『優しくしないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君のその優しさは、私には毒だ。
仕事仲間。同僚。戦友。──相棒。
私たちのこの関係に、どんな名前をつけても間違いではない。
時に背中を預けあい、支え合って生きる。
その関係性を言葉にするのなら、それで間違いはない。
だからそれ以上の感情を、優しさを向けないで欲しい。
君のことが、その優しさが嫌いではない。むしろ、好きだ。
君以上に大切な人などいないし、作るつもりもない。
けれど、恋人になりたいわけではないんだ。
どれだけそばに居ようとも、ずっと一緒には生きていけない。
私は君を置いて行く人間なのだと、わかっているから。
そう自分に言い聞かせて、一線を引く。
君の好意をわかっていながら、曖昧に笑う。
だからどうか、相棒のままでいるために。
そんな風に笑わないで。
この恋は、はじまる前に終わらせたはずだから。
『その熱は身を焦がすほど』──(お題:優しくしないで)
「なぁルシアン。もう俺に、優しくするなよ」
「な、なんで……?」
「この間の、お前が『兄ちゃんも来なよ! 絶対楽しいよ!』って連れてったパーティーで、他のやつらに俺がなんて言われてたか知ってるか?」
『また来たよ』『毎度毎度律儀に来ちゃってさ、学ばないの?』『早く帰れっての』
「……なぁ、わかるか? 惨めなんだよ。何でも持ってる、誰にでも愛されるお前に優しくされるのは。お前はいいやつで、善人だ。お前より劣ってる俺なんかを慕い、好いているのが嫌でもわかる。だから、お前が俺を思ってくれるなら。どうか俺と関わらないでくれ」
「わ、わかんないよ……。どうして? 俺、兄ちゃんといたいよ」
「ま、そうだよな。お前がそう言うのはわかってたさ。だから、明日一日だけでいい。起きても、俺の部屋を覗くな。学校でも俺の事を探すな。帰って俺がいなくても探そうとするな。一日だけでいいんだ。頼むよ」
「……わ、かった」
「ありがとな」
「……そう言って部屋に消えた兄ちゃんを、引き留めればよかったって、今でも思ってる。関わらないって約束した日の次の日。一日だけって言ってたから、またいつもみたいにおはようって、言えると思ってたのに。……兄ちゃんの部屋の、ドアが重かったの。頑張って押せば入れそうだったけど、そんなに入ってほしくなかったんだ、って思ったら無理に開けない方がいい気がして窓から様子を見に行ったの。そしたら、さぁ。ドアノブで、首、吊ってた。……ごめんね、兄ちゃん。望んでないし、それで許してくれるとも思わないけど……。兄ちゃんに酷い事言ったりしたやつは、苦しめておくから。ゆっくり眠ってね」
瓶底に沈んだ幸福は、何色をしているのだろう。
暗い海の淵に沈むきみの手を取る夢を見た。そんなこと、ある筈がない。否、あっていい筈がない、そう理解っている。いつもよりも重い頭を擡げて、自分の身体に光を遮られて陰に染まった掌に視線を落とした。僕の心を締め付けているのは焦燥か、それとも黒い恐怖か。手の平の皺に爪を立ててみても、夢の中の冷たい手の感触がどうもついて離れない。
溟い闇の中で、きみの目だけが僕を見ていた。
きみは、僕を憎んでいるはずだ。そうでなければ、僕は。
僕は、きみの瞳を見つめた。きみが僕を許してくれないというのなら、僕は幾らか心が晴れる。そうだ。いっそのこと、僕を海の底に沈めてくれたっていい。その方が、僕の気は楽になる。僕はそれだけのことをきみにしたのだ。きみが僕に報いを与えてくれると言うのなら……、僕は少しだけ、僕を許せる気がするんだ。
——嗚呼、だと言うのに。
きみの瞳は澄んでいた。何処までも、どこまでも。
それはあの時と変わらない、誰かを信じて疑わない目。きみの瞳そのものだった。
きみは何と言った? その感情の宿らない目で。
ぞっと芯までも凍り付くような冷たい感覚が、僕の身体を支配する。ひぃ、と喉から転がり落ちた悲鳴は誰のものだったか。僕に掛かった体重が一気に遠のく。きみの手を掴む力が抜けたのだ。僕の手を放したきみは、あっという間に黒い波にさらわれて姿を消す。きみが飲まれて行くのをじっと見ていた僕は、たった一人安全な闇の上に取り残されて。そこで、やっと夢から覚めた。
きみはまだその目で僕を見るというのか。止めてくれ、僕は惨めな愚か者だ。きみの思うような良い友達ではなかった。きみにもわかっただろう? 僕は、僕自身が一番大切な人間なのだと。きみは本当に良いやつだった。誰よりも正しかった。けれども、それを簡単に裏切ったのは僕だ。なあ、僕は酷いやつだろう? それなのに、何故きみは未だにその目で僕を見る? 君が一言僕を許さないと言ってくれれば、憎んでくれたのなら…………いや、所詮はただの夢だ。本当のきみじゃない。これはただの幻想に過ぎない。僕の罪の形が君の姿を成しただけ。……これは、僕への罰だ。永遠に、逃れる事は赦されない罪。僕はそれと向き合わなければならない。そうだろう?
視界を埋め尽くす澱んだ液体の緩い感触を肌で感じ、僕はただ茫然と息をする。知っているさ。爪を立てた手の平には、赤い血は浮かばない。僕の捻じ曲がった性根が変わることはない。
きみからの手紙を、僕は見ようとしなかった。
酷く小さな、芯からの叫のつまった瓶は今も溟い海に沈んでいる。その思いが掬われることはもう、ないだろう。
「優しくしないで」
優しくされるほど
自分の卑屈さが際立つから嫌だな
Despair
風の息吹き
彷徨い私が
辿り着いた生と死
揺らめく時
絶望に跪く
隔離された狭間で
「ウブゴエ アゲタ・・・」
狂気乱舞
思考の改竄
波瀾万丈
囚われ死界
黒霧と朱月
躯に纏わり付く
私は薄れ
始める兆し・・・
何故・・・
「何かあった?」
なんで気付いちゃうかな
私とあなたは、ただの友達
あなたには守らないといけない人が
いるじゃない
「あなたが好き」
この気持ちを押し殺して
この関係を崩さないように
あなたの隣にいるんだよ
あなたの優しさが私の心を苦しめる
私に優しくしないで。
#優しくしないで
酔っていた。ぼくはしたたかに酔っていた。
「も、もう……ぼくなんかにぃ、っ、か、かまわないでくださいぃぃぃ……!」
連休前の仕事終わり。少し無理して片付けた業務に比例して溜まった疲労。帰宅前にアルコールで胃へと流してしまおうと、居酒屋に入ったはいいものの。
「分かった分かった、まずは落ち着いて」
「うっ、うう……いっつも、はなしかけてくれるし、おかしくれるし……っ、そんなにやさしくしないでくださぁい……っ!」
「ちょっと飲みすぎだよ、ほら、水飲んで」
一緒に飲んで笑って、ささやかな仕事の愚痴なんかを言い合って、当たり前に楽しくて、いつの間にかとんでもない量を摂取してしまっていて。
気付けば情けない声で呻いている酔っ払いのできあがり。おかしい、どうしてこんなことになっているんだろう。こんなにお酒に呑まれるなんて、今までなかったのに。ぼくはただ、隣に座るこの人と、ずっとこうしていられたらいいなあ、なんて、ちょっとセンチメンタルな気分に浸っていただけなのに。
もうほとんどべそをかきながら、背中を撫でてくれる手から逃れたくて身を捩る。触れているところが熱くて、これ以上熱くなりたくなくて。
「や、やめてくださいっ、も、ほうっておいて……」
「そんなことできる訳ないでしょう。いいから水飲んで、家まで送っていくから」
「ほらぁ、またそうやって、あなたがやさしいから、ぼく、ぼく……うううう」
――もっとあなたを好きになってしまう。
酔っていても流石に口には出さなかった。出せなかった。
代わりにどんどん目の辺りが熱くなってきて、視界がぐにゃりと歪んでくる。なんて情けない。
ついにボロボロと涙までこぼし始めたぼくを見て、ハンカチを差し出してくるあなたのまた優しいこと。おしぼりじゃないのがまた、もうやだ、好きがまたあふれて、涙が止まらない。
【優しくしないで】
#優しくしないで
どうして、僕の目の前から消えてくれないんですか。
殺そうとしても全部避けられ、気付けば僕の方が倒れている。
「あなたは一人じゃない」?
「わたしがそばにいるよ」?
「生きる意味」のない僕に、優しくしないで。
※BLです。苦手な方は飛ばしてください。
目の前にいるのに遠い背中。
手を伸ばせば届く距離なのに、伸ばした手は空を切る。この人の瞳に映りたくて、ここまでがむしゃらに頑張ってきた。
笑う顔も、真剣な眼差しも、全部俺だけのものになればいいのに。俺だけを見て、俺だけに笑いかけてくれたならどんなに嬉しいか。
そんなこと言えやしないけれど、本当はいつも思ってる。俺だけが好きで、俺だけがいつもアンタの事ばかり考えて、頭の中は毎日アンタで埋め尽くされてるんだ。
先輩がここから旅立つ最後の日、涙でぐちゃぐちゃになった俺の頭を先輩は殊更優しく撫でてきた。
いつもならそんな俺を揶揄うくせに。
なぁに、もしかして泣いてんの?なんて笑いながらぐちゃぐちゃと髪をかき混ぜるくせに。
最後なら優しくしないで。
俺のことが好きじゃないのなら、期待なんかさせないで。いつもみたいにバカだなって笑ってよ。
「なぁ、来るんだろ?来年」
頭を撫でていた手が、ゆっくりと下がりそのまま俺の頬に添えられる。
「待ってるから」
早く俺のところまで来いよ、と言いたげな視線にますます目頭が熱くなった。親指で優しく涙を拭われて、恥ずかしさに顔を背けてしまいたくなる。だけど俺ばかり意識しているのが悔しくて、眉間に力を入れて見つめ返した。
「あったりまえでしょうが!すぐに追いついてみせますよ!」
フンスッと鼻から息を吐く。来年、俺が来るのをひとりで待っていればいいんだ。
「そっか」
安堵したようにくしゃりと目元を緩めて笑う姿に、どうしようもなく心が揺さぶられる。
俺のことなんか好きじゃないくせに。
俺のことなんてただの後輩としか思っていないくせに。
なんでそんな顔するんだよ。
本当に先輩はずるい人だ。でも悔しいけれど、好きで好きで、どうしようもないくらい大好きなんだ。
どんなに願っても叶わないこともあるとわかっている。だけど、このまま後輩のままで終わらせたくない。
先輩の胸ぐらを掴んで引き寄せて、間にあった距離を無理矢理取っ払ってやる。
いつも俺を揶揄う瞳が至近距離でまあるく開かれた。
見たこともないくらい間の抜けた顔に満足する。
「ざまーみろ!」
次会うときまで、俺のことで頭がいっぱいになってしまえと、先輩の唇を奪ってやった。
「おっまえなぁ」
先輩は怒ることもなく、ただ呆れた声を出す。
「すんません!」
涙を拭ってわはっと笑顔を向けると、しょうがねぇなあと笑い返してくれた。きっと俺の気持ちに気づいただろう。気づいてなお、いつも通り笑ってくれる。
だから俺も、これ以上はなにも言わない。
来年、また同じ場所に立てたなら、その時は——
遠くで仲間たちが俺たちの名前を呼ぶ。
「行きましょうか」
先に歩き出した俺の背中に、優しく俺の名を呼ぶ先輩の声が届いた。
「来年までよそ見すんなよ」
振り向いて、今度は俺の瞳が丸く開かれる。
トクリと高鳴る心臓に手を当てながら、とびきり優しく微笑む先輩を目に焼き付けた。
#優しくしないで
誰にでも優しく
先回りして、気になってそっとしてしまう
それって優しいの?
甘やかしてない?
って言われて、優しくする我慢をする
その人の成長のために、我慢
優しくしないで、見守る事も大変だ
何で私の事心配してくれるのかわかんない。上手くいかなかったのに全部私のせいにすれば良かったのに
#優しくしないで
そこじゃない、もう少し右
あぁ、今度は行き過ぎ左
そこそこ···優しくしないで、
もっと爪発てて掻いてよ!!くすぐったい
かすかに痛むこの気持ちは
葬いにすらならなくて
振り返った昨日にも届かない
拾われることのない声と祈り
だれかが呼ぶ方へ わたしは目を伏せる
許されたい あいされたい
遠い星の向こうへ帰るだれかの声
ほら また一筋 燃え尽きる命が宙を駆る
優しくしないで
優しくされればされる程あなたのことが好きになる。
会話をすればするほどあなたとの距離が近づくような気がした。
叶わない恋だとしても私はあなたの隣にいたかった。
だけど、
もう遅いんだよね。
手遅れだよね。
私は私の人生を。
あなたはあなたの人生を。
一生懸命生きましょう。
お互い悔いのない人生を。
『優しくしないで』
「これなぁに?」
純真ちゃんは何かを指差して言いました。
それは白くてふわふわしていて、
純真ちゃんが両手で抱えられるくらいの大きさのもの。
「それは“優しさ”だね。
触れていると、何だか心がぽかぽかしてくるだろう?」
「うん!ふわふわでぽかぽかで……これ好き!」
純真ちゃんは“優しさ”をぎゅっと抱きしめました。
ふわふわ、ぽかぽか、触れているだけで幸せな気持ちになります。純真ちゃんの頬も自然と緩みます。
「でも何でこんなところにあるの?本体さんは、これが嫌い??」
ここは心の奥の奥。
本体さんが固く閉ざしているところ。
普段は日の目を見ない薄暗いところ。
「君をここに閉じ込めたのと同じことだよ。
本体は君も“優しさ”も受け止められないんだ。
だから見えないように箱にしまって、
蓋をして深いところに隠してる」
「うーん……よくわかんない!」
「……まぁ、簡単に言えば本体は、
誰にも優しくされたくないんだろうね。
だから貰った“優しさ”をここに放り込んだ。
本体はこれを望んでいない……要らないものなんだ」
ここにあるのは綺麗なものだけ。
光の入らない暗い箱の中。
けれども眩しく輝いているのは、
きっと入っているものが原因なのでしょう。
「でも、こんなに幸せな気持ちになれるのに。
捨てちゃうなんて勿体無いよ」
純真ちゃんが“優しさ”を撫でると、
“優しさ”は少しだけ光を帯びました。
「捨てたんじゃないよ。
受け止められなかったんだ。
本体はこの“優しさ”をどう処理したら良いか分からなかったから、だから、ここに入れたんだ。
捨てるんだったらこんなところに仕舞ったりしない。
こんな心の奥底に、大事に大事に隠したりしない」
そう、ここは心の奥の奥。
決して外に出ることはない。
けれども、決して外からの攻撃を受けることもない。
ここはそんな特別な場所。
「本体はね、君や“優しさ”、
ここにある全てのものを嫌っているわけじゃないんだ。
本当は仲良くなりたいのかもしれない。
でも今はまだ、その時じゃない。
だけどいつか僕たちが必要になった時、
その時ここは開かれて、
僕らが日の目を見る時が来るのさ」
そう言って希望くんが“優しさ”に触れると、
それは弾け、綿毛のようにふわりふわりとあちこちへ飛んで行きました。
純真ちゃんはそれを見て希望を抱きました。
本体さんもいつかは、
この“優しさ”を抱きしめられる日が来るのだろうと。
私は嫌だった
私に優しくしてくれるあの人が
年上で余裕のあるあの人が
優しくしてくれる度に
抜け出せなくなる
ドロドロに溶かされて
まだ心が少し子供の私を
包み込むように
優しく接してくる
やめて優しくしないでよ
優しい大人なあの人は
「俺より君に似合う良い人がいるよ」
なんて言っちゃうから
この思いも実らないのかなって
辛くなる
それでもあの人は優しくしてくるの
ねぇ、お願い。
もう、優しくしないで
【2023-05-03 - 優しくしないで】
Undertale,『優しくしないで』
『…』
おかしい,いつまで待ってもRESETされない…
それどころか…
「サンズ!」
『…よう、フリスク。』
アンタはオイラによく会いに来る。
オイラもこの日々に幸福を抱きつつある。
だから嫌なんだ、
いつかRESETされる、それは分かってる。
幸福を得たって、無駄だから。
いっそ感じ無い方が楽に終われる。
なのにお前は…
「サンズどうしたの?」
「具合でもわるいの?」
「大丈夫?」
『…あぁ、大丈夫だよ。』
なぁ頼む、
頼むから俺に、
" 優しくしないでくれよ…"
--------------------
…ちょいサンフリ?
ひん…ひんッ…すみません…
今回はUndertaleでお題『優しくしないで』から
書いてみました。
ハットインタイムって…
面白いなぁ…(??????)
やめてよ
辛くなるのは私だから
後で苦しいのは私だから
その優しさが痛いから
だからやめて
私に
*優しくしないで
お題/優しくしないで
貴女はそっと私の頬に触れるのです。
「ほら、泣かないで、綺麗な顔が台無しよ?」
私の涙で濡れた指先が、煌めいて見えました。ああ、ああ。優しい貴女、美しい貴女、貴女のすべて、すべて、私には目が潰れてしまいそうなほど眩しいのです。
私は、あの娘を虐げました。私は、怖かったのです。私はあの娘を汚らわしいと思いました。
貴女はあの娘に手を差し伸べます。
その時の私の感情の、なんと卑しいことか。それなのに、貴女は、私にも優しく、触れてくれる。
ごめんなさい。ごめんなさい。汚らわしいのは私です。穢れているのは、卑しいのは、私のほうなのです。
貴女に優しくしてもらう資格など、私にはないのです。
けれど貴女に嫌われたくないから、私はそれを、言い出せずにいるのです。
お願いだから、もう私に優しくしないで。
私は、貴女と一緒に歩むには、相応しくないのです。
彼が私の頤に手を添えたのを合図に、唇が触れ合う。そっと薄目を開け、美しいそのかんばせを堪能しながら柔らかいそれを食んだ。すっと通った鼻筋に肌理の細かい肌。けぶるような睫毛が影を作っている。
艶やかなその容姿は人の目を引く。私も最初は彼の見目の良さに惹かれた。でも今は、違う。真っ直ぐなその芯、何処までも気高い魂……その全てを好きになってしまった。真実に触れることも許されていない私が言っても、説得力がないかもしれないけれど。
冷たい手が性急に服を剥ぎ、肌の上をなぞるように這ってゆく。そんなに柔な質じゃないのに、彼はいつも壊れ物を扱うように私に触れる。もどかしくて熱い息を吐けば、彼が悪戯に笑った。
ねえ――もうこれ以上優しくしないで。大切なものを扱うように、丁寧な手つきで身体を拓かないで。私のことを好いてくれているのだと、勘違いして……期待してしまうから。
『優しくしないで』