
その上引っ越しの準備を6ヶ月以内にしなきゃいけないから本当にめんどくさい。この世に優しさなんてないね。と、最後にお題を絡めてみるみる。
優しくしないでほしい。
だってその優しさはおまけ。あの子に向けられた優しさに比べたら笑ってしまうほど微々たるもの。
だったら最初からないほうが安心する。期待せずにすむ。
いっそ割り切れるくらい賢くなるか満足できるくらい安い女になりたい。
優しさ
とてもとても小さなチワワと
とても背の高い飼い主さん
日曜の夕方のドッグラン
飼い主さんがゆっくり歩く足元を
小さな小さなチワワがついて歩く
ぴこぴこと辿々しく可愛いらしく
淡い黄色の小さな服を着て歩く
飼い主さんの足元に守られながら
止まらずにぴこぴこずっとずっと歩く
飼い主さんはゆっくりゆっくり
小さな小さな相棒をさりげなく守りながら
止まらずにゆったり歩き続ける
彼と彼の靴より小さいくらいの小さなチワワ
心が本当に繋がっているみたい一つみたい
ゆっくりゆっくり歩くぴこぴこぴこぴこ歩く
愛おしさ大切さ優しさ信頼うれしさ楽しさ
温かく切なく美しくて見ていると心が柔らかくなる
とまらず歩き続ける背の高い飼い主さんと
小さな小さな可愛らしいチワワ
1時間くらいして少し立ちどまり
淡い黄色の服の小さなチワワが
飼い主さんの靴に少し乗るような仕草をした
そして またゆっくりゆっくりぴこぴこぴこぴこ
ドッグランの中を2周ほどしてから
腕の中にすっぽり収まるくらい小さなチワワを
優しくそっと大切に抱き上げて
夕暮れのオレンジ色が残る中
2人静かに帰っていった
私は他人に優しくする。
情けは人の為ならずと言うし、きっと巡り巡って自分に返ってくるはずだから。
今日も他人に親切にした。
一日一善。良い気分。
今日は面倒臭いことに巻き込まれた。
最終的に自分が被害を受けた。
笑える。いや、笑えないけど。
なんで私がこんな目に遭ってるの? 普段助けてあげてるんだから、こういう時は私の力になるべきじゃないの?
結局こうしていつも私が貧乏くじを引く。
優しくしたって意味がないと気付く。
何の為に優しくしてやってると思ってんだ。見返りを求めない優しさなんてあるわけないだろ。綺麗事で生きていけるほど世の中甘くないんだよ。
『優しさ』
とある冬の昼下がり。
ストーブは要らない。
八畳ほどの私の部屋は何も動かずに、それでいて壁の軋む音が聞こえた。
結露した窓から、似た様な家々とそれから時々車と飛行機の音。
千草色に、もすこしホワイトを足して混ぜたような空は、チャイムを一際映えさせた。
界隈曲が私を違う道へと案内する。
少し、そうほんの少しだけ、周りが淡く見える。
日に焼けた攻略本、箱から出したままのジグソーパズル、削りカスが少し残った鉛筆削り、3年前に買ったアシカのぬいぐるみ、毛玉の残る紺のセーター。
これではまるで時が止まっている。
止めたのは、私なのかも、しれないが。
ズボンに糸屑が付いていた。
横に置いていたスマホを立ち上げ、レンズを構える。
今この瞬間を何故だか忘れたくなくて、シャッターを切った。
耳鳴りがした。
「、、、 。」
#優しさ
子どものねずみが一匹、いました。
「やさしい」が何なのか、わからないねずみ
でした。
やさしくならなきゃと、思っていました。
心がきれいでやさしければ、いつか、しあわせに
なれる。どの物語にも、そう書いてあったからで
す。
自分はワガママだと、子ねずみは思っていまし
た。なにがワガママなのか、子ねずみにはわかりません。でも、ワガママだとよく言われるのです。やさしくないのは、たしかです。やさしければ、しあわせのはずです。だから、やさしさが足りていないのです。やさしさが何かわからないのも、きっと、自分がやさしくないせいです。ワガママなねずみのせいです。
みんなのやりたがらないことを、進んでやりましょう。
大人たちは、そう言います。
それがきっと、「やさしい」です。
人気のないものばかりを、引きうけるように
なりました。
ゴミ捨て係に立候補したり、チーズのおいしい部分をほかの子にあげたり、欲しいものをキライだと言って我慢したりしました。
そのうち、他のねずみとちがう選択をする自分に酔うようになりました。本当は、いやな気持ちを
ごまかすためでした。「やさしい」と「召使い」の境界を、疑問に思いはじめました。あいかわらず、ワガママだと言われていました。なにが正解なのか、わからなくなっていました。
「やさしい」と褒められる他のねずみたちが、全員、ニセモノに見えました。
アピールが上手いだけ、うわべを取り繕っているだけ、本心からの行動じゃない、だって、こんなに頑張っても、わたしはずっと「ワガママ」なのに。
ワガママだと言われるのは、自分の話をするせいかもしれない。子ねずみは、自分の本音を、だれにも話さなくなりました。
ある日、子ねずみはお土産やさんで、きれいな小皿を見つけました。
万華鏡をのぞいたような、幾何学的な模様がついています。絵ではありません。色のちがう木をたくさん組み合わせて、模様をつくっているのです。寄せ木細工と書いてあります。
びっくりしました。
寄せ木細工なら、子ねずみも図工の授業でやったことがあります。でも、子ねずみがつくったのは、茶色い棒と白い棒を、丸太のように積み上げただけの箱でした。とても同じものには見えません。
当然だと、子ねずみは思いました。この小皿を
見るまで、寄せ木細工がなんなのか、子ねずみは
さっぱり知らなかったのです。茶色い棒と白い棒を
渡されて、ただ「寄せ木細工をしろ」と言われたの
です。
やっと、答えを見つけた気がしました。
やさしくなれないのは、自分の心が醜いせいだと、ずっと思っていました。醜い自分が、大きらいでした。でも、ちがったようです。
子ねずみがやさしくなれなかったのは、「やさしいねずみ」のお手本を、一度も見たことがなかった
せいなのです。
君は、いつでも何処でも大丈夫って言う。
私は話して欲しいのに。
いつか、抱え込んで、溢れて、
居なくなっちゃうんじゃないの。
それが優しさってもんなの?
「優しさ」
目を瞑って受け取っても
柔らかいと感じてくれるように。
【#30】
『優しさ』
キミと過ごしたあの日
人の温もりを感じた
わたしは全てが嫌になった
人と関わることが無くなった
そんな時でもそばにいてくれたのは
ただ一人 キミだけだった
キミはわたしの全てを受け入れてくれて
寄り添ってくれた
わたしは初めて本当の優しさというものを知った
【#1】
居てあげるのが優しさか
見てあげるのが優しさか
してあげるのが優しさか
最初にいくのが優しさか
最後にいくのが優しさか
他人への親切が優しさか
自己への親切が優しさか
持っているのが優しさか
得ていくものが優しさか
ひけらかすのが優しさか
つつみ隠すのが優しさか
優しい世界に守られた私は
誰かの優しさになれるだろうか。
あなたはいつも優しくする
他に好きな人がいるくせに
私ではあなたに届かないのに
ねぇ
忘れないで
私がいたことを
あなただけでも覚えていて
さよなら
私の愛する人
優しさを与える側も、受け取る側も、
余裕が無ければ、その行為の意味を理解できないように思う。
前提として、これは私見に過ぎず、例外が存在するやもしれん。
その例外をわたくしは、未だ見たことがない。
ただ、それだけだ。
わたくしにとって、優しさとは愛情である。
愛とは、相手を思い、相手を尊重する。
それが愛だと、わたくしは思う。
だから、わたくしは条件つきの愛という、概念を理解できない。
凍てつくような風に
柔らかく香りを乗せる梅の優しさに足を止め
春を待つ
題目「優しさ」
優しさってちゃん怒ってあげる優しさとか、相手を優先してあげるとか認めてあげるとか色々あると思う。
けど、正解は分からない。我慢して優しくしたところでいつかは苦しくなるし、ちゃんと言える勇気もない。
自分は目の前の人を傷付けないようにするあまり他の誰かを傷付けて僕の周りはみんな傷付き離れていく。優しさのつもりが慰める手に棘を持っていたみたい。
もういいや。って投げ出したくなる。自分に筋を通してみようと、君へ僕のある優しさを全部あげようと思った。
今僕に出来る優しさは君を信じることしかない。
優しさ
私の名前はショージン。魔王サタン様のご子息、コタン様にお仕えする使用人です。コタン様は若干5歳にして魔道を極め、悪のエネルギーを最大限蓄積できた時、人間界を半壊させ得るだけの力を有します。そんなコタン様ですが、人間どもを恐怖に貶めるため、人間界に潜伏し弱点を探るという極秘任務に当たっておられるのです。私の役目は出来るだけコタン様が仕事がしやすい様にサポートすること。縁の下の力持ち、優秀なる黒子に徹するべく本日もコタン様に付き従っているのでした。
「ショージンは優しさと言うものを知っているか?」
「人間どもが持っている感情ですね。」
「そうだ。なぜ人間が優しさを持っているか分かるか?
人間は弱いから周りと協力しなくては生きていけない。集団で上手くやっていくコツは周りに媚び諂うことなのだ。そうして生まれた感情が優しさだ。俺はこの優しさを逆手に取って、人間を操り、絶望の淵に叩き込んでやろうと思っているのだ。」
「さすがは坊っちゃま、慧眼であらせられます。」
私とコタン様は山手線に乗り日暮里から池袋に向かうとこらでした。
「おい、ショージン、この電車という乗り物は中々に便利だな。」
「左様でございますな、坊っちゃま。」
「人間の技術者をさらって魔界にも作るとしよう。」
「さすがは坊っちゃま、慧眼であらせられます。」
「時にショージンよ、このシルバーシートは何故赤いのにシルバーと言うのだ?」
「シルバーと言うのは、高齢者を指す言葉でしてこの座席は高齢者や障がいのある方が優先で座れる席なのです。」
「何?ここは高齢者優先席なのか?では、そこのご老人に席を譲らねば。」
そう言うとコタン様は席を立ち、老婆に席を譲った。
「ああ、ありがとうね。小さいのに優しくて良い子ねぇ。」
老婆はペコリと会釈すると、優先席に腰を掛けた。
「おい、ショージン、この老人は今なんと言った?」
「坊っちゃまに対して優しいとおっしゃいましたな。」
「どう言うことだ?ただ私は当たり前のことをしただけなのに。」
「最近は、老人に席を譲る若者は少ないようですな。」
「この俺が優しいだと?なんか気持ちが悪くなってきた。ショージン背中をさすってくれ。」
コタン様の欠点は悪魔にしては人が良すぎるところです。
ですが、使用人にも対等に接してくれるコタン様を、私は命をかけて守り切ると神に誓っているのでした。
優しさは不公平から生まれて
優しさが不公平を生み散らかすと思う。
誰かの一番になったこと無い人間は
ひがみっぽくていけないね。
(優しさ)
君の優しさが急に苦しくなるよ
─────『優しさ』
【優しさ】
無言で骨壷の前に佇む君の横に、僕もただ黙って腰を下ろす。障子の向こうでは雨音が粛々と鳴り響いていた。
妹を亡くした君が泣かないのに、幼馴染の一人を亡くしただけの僕がみっともなく泣き叫ぶわけにはいかない。じわりと滲んだ視界を、目頭に力を込めて必死に耐えた。
慰めの言葉も、励ますような温もりも、僕たちの間には必要ない。きっと周囲から見れば冷めきった関係に見えるのだろう。だけどそれでもただ無言で寄り添うこの時間だけが、生きるのが下手くそな僕たちが互いへと向けられる最大限の優しさだった。
あなたの優しさは、私にとっては冷酷だ。
私の気持ちに応えることができないなら、せめて私のことを遠ざけてくれたらいいのに。